◇珍しく熱帯夜になる

 月の初めは、本州の東海上まで南下した寒気の影響で、一時的に気温が低くなりましたが、その後は太平洋高気圧におおわれて、晴れて気温の高い日が続きました。このため、月平均気温は25.5℃と平年より0.7℃高くなりました。一方、月降水量は54.0mmと平年の36%しかありませんでした。しかし、上旬の終わりには、台風第7号が本州南岸を東北東へ、中旬には台風第10号が日本の南を西へ進んだ影響で雲の広がる日があったため、月日照時間は176.1時間と、ほぼ平年並になりました。

8月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 25.5 24.8
月降水量(mm) 54.0 148.2
月日照時間(時間) 176.1 181.3
旬平均気温(℃)
順位 観測値 平年値
上旬 25.1 25.0
中旬 26.0 25.0
下旬 25.5 24.5

 ●8月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPa気温の推移

2006年8月の日立市役所における日平均気温の推移 2006年8月のつくばにおける500hPa気温の推移

 13日に小笠原諸島父島の西南西約410kmの海上で発生した台風第10号は、日本の南海上を西へ進み、18日に宮崎県へ上陸した後、19日には日本海へ進みました。台風の西進とともに、南から暖かい空気が流れ込むようになり、16日以降気温の高い日が続きました。

 この期間は、南東から南の風が吹くことが多かったため、日最高気温は18日の32.0℃が最高で、あまり高くはなりませんでした。しかし、上層から下層まで暖かい空気におおわれたため、夜になっても気温は下がらず、平均気温の高い日が続きました。特に、18日から19日にかけては、北日本にかかる前線と日本海へ抜けた台風の影響で南南西の風が吹いたため弱いフェーン現象が起こり、日最低気温が25℃より下がらない熱帯夜となりました。

 日立市は海に面しているため、南西の風によるフェーン現象が起こらなければ、熱帯夜(日最低気温が25℃以上になること)になることはありません。最近10年間の熱帯夜の日数を調べてみると、1999年8月の2日から8日にかけて、連続して7日間熱帯夜の日が続いた以外は、2日以上連続して熱帯夜になることはありませんでした。今回は、西へ進む台風の速度が遅く、長い時間暖かい空気におおわれたため、最低気温の下がらない日が続きました。

 台風は、20日は日本海で熱帯低気圧に変わり、21日には弱まって消滅しましたが、東日本から西日本の上層で高気圧が強まり、台風の持ち込んだ暖気が残ったため、月の終わりまで気温の高い日が続きました。

日最低気温の推移
2006年8月の日立市役所における日最低気温の推移
  月別の熱帯夜の日数
7月 8月 9月 年合計
1997 0 1 0 1
1998 0 0 0 0
1999 3 7 0 10
2000 0 0 2 2
2001 4 0 0 4
2002 0 2 0 2
2003 0 0 0 0
2004 1 0 0 1
2005 0 1 0 1
2006 0 3 ** **
平年 0.3 1.7 0.2 2.2

 13日の500hPa面(高さ約5800m付近)高層天気図を見ると、上層の気圧の谷が日本の東へ抜け、-6℃の等温線が関東地方の南まで下がり、東日本へ冷たい空気が入ってきていることが分かります。このため、13日の日立市は1日晴れて、日最高気温は30.6℃まで上がりましたが、日最低気温は20.7℃と平年より1.5℃低くなりました。

 一方、19日の場合は、台風第10号が対馬海峡へ抜け、東日本から西日本の上層では高気圧が強まるとともに、台風の持ち込んだ暖かい空気におおわれました。このため、19日の日立市は昼過ぎから夕方にかけて雲が広がった以外は晴れて、日最高気温は31.1℃まで上がりました。また、日最低気温は25.9℃までしか下がらず、平年より3.8℃高くなりました。

 参考:8月13日と19日の地上天気図と高層天気図

2006年8月13日09時の地上天気図 2006年8月13日09時の500hPa高層天気図
2006年8月13日09時の地上天気図 2006年8月13日09時の500hPa高層天気図
2006年8月19日09時の地上天気図 2006年8月19日09時の500hPa高層天気図
2006年8月19日09時の地上天気図 2006年8月19日09時の500hPa高層天気図

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作成日:2006/09/12
訂補日:2013/06/20
名前 日立市天気相談所