◇穏やかだった12月

 高気圧と低気圧が交互に通過し、天気は周期的に変化しました。低気圧が本州付近で発達することがなかったため、日立市では晴れの日が続き、穏やかな年の瀬でした。また、平均気温はあいかわらず平年より高くなりました。下旬になっても、強い冬型の気圧配置になることがなく、月最低気温は、−0.5℃までしか下がりませんでした(12月の月最低気温としては、高い方からの日立市役所観測記録順位:第4位)。なお、昨年の12月の月最低気温も−0.1℃で、昨年に引き続き、最低気温の下がらない12月になりました。

 中旬は、オホーツク海からシベリアに上層の気圧の谷が停滞し、その南側を回り下層へ寒気が入ったため、気温は平年をやや下回る日が多くなりました。しかし、下旬に入ると、日本海を進む低気圧に向かって南から暖かい空気が入るようになり、気温は平年を上回るようになりました。この結果、月平均気温は7.6℃と平年より0.5℃高くなりました。特に、下旬の平均気温は7.1℃と平年より1.0℃高くなりました。一方、月降水量は15.0mmと平年より少なくなりました(平年比39%)。

12月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 7.6 7.1
月降水量(mm) 15.0 39.0
月日照時間(時間) 189.3 188.1
旬平均気温(℃)
観測値 平年値
上旬 9.0 8.4
中旬 6.8 6.9
下旬 7.1 6.0
旬日照時間(時間)
観測値 平年値
上旬 49.3 63.2
中旬 64.0 60.6
下旬 76.0 64.4

 ●12月の日平均気温と日照時間の推移(日立市役所)

1999年12月の日平均気温の推移(日立市役所)

 ●12月の気温の記録

12月の気温(℃)の平均と平年値
観測要素 1999年 平年値
月平均気温 7.6 7.1
日最高気温の月平均 13.0 11.4
日最低気温の月平均 2.6 2.7
月最低気温(℃)
順位 気温
1 1958 0.0
2 1998 -0.1
3 1979 -0.1
4 1999 -0.5
5 1953 -0.7

 ※月最低気温の順位は高い方からで、1953年から1999年の統計

 ●12月の日最低気温(日立市役所)と850hPa気温(つくば)の推移

1999年12月の日最低気温の推移(日立市役所) 1999年12月のつくばにおける850hPa気温の推移(09時)

 上層の偏西風の流れを見ると、日本付近の上層では西から東へ流れて寒気の南下しにくい気圧配置が続きました。このため、冬型の気圧配置が弱い日が多く、地形の影響で千葉県から茨城県東部にかけて雲の広がる日が多くありました。その中でも、15日と31日には、日立市で小雨が降りました。参考までに、その日の気象衛星ひまわりの画像を載せておきます。

 両日とも、偏西風は本州付近を西から東へ流れています。ただし、関東地方の西側に弱い上層の気圧の谷があり、関東地方の上層では西から西南西の風が吹いているのに対して下層では南から南東の風が、地表付近では北東の風が吹いていました。また、つくばにおける大気断熱線図を見ると15日は850hPa(高度1500m)まで、31日は750hPa(高度2500m)まで湿った空気が入っていました。このため、関東地方では低い雲が発生し、一部で弱い雨も降りました。上層の気圧の谷が東へ抜け、下層でも西から北西の風が吹き始めると、この雲は消えていきました。

  ●参考:茨城県東部で天気が崩れた日の地上天気図と500hPa面高層天気図、大気断熱線図及び気象衛星可視画像

1999年12月15日09時の地上天気図 1999年12月31日09時の地上天気図
1999年12月15日09時の500hPa面高層天気図 1999年12月31日09時の500hPa面高層天気図
1999年12月15日09時のつくばにおける大気断熱線図 1999年12月31日09時のつくばにおける大気断熱線図
1999年12月15日12時の気象衛星可視画像 1999年12月31日12時の気象衛星可視画像

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更新日:2000/01/11
訂補日:2012/12/11
訂補日:2016/10/12
名前 日立市天気相談所