◇月後半、急速に暖かくなる

 上旬は本州付近を低気圧が頻繁に通過し、曇りや雨の日が多くなりました。中旬に入ると寒気が南下してきて冬型の気圧配置となり、晴れて乾燥した天気になりました。しかし、中旬の後半は低気圧や前線の影響で天気のぐずつく時がありました。下旬になると移動性高気圧が本州上を進むようになり、晴れる日が続きました。また、月末には大陸から暖かい空気が入ってきて気温が上がりました。この結果、月平均気温は8.3℃と平年より1.1℃高くなりました。一方、上旬に発達した低気圧の影響でまとまった雨が降ったことから、月降水量は108.5mm(平年比101%)と平年並みになりました。反対に、上旬の日照時間は平年より少なくなりました。しかし、下旬の日照時間が平年の1.7倍近くあったため、月の日照時間は208.6時間(平年比117%)と平年より多くなりました。

3月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 8.3 7.2
月降水量(mm) 108.5 107.5
月日照時間(時間) 208.6 178.8
旬平均気温(℃)
観測値 平年値
上旬 7.2 5.9
中旬 8.0 7.3
下旬 9.5 8.2
旬日照時間(時間)
観測値 平年値
上旬 40.3 57.2
中旬 60.0 60.9
下旬 108.3 60.7

 ●3月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

2015年3月の日立市役所における日平均気温の推移 2015年3月のつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

 ●3月の日立市役所における日最低気温と日照時間の推移

2015年3月の日立市役所における日最低気温の推移 2015年3月の日立市役所における日照時間の推移

 この冬の気温の推移をみると、去年の12月から今年の1月初めにかけては冬型の気圧配置となる日が多く、周期的に強い寒気が南下してきたため、気温は平年より低くなりました。1月の後半になると、日本付近を低気圧が頻繁に通過して暖かい空気が流れ込んだため、気温が高くなりました。2月に入っても、低気圧が頻繁に通過する状態が続きました。ただ、月の前半は低気圧の通過後に寒気が流れ込み、気温は平年より低くなりました。しかし、後半になると上層の大気の流れが変化し、南から暖かい空気が入るようになって気温は高くなりました。

 3月に入ってもこの傾向が続き、気温は平年を上回りました。中旬や下旬前半には一時的に強い寒気が入り、気温の低くなる日もありました。しかし、低気圧が東海上で発達して強い風が吹いたため、朝の冷え込みは強まりませんでした。この結果、日立市役所における3月の最低気温は、12日に記録した0.0℃までしか下がらず、冬日(日最低気温0℃未満)となった日はありませんでした。3月に冬日となる日がなかったのは、観測開始以来1985年3月に次いで2度目です。

 なお、4月以降に冬日となる日がなかった場合、冬日の終日は2月21日(最低気温-0.7℃)となります。これは、観測開始以来最も早い記録で、2月中に冬日の終日となったの初めてのことです。

 ●2014年12月から2015年3月の日立市役所における日平均気温の推移

2014年12月〜2015年3月の日立市役所における日平均気温の推移

 ●過去5年間の12月から3月の気温と冬日の日数(日立市役所)

月平均気温(℃)
前年
12月
1月 2月 3月
2011 8.5 2.9 5.2 5.3
2012 5.6 3.0 3.6 6.6
2013 6.1 3.6 4.0 9.4
2014 7.2 4.5 3.9 7.9
2015 6.1 4.9 4.4 8.3
平年値 7.3 4.6 4.6 7.2
月最低気温(℃)
前年
12月
1月 2月 3月
2011 -0.5 -3.1 -2.2 -2.7
2012 -2.2 -4.2 -4.4 -0.7
2013 -2.6 -3.3 -5.2 -1.1
2014 -1.3 -2.9 -5.4 -2.6
2015 -2.0 -2.4 -2.9 0.0
冬日の日数
前年
12月
1月 2月 3月
2011 1 23 10 11 45
2012 11 20 15 3 49
2013 8 17 14 2 41
2014 3 16 14 8 41
2015 8 13 12 0 33
平年値 6 17 14 6 43

 ※月平均気温の青色で塗った欄は気温が平年以下の月を表す。

 ※月最低気温の青色で塗った欄は気温が-5℃未満を表す。

 ●3月の冬日の日数と終日の記録

冬日の日数
順位 日数
1 2015 0
1 1985 0
2 2010
2008
2002
1990
1966
1
冬日の終日
順位 月日 最低気温
1 2015 02/21 -0.7
2 2008 03/06 -1.0
2 1995 03/06 -0.8
4 2004 03/08 -1.2
5 2002 03/09 -0.3
平年値 03/23

-

 ※順位は日数の少ない方及び日付の早い方からで、1953年から2015年の統計。


◇3月の日立市内の気温と降水量

 3月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は引き続き日立市役所が最も高くなっています。次いで、最も北に位置する十王交流センターが2番目に高くなっています。山間部にある本山、西部支所と標高の高い諏訪広場は気温の低い方になっています。なお、市内7地点の平均気温は7.1℃で、水戸の月平均気温8.4℃よりも1.3℃低くなりました。2月に比べて気温差は大きくなっており、水戸の方が暖候期へ向けての気温の上昇が早いことを示しています

 一方、月の降水量の市内平均は108.8mmで、2月の平均降水量54.0mmの倍近くになりました。観測地点の間の差も2月より大きくなっており、最も降水量の多かった十王交流センターの135.0mmに対して、最も少なかった西部支所は89.0mmと1.5倍の差がありました。また、市内7地点の平均降水量108.8mmに対して、水戸の月降水量は95.5mmと10%程少なくなりました。

 ●3月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果

3月の気温(℃)の記録
観測地点 平均
気温
最高気温 最低気温
気温 日時 気温 日時
日立市役所 8.3 22.4 31 13:55 0.0 12 02:48
十王交流センター 8.0 21.7 31 12:12 -0.6 26 05:45
北部消防署 6.8 18.8 31 17:19 -0.8 26 04:51
本山(中学校跡) 5.8 20.8 31 13:53 -3.2 24 05:27
西部支所 6.6 22.0 31 14:48 -4.4 12 05:55
諏訪広場 6.5 20.9 31 14:10 -2.5 25 05:18
南部支所 7.4 22.2 31 13:33 -2.1 13 05:42
上記7地点の平均 7.1 -

-

-

-

日立会瀬 8.2 22.8 31 14:18 -0.1 26 05:31
水戸(金町) 8.4 23.0 31 13:44 -1.8 26 05:37
3月の降水量(mm)の記録
観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量
降水量 降水量 日時
日立市役所 108.5 42.0 9 12.0 09 23:03
十王交流センター 135.0 56.5 9 14.5 09 22:05
北部消防署 114.5 51.5 9 14.0 09 21:37
本山(中学校跡) 118.5 46.5 9 12.5 09 23:06
西部支所 89.0 38.0 9 12.5 09 23:01
諏訪広場 105.5 41.0 9 14.0 09 22:56
南部支所 90.5 35.5 9 15.5 09 22:45
上記7地点の平均 108.8 -

-

- -
日立会瀬 114.0 43.0 9 13.0 09 22:57
水戸(金町) 95.5 42.0 9 15.5 09 22:38

 ※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。


◇風向の変化に伴う気温、湿度の変化(31日)

 31日、移動性高気圧が関東地方の東へ抜けるとともに、北海道の北を低気圧が東北東へ進みました。このため、関東地方では低気圧に吹き込む南西の風とともに暖かい空気が入り、気温が上がりました。つくばにおける高層観測の結果を見ると、高さ1500m付近(850hPa面)の気温は、30日09時の4.7℃から31日21時には11.5℃まで上昇しました。関東地方における最高気温は、群馬県館林で25.5℃(14時32分)、埼玉県熊谷で25.0℃(14時00分)など、多くの地点で今年の最高気温を記録しました。

 茨城県内でも、古河で最高気温24.6℃(13時50分)、大子で同じく24.0℃(14時55分)を記録するなど、15観測点の内13地点で最高気温が20℃を超え、11地点では今年の最高気温となりました。なお、最高気温が20℃を下回ったのは、県北部の沿岸部に位置する北茨城と高萩でした。

 日立市では、沿岸部で南から南東の風に変わった時間帯があり、気温と湿度が複雑に変化しました。日立市役所における気温の推移をみると、7時頃から南西の風が強まるとともに気温も上がり始め、12時過ぎには気温が20℃を超えました。しかし、12時30分になると風向が南東の風に変わり気温は一気に4℃近く下がりました。13時20分になると風向は南西に戻り、気温も元に戻って上がり出して13時55分には日最高気温22.4℃を記録しました。これは、今年になっての最高気温で、6月中旬並みの気温でした。15時頃から気温は徐々に下がっていきました。しかし、夜にかけて南西の風が吹き続けたため気温の下がり方は鈍く、24時でも気温は14℃を超えていました。

 日立市役所以外の気温の推移をみると、諏訪広場、南部支所、本山、西部支所では山型の変化を示し、14時前後に最高気温が現れています。一方、市の北部に位置する十王交流センターと北部消防署では、12時頃から17時頃にかけて南東から南の風が入ったため、午後はほとんど気温が上がりませんでした。この影響で、最高気気温は十王交流センターでは12時12分に、北部消防署では17時19分に出ています。また、湿度は気温と逆の変化をしています。日立市役所、十王交流センター北部消防署の3地点では、南から南東の風が入った時間帯には湿度が高くなりました。一方、諏訪広場、南部支所、本山、西部支所の4地点は鍋底型の変化を示し、昼前から夕方にかけて湿度の低い状態が続きました。

 ●3月31日の気温(℃)の記録

地点 日平均気温 最高気温 最低気温
気温 平年値 気温 時刻 平年値 気温 時刻 平年値
日立市役所 15.2 9.2 22.4 13:55 13.6 7.8 04:30 4.7
十王交流センター 14.2 21.7 12:12 7.0 03:49
北部消防署 12.7 18.8 17:19 6.9 04:35
本山(中学校跡) 13.3 20.8 13:53 5.0 00:13
西部支所 12.4 22.0 14:48 3.7 05:47
諏訪広場 13.6 20.9 14:10 5.3 01:42
南部支所 14.4 22.2 13:33 5.9 05:24
日立会瀬 15.0 22.8 14:18 7.2 05:21
水戸(金町) 14.4 8.9 23.0 13:44 14.3 4.7 05:37 3.7

 ●3月31日06時〜18時の気温と風向の推移

 ●3月31日13時と14時の日立市内の風向の分布

2015年3月31日13時の日立市内の風向分布 2015年3月31日14時の日立市内の風向分布

 ●3月31日13時と14時の日立市内の気温の分布

2015年3月31日13時の日立市内の気温分布 2015年3月31日14時の日立市内の気温分布

 ●3月31日10時から18時の気温の推移(1分値)

3月31日10時から18時の気温の推移(日立市役所他) 3月31日10時から18時の気温の推移(西部支所他)

 ●3月31日10時から18時の湿度の推移(1分値)

3月31日10時から18時の湿度の推移(日立市役所他) 3月31日10時から18時の湿度の推移(西部支所他)

 ●3月31日14時のアメダスによる気温と風の分布

 ●3月31日12時の地上天気図と21時の850hPa面高層天気図

2015年3月31日12時の地上天気図 2015年3月31日21時の850hPa面高層天気図

※高層天気図において、実線は等高度線を、点線は等温線を表しています。また、観測地点における上段の数値は、その地点の850hPaの高さにおける気温を、下段の数値は、同じ高さにおける気温と露点温度の差を表しています。網掛けの部分は、気温と露点温度の差が3℃以下(空気が湿っていることを表す)の領域を表しています。


y4.gif (1703 バイト)【観測日誌2015年へ】 home_h2.gif (1545 バイト)【ホームページへ】

作成日 2015/04/13
名前 日立市天気相談所