29日の日中、低気圧が本州南岸をを北東へ進んだ後、寒気を伴った上層の低気圧(寒冷渦)が沿海州をゆっくりと東へ進みました。この寒冷渦は、30日には日本海を東へ進み、これに伴い30日の午後から強い寒気が本州付近へ入ってきました。つくばにおける高層観測の気温の変化を見ると、29日09時には高さ5500m付近で-16.1℃とかなり暖かい空気が入っていましたが、30日21時には-32.3℃と15℃近くも下がり、非常に強い寒気が入ってきたことが分かります。このため、地上の気温も30日の夕方から下がっていきました。30日の日中は収束域の影響で雲が多くにわか雨も降りましたが、15時頃からは雲が消えて夜には快晴となったため、一段と気温が低くなりました。特に、31日の3時頃には西よりの風が一時的に弱まったため、日立市役所では急に気温が下がり、3時13分にこの日の最低気温-0.3℃を記録しました。これは、今年の秋になって最も低く、また初めての氷点下の気温となりました。
今年は、11月の半ば以降寒気が南下してくるようになり、気温の低くなるときが何度かありました。しかし、寒気の南下とともに冬型の気圧配置になって西よりの風が吹くことが多く、日立市役所では他の地点ほど気温が下がりませんでした。このため、日平均気温が昨年より低くくなった割には、日最低気温が秋以降初めて0℃未満になった日は昨年より1日遅い12月31日となり、1958年の寒候期に記録した1月3日に次いで日立市役所で観測を開始して以来の遅い記録になりました。日立市役所以外の地点では、11月の下旬に下層へ強い寒気が入ってきたときに日最低気温が0℃未満になっており、本山では11月19日、南部支所と水戸では11月23日でした。
なお、日立市役所では日最低気温を記録した後、西南西の風が強く吹き始めて気温は上がりました。また、今回は水戸でも南西の風がやや強まったため、4時から5時にかけて気温が上がりました。それに対して、地形の影響がない本山や南部支所では日の出前まで気温が下がり続けました。
※1958年は、12月31日になっても日最低気温が0℃未満になった日がなく、0℃未満に下がったのは1959年の1月3日になってからでした。
●今年の秋に入っての最低気温(℃)の記録 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
|
|
※今年の8月1日以降、12月31日現在の最低気温の低い方からの記録。
●参考:つくばにおける高層観測の気温(℃)
高さ(気圧) |
27日 21時 |
28日 09時 |
28日 21時 |
29日 09時 |
29日 21時 |
30日 09時 |
30日 21時 |
31日 09時 |
5500m(500hPa) | -22.3 | -23.7 | -18.9 | -16.1 | -21.3 | -26.9 | -32.3 | -31.3 |
1500m(850hPa) | 3.2 | 4.0 | 2.8 | 8.8 | 4.4 | 1.2 | -2.7 | -4.1 |
●参考:12月30日から31日にかけての各地の気温の変化と最低気温が初めて0℃未満になった日
※順位は遅い順で、1953年から |
●参考:12月31日09時の地上天気と500hPa面高層天気図
●参考:12月31日03時のアメダスによる気温と風の分布
Amagai Daizo