◇晴れて暑かった7月

 今年の7月は、梅雨前線の活動が弱く、太平洋高気圧におおわれて、晴れて暑い日が続きました。このため、7月の日照時間は211.7時間と平年の150%になり、1978年に次いで多くなりました。また、晴れる日が続いたため、気温も高くなりました。月平均気温は25.2℃と、1955年の25.6℃、1978年の25.4℃に次いで観測開始以来第3位の高い気温となりました。7月の真夏日(日最高気温30℃以上の日)の日数も17日と、これまでで最も多かった去年の7月より5日も多くなり、これまでの最多を記録しました。

 降水量については、7日から8日にかけて台風第3号の影響により降水量182.5mmの雨が降ったため、月降水量は235.5mmと平年の178%になりました。旬別の降水量を見ると、上旬の203.0mmに対して中旬は 4.0mm、下旬は28.5mmと、いずれも平年より少なく、台風の影響を除くと平年より降水量は少なくなっています。

7月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 25.2 22.8
月降水量(mm) 235.5 132.0
月日照時間(時間) 211.7 141.3
月日照時間(時間)
順位 日照時間
1 1978 304.5
2 2000 211.7
3 1981 210.4
※順位は値の多い方からで、1953年から2000年までの統計

 ●7月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける850hPa気温の推移

 今月の最高気温は、1日に記録した35.0℃でした。例年であれば、最高気温を記録するのは梅雨が明けた下旬になるのが普通ですが、今年は梅雨前線が平年より北に位置し、南から暖かい空気が入りやすかったため、月の初めから気温が上がりました。特に、1日は南高北低の気圧配置ながら一時的に北西の風が吹くときがあり、弱いフェーン現象が起きて気温が上がりました。この日の最高気温を記録した時間は10時17分で、風向が南から南南東に変わった午後は、気温が32℃前後まで下がりました。なお、日立市役所で最高気温38.5℃を記録した1997年7月5日も、日本海の前線に向かって強い南西の風が吹き込みフェーン現象が起こったために気温が上がったものです。

 ●7月の気温と真夏日の記録

月平均気温(℃)
順位 平均気温
1 1955 25.6
2 1978 25.4
3 2000 25.2
4 1961 25.1
5 1994 25.0

平年

22.8
日最高気温(℃)
順位 日最高気温
1 1997 5 38.5
2 1987 24 36.1
3 1991 26 35.5
4 1999 30 35.4
5 1996 18 35.4
6 1961 26 35.1
7 2000 1 35.0
真夏日の日数
順位 日数
1 2000 17
2 1999 12
3 1995 10
4 1994 10
5 1970 10
6 91,90,78
71,61
9

※順位は気温の高い方及び日数の多い方からで、1953年〜2000年の統計


◇台風第3号が関東地方の東を北上

 8日の朝、台風第3号が茨城県の東を北北東へ進んだため、日立市では7日の夕方から8日の昼前にかけてきたから西北西の風が強まるとともに、降水量が200mmに近い大雨となりました。

 台風第3号は、7月3日にフィリピンの東海上で発生した後、発達しながら真っ直ぐに北北東へ進み、8日早朝八丈島と三宅島の間を通って、さらに房総半島の東海上から茨城県の東海上を北北東へ進みました。台風は、その後も北北東に進み、9日06時に北海道の東海上で温帯低気圧に変わりました。台風は関東地方に上陸はしませんでしたが、日立市の東80kmの海上を通過したため、伊豆諸島と関東地方の南部から東北地方の太平洋岸の地域で、降水量が200から300mm前後の大雨となりました。

 日本海西部へ進んできた上層の気圧の谷の影響で台風の進行方向前面に雨雲が広がったため、日立市では台風が近づいてくる前の7日夕方から雨が降り出し、時々強く降ることを繰り返しながら八日の昼まで降り続きました。台風が東海上を北上して北東の風が吹きつけたため、山地の東斜面で雨量が多くなりました。日立市役所では総降水量が182.5mmになりましたが、山間部にある本山では267.0mmと日立市役所の1.5倍の雨が降りました。

 風は、台風が北上してくるにつれて北北東の風がしだいに強まってきましたが、台風の規模がそれほど大きくなかったため、日立市の近くを通過した割には強く吹きませんでした。台風が通過した後、一時的に吹き返しの風がやや強く吹き、10時8分に最大瞬間風速23.9m/sの西北西の風を記録しましたが、その後急速に風は弱まりました。

 ●気象観測記録(7月8日:日立市役所)

最大風速(m/s) 最大瞬間風速(m/s) 海面気圧(hPa)
風速 同j風向 同時刻 風速 同風向 同時刻 最低気圧 同時刻
13.0 西北西 09:38 23.9 西北西 10:08 974.8 08:40

 ●7日から8日の市内の降水量(mm)

観測地点
総降水量

最大1時間降水量

降水量

日時
日立市役所 182.5 24.5 08日00時52分
北部消防署 164.5 25.5 08日00時45分
本山 267.0 39.0 08日09時00分
西部出張所 200.5 32.0 08日06時12分
南部支所 175.0 27.5 08日08時54分

 ※総降水量は、7日20時から8日12時までの積算値。

 ●7月7日から8日にかけての気象の推移(日立市役所)

7月7日から8日にかけての降水量の推移(日立市役所) 7月7日から8日にかけての海面気圧の変化(日立市役所)
7月7日から8日にかけての風速の変化(日立市役所) 7月7日から8日にかけての風向の変化(日立市役所)

 ●参考:台風第3号の経路図

台風第3号の経路図 台風第3号の経路図(関東地方詳細)

 ●参考:8日06時00分と09時00分の降水レーダー図

2000年7月8日06時00分の降水レーダー図 2000年7月8日09時00分の降水レーダー図

 ●参考:8日09時の地上天気図と7日21時の気象衛星水蒸気画像

2000年7月8日09時の地上天気図 2000年7月7日21時の気象衛星水蒸気画像

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更新日 2000/08/15
訂補日 2007/09/20
訂補日 2013/10/09
名前 日立市天気相談所