◇南風が入り、暖かかった6月

 日本付近は太平洋高気圧や移動性高気圧におおわれることが多く、晴れて気温の高い日が多くなりました。特に、下旬に入ってからは、南西の風によるフェーン現象や台風に伴う暖気の影響で、気温の上がる日が多くありました。日最高気温が30℃を超えた日(真夏日)も、20日の30.6℃、22日の31.9℃、23日の30.3℃、24日の30.6℃、30日の30.8℃と、5日あり、1979年と並んで、観測開始以来最も多くなりました。このため、月平均気温は20.1℃と平年より1.0℃高くなりました。また、月の初めと中旬を中心に晴れる日が多くなったため、月の日照時間も172.3時間と平年の150%になりました。一方、月降水量は112.0mmと平年の66%にしかなりませんでした。

6月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 20.1 19.1
月降水量(mm) 112.0 169.4
月日照時間(時間) 172.3 114.7
月日照率(%) 0.39 0.26
6月の最高気温(℃)
順位 最高気温
1 1991 13 33.5
2 1998 27 32.7
3 1998 28 32.6
4 2003 20 32.3
4 1991 30 32.3
6 1963 29 32.2
7 2004 22 31.9
6月の真夏日数
順位 日数
1 2004 5
1 1979 5
3 1978 4
3 1991 4
5 1987 3
5 1963 3
平年 - 0.9
※順位は数値の大きい方からで、1953年から2004年の統計
※月最高気温31.9℃は、1979年と1978年にも記録しています。

 ●6月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPa気温の推移

2004年6月の日立市役所における日平均気温の推移 2004年6月のつくばにおける500hPa気温の推移

 ●6月の日立市役所における日平均湿度と日照時間の推移

2004年6月の日立市役所における日平均湿度の推移 2004年6月の日立市役所における日照時間の推移

◇低気圧通過後のフェーン現象による昇温

 21日から22日にかけて、台風第6号が近畿地方から日本海沿岸を北東へ進みました。台風とともに南から暖かい空気が入り込んできたことと、南西の風が強まりフェーン現象が起きたことから、関東地方では気温が上がりました。日立市でも5時前から南西の風が強く吹き始めるとともに気温が上がり始め、10時25分にはこの日の最高気温31.9℃を記録しました。その後、11時前には風向が北東へ変わり、気温は徐々に下がっていきました。

 なお、関東地方の平野部では夕方まで南西の風が吹きつづけたため、午後に入っても気温が上がりつづけ、埼玉県から群馬県にかけては、気温が35℃を超えました。群馬県の榛名町上里見では、13時過ぎに最高気温37.5℃を記録しました。850hPa面(高度約1500m)の高層天気図を見ると、つくばの上層の気温は20.4℃なのに対して、仙台では16.0℃、輪島では13.6℃と、関東地方の上層に、台風に伴う暖かい空気が入ったことが分かります。

 この日の寒冷前線の通過に伴う気温の変化は、通常の寒冷前線の通過に伴う気温の変化とは大分違っていました。寒冷前線が通過する場合、、風向の急変とともに気温が5〜10℃近く一気に降下し、気圧もV字型に変化します。この日の場合は、寒冷前線の通過に伴い風向は南西から北東へ変わりましたが、気温は約1℃程しか下がりませんでした。そして、その後は上下に変動を繰り返しながら、徐々に気温は下がっていきました。また、気圧もわずかな上下動を繰り返しながら、ほぼ一定の割合で高くなっていきました。

 台風が日本海側を進んだ場合、関東地方では台風に伴う暖かい空気が入りやすく、また南西の風によるフェーン現象が起こることが多いため、気温が非常に高くなります。さらに、台風が温帯低気圧に変わって寒冷前線を伴うようになった場合でも、寒冷前線の前後で気団の性質があまり変わらないため、寒冷前線の通過に伴う気温の変化は小さくなります。今回の気温の変化の場合も、前線の影響よりも風向の変化に伴うフェーン現象の有無の影響の方が大きかったと考えられます。

  22日の気温と気圧及び風向の変化

2004年06月22日の気温と気圧の変化 2004年06月22日の風向の変化

  参考:地上天気図と気象衛星画像及び高層天気図

2004年06月21日21時の地上天気図 2004年06月22日09時の地上天気図
2004年06月21日21時の地上天気図 2004年06月22日09時の地上天気図
2004年06月22日10時の気象衛星可視画像 2004年06月22日09時の850hPa高層天気図
2004年06月22日10時の気象衛星可視画像 2004年06月22日09時の850hPa高層天気図

※高層天気図において、実線は等高度線を、点線は等温線を表しています。また、観測地点における上段の数値は、その地点の850hPaの高さにおける気温を、下段の数値は、同じ高さにおける気温と露点温度の差を表しています。また、網掛けの範囲は、気温と露点温度の差が、3℃以下の場所を表しています。


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作成日:2004/07/16
訂補日:2013/07/18
名前 日立市天気相談所