◇下旬に太平洋高気圧の勢力が強まり暑くなる

 上旬は前線が本州の南から東シナ海に停滞することが多かったものの、本州付近は移動性高気圧におおわれて晴れる日が多くなりました。中旬になると前線はやや北上して本州南岸から九州に停滞するようになり、曇りや雨の日が多くなりました。下旬に入ると、太平洋高気圧が勢力を強めて日本の南へ張り出し、前線はさらに北上して東北地方から日本海に停滞するようになりました。このため、再び晴れて気温の上がる日が多くなりました。この結果、中旬を除いて日照時間は平年を上回り、月の日照時間は132.4時間と平年の117%になりました。また、月降水量は154.0mm(平年比93%)とほぼ平年並みになりました。

 一方、気温の推移をみると、月の初めは前月終わりから引き続いてオホーツク海高気圧から吹き出す冷たい空気の影響を受けて気温が低くなりました。しかし、3日には冷たい空気は東へ抜け、その後は気温は平年並みからやや高めに推移しました。20日頃からは太平洋高気圧が勢力を強めて西へ張り出してきたため、22日以降は前線が日本海へ停滞するようになりました。そして、前線に向かって南から暖かい空気が入るようになり、気温は平年よりかなり高くなりました。この結果、月平均気温は20.6℃と平年より1.4℃高くなりました。旬別の平均気温をみると、上旬と中旬は平年並みでしたが、下旬の平均気温は24.0℃と平年よりも3.8℃と高くなりました。これは、6月下旬の平均気温としては日立市役所観測開始以来、1979年に次いで2番目に高い気温です。

6月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 20.6 19.2
月降水量(mm) 154.0 165.1
月日照時間(時間) 132.4 113.3
旬平均気温(℃)
観測値 平年値
上旬 18.4 18.3
中旬 19.4 19.2
下旬 24.0 20.2

 また、22日から24日にかけては日本海に停滞する前線に向かって南西の風が吹きこんだため、フェーン現象の影響も加わって気温が上がりました。日立市役所でも、22日から24日にかけて連続して最高気温が30℃を超えました。特に、24日は南西の風がやや強く吹いたことと昼前から雲が薄くなって日射が強くなったことから、最高気温は33.5℃まで上がりました。これは、6月の最高気温としては日立市役所観測開始以来、1991年6月13日と並んで最も高い気温です。

 ●6月の気温(℃)の記録

下旬平均気温
順位 気温
1 1979 24.4
2 2011 24.0
3 2005 23.7
4 2010 23.4
5 1963 23.1
平年値 20.1
日最高気温
順位 月日 気温
1 2011 06/24 33.5
1 1991 06/13 33.5
3 1998 06/27 32.7
4 1998 06/28 32.6

※順位は数値の高い(多い)方からで、1953年から2011年の統計

 ●6月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける850hPa気温(09時)の推移

6月の日立市役所における日平均気温の推移 6月のつくばにおける850hPa気温(09時)の推移

 ※上のグラフの元データ:1106data.xls(エクセル2000ファイル、87KB)

 下図の500hPa高度の緯度・時間断面図に見るとおり、6月19日頃から太平洋高気圧の勢力が強まり始め、高度5880mの領域は6月29をピークに北緯40度付近まで広がりました。そして、太平洋高気圧の勢力伸長に合わせて、南から下層へ暖かい空気が入るようになり気温が高くなりました。

 ただ、25日から27日にかけて移動性高気圧が日本海から三陸沖へ進み、前線が一時的に関東地方まで南下しました。前線の北側では北東の風とともに地表付近へ冷たい空気が入ったため、関東地方では25日から27日にかけて気温が低くなりました。6月21日から30日にかけての1時間毎の気温の推移をみると、日立市役所では22日から24日にかけて3日連続して最高気温が30℃を超え、真夏の暑さとなりました。

 24日の夜になると前線が南下してきて北東の風に変わり、気温は下がっていきました。25日から26日にかけては曇りで弱い雨が降ったために、日中も気温がほとんど上がりませんでした。最高気温は20℃前後で、5月中旬並みの肌寒い陽気となりました。しかし、27日になると太平洋高気圧の中心が関東地方の南へ移動してきて前線は東北地方へ北上し、暖かい空気におおわれてきました。このため、27日の夜から気温が上がり出し、30日には最高気温32.3℃と再び真夏日(最高気温が30℃以上の日)になりました。この結果、6月の真夏日の日数は4日となり、2004年の5日以来の多い6月となりました。

 ●参考:500hPa高度の緯度・時間断面図(東経135度線沿い、6月1日〜30日)

500hPa高度の緯度・時間断面図(東経135度線沿い、6月1日〜30日)

 ※網掛けの部分は、高度が5880m以上の部分を表す。

 ●参考:6月21日から30日にかけての気温の推移(1時間値)

 日立(市役所)、水戸(金町)、東京(千代田区)、静岡(駿河区)における21日から30日にかけての気温の推移をみると、先に述べたように日立では22日から24日にかけて3日連続して最高気温が30℃を超えるとともに、日平均気温も26から28℃ともっとも暑い時期を上回りました。24日の夜には南下してきた前線の北側に入り、気温は下がりました。25日から26日にかけては雲が多く弱い雨も降ったため日中もほとんど気温は上がらず、日平均気温は19℃前後と5月中旬並みの気温となりました。

 しかし、27日になると南下していた前線は西から北上してきて、地表付近には南から暖かい空気が入るようになり、しだいに気温は上がっていきました。そして、29日から30日には再び日平均気温は25℃を超えるようになりました。なお、東京でも同じような気温変化を示して26日には気温が下がりました。しかし、前線の南側にあった静岡では、26日の最高気温が29.5℃となった以外は22日から30日にかけて最高気温が30℃を超えて暑い日が続きました。

6月21日から30日にかけての気温の推移(1時間値)

 ●参考:6月21日から30日の09時の地上天気図

6月21日09時の地上天気図 6月22日09時の地上天気図 6月23日09時の地上天気図 6月24日09時の地上天気図 6月25日09時の地上天気図
6月26日09時の地上天気図 6月27日09時の地上天気図 6月28日09時の地上天気図 6月29日09時の地上天気図 6月30日09時の地上天気図

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作成日 2011/07/13
名前 日立市天気相談所