◇晴れて、気温が高い

 月の初めは、5月下旬から引き続いて偏西風が日本付近で南へ蛇行し、寒気の入りやすい気圧配置が続きました。このため、上旬の平均気温は18.4℃と平年並みになりました。8日から10日にかけて、上層の寒冷渦が日本海から関東地方の南へ進んだ後、下層から上層にかけて南から暖かい空気が入るようになり、気温が上がりました。中旬、下旬の平均気温は、いずれも平年より2℃程高くなったため、月平均気温は平年より1.4℃高くなりました。

 また、偏西風の蛇行により、上旬は日本の東海上で高気圧が勢力を強めて停滞して北日本から東日本をおおい、晴れる日が多くなりました。中旬以降も移動性高気圧におおわれて晴れる日が続いたため、月日照時間は179.7時間と平年の157%になりました(6月の日照時間としては、多い方からの日立市役所観測記録順位第6位)。その一方で、月降水量は、113.0mmと平年の67%しかありませんでした。

 つくばの高層観測における850hPa面(高さ約1500m)の気温の変化を見ると、5月の終わりから6月の上旬にかけて気温の低い日が続いています。しかし、11日に寒冷渦が関東地方の東へ抜けた後、暖かい空気が入るようになり、気温も13℃(6月のつくばにおける850hPa面の平年の気温は12.9℃)を超える日が続くようになりました。(なお、下の気温の推移を表すグラフでは、気温の変化を分かりやすくするため、観測値の他に9日間の移動平均値もグラフに表しています。)

6月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 20.5 19.1
月降水量(mm) 113.0 169.4
月日照時間(時間) 179.7 114.7
気温の旬変化(℃)
平均気温 旬平年値
上旬 18.4 18.5
中旬 21.2 19.2
下旬 21.9 19.8

 5月下旬から6月の日平均気温と500hPa面及び850hPa面の気温の推移(9日間移動平均)

5月下旬から6月の日平均気温の推移(9日間移動平均) 5月下旬から6月の500hPa面及び850hPa面の気温の推移(9日間移動平均)

※500hPa面と850hPa面の気温は、つくばにおける9時の観測値

 5日から11日にかけて、寒気を伴った上層の低気圧(寒冷渦)が、沿海州から日本海を南下して関東地方の南へ進みました。この寒冷渦は、500hPa面において中心付近の気温が-18℃という寒気を伴っており、東から南側の寒気の境界で大気の状態が不安定となり、雷雲が発達しました。寒冷渦の動きは遅く、日本海をゆっくりと南東へ進んだため、6日から11日の朝にかけて本州付近の所々で雷が発生し、短時間に強い雨の降るときがありました。7日の昼から夜にかけては、寒冷渦の東側にあたる本州上で南と南西からの気流が収束し、関東地方北部から北陸地方にかけて帯状に雷雲が発生しました。特に、栃木県の中部から茨城県の北部で局地的に雷雲が発達し、雷を伴って1時間に60mmを超える雨が降りました。

 日立市内では、西部で発達した雷雲がかかり、18時から19時の1時間に29.0mmのやや強い雨が降りました。また、日立市役所でも18時50分から21時30分にかけて1時間に10mmを超える雨が降り、18時59分から19時59分の1時間には23.0mmの1時間最大降水量を記録しました。今回の雷雲は、栃木県の宇都宮市付近で急速に発達した雷雲が茨城県へ進んできたため、日立市の西部から常陸太田市にかけて雨量が多くなり、総降水量が70〜100mmに達しました。また、雷雲の広がっている方向と進行方向とが同じであったため、なかなか雨が止まず、8日の朝まで弱い雨が残りました。

 7日の市内の降水量(7日12時〜8日6時)

観測地点

総降水量
(mm)

最大1時間降水量(mm)

降水量

日時

日立市役所 51.5 23.0 07日19時59分
北部消防署 52.0 13.5 07日18時00分
本山 58.0 19.0 07日20時00分
西部出張所 70.0 29.0 07日19時00分
諏訪広場 46.5 14.0 07日20時00分
南部支所 51.0 11.5 07日22時00分

 7日から8日にかけての降水量分布と7日19時の降水量レーダー図

7日から8日にかけての降水量分布 7日19時の降水量レーダー図

 7日と20日の500hPa面の高層天気図を比べてみると、上層の大気の流れと寒気の南下の様子の違いがよく分かります。7日の高層天気図では、沿海州付近に5700mの閉じた等高度線で表される低気圧(寒冷低気圧、寒冷渦)があり、中心付近には-18℃以下の寒気があります。偏西風の流れは、この低気圧の周りを回る形で、日本付近で大きく南へ蛇行しており、本州の日本海側では-15℃以下の気温となっています。この低気圧は、比較的規模が大きく移動速度も遅かったため、本州の広い範囲で雷や短い時間の強い雨がありました。

 一方、20日の高層天気図をみると、中国東北と九州の南西に小さな寒冷渦がありますが(九州の南西の寒冷渦は、等高度線では表示されていないが、周辺の風向分布が反時計回りになっていることから、その存在が推定できる)、大気の流れを乱すほどのものではなく、本州付近の偏西風は西から東へ流れており、気温も-8℃前後とほぼ6月の平年並みの気温になっていました。また、本州の南海上では上層の高気圧が強まっており、南から暖かい空気が入りやすい状態が続いていました。

 参考:地上天気図と500hPa面高層天気図及び気象衛星水蒸気画像の比較(7日21時と20日09時)

2007年6月7日21時の地上天気図 2007年6月20日09時の地上天気図
2007年6月7日21時の500hPa高層天気図 2007年6月20日09時の500hPa高層天気図

y4.gif (1703 バイト)【観測日誌2007年へ】 home_h2.gif (1545 バイト)【ホームページへ】

作成日 2007/07/12
名前 日立市天気相談所