日立市環境基本条例の概要


1 前文

(1) 環境問題について、市が積極的に取り組む姿勢を市民に表明するため、前文を置いた。

(2) 前文では、市民は「健全で豊かな環境の恵みを享受する権利」を有するとした。

(3) また、市民の責務として、「健全で豊かな環境」を将来の世代に引き継いでいく旨を規定した。

(4) 結びとして、@人と自然との共生の確保、A環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会の構築を目的として、市民、事業者及び市が連携し、協力し合って、良好な環境を保全及び創造していく社会を目指す旨を宣言した。

2 条例の目的(第1条)

 この条例は、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、並びに市、事業者及び市民の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

3 基本理念(第3条)

 環境の保全及び創造についての基本理念を次のように定めた。

(1) 現在及び将来の市民が、健全で豊かな環境の恵みを享受するとともに、人類の存続の基盤である限りある環境が将来にわたって維持されるように、適切に行われなければならない。

(2) 人と自然とが共生できるような多様な自然環境が体系的に保全されるように行われなければならない。

(3) 環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会が構築されることを目的として、市、事業者及び市民の公平な役割分担の下に、自主的かつ積極的に行われなければならない。

(4) 地球環境保全は、市、事業者及び市民が自らの課題であることを認識して、それぞれの事業活動及び日常活動において積極的に推進されなければならない。

4 責務

(1) 市の責務(第4条)、事業者の責務(第5条)及び市民の責務(第6条)を定めた。

(2) 特に事業者の責務として、

@公害の防止等に必要な措置、

A事業活動に伴う製品等が廃棄物になった場合に適正な処理が図られるような措置、

B再生資源等の環境への負荷の低減に資する原材料等の利用等を定めた。

5 施策の基本方針(第7条)

 環境の保全及び創造に関する施策の策定及び実施に当たっては、次の事項を基本として行う旨を定めた。

(1) 人の健康を保護し、及び生活環境を保全し、並びに自然環境を適正に保全するように、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素を良好な状態に保持すること。

(2) 生態系の多様性の確保、野生生物の種の保全その他の生物の多様性の確保を図るとともに、森林、緑地、水辺等における多様な自然環境を地域の自然的社会的条件に応じて体系的に保全すること。

(3) 人と自然との豊かな触れ合いを保つとともに、身近な緑や水辺などに恵まれた生活環境の確保、地域の特性が生かされた良好な景観の形成及び歴史的文化的資源の保全を図ること。

(4) 資源の循環的利用、エネルギーの有効利用及び廃棄物の減量を推進することにより、環境への負荷の低減を図ること。

(5) 地球環境保全の推進を図ること。

6 環境基本計画(第8条)

(1) 環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、環境基本計画を定めることとした。

(2) 環境基本計画には、総合的かつ長期的な目標及び施策の大綱その他必要な事項を定めることとした。

(3) 環境基本計画を定めるに当たっては、市民の意見を反映することができるように必要な措置を講ずることとした。

(4) 環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ日立市環境審議会の意見を聴かなければならないこととした。

(5) 環境基本計画を定めたときは、速やかに、公表することとした。

7 市が講ずる措置

 環境の保全及び創造に関し、次の事項について必要な措置を講ずること等とした。

(1) 規制等の措置(第10条)

  環境の保全上の支障を防止するため、次の措置を講ずる旨を定めた。

ア 公害を防止するために必要な規制の措置

イ 自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、その支障を防止するために必要な規制の措置

(2) 環境影響評価の推進(第11条)

 土地の形状の変更、工作物の新設等を行う事業者が、あらかじめ環境への影響について、自ら適正に調査、予測又は評価を行い、その結果に基づいて、事業者が環境の保全について適正に配慮することを推進するために必要な措置を講ずる旨を定めた。

(3) 環境の保全に関する協定(第12条)

 環境の保全上の支障を防止するため、事業者と環境の保全に関し必要な協定を締結するように努める旨を定めた。

(4) 経済的措置(第13条)

 事業者及び市民が、自ら環境への負荷の低減のための施設等の整備に対し、助成等の措置を講ずる旨を定めた。

(5) 資源の循環的利用等の促進(第15条)

 資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用並びに廃棄物の減量及び適正処理に関し、必要な措置を講ずる旨を定めた。

(6) 事業者の環境管理等の促進(第21条)

 事業者がその事業活動に伴う環境への負荷の低減について効果的に取り組めるように、事業者が自ら行う環境管理(環境の保全及び創造に関する方針の決定、目標の設定、計画の作成、体制の整備等をいう。)及びこれに関する監査等が促進される必要な措置を講ずる旨を定めた。

(7) 地球環境保全に関する国際協力(第25条)

 国、他の地方公共団体及び市民等と連携し、地球環境保全に関する国際協力の推進に努める旨を定めた。

8 環境審議会(第26条)

 環境の保全及び創造に関する基本的事項を調査審議するため、日立市環境審議会を置くこととした。

9 年次報告(第27条)

 環境の状況並びに環境の保全及び創造に関して講じた施策を明らかにした年次報告書を作成し、公表することとした。