◇降水量が少なく暖かな5月

 上旬は高気圧におおわれ、晴れる日が続きました。ただ、関東地方は4日から8日に射かけて本州南岸をゆっくりと東進した寒冷渦の影響で、上旬時後半は曇りの日が続きました。その後、天気は周期的に変わるようになり、晴れる日が多くなりました。27日から30日かけては、再び寒冷渦が本州南岸を東進したため、関東地方では28日から31日かけて曇りや雨の日が続きました。この結果、日照時間は178.8時間とほぼ平年並みでした。また、中旬までは低気圧が日本海を進むことが多く発達することの少なかったため、降水量は少なくなりました。月末に寒冷渦の影響で雨の日が続いて月の降水量は75.5mmになりましたが、それでも平年の47%にしかなりませんでした。

 一方、寒気の南下がなく、日本海を進む低気圧に向かって南から暖かい空気が入ることがあったため、月平均気温は17.4℃と平年より1.3℃高くなりました。これは、5月の平均気温としては観測開始以来5番目に高い値でした。特に、例年のように北東風とともに下層へ冷たい空気が入ることがなく、移動性高気圧におおわれて冷え込むこともなかったため、最低気温の月平均は14.0℃と1982年に並んで観測開始以来最も高くなりました。

5月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 17.4 16.1
月降水量(mm) 75.5 160.6
月日照時間(時間) 178.8 174.8
気温の旬変化(℃)
平均気温 旬平年値
上旬 17.1 15.0
中旬 17.1 16.0
下旬 18.0 17.1

 ●5月の気温(℃)の記録

月平均気温
順位 気温
1 1961 18.3
2 1982 17.8
3 1999 17.7
4 1998 17.6
5 2009 17.4
平年値   16.1
月平均最低気温
順位 気温
1 2009 14.0
2 1982 14.0
3 1961 13.6
4 1998 13.4
5 1967 13.4
平年値   12.3

※順位は気温の高い方からで、1953年〜2009年の統計。

 先月に引き続き偏西風の南北蛇行が大きく、上旬の終わりと月末には上層の気圧の谷が偏西風帯から切り離され、寒冷渦となって本州付近をゆっくりと東へ進みました。寒冷渦の中心が本州の南を進んだことと、寒気は上層が中心で下層への寒気の流入がなかったことから、地上の気温は高めに経過しました。2008年の5月の気温と比べてみると、下のグラフのようになっています。2008年は、中旬にオホーツク海へ南下してきた寒冷渦から下層へ寒気が入り、つくばにおける850hPaの気温が11日09時には-0.1℃まで下がりました。このため地表の気温も低くなりました。日立市役所では10日から13日にかけての日平均気温が10℃近くまで下がり、平年より5℃ほど低い4月上旬並みの気温となりました。

 一方、今年の5月は上旬後半と月末に寒冷渦が九州付近に停滞しましたが、つくばにおける850hPaの気温の推移で見るように、関東地方では下層に寒気が入ることありませんでした。このため、地表の気温も平年並みから高目で推移しました。

 5月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける09時の850hPa気温の推移(2008年との比較)

5月の日平均気温の推移(日立市役所:2008年との比較) 5月の850hPa気温の推移(つくば09時:2008年との比較)

 ※気温は5日間の移動平均値。

 ※上のグラフの元データ:エクセル2000ファイル(58KB)

 上で述べたように、寒冷渦が本州付近をゆっくりと東へ進んだため、上旬の終わりと月末には天気のぐずつく時がありました。4日に東シナ海へ進んできた上層の気圧の谷は、5日になると偏西風から分離して九州付近に停滞するようになりました。8日になると、北海道の北を東進する上層の気圧の谷にひきづられる形で、寒冷渦は東北東へ進み始め、9日の朝には関東地方の東海上へ抜けました。寒冷渦の東側から北側にかけては、上層の寒気と南から流れ込む暖かく湿った空気の影響で雨雲が発生し、寒冷渦を中心として反時計回りに回転しながら関東地方から東海、近畿地方にかけて雨を降らせました。寒冷渦の動きが遅く、6日から8日かけて雨が降り続いたため、東海地方では72時間降水量が150mm前後になったところもありました。

 日立市でも、5日の午後には関東地方の南に発生した局地前線の影響で雨が降り出した後、6日から8日かけては寒冷渦に伴う雨雲の北端がかかり、弱い雨が降ったり止んだりする天気が続きました。寒冷渦は四国の南から関東地方の南へ進んだため、日立市に発達した雨雲がかかることはなく、5日から8日にかけての総降水量は5.0mmと多くはなりませんでした。

 月末にも、ほとんど同じ形で寒冷渦が本州南岸を進みました。26日に東シナ海へ進んできた上層の気圧の谷は、27日になると偏西風から分離して寒冷渦となり、29日にかけて九州付近に停滞しました。30日になると、沿海州へ進んできた上層の気圧の谷の前面を北上する形で浅まりながら北東へ進み、31日には三陸沖へ抜けました。寒冷渦の東側で雨雲が発生し、関東地方では28日に朝から雨が降り出しました。特に、28日の夜から29日にかけては発達した雨雲が関東地方の南部から東海地方にかかり、24時間降水量が100〜200mmになった所もありました。

 日立市でも、28日の昼前から小雨が降り出した後、29日は一日雨が降り続きました。30日、31日にも曇りの天気が続き、午後を中心に雨が降りました。28日の降水量は0.0mmでしたが、29日は16.0mm、30日は14.0mm、31日は17.5mmと3日間で47.5mmの降水量となり、5月に入って続いていた雨の少ない状態が少しやわらぎました。

 参考:4日から9日にかけての09時の500hPa高層天気図と10時の気象衛星可視画像

5月4日09時500hPa高層天気図 5月5日09時500hPa高層天気図 5月6日09時500hPa高層天気図 5月7日09時500hPa高層天気図 5月8日09時500hPa高層天気図 5月9日09時500hPa高層天気図
5月4日10時の気象衛星可視画像 5月5日10時の気象衛星可視画像 5月6日10時の気象衛星可視画像 5月7日10時の気象衛星可視画像 5月8日10時の気象衛星可視画像 5月9日10時の気象衛星可視画像

 参考:26日から31日にかけての09時の500hPa高層天気図と10時の気象衛星可視画像

5月26日09時500hPa高層天気図 5月27日09時500hPa高層天気図 5月28日09時500hPa高層天気図 5月29日09時500hPa高層天気図 5月30日09時500hPa高層天気図 5月31日09時500hPa高層天気図
5月26日10時の気象衛星可視画像 5月27日10時の気象衛星可視画像 5月28日10時の気象衛星可視画像 5月29日10時の気象衛星可視画像 5月30日10時の気象衛星可視画像 5月31日10時の気象衛星可視画像

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作成日 2009/06/13
名前 日立市天気相談所