11月8日、関東地方だけ天気が崩れる
(ベーリング海で低気圧が猛烈に発達)

 6日に台風第20号が関東地方の東海上を北東へ進んだ後、大陸の高気圧が張り出してきて7日の日本付近は一時的に冬型の気圧配置となりました。このため、7日の関東地方はじゃれて乾燥した天気になりました。その後、大陸の高気圧は移動性となって7日の夜から8日にかけて本州上を東へ進みました。

 一方、華中では上層の気圧の谷が深まりながら、ゆっくりと東へ進んできました。このため、関東地方の上層では7日の夜から西南西の流れに変わってきました。高気圧の中心がやや北に偏っていたことから、7日の昼過ぎには関東地方の南の下層では西南西の風と高気圧から吹き出す北東の風とによる収束域が形成され、南北にのびる収束雲が発生しました。

 収束雲は、8日かけてゆっくりと東へ移動していきました。移動するにつれて収束域の東側に雲が発生し、北側へ広がっていきました。このため、8日の日立市は朝から夜にかけて曇りの天気が続きました。また、関東地方南部では弱い雨が降ったり止んだりしました。水戸でも、昼と夕方に小雨が降りました。

 日本付近へ移動性高気圧が進んでくると、全国的に晴れの天気となります。しかし、日本の西に上層の気圧の谷があって、高気圧の中心が北に偏っている場合には関東地方だけ天気が崩れることがあります。これは、右の解説図に示すように関東地方の南海上には中部山岳で分流した大気の流れにより収束域が形成されるためです。この形の収束域は、10月から3月の寒候期において冬型の気圧配置が緩んだときや東西に連なった移動性高気圧の内の一つが東海上へ抜けたときに発生しやすい傾向があります。

 なお、関東地方の東を北上した台風第20号は、7日09時には日本の東で温帯低気圧に変わりました。その後も速い速度で北東へ進み、8日朝にはベーリング海へ達しました。下層の温暖な空気を保ったまま上層の気圧の谷の全面に入り、上層の寒気との温度差がかなり大きくなったため、低気圧は猛烈に発達して8日15時には中心気圧920hPaを解析しました。これは、気象庁の資料によればアジア太平洋領域天気図で解析された温帯低気圧の最低気圧930hPa(1981年12月21日)を更新し、これまでで最も低い気圧です。

 ●11月7日15時00分と8日10時00分の気象衛星可視画像

 ●参考:11月7日15時30分から8日09時00分の気象衛星赤外画像

 ●参考:11月8日15時の地上天気図

 ●参考:11月8日09時の500hPa面高層天気図

 ●11月7日09時から8日21時の地上天気図

Amagai Daizo


【ホームページへ】

作成日:2014/11/11
日立市役所 天気相談所