98/05/26 第7回 臍帯血移植検討会 第7回 臍帯血移植検討会 平成10年5月26日(火)               15:00〜17:10           場所:飯野ビル「キャッスル」 出席者(敬称略)   青木 繁之   浅野 茂隆   有田 美智世  加藤 俊一   鎌田  薫   草刈  隆   小寺 良尚  ○齋藤 英彦   迫田 朋子   関口 定美   高橋 美智   中林 正雄   西平 浩一   原   宏   古市 圭治   陽田 秀夫  ( ○:座長 ) 議事次第  1.開会  2.議題   (1)議論しておくべき項目について   (2)報告書の作成に向けてのたたき台について   (3)その他  3.閉会 ○事務局(成瀬)  只今より第7回臍帯血移植検討会を開催させて頂きたいと思います。本日はお忙しい 中ご出席いただきまして、大変ありがとうございます。最初に本日の委員の出欠の状況 でございます。小池委員・田島委員・平林委員が都合により欠席というご連絡をいただ いております。また関口先生は交通の事情で遅れるという連絡が入っております。では 会議を始める前に資料等の確認をさせていただきたいと思います。配付した資料の一番 上が第7回臍帯血移植検討会議事次第でございます。次が名簿、次が配席図、次が資料 一覧です。  資料1−1 議論しておくべき項目。 資料1−2 臍帯血バンク事業と製造物責任法について(案) これの後に追加資料として製造物責任法のA4の資料を配付しております。  資料1−3 臍帯血の採取に関する同意の要否等について(案)  資料1−4 非血縁者間骨髄移植後の生存率  資料2   報告書の作成に向けてのたたき台  参考資料1 委員より検討会に寄せられた意見  参考資料2 資料の訂正  参考資料3 第6回検討会の資料1「議論しておくべき項目」  参考資料4 FAX要望書枚数及び新聞記事。  なお、先生方におきましては第3回と第4回の議事録を配付しておりますので、よろ しくお願いしたいと思います。資料等の不備等がありましたら事務局にお申しつけいた だきたいと思います。以上です。  斉藤座長よろしくお願いします。 ○齋藤座長  第7回の検討会を始めさせていただきたいと思います。そろそろ意見をまとめていき たいと思います。勿論、本日が最後ではございません。今日は大変に狭い会場でござい ますが、お互いの親近感を高めていただくという点ではいいと思います。  議題が2つあります。1の議論しておくべき項目についてを1時間くらいかけて、2 番目に報告書のたたき台につきまして、いろいろ討論していただきたいと思います。最 初ですが資料1−1に項目を上げております。臍帯血の採取時期であります。胎盤の娩 出前なのか後なのか、これは確か前回、中林委員から産科婦人科全体としての意見を伺 うということになっていたと思います。中林先生いかがでしょうか。 ○中林委員  実は昨日、産婦人科学会の方の全体の会議がありまして、これに関して検討いたしま した。また産婦人科医会といいまして臨床医が集まる会においても、会長以下この件に 関してディスカッションさせていただきました。  その結果、概ねまとまった意見です。まず産婦人科医というのは、当然、分娩時にお いては母子の安全を最優先するべきであるということです。胎盤娩出前の採取において どういう利点と欠点があるのかということを話したところ、産科医の対応が可能であり またその場であれば清潔である。ただし、臍帯血を採取している間に母体に何かが起き た時、救急処置が遅れる可能性があるのではないかというような意見が当然出されまし た。  臍帯血娩出後の採取においては、産科スタッフ以外の人員、例えば臍帯血バンクの人 とか助産婦とかナースの協力が必要になります。クリーンな場所を提供する必要がござ います。どうしても胎盤というのは赤ちゃんが出てから15分〜20分くらいしてから出る ものでございますから、採取などに少し時間を要する。産科医として良いのかどうかは 別として、産科医の手間が少ない。 母体への影響は理論的にはないわけですが、実は、実際上ではこれを採るということに なると、ドクターも機械ではございませんので、どうしても胎盤の娩出を急ぎやすいと いう欠点がございます。分娩というのは本来は胎児に対しても胎盤に対しても、自然に 娩出するのを待つというのが原則ですが、それに対して、少し急いだときに、分娩でも 時々陣痛促進剤を使ったりして事故が起きたりしますが、胎盤もその時点で急いで剥離 すると、出血を多くしたり、胎盤が千切れるという問題もありますので、胎盤娩出前後 に関しては、メリットとデメリットが共にあり、それは産科医の現場の責任者の裁量の 元で行うのが現状ではいいのではないか。  当面、両方とも可として併記していただく。そしてこれをしばらくやると思いますが それをやった時点で、お互いにディスカッションしあって、どういう方法が良かったの かということで、それによっては変えることもあり得るということで、ご理解いただき たいということになりました。 ○齋藤座長  ありがとうございました。この点につきましてご意見はいかがでしょうか。 ○高橋委員  私も現場に立った経験から申しますと、今の中林先生のご説明が妥当であると思いま す。責任を負っていらっしゃる産科医の方の意思決定に従うべきだと思います。現場と いうのは何が起こるかわかりませから、取決めをされていると、働いているものが、そ れに従わないといけないというふうに、心理的にその方向に動いてしまう可能性がとて も強いように思います。是非とも、現場の産科医のしっかりした判断でお決めいただく のがいいと思います。 ○齋藤座長  ありがとうございました。この点につきましては、産科の先生のご意見を尊重して、 各採取の施設の産婦人科医の意向によることにしたいと思います。ありがとうございま した。では次の項目にいきます。  臍帯血の所有権、管理責任です。本日の主に議論するポイントです。これにつきまし てまず事務局から資料の説明をお願いします。 ○玉川補佐  議論しておくべき項目の中で、臍帯血の所有権、管理責任及び民間保険、個人情報の 保護についてまとめた資料の説明をさせていただきます。  これらの項目につきましては、前回は法律学者のご出席がなかったことから議論がな されませんでした。そこで、この間に事務局の方で、鎌田委員からいろいろとこれらの 問題についての考え方を教えていただきまして、それを元に事務局の方でペーパーとし てまとめたものを本日の資料としている次第でございます。  議論しておくべき項目としては、臍帯血の所有権、管理責任及び民間保険、個人情報 の保護ですが、このうち、管理責任及び民間保険の問題につきましては、今後新たに組 織されます臍帯血バンクの実際の仕組み等をふまえ、考えていかなければならないと思 っております。今回の資料では、その中で臍帯血バンク業務を考える上で特に重要にな ると思われる製造物責任法との関連を中心にまとめてございます。これが資料1−2で ございます。また、臍帯血の所有権と個人情報の保護というのは、同意の要否、ないし は許諾の要否という点と非常に密接な関連を要する問題でありますので、一つの資料と してまとめております。それを1−3でまとめております。では順次ご説明します。  資料1−2です。臍帯血バンク事業と製造物責任法について(案)です。  従来、製品関連事故の被害者が、民法の不法行為責任に基づいて、損害賠償を製造者 に請求するためには、被害者の側で製造者の過失を実証することが必要であったものを 製造物の技術の高度化とか複雑化の進展により、被害者の過失証明が困難になっている ということから、被害者の立証負担を軽減する観点で、過失要件を欠陥要件に変更する 製造物責任制度が導入されております。  この制度におきまして、「製造物」というのは、「製造又は加工された動産」が対象 となっております。具体的に事例で検討しますと、人間の臓器、または組織につきまし ては、提供者に重い責任を課すことが適当でなく、そもそも臓器は「製造物」に該当す るものではないということから、この責任の対象とはなっておりません。人から採取さ れた「血液」そのものにつきましても、臓器ないし組織の一部であり、人体から分離さ れていても、なんら加工されていないものであれば、動産であってもこの対象である製 造物には該当しないというのが整理でございます。  これに対して、血液製剤というのは、これに保存液、抗凝固剤等を加えたものであり 加工を加えた動産であることから、製造物に含まれるというのが整理でござます。  しかしながら、製造物責任法の責任に関しましては、一方で「欠陥」というのが一つ の重要な要件になっておりまして、「当該製造物の特性とか、通常予見される使用形態 製造業者等がそのものを引き渡した時期、その他の当該製造物に係る事情を考慮して、 当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていること」というのが、製造物責任が生じる 上での要件になっているわけでございます。  輸血用の血液製剤に照らしてこれらを判断しますと、輸血用の血液製剤というのは生 命の危機に際しまして使用され、他に代替する治療法がなく極めて有用性が高いという ことがございますが、輸血によるウイルス等の感染や免疫反応等による副作用が生じる おそれがある旨警告表示している。ないしは、世界最高水準の安全対策を講じた上で供 給されるが、技術的にウイルス感染や免疫反応等による副作用の危険性を完全に排除で きない、という特性がございまして、こうしたものを踏まえれば、現在の科学技術の水 準の下で技術的に排除できないウイルス等の混入や免疫反応等による副作用は、欠陥に 該当しないということで、これは政府の統一見解となっております。  これは製造物責任法に関し、今まで議論が行われてきたところでございますが、こう いう議論を手掛かりに、臍帯血についてどのように考えるのかが2枚目の資料でござい ます。  臍帯血に関します製造物責任法上の製造物責任については、今のようなことを考える と、2枚目の以下にまとめてあるような整理が可能ではないかと考えられるわけでござ います。この問題につきましては、実際に臍帯血バンクがこれから立ち上がる中で、更 にその責任のあり方が明らかにされていくという点が考えられますので、実際の仕組み 等をふまえ、今後現実の事例等に則して判断していくことが必要であると考えておりま す。  考え方といたしましては、胎盤から採取した臍帯血そのものでございますれば、人体 の臓器ないし組織の一部ということであって、製造または加工されているものではない ため、製造物責任法の対象となる製造物に該当しません。これに分離・調整・保存とい うことが行われまして、臍帯血バンクを通じて提供されるということになりますれば、 臍帯血に加工を加え、流通に置かれた動産として製造物に該当するのではないか。  ただこの場合におきましても、分離・調整・保存された臍帯血の特性その他諸般の事 情を総合的に考慮して、その上で欠陥の有無というものが判断されるということになる ため、臍帯血を用いた移植がございまして、健康被害が生じたとしても、直ちに当該臍 帯血に欠陥があったという製造物責任の基となる欠陥であるということにはならないの ではないか。  次は実際に、責任主体としてどういうものが考えられるのかについての整理でござい ます。「製造物責任法」におきましては、責任主体として製造業者等を規定しておりま す。製造業者等とは何かと申しますと、当該製造物を業として製造・加工または輸入し た者。そのものに製造業者として氏名とか商号とか商標とか、そういうものを表示した もの、ないしは製造業者と誤認させるような表示をしているもの。製造・加工・輸入・ 販売そういう形態その他の事情からみて、実質的な製造業者と認めることができる氏名 等の表示をした者というのが、製造物責任法の中では責任主体たる製造業者等に当たる とされております。  これを臍帯血との関係で検討しますと、臍帯血の分離・調整につきましては、製造物 の製造ないしは加工と考えられるということから、業として分離・調整を行う、ないし はこれから委託を受け、それらの業務を実施するものが、製造物責任法にいう製造業者 に該当するのではないか、臍帯血それ自体の提供者は、臍帯血そのものが製造物には該 当しないということ、製造物責任法による製造・加工を行っていないことから、製造業 者には該当しないのではないかと考えられるということでございます。  続きまして資料1−3です。臍帯血の採取に関する同意の要否についてでございます 臍帯血の採取につきまして、どなたの同意ないしは許諾・承諾が必要なのかということ については、臍帯血の所有権に密接に関連する問題と言われております。  臍帯血は胎盤中に含まれる血液でございまして、したがいまして臍帯血の所有は胎盤 の所有者ということになるわけです。通常の分娩を考えると、胎盤につきましては娩出 後、医療機関によって医療廃棄物として廃棄処分ということをなされるということでご ざいますが、その胎盤ないしは臍帯血に、さらになお、利用可能性があるという場合に は、こうしたものについても所有物を想定することができるのではないかということで す。  その場合、これをどう考えるのかということでございます。胎盤は一つは新生児と一 体をなすものであるということから、その所有権については新生児に帰属するものであ るという考え方と、母体との分離の方が遅いということから、その所有権は母親に帰属 するという二つの考え方が考えられると思います。前者の場合では、新生児の法定代理 人である親権者が、その処分について同意をなし得るということですし、後者の場合は 母親はその処分について同意をなしうるということになると思います。この点について は、議論等の蓄積もこれまではないようでございます。  臍帯血の採取にあたっては、移植等の一定の目的に限るという条件付きで臍帯血につ いて、臍帯血バンクにその所有権が譲渡されたものととらえることができると考えられ ます。一方このような所有権の問題と、また別途に、臍帯血バンクに保存される臍帯血 につきましては、一定の範囲内で個人情報が付随しているものと考えられます。したが って、こうした個人情報の保護の観点から、それに関する許諾も非常に重要な論点にな ると思います。臍帯血に付随する個人情報は、主として新生児に係わる情報でございま して、その法定代理人たる親権者が、本人に代わりまして、こうした許諾を実施するこ とが適当ではないかと考えております。  なお、胎盤の娩出前か後かということにつきましては、先程ご議論があったところで ございますが、仮に胎盤娩出前の臍帯血採取方式ということになりますれば、その採取 行為は、一連の分娩行為の過程の中で行われるということになりますので、そこも合わ せた形で妊婦の許諾が必要となると法制上も考えられます。以上でございます。 ○齋藤座長  ありがとうございました。まずは専門家である鎌田委員、何か補足説明はありますで しょうか。 ○鎌田委員  内容につきましては、異論はございません。最初の責任の問題ですが、これは何かし かの事故が起きたときに、被害者は誰かの責任を追求することができるかという問題で 移植の過程で、どなたかに過失があれば、その人には責任を負ってもらわないといけな いというのははっきりしていると思うのです。どこにも過失がない場合に、レシピエン トの方が誰かの責任を追求できるのかというのが、当面ここで問題にしていることです 製造物責任法というのは、その意味で誰にも過失がない場合であっても、欠陥製品の製 造者には、責任を追求することができるという制度です。臍帯血移植の場合の臍帯血が 製造物といえるのかどうかは、これは血液製剤と同じような難しい問題があるわけです が、一応この場合でも、1対1の移植が行われる場合、あるいは1対1の輸血が行われ る場合には、全体として治療行為であるということで製造物の概念とは関係ないと考え ていただいていいと思います。  ただ誰に渡るのかわからないものを提供して、それがバンクにストックされて、必要 に応じて提供されていくという場合には、現在の血液製剤と極めて近似した取扱になり ますので、血液製剤と同様に、製造物責任の対象になると考える方がよろしいと思いま す。  その場合に、被害者はできるだけ製造過程に係わった人誰にでも請求できるとした方 が、被害者の救済には役に立つわけです。ただ、それは被害者が救済されるというだけ であって、今度は、賠償する側が複数いる場合には、最終的に誰のところに責任が集中 していくのか、あるいはどのように分担するのかというのは、これはまた別の問題です 製造物責任法というのは被害者をできるだけ救済しようというところまでは決めてます が、その後、加害者達が内部的にどう責任を分担するのか、あるいは履行の確保のため にどういう措置を取るのかというのは、製造物責任法それ自体とはまた別の問題である と思います。  ここでは具体的な関係者として、ドナーと、バンクの仕組み次第で、地域バンクとセ ンターが出てきたり、採取する産婦人科医なり病院というように関係者が複数出てきま すが、そのうちの誰が被害者との関係で責任を負うのかということについては、確実に 外れるのはドナーであると思います。ドナーは製造者ではありませんから、これは全然 問題にならないでしょう。  バンクの係わり方も様々で、分離とか調整はみなバンクがやるというのであればバン クが製造者ですし、バンクが単なる情報の斡旋しかやらないということになれば、製造 者からは外れていって、その下でこれも例えば各地域センターのようなものが分離・調 整をやるのであれば、そこが製造者になるとか、これは仕組みによって大分かわってく るだろうと思います。  一番微妙なのが、採取する産婦人科医で、私は個人的には産婦人科医は採取行為をし ているだけであって、製造の過程にはまだ入ってない。リスク管理をする立場にはおり ません。製造物責任法の精神からいくと、リスク管理をする立場にいる人が、製造者に なるべきではないかと思っております。もっとも私がいった通りになるのかどうかは、 ちょっとわかりません。 安全性の水準について先程ご説明かありましたように、社会的にみてどの程度の安全性 を備えていることが必要とされるかというと、合理的に期待される安全性の水準という ところに線が引かれるのであって、何が何でも100 %の安全性を常に求められているわ けではない。これは100 キロで壁にぶつかっても死なない自動車でなかったから欠陥で ある、とは誰もいわないのと同じで、社会的に求められる安全性の水準というのがある ただこれは、それぞれの社会とか技術の進歩によって随分変わってきます。今日の法制 度の中でも、アメリカなどは血液製剤について事業者免責の法律を作っている州があり ますし、他方でフランスの製造物責任法などは、血液製剤あるいは胎盤由来の製剤につ いては、開発危険についても全部責任を負わないといけない、全部の責任を負えという ような厳しい姿勢をとっている。このように、それぞれの社会が、どの程度の水準を要 求するのかということだと思います。  もう一つの所有権の問題は、正直申しまして、胎盤に所有権があるのかという議論は ナンセンスという感じがするのです。ここでは一番重要なのは、誰の同意を得るのが必 要かというのが一番重要で、それを考える手掛かりとして、所有権というものを考える だれもお産をされた方が自分の胎盤は私のものであると思ってない、むしろ上手に捨て てくれということをお医者さんにお願いしているのだと思うのです。  ただ、今日でも胎盤由来の製剤等がないわけではなく、そういうものを一体どう法律 構成しているのかというと、今まではあまり考えてなかったというのが正直なところで あると思います。一定の経済的な価値があるとすれば、それには所有権というのは考え られないわけではないという側面と、それ以上にDNAその他に遺伝情報等が含まれて いるので、これを好き勝手に使われたのでは、胎児にとって、場合によっては両親にと ってはたまったものではないということで、娩出後の胎盤であるからといって、好き勝 手に利用されたのでは困るということで、情報管理の側面と、あえて言えば、若干なり とも財産的価値を持つとすれば、それについて黙って使うのはおかしいのではないかと いうことで、こういうご検討を事務局にしていただきました。  いずれにしても、基本的にはご両親の同意を頂くというのが原則になろうかと思って おります。以上です。 ○齋藤座長  ありがとうございました。大変分かりやすくお話いただきました。何かご意見はあり ますか。 ○加藤委員  安全性でどこまで責任を問われるのかというのは、実は我々には馴染みが少なかった 問題です。 血液製剤について、今先生からお話がありましたように、国によっても大分スタンスが 違う。それほどに我々の社会の考え方に大分開きがあるのだと思います。  臍帯血については益々分からない部分を含んでいて、例えばこの臍帯血を介して既知 のウイルス、既に分かっているウイルスの感染を起こしてしまったという場合と、移植 をしたが成立しなかった、成着しなかった、あるいは移植によってGVHD病が起こっ て、それによって死亡してしまったというようにいろいろなパターンが考えられるわけ です。この検討会はそこを明確にしておく義務があるのではないかと考えるのです。そ れは規定できないと明確にするのか、あるいはこれとこれは現時点で責任を持つべきで この範囲までは責任というところを、先生のご意見を教えていただければと思います。 ○鎌田委員  大変に難しい問題です。手がかりになる法律としては、この資料についている製造物 責任法の第2条第2項が定める「欠陥」という概念自体が社会の常識に従って決めてい ただくものだということが第一段です。第二段目に第4条の第1号です。先程の資料の 1−2の後ろについています。通常これは「開発危険の抗弁」と呼んでいます。当該製 造物をその製造業者が引き渡したときにおける、科学または技術に関する知見によって は、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかった。これは最高の学 術水準が基準になります。ですから、世界で一番進んだ技術をもってすれば、発見でき るようなウイルスであったが、うちの病院ではそれだけの設備がないから到底無理でし たというのでは、4条の1号が適用になりません。従来おきた大規模な事故の中で、こ の4条の1号が適用になるのは、最初のサリドマイド事例、HIVが同定される前のH IV感染事故くらいであって、それ以外はご本人にとって発見不可能であっても、最高 の学術医療をもって発見可能なものについては、全て責任を負っていただきますという ことになります。  ただし、先程申しましたように、欠陥というのは法律では2条2号に書いてあります が、当該製造物の特性、通常の使用形態その他の諸事情を総合的に勘案するのだという ことです。臍帯血移植をやっても100 %生着するものではないというのが本来的な属性 でありますから、生着しないような臍帯血だったから欠陥であるということにはならな い。  GVHDも、血液製剤の場合にはGVHDの回避の方法はあると思うのですが、私は ちょっと医学的にはわかりませんが、臍帯血移植ではGVHD発生の可能性は少ないの でしょうが、回避の方法はないと思います。すると、それが起きたからといって欠陥と はいえない。既知のウイルスに感染しているのを、検査が不届きというので発見できな かったというのは、責任を負っていただかないといけない。未知のウイルスとかウイン ドウズピリオッドの問題に関しましても、一種のキャランテーヌとして新生児の6か月 検診をしてクリアするという手続きをとることが可能なのに、それを取らなかったとい うようなことであれば、それは欠陥というよりむしろ過失があるといわれてもしょうが ないと思います。  実際に回避可能なものを回避しなかったというときには、責任を負っていただく、ど う頑張っても回避のしょうがないとか、本来、危険性を内在しているとか未知のウイル スであるという場合にはやむをえないということになります。  もう一つは、これは臍帯血移植というのは限界での作業ですから、例えば、癌の科学 療法の場合に、薬の副作用があったからといって欠陥があるということで訴訟で救済し てもらえるかというと、救済してもらえない。そういう副作用があっても、それを遙に こえる便益があって、しかもそのことを患者が承知の上でその療法を選んでいるのだか ら、欠陥責任は負わないとされます。 だから臍帯血の場合にも、今申しましたように臍帯血移植に特有の有害作用が生じても 避けられるものは最大限避ける措置をとり、かつ、有害作用の内容について、患者さん に十分な説明をして同意を得た。それでも生じた副作用とか有害作用については、恐ら く欠陥責任を負うという判断はされないと考えます。 ○加藤委員  事務局からのご説明で分かったところと分からないところがあります。臍帯血を採取 して直後の血液は製造物ではない。保存された以降のものが製造物に該当する。しかし 採取したものにも既に抗凝固剤が入っておりまして、全くそのものではないわけです。 この当たりの線引きが非常に曖昧で、このところの議論をしてもしょうがないのではな いかと感じるわけです。臍帯血がこの製造物責任法に馴染むのかどうか。そこでむしろ これは範疇外とするべきである、この検討会としては、そういう結論が出てもいいので はないかと感じたのです。 ○齋藤座長  その点は草刈委員が、血液製剤ではあの時もかなり反対されたのでしょうか。 ○草刈委員  反対ではなくて、行政の審議会が2つありまして、厚生大臣の審議会と総理大臣の審 議会の2つです。輸血用血液は製造物に該当しないという結論が出た。それを政府部内 でひっくり返してしまった、ということになりましたので、その経緯を踏まえて国会で きちんと論議していただきたいと申し上げただけです。反対とかではなく、審議会とい うのは、それなりの権威を集めて、それなりに審議したのです。それをひっくり返した のなら、国会で議論してほしいといっただけです。それが反対ととられているのです。 ○齋藤座長  移植用の臍帯血が製造物ではないなら、一方血液製剤だけが製造物というのはおかし いですよね。 ○草刈委員  実はよく読んでいただくと、これは鎌田先生も同じ意見であると思います。第1条か ら6条まで、何が入って、何が入ってないのかというのは一つも書いてないのです。で すからこれを本当に決めるのは裁判所で決めることになっております。ここに書いてあ るのは、政府統一見解なり、行政の見解が書いてあるのです。裁判で判例を重ねて決め ていくこととなっておりますので、ここであるとかないといってはいけない。  もう一つ製造物責任法で大切な目的がございます。それは安全を高めるというもう一 つの法律の目的があるのです。それはここには関口先生もおられますが、我々本気にな って、製造物に含まれるという前提の下に、血液製剤の安全、輸血用血液の安全を今ま でもう平成7年から約40回くらいの会議を重ね、また今後も重ねて安全にしていくとい うことがございます。ですから臍帯血も、その面での安全性の向上ということに使えば いいのであって、入るとか入らないという議論ではないという気がします。  小池先生が今日はおられないのですが、第5条の2というのがございます。これは許 される期間が殆どないということに実態的になるのです。つまり損害が生じたときから 起算するということになっています。ですから小池先生がよくおっしゃったり、あるい はここでの議論の中でも遅発性の健康障害の危険性はどうかというのがございまして、 それが今鎌田先生がおっしゃるように、その当時から知られていたもの、あるいは危険 が予知されていたものであった場合など気をつけねばなりません。以上です。 ○齋藤座長  今のに関連してです。一番恐らく一つの例として微妙なのはGVHDだと思うのです 臍帯血の場合にはワンローカスミスマッチくらいでできるのではないかということでや ったときに、ある割合でGVHDが起こりうるわけですが、その場合に責任はどうなる のかというのはかなり微妙だと思うのです。他にいかがでしょうか。 ○西平委員  製造物かどうかというのをここではっきりさせておく、法律できちんとしておかない といかんと思うのです。私の考えでは骨髄バンクを通した骨髄移植というのをやってい るわけですが、骨髄移植のことを考えた場合に、採取施設で採って、既にそこで抗凝固 剤を入れて、しかもバックに入れて運んでくる、ということをやっているわけです。す るとあるところまでは殆ど臍帯血と同じである。  それから例えば、血液型不一致の場合には、更に赤血球を除いて移植するわけです。 そのようないろいろな操作手順を加えて実際にはやられているわけです。ですから、今 骨髄移植に対しては製造物責任は適応されなくて、臍帯血と一緒に適応するというのは おかしいのではないかと考えるわけです。  勿論、骨髄移植よりも操作過程は多少加わってはくるのですが、全体的な行為として はほぼ同じであると解釈して、臍帯血だからといって製造物責任法を当てはめるのはし ないでほしいという意見です。 ○陽田委員  素人の確認をさせてください。臍帯血に保険を付けてほしいという話をしますと、P L法が適用されるので難しいという話になるのですが、この説明を聞く限りは、保険の 対象になろうがなるまいがPL法の対象になるならないは関係ないというふうに読み取 れたのですが、そういうことでよろしいのでしょうか。 ○鎌田委員  血液製剤のときから問題はあるのですが、臍帯血にPL法を適応するのはけしからん というご意見はありうるわけです。それに関連しては、まず第一に、臍帯血にPL法を 適応しないといったら、何があっても責任は追求されないのかというと、そういうこと は全然ないのです。PL法を適応しなくても、不法行為責任を追求される。それは過失 があるときしか請求されない。患者とお医者さんとの関係では、お医者さん側で無過失 の証明をしない限りは責任は免れないわけです。その場合の過失については、どういう 場合に過失があるというのか、どういう時に過失がないというのかというと、「あなた は居眠りをしてましたね」というような単純な過失が問題になっているのではなく、 「専門医であるなら、これだけの注意をつくしてやってください」という、医療水準か ら要求される注意義務を果してないと過失があるとされるのです。  そこで要求されている「注意義務の水準」というのは、ここで我々が欠陥を判断する ときに要求する「安全性の水準」とほぼ同一です。  ですからPL法を外したら不法行為で攻められるだけですから、製造物責任法を適用 するのはけしからんといっても、それによって責任の所在は多分かわらないだろうと思 います。  第2にPL法の精神ですが、「責任を負わされる」とか「被告にされる」というと、 悪い奴だと言われているように思われるかも知れないのですが、PL法というのは、決 して誰が悪い人なのかということを探そうというのではなく、臍帯血は相当外れますが 大量生産とか大量消費されている製品の中で、例えば確率的には100 万個作って1個は 火を吹くテレビが混ざってしまうというときに、たまたまそのテレビを買ってしまった 人は、これは技術的に回避する方法がないから、あなたは不幸でしたねということで、 その負担を全部一人で背負わないといけないのか。 そういう事故に備えて、どういうテレビを買っても被害を分散できるような保険を予め かけておくと言ったように、消費者がリスク回避できる措置を取らないといけないのか あるいは事前によくテレビを選んで火を吹かないテレビを選ぶという注意義務を消費者 が負担するのか。そうではないだろう。  製造者の側では、製造物責任という制度ができれば、行政規制などがなくてもできる だけ自分で安全性を高めようという自主的な努力をする。そういう意味で、最も安上が りに安全性を向上させることができる。製造者の側では、そういう欠陥商品をできるだ け排除すると共に、万一欠陥製品ができたとしたら、それによる損害を賠償しても、全 ての製品に1円ずつ載せれば100 万円になるというふうに、薄く広くリスクを分散させ ることもできるし、保険をかけることもできる。 要は、どこかで必ずそういう事故が起きることを避けられないとしたら、そのリスクを できるだけ公平に、最も効率的に分散するにはどうしたらいいのかというのがPL法の 考え方です。確かに1対1の輸血でも、あるいは臓器移植でも、何も加工をしてないわ けではないのですが、死体腎などを製造物とは誰も思わないので、境界は不分明である ことは明らかなわけです。ですから製造物責任の考え方に基づいて判断をしていくべき であろう。そうだとすると、臍帯血バンクが例えば2万の冷凍臍帯血をもっていて、そ れを誰かに渡す、その過程の中で、例えばウイルス混入による被害が起きたというとき に、その被害を受けた人に、「あなたは不幸でしたね」といって負担を押しつけるので はなく、臍帯血移植によって便益を受ける人、助かる人は一杯いるわけですから、そう いう人達全体でそういう事故についてのリスクを負担してあげようではないか。それを 効率的に分散させることが可能な社会的存在は、製造者である。製品を流通させる人が 分散させるのが一番効率的であるから、被害者はそこに救済を求め、賠償金を支払った 人が保険なり料金への転嫁で、皆さんに薄く広く分散していただく。こういうのが製造 物責任法の考え方ですから、製造物責任を追求されたからといって、悪者にされたとい うわけでは全然ないわけです。善悪とは関係のない。誰がリスクを第1次的に分担する のが効率的であるのかというのがPL法の考え方とご理解いただきたいと思います。 保険について言えば、健康保険については、臍帯血そのものに保険をつけるということ は、臍帯血の料金の問題であって、保険が適用されればということであって、これはP L法とは関係がありません。(ただし、薬品代の扱いをしようとするなら、薬事法の適 用を受けるべきだという議論はありうると思います。―校閲時 追記) ○齋藤座長  すると今鎌田委員からご説明がありましたように、臍帯血がPL法の適応になるのか どうかということよりも、そういう精神に基づいて仕組みを考えていくということでよ ろしいでしょうか。 ○関口委員  私の方から。今、血液製剤との比較で臍帯血も今のPL法に適応するとの考えについ ては問題があると思います。私は血液と臍帯血では、物ということでは同じであると思 いますが、そういう考えではPL法の適応ということがあるでしょうが、問題は血液と いうのは、不特定多数の人を対象に提供している。これに対し臍帯血の方は不特定多数 ではなく、特定の人を対象として提供するということになると思います。その点では臓 器移植と同じような状況になると思います。 これは明らかに血液と分けて考えないといけないし、その意味からはPL法には該当し ないだろうという考えをしてますが、それはどうでしょうか。 ○鎌田委員  臍帯血移植は移植の時には誰に臍帯血がいくか特定してますが、骨髄移植の場合には 採取の段階で既に特定していますよね。その意味では、患者が血液をほしいというとき に、ではうちの兄弟のものを輸血しようというのと同じようにまさに移植医療的な1対 1の関係なんです。 バンクを通じての臍帯血移植は、採取をした段階では誰にいくかわからない。かなりの ものをストックしておいて注文があれば出していく。その意味では、骨髄移植の場合と 比べて遙に血液製剤に近いと考えます。 ○青木委員  先程の先生のご説明の中で、ウインドウピリオドの問題です。今の段階では、これは 輸血用血液の中でも新鮮凍結血漿など長期保存のものがありますが、臍帯血の場合に、 採取したときの安全性の検査などはやるわけです。その後で今の段階では、どこの国も 3か月後あるいは6か月後に更に新生児か母親か採取して検査しない。血液の場合にも 勿論1年の保存のものを検査しないわけですね。もしそれがウインドウピリオドが検査 できる期間があるのに、しなかったら責任はどうかというお話です。これは新生児の検 査を、3か月後とかにやらないといけないものでしょうか。 ○鎌田委員  なかなか難しい質問です。血液製剤に関していえば、これは先程も申しましたように ウインドピリオドで発見できませんでしたといっても、絶対的に責任を負えとしている 国もあります。 提供者側にはそういうのは発見できないではないかということはあるかも知れないので すが、受ける側にしてみれば、信頼しきっている製剤がそういうものでは困るという議 論もあります。避けきれないとしても、いってみれば抗生物質のショックは避けられな いが、しかしこれは流通させている。そのショックを受けた人はどうするのかというの は、今の日本では副作用被害救済基金で補償はしてあげましょうということになってい ます。それと同じような考え方をとるべきだという考え方も一方にはあります。  他方では、避けられないものについては、これはしょうがないから我慢してください という考え方もあって、多分今日の日本での常識的にはウインドピリオドについてはし ょうがない、責任は負わない。患者さんが辛抱するということになってます。しかし、 曖昧な言い方ですが、現在の日本の考え方が絶対的なものではないということです。 ○迫田委員  所有権の譲渡のことについてちょっとお伺いしたいのです。違う話ですがよろしいで しょうか。  提供した親あるいは子どもが何か病気になって、自分が提供していたバンクにあるは ずである。 あとから私が提供したはずの臍帯血を使いたいというような申し出があった場合には、 所有権の譲渡となったら、それはきかないという理解でよろしいのでしうょか。 ○鎌田委員  所有権の理屈からいえば、所有権を条件付きで譲渡したということでも、所有権自体 には条件は何もついてない。ただ、そういうときに法的にはどういう約束で臍帯血を採 取させてもらったのかによって対処の仕方が決まるのであって、他の人には使わないと いう約束があっても、他の人に使うこと自体が全然不可能なのではなく、約束を破った ことの責任を負わされるだけである。 お預かりしたときに、バンクからどこに行くのかわからないという約束でお預かりして その後でドナーの家族で使う必要が生じたときに、必ずドナー側に渡さないといけない のかというと、それはそういうことはない。道義的には、ドナーに渡せるのに敢えて全 然違う人に移植したということは非難されるでしょうが、法的には条件をつけて渡せば それに積極的に拘束されるが、条件がないなら、法的には処分は自由ということです。 ○草刈委員  今いろいろなご意見を伺っておりますと、同じような系統の仕事をしている立場で、 これはちょっと今日の会議に申し上げておいた方がいいと思いますのは、輸血用血液は せいぜい1年が有効期限です。分画製剤では2年です。その1年とか2年の間に技術の 変革というのは今は凄く目まぐるしいくらいに進みます。10年もとっておいたものが、 使われるときに、その時の条件に合っているのかということは、常に再検討はしないと いけないと思います。そういうことは必ずどこかでやっていかないと、恐れている可能 性は起こってくるのではないか。  次に今何回も言われていることですが、皆さんが安全と思っている、安全性希求の限 界というもののコンセプトを、この委員会で作っておくべきであると思います。それは 技術的に変わってくるし、年次毎に変わってくるから、それの内容を常に見直していく ということが必要です。そうでないと5年前には良かったものが、もう駄目ということ があります。我々の世界では数カ月前の良いものが駄目ということはあるのです。です から関口先生ともいっているのですが、昔は朝令暮改というのは本当はいけないことで あった、しかし血液事業においては朝令暮改というのは、今ややるべきことであるとい うふうに励まし合ってます。 ○有田委員  所有権の譲渡に係わるのかどうかわかりませんが、いつか言わないといけないと思っ ておりましたので、ここで出させていただきます。こういう医療技術とかが出てきまし たら、必ずこれで金儲けをしようという人達が出てきます。一昨年、株式会社ができま して、今ある研究バンクに似たような名前で商売を始めた業者がありました。それは民 間の産科病院のバンクの中に営業として入り込んできたのです。私は昨日そこに電話し てみましたら、もう使われてませんでした。 株式会社は倒産するということがあるのです。今後も、あなたの子どものために預かり ますという商売は必ず出てくると思います。  これは厚生省の方にお願いしたいと思います。アメリカでは商売用バンクが乱立ぎみ であるのだそうです。誰がお産をするのかということを調べて、あなたは預けなかった ら愛情がないのだよというような形での売買を実際にやっているのだそうです。これか ら公的臍帯血バンクを進めていく上で対策をとっていただきたいと思います。 ○齋藤座長  ありがとうございました。ではほぼご意見も出ましたので次の項目に移りたいと思い ます。次は臍帯血移植の実施であります。これは今までにも議論をしていただいており ますが、前回「当面」という表現は良くないという意見が陽田委員からも出されており ます。その点を踏まえてどう考えるのかということを事務局の方からお願いします。 ○重藤補佐  では事務局からご説明します。まず参考資料の3でございます。  これは前回お出ししました資料でございます。当面、骨髄バンクで骨髄提供者が得ら れない場合、または骨髄移植の実施までの間に患者の病状から臍帯血移植が必要となっ た場合に臍帯血移植を行うというということをお出ししましたところ、「当面」という 言葉につきまして、陽田委員から斉藤座長がおっしゃられたようにいつまでかという意 見がだされたというように理解しております。  これにつきましては資料の1に戻ってください。資料1−4です。これは非血縁者間 骨髄移植後の生存率が各年齢別に出ております。それぞれスタンダートリスク年代別、 ハイリスク年代別ということで、骨髄移植の場合の成績というものが出ております。  一方臍帯血移植につきましてはこういうデータがございません。そういう中で患者さ んに説明するにあたって、一方はきちんと成績が得られてはっきり分かっている、一方 はまだわからないというものを、患者さんにそれぞれ選択をさせるということは、これ はかなり説明をする方の主観が入ります。  従って「他の治療法との間の相対的な有効性・安全性が確認されるまでの間は、原則 として、骨髄提供者が得られることが期待できない場合、または骨髄移植の実施までに 患者の病状から臍帯血移植が必要となった場合に臍帯血移植を行う。」ということにし ました。臍帯血も骨髄も両方とも提供者か得られるという場合に、データがあってきち んと治療成績の数値が言えるものといえないもの、またデータがないもの、それをどう するのかという基本的な考え方を、前回の資料の「当面」ということの意味として示し ました。つまり、治療の有効性についてのデータが揃い、そのデータを基に患者さんが 選択できるという状況が揃うまでの間は、原則としてこのような考え方によるという形 で事務局として、前回の当面ということの意味としてお答えしたいと思っております。 ○齋藤座長  ありがとうございました。この点につきましては、この検討会の中でもいろいろなご 意見があると思います。実際に臍帯血移植をやっておられる移植医の方は、非常に熱心 な推進派であると思いますので、それ以外の委員のご意見を伺ってみたいと思います。 まず今のような資料1−1のような表現につきまして、古市委員いかがでしょうか。 ○古市委員  今のご説明を聞いた限り、これは妥当な考えであると思います。この結果がその後、 いつごろどうかということですが、一番良い機会に情報を提供して、最終的には患者さ んの家族の選択ということになるのでしょう。いろいろなデータを提供したときに、そ れ以上は言えないのではないでしょうか。今の話で妥当だと思います。 ○齋藤座長  鎌田委員、いまのことに関していかがでしょうか。 ○鎌田委員  一般的には今ご説明があったようなことだと思います。ただ誰に向けてこういうこと を言うのですか。 ○齋藤座長  これはこの検討会のまとめの意見として何かを出さないといけないのです。だからそ こで今事務局から説明があったように、片方は十分な経験の蓄積や情報の蓄積がないも のですから、一応このような書き方しかしかたないのではないかということだと思いま す。 ○鎌田委員  移植医というか血液病の治療をされているお医者さんは、このようにしなさいという お話なのか、あるいはバンクの仕組みを考えるときにときに、こういう前提を置いて、 それに対応できるような形のバンクを、今の段階では考えようという趣旨で入っている のか、その辺がちょっとわかりません。 ○齋藤座長  そうですね。後者のようなことだと思います。 ○有田委員  これは患者さんから私の方に寄せられた切なる願いとして聞いてください。先だって 骨髄移植を受けようとして前処置というところまで行かれた患者さんがおられました。 明日、前処置に入るということで入院していた前の晩に、提供者が提供できないという ことで、断られたのか病気であったのか知りませんが、そういうことが起こりました。  患者さんは臍帯血をやりたかったのですが、骨髄が先だということで臍帯血を調べて 貰えなかったということです。  そういうことがありますので、患者さんが両方を選べるように、それはどうか残して おいてください。確かに歴史が浅いですから、成績は骨髄のように上がってません。骨 髄もはじまったときにはこうだったのです。その時に骨髄移植を担当された先生たちは 非常に悔しい思いをされたと思います。生きるか死ぬかの患者さんの命をどうするのか というところに臍帯血があるわけですから、もう少し血の通った考え方は出てこないも のでしょうか。 ○齋藤座長  したがって今のことは十分に表現の中に入ってます。骨髄移植の実施までに患者の病 状から臍帯血移植が必要になった場合には、臍帯血移植を行うという言葉が入ってまし て除外しているわけではないのです。あくまでもこれは総論です。 ○有田委員  私が申し上げているのは、お医者さんたちの中には本当に真面目な方が多いというこ とです。 決められたらそれを守るというお医者さんがおられるのです。だからそこのところで、 ここの病院にいったら臍帯血をしてもらえるのに、ここの病院では先生方は臍帯血より 骨髄が先であるという、私はそこの病院の名前を今ここで言いたいくらいですが、それ は申し上げませんが、そういうことがあるということで、患者さんがどこの病院にいっ ても同じような医療ができるような、そういう文言にしてほしいということです。 ○齋藤座長  他にいかがでしょうか。 ○中林委員  私は移植には全く無関係です。一般の産婦人科医としてこういう新しいものが出たと きには、患者さんのメリットとデメリット、現在この治療がわからないということを言 った上で、行政上というか、一般的にはこのような表現がされているのではないかと思 います。ただしその中で、どこの産婦人科にいっても同じ治療をやるわけではなく、そ の先生の裁量によってかわってくるので、ここにいらっしゃる専門の先生などはそれは よくご存じなわけですから、臍帯血をある一定の条件で使われるかも知れませんが、そ れを制限するものではなしに、ごく一般的にはこのようなことが常識ですというものは 我々もどの科においても行われますので、おかしな文書ではないと思います。 ○有田委員  わかりました。では臍帯血の移植も患者さんが望むのであれば同時にやられるという ことですね。 ○齋藤座長  それは当然ですね。 ○迫田委員  陽田さんのご意見を聞きたいです。 ○陽田委員  僕は患者の医療参加という前向きな観点からいえば、こういう順番をつけるのはあま り賛成できません。例えば国内に治療成績の資料がなくても、患者自身が海外から資料 を取り寄せて臍帯血でいきたいという方もいらっしゃるかも知れない。それを主治医が どう判断してどう対応するのかが重要で、その時にバンクのきまりがバリアにならない ような配慮というのは、絶対に必要です。ここに『原則として』という表現になってま すから、原則は原則ですから運用面で対応できるのならいいのかなと思います。基本的 な考えとしては、あまりお上がこういうものを決めるべきではないと思います。 ○齋藤座長  それは我々も全ての委員の人もよく認識しているのです。結局、現状である程度総論 的なことをいうとすれば、今の段階で骨髄移植も臍帯血移植も全く対等でどっちでもい いというのは言い切れないのです。医学的な情報が不足していてね。それは海外でも骨 髄移植は何万例とやっているのに比べると、臍帯血移植はせいぜい数百例ですから、そ の判断をするだけの材料がないので、結局患者さんも迷われると思うのです。  勿論臍帯血移植を希望される方にはできるということはクリアだと思います。 ○有田委員 原先生や浅野先生が賛成されるのであれば。臍帯血移植の専門家が賛成であればいいと 思います。 ○原委員 私はこれに対する答えは既に外国の方向で出ていると思っています。この案と同じ様な 基準で臍帯血移植の適応をしたのがヨーロッパのEUROCORDの成績ですね。比較 的フリーにしたのがアメリカの成績です。それを見ると格段の差があるのです。ヨーロ ッパでは非常に悪い。それに対してアメリカの成績は非常に良い。二つの成績の間に大 きな差があるのです。ですから基本的にこれは私は、バリアにならないということにな れば、これでいいのだろうと思いますし、バリアになるということになると、大きな問 題がそこにあると思います。 ○浅野委員  今、原さんが言われたのと同じ意見です。いや、もっと前向きで陽田さんとほぼ同じ です。相対的な有効性・安全性というのは、患者個人の立場をもともと無視しているか らです。これからの医療ではもう少し個人の選択を重視して欲しいと思います。そうい うことがちゃんと記載されているならよいと思っております。 ○齋藤座長  勿論、個人の強い希望を排除するのではないということは繰り返し申しました。今医 療でEvidence-Based-Medicine(EBM)の重要性が指摘されており、これは情報がない 場合には比べることはできないのです。したがってEBMということに基づく限りは、 原則としてこのような表現になるというのが私の考え方です。 ○浅野委員  よくわかります。ただ私が言いたいのは、個人差と統計学的推定論とのどちらを科学 的と言えるのかについては現在の医学・医療が抱えている課題という事です。簡単に言 うなら、成績が悪くても、また充分なデータがなくても理論的に考えてその患者さんに とってその方法がベストと考えるなら、外国のデーターもあることだし、それを優先さ せなくてはならないということです。 ○加藤委員  議論がひょっとして混同しているのではないかと私自身は感じます。患者さんが選択 をする、これはその方の最終決定権です。ただ我々が議論をしているのは、そういうシ ステムを社会システムとしてもっていこう、その際に供給するやり方としてどうなのか という議論がここでは行われているわけですよね。ですからその点でこの文書は当面の この当面という言葉がよくないのかも知れないのですが、最初の導入のところとしてこ こから入っていこう。そして次にやるのは、今皆が理想として考えているように、どち らも選べる、システムがそうであるということを想定しているわけですから、まだはっ きりしてないものを、オープンにできる段階ではないのだというように、理解している と思います。 ○有田委員  私がしつこく申し上げているのは、加藤先生がおっしゃった、次にあるのはというと ころが、いつも次にはなく、置き去りにされてきたという経験に立ってここで申し上げ ているのです。死ぬか生きるのかという一人の命を助けようという臍帯血の医療のこと を話をしていますから、役人の曖昧な書き方でいつも誤魔化してきたような、そういう 書き方を今回はやめましょうよ。 ○齋藤座長  曖昧ではなく明確だと思います。(大勢の方が明確という) ○有田委員  そうですか。では一緒にいけるという書き方ではいけないのですか。 ○齋藤座長  専門家の意見として、例えば資料1−4に非血縁者間の骨髄移植の生存率というのが ありますよね。それは10歳以下でも3年生存の66%が生存できる。そういうデータがあ るわけです。臍帯血の場合にはそれは全くないわけですよね。その場合に、最終的には 患者さんの自己決定権ですが、医療を提供する側としては、こういうデータですが、ど ちらを選びますかといいますが、その時には恐らく殆どの人がチャンスがあれば骨髄移 植を選ぶと思うのです。臍帯血の方はわからないわけです。しかしながら臍帯血しかな い、あるいは骨髄移植が間に合わないというときには、臍帯血をすぐに用いるというふ うに書いてあるわけですから、これで十分だと思います。 ○青木委員  最初の有田さんの話は、原則としてこうであると書いてあると、医療機関でさっきの ようなケースの場合にも次を選ぶまで待ってくれという話になる。そういう先生も中に はいらっしゃるから、その辺が心配であるということですね。だから原則としてこうで ある、最後に、但し、患者の意向は尊重しなければならないというのはどうですか。 ○齋藤座長  それは当然です。どういう医療でも最終的には患者さんの自己決定です。 ○西平委員  確かに曖昧な点はこの文書にはあると思います。実際に移植をやる場合に、実施基準 というのは専門医が検討しているわけです。実際に移植をやるという場合に、では骨髄 バンクに必ず登録していなければならないとか、そういうことをこれは意味しているの か、それとも同時に臍帯血バンクができた場合には、両方を同時に申し込むことができ るのかということにもなるのですよね。実際問題としてね。だからこれでそれをそのま ま解釈すると、どうも骨髄バンクに登録して、適当なドナーがいないようであるという 場合に、初めて臍帯血にいける。あるいは次の段階は骨髄バンクは半年くらいかかるの で、それまで待てないのは臍帯血バンクでも登録作業に入るということなのかというこ とです。 ○齋藤座長  今の御意見は、ここには書いてありませんが、たたき台の部分に書いてあります。実 は造血幹細胞移植という一つの窓口で同時にサーチできるということになると思います ですから全部の各論まではここには書いてないのです。総論だけを書いてあるのでこう いう表現になっていると思います。よろしいでしょうか。 ○古市委員  今のお話が出たので、今までの疑念はなくなったのではないかと思います。患者さん に骨髄移植が必要となったときに、その医療機関から今度できる臍帯血、骨髄移植、両 方がどうなるのか分かりませんが、そこに問い合わせると両方の調査が行われる。その 段階でこの話になってくるわけです。だから同時に両方を調べて、結果がこうであると いうことになると理解しておりますので、問題だとは思っていません。先程いろいろと 心配された方は、そこのところの疑念であったのかと思っております。 ○齋藤座長  そうですね。それはないと思います。ですから両方を探して片方しかないのでしれば 片方に乗るしかないですよね。両方あったときにどうかということであると思うのです しかも、体重の問題とかが当然ありますよね。ですから全ての幹細胞移植を必要とされ る方に適応されるわけではなく、実際には、体重が少ない子どもで両方あったときにど うかということになると思います。 ○陽田委員  あとは情報公開にも関連すると思うのですが、『確認されるまでの間』という表現に なっておりますので、5年も6年もたたないとこういうデータが出てこないということ では困ると思います。ある一定期間を経た時点で速やかに情報を公開するということも 重要なことだと思います。 ○齋藤座長  それはたたき台の中に入っております。では時間があと30〜40分ですので次に進みた いと思います。この点についてご欠席の方の意見などがございますか。 ○重藤補佐  今日ご欠席の日本医師会の小池委員から、基本的考え方として、この文言で特段おか しいとは考えない、というご意見を事前に伺っております。 ○齋藤座長  わかりました。ありがとうございました。これは基本的な考え方で時間と共にかわっ ていくのでしょうし、症例が積み重ねれば評価もかわります。今の時点ではこの考え方 でいきたいと思います。  次は議題の2です。報告書の作成に向けてのたたき台でございます。これは今までの 議論を踏まえて、総論からはじまって、当面今何をやるべきかということについて、案 をつくりました。では重藤さんからお願いします。 ○重藤補佐  ではご説明します。資料の2でございます。報告書の作成にむけてのたたき台という ことでございます。これまで、先生方には各意見を出していただきまして、議論をして いただきました。 一応議論も出そろったかなということで、斉藤先生より、そろそろこれまでの議論を事 務局でまとめて報告書のたたき台として出すようにという指示を受けましたので、事務 局として、これまでの議論を踏まえて作成しました。時間がございませんので、要旨だ け説明して、全体的な流れを把握していただきまして、その後ご検討いただければと思 っております。  まず「はじめに」のところです。 今後、全国規模で臍帯血移植を展開していくために、厚生省において、保険医療局長と 医薬安全局長の発議により検討会を開催し、報告書として取りまとめてきたということ です。  2.臍帯血移植の現状です。  臍帯血移植はわが国においては平成6年に第一例が行われて、平成10年4月1日現在 で37例が行われたが、その内の非血縁者間の移植は17例にすぎず、治療法として初期的 段階であり、さらに研究を深める必要がある、という内容のものが書いてございます。 そこについては骨髄移植の成績、海外における臍帯血移植の現状も書いてございます。  2ページ目、3.非血縁者間の臍帯血移植の全国規模での取組の必要性でございます  ここでは品質の均一化、および安全性の確保の観点から、統一した基準により臍帯血 を保存し、また全国的に臍帯血を公平・中立に配分できる体制を構築することが必要で あるということで、これまでの各9か所での臍帯血バンクの取り組みが、それぞれ閉じ た中でされている現状を開いた形で、どこの医療機関でも使える体制にするためには、 品質の均一化とか、安全の確保の観点ということで、全国的に取り組んでいかなければ ならないということが書いてございます。  4.臍帯血移植体制の整備に向けての考え方でございます。  1臍帯血移植き性格及び位置づけでございます。  1)臍帯血移植の性格です。これは前回・前々回と以前にこの委員会で議論をしていた だいた内容をそのまま載せてございます。臍帯血の採取・保存・搬送する過程で、現行 の血液事業の業務の手法と類似する面もあるが、全体としては移植という色彩が強いの ではないかということを書いてございます。  2)臍帯血移植の位置づけです。臍帯血移植は、骨髄移植や末梢血幹細胞移植と並んで 造血幹細胞移植の一つであるということと、未だ治療法としては初期的な段階であって 他の治療法との間の相対的な安全性・有効性が確認されるまでの間は研究事業的に行っ ていって、着実に症例を増やしていくということです。今ご議論いただいた内容を盛り 込んでおりまして、適応についても、前回ご議論いただいたように、骨髄移植の適応疾 患に準じ、白血病等の血液疾患を対象とするということでさせていただいております。  2臍帯血移植の運営体制の整備に向けての考え方でござます。  これはこれまでご議論いただいた中の抽象的な表現でございますが、記載されている ような事柄を大切にして、臍帯血移植に取り組んでいくということで、1)善意・任意の 尊重。その中で非営利的な組織として運営するということです。2)公平・適正な使用。 3)安全性・有効性の重視。 4)利用者の利便性への配慮。5)関係者の協力体制の整備。6)十分な説明の必要性。7)個 人情報の保護と情報公開について。8)目的外利用の制限。9)国際化への対応。10)効率性 の確保。という項目で、このような考え方を大切にしながら、これから臍帯血バンクの 臍帯血の運営体制のあり方を考えていこうということでございます。  3具体的な運営組織をどうしたらいいのかということでございます。  1)採取・分離・検査・保存を行う施設につきましては、設備や人員など、臍帯血の採 取から保存まで、全ての過程に関して安全性等に十分に配慮された施設において行う。 ということが必要であるということです。  2)情報管理体制について。これは全国的な規模で臍帯血のHLA型や細胞数の情報を 共有・管理すると共に、それらの情報を公開することが必要であるということです。  3)臍帯血の移植の適応・臍帯血の品質の評価・移植の成績の評価については、審査・ 検討を行って、その結果、情報公開を行っていくということを書いてございます。  4)採取から保存施設への搬送についてです。それぞれの施設において時間内に分離・ 保存ができるような必要な体制を整備する  5)財政構造のあり方については、骨髄移植を参考として公的な支援、医療保険を含ん だものとか、受益者負担のあり方を、今後検討していくことが求められるということで ございます。  4運営組織の基本的考え方ということでございます。そこに書いてございますのは、 経済的な効率性とか運営の安定性とか継続性、また一定の技術水準を確保するためには 臍帯血移植の運営体制は全国で一つの組織とするべきである。骨髄移植等を含めた造血 幹細胞移植の総合的な推進という観点からは、臍帯血移植、骨髄移植、末梢血幹細胞移 植をふくめた、造血幹細胞移植を一体的に取り組んでいく「造血幹細胞バンク」を整備 することが望ましい。  なお、具体的な運営組織については、競争原理を導入して、全国の一つの組織ではな く、数カ所の別の組織で運営するべきであるという意見もあったということで、それぞ れのこれまでの意見を併記してございます。  5必要とする保存臍帯血の目標数です。これは将来的には2万検体以上を整備し、臍 帯血移植を希望する者の9割以上にHLA型の5抗原以上の適合度で臍帯血を提供でき る体制を目指すことが求められるとしております。  5.初期的段階として緊急に実施すべき事業ということでございます。3年間を目途 として、相当程度の利用可能な臍帯血の保存を目指していくということで、具体的にそ れから以後書いてございます。  6ページでございます。1臍帯血の利用のための情報システムの構築です。各保存施 設において保存されている臍帯血のHLA型とか細胞数の情報が、臍帯血バンクの情報 ネットワークシステムに共有・管理され、それら情報が公開される情報ネットワークを 構築するという中身でございます。  2臍帯血の保存施設の整備です。現在地域において臍帯血バンクとして保存業務を行 っている施設のうち、数カ所の施設を保存施設として指定し、必要な整備を行っていく  3基盤整備のための計画の策定です。初期的段階として3年間で、バンクとして機能 していくための必要な数の臍帯血を保存するさい提供するため、相当程度の利用可能な 臍帯血の保存を行うための体制を整備する。その後のことについては目標数の2万検体 の確保に向けて努力をしていくということが書いてございます。  4臍帯血移植に関する研究の推進です。今後とも研究を推進していく。  7ページです。6.「おわりに」ということです。この検討会での枠組みについては 時代と共に見直しが必要なので、必要に応じて再検討を行っていくということを、おわ りのところに書いております。以上概略だけです。 ○齋藤座長  ありがとうございました。今大体の流れを聞いていただきました。勿論これは、本日 で全てが終わるわけではございませんで、次回も含めて議論を深めていきたいと思いま す。まだ20分ほどございます。いろいろな内容がございますので、順番に「はじめに」 から区切って、今日の時点でのご意見を伺っていきたいと思います。まずはじめにのと ころです。これはよろしいでしょうか。この検討会の由来、課題その他が書いてござい ます。何かございますか。 ○陽田委員  これだけ文字が並んでいると、この場ですぐには理解できませんのでじっくり読ませ ていただいて、次回に議論させていただきたいのですが。 ○浅野委員  陽田さんが言われたように、一度聞いただけではわからないので、じっくり読ませて いただくということにさせていただければと思っております。一つだけよろしいでしょ うか。今、ざーと聞いた中で、5ページの運営組織の基本的な考え方の中の“一体化” という表現です。それにこれに関連した造血幹細胞が全て同じと捉えているところです 同じ造血幹細胞移植でございますが、それぞれに長所と短所があるという点を充分に考 慮した上でそれぞれの調和を図っていく必要があるという表現にした方がいいのではな いかと思います。 ○有田委員  中島課長がおられないので山本さんにお尋ねしたいのです。こういう資料を作られて いるときに、これは両局の責任で開かれている検討会ですが、ご一緒に資料作成されて 承知の上で出されているものですか。 ○山本補佐  そうです。 ○有田委員  5ページです。造血幹細胞バンクを整備することが望ましいという文言が出てますが その後に、数カ所の組織で運営すべきとの意見もあったという書き方をしてます。望ま しいという意見も確かにでました。見た限りでは、下は付け足しという感じがするので す。私がいつも申し上げているのは、どうしてこういう書き方をなさるのかということ です。 ○齋藤座長  今この点については、浅野先生の意見も取り入れることができると思いますが、勿論 この検討会というのは、全員が全く同じ意見ではないのは当然です。しかしながら多く の意見は、将来的に造血幹細胞バンクを整備した方が患者さんの利便性や分かりやすさ 対象疾患が同じであるという点でいいのではないかという意見が強かったので、このよ うに書いてあります。 ○有田委員  そうではなかったです。 ○齋藤座長  勿論、その下に書いてあるような意見もありますが、大勢はそうであったと思います ○有田委員  議事録を読んでいただいたらいいと思います。違います。 ○草刈委員  「はじめに」のところから議論が移っているのですが、「保存」という言葉が使われ ているのですが、何か目的をもってとっておくなら「保管」の方かなと思います。日本 語の問題ですが、全般的にどっちがいいのかというご意見は伺っておいた方がいいと思 います。自分のところでとっておくのではなく、全国のためにとっておくのなら保管か なと思います。  臍帯血移植の現状のところにいきます。遺伝性疾患が伝搬しないためと書いてござい ますが、その安全性の確認の方法は、本当にあるのかなという気がしますので、これは 書きすぎではないかと思います。それから感染性のものもあるわけです。ですから「伝 搬」の搬は確かに遺伝性疾患がキャリーオーバーだと思いますが、分からない病原体に ついては「伝播」ではないか、この辺はもうちょっとお考えいただいた方がいいのでは ないかと思います。以上です。 ○迫田委員  5ページの運営組織の基本的な考え方です。多分長く議論はしてきたと思うのですが また形になってないのではないかというのが私の理解でした。というのは、造血幹細胞 バンクという形で全体を統括するような協議会なり運営委員会というものも、多分必要 だと思います。でも陽田さんがおっしゃる幾つかの保存バンクが全国に数カ所必要であ るということと、上手く妥協という言葉ではなく、良い形があるのではないかというふ うに、私は議論を聞いていて思っていたのです。ですから別意見という形で分けて書く のか、私一人認識が違うのかも知れないのですが、もう少し議論できるのではないかと 思うのですが、いかがでしょうか。 ○齋藤座長  これは全国一つの組織ではなく、数カ所の別組織というのはソフトの面とハードの面 があって、当然ハードの面ではいろいろなところに作るわけです。しかしソフトの面と して、情報の共有化とか運営について、一つの組織にした方がいいのか、それぞれ独立 に民間のバンクが独立した形をとるのがいいのかという点であると思うのです。多くの 意見は、情報は共有して同じような基準でやっていった方がいいのではないかという意 見であったと思います。 ○迫田委員  陽田さんも多分、運営方針を協議する運営協議会とかおっしゃっているので、そうい うところは情報は共有して一緒にやろうということではないかと、私は勝手に理解をし ていたのですが違いますか。 ○陽田委員  この件については、この辺の考え方を、私と加藤委員と西平委員と3人が提案者とい う事で一度議論をさせていただきました。その後小寺委員等からもまた案が出ました。 しかし、この検討会ではお互いの案を十分に議論をしてないのです。案を出し合っただ けです。ですから座長がおっしゃったように、こういう考え方が大勢であったという記 録にはなってないと理解しています。 それぞれから出された案に対して、私は言いたいことが沢山あります。逆もまたあると 思うのです。ここのところは大変重要なところですのでしっかり議論しておかないと、 検討会の意味がないと理解しております。 ○西平委員  その他に浅野先生もいろいろ出されましたね。 ○齋藤座長  浅野先生の意見も最終的には近かったですよね。 ○浅野委員  ええ、しかし、その議論がまだ充分にされてないというのは正しいかもしれません。 個々のバンクの運営形態とHLA共有の仕方などは議論されてはいません。それは今後 の課題だと思います。 ○齋藤座長  これはあくまでも総論です。概念的なもので、細かいところまでは当然つめてないの です。 ○迫田委員  2番の現状のところです。私はこの通りだろうな事実としてはそうう思うのです。で もこの文書そのものは全部非常に否定的な文書であると、印象としては受けるのです。 臍帯血移植は非血縁者は何人に過ぎないとか、まだ不明な点が多いとか、十分なされて ない現状であるというのは、多分この通りであると私も思いますが、先生方がそれでよ ろしいのであればいいのですが、これを読んだ感じで、ではなぜやるのという、次の ページの3番には出てくるのですが、そういう印象を与える文書でいいのかどうか。そ れは先生方がそれでいいならそれでいいのです。 ○齋藤座長  だからこれが、例えばまだ17例に過ぎないが、将来は期待されるとか、それはいくら でもここでご意見を取り入れて直すことは可能です。 ○有田委員  6ページです。2の臍帯血保存施設の整備という書き方をしてますが、臍帯血バンク は、保存施設とバンクのいろいろな検査とか患者さんとタイプを合わすとかもひっくる めてしていかないといけない、と私は理解してますが、この保存施設という文言は何と かなりませんか。血液をそこに溜めておくだけという印象を受けるのです。 ○齋藤座長  どういう表現がいいのでしょうか。 ○有田委員  バンクです。 ○齋藤座長  バンクというのは情報とか全てを含めて、物理的なことをいっているのです。何箇所 作るとかね。 ○有田委員  そこ自体がバンクの機能というのをもっていると思ってますが、違うのでしうょか。 ○齋藤座長  違います。 ○有田委員  ではわかるように教えていただけませんか。 ○西平委員  それぞれイメージが違うと思いますが、臍帯血バンクというのは、全てのいろいろな 情報をもっている事務的というか、それをやる全体の組織のことを指していると思って ます。実際に採取したり保存したり保管というところは、勿論臍帯血バンクの組織の一 部で組織としてあるのですが、それは一つではないわけです。あっちこっちに施保管施 設があり、採取施設があるわけです。 だからそれは実際に常時行っているところであって、それの一つずつを臍帯血バンクと バンクの組織の中の一部ですが、ここでいっている臍帯血バンクというのは全体をさす ことを臍帯血バンクと私たちはいってます。 ○有田委員  ここでいっている保存施設というのはそういうことであるということですね。 ○西平委員  そうです。バンクの一つの施設であるということです。 ○青木委員  たたき台ということですから、今日帰ってじっくり考えさせていただきます。基本的 にこのたたき台は造血幹細胞バンクが一本化して、骨髄移植も臍帯血もまとめてバンク 機能としてやるのだというようですね。さっきの6ページの保存の整備というのは、一 体化して造血幹細胞バンクがやる。しかし保存施設としては何か所か使うというトーン で流れているのだと思います。だから基本的にさっきの陽田案の、各地域が別々にバン クをやるのだというのは、ごく少数意見であるとこの報告書ではまとめられているので すね。私はどういうバンク、複数のバンクにするのか、骨髄バンクとの関係はどうする のか、それを十分に1回くらいたっぷり時間をかけて議論をすべきだと思います。 ○陽田委員  私は『地域バンク』という表現を使ったのですが、加藤委員の案や他の案では、『保 存施設』という表現で出てきましたが、どうも保存施設という言い方をすると、単なる 下請け施設のような印象が拭いきれないのです。臍帯血バンクのどこに一番金がかかる のかというと、採取から保存するところまでなのです。ですから僕はそこが臍帯血バン クのメインであると考えていたのです。そこから先の情報の管理やマッチングはコーデ ィネート業務が必要な骨髄バンクに比べると非常に比重が小さいのではないかという判 断から、ああいう提案をしたのです。  今日のこの報告書の全体のたたき台の感想を言わせていただくと、一番しんどい部分 をさらりと逃げているという感じがするのです。例えば、6ページの保存施設の整備と いうところで数カ所の施設を保存施設として指定し、必要な整備を行うという書き方に なっているのですが、誰がどのようにしてこれを指定するのか、というようなところが 書かれていませんが、これは非常に大事なところです。僕はその辺のところを本日提出 した資料でご提案をしておりますが、この検討会がこれだけ公開で透明性をもって行わ れても、保存施設の指定といったところがブラックボックスの中で決まってしまうので は何の意味も無いだろうと思います。そういうところを十分に公開で議論をしていくの がいいと思います。 ○齋藤座長  したがってこの数カ所という表現は、例えば7か所なのか9か所なのかというのは、 この検討会のレベルだけでは決められないのですよね。 ○迫田委員  どうやって選ぶかということですか。こうやって選ぶということをここに書くという ことではないですか。 ○齋藤座長  それは今まで総論的に基本的な考え方で、そういう条件にあったところということに なるのです。しかしそれが何箇所あるのかというのは、今の段階ではわからないのです よね。 ○陽田委員  ではその辺のことはこの検討会では触れないということでしょうか。 ○齋藤座長  これからです。これからの課題だと思います。 ○原委員  この案をみると、今おっしゃったように、実際に臍帯血バンクををいかに充実するの かというのがほとんど抜け落ちてます。具体的にどうやって充実するのかというのは、 本当は一番大事なところですね。それを採取して保存して記録を残して提供するという のは、非常に大事なのですが、中央の提供するシステムだけが話題になっていて、肝心 のところが何も触れられてない。ブラックボックスのままです。このままでいくと、臍 帯血を採取し、保存する施設の意欲を、この文書から無くしてしまうと云うことになる ように思います。すると我々臍帯血を利用しようとする人は、アメリカから臍帯血を買 ってしまう。あるいはもしかすると中国から買って利用するという形に、各医療施設が なってしまうと思うのです。臍帯血バンクを充実するためには、基盤となる臍帯血をと って検査して保存するというところをきちんと決めていただきたいと思います。 ○齋藤座長  わかります。そうしますと、具体的に原先生、何箇所にして地域はどこにするという ことでしょうか。 ○原委員  そういうことではなく、数の問題ではなく、この施設はどのような充実したものを含 むのかということを提示していただきたいと思います。 ○齋藤座長  それは作業部会の話もあるので、安全性とかはね。 ○原委員  安全性とかはそれでいいのですが、むしろ金銭的な面だと思うのです。陽田委員が問 題にしている財政的な面です。そこをきちんと要望していただかないと、臍帯血バンク そのものが日本でできなくなる可能性はあると思っております。 ○齋藤座長  勿論、このまとめの目的は、財政的に援助をしてもらうために書いてあるわけです。 そうすると先生の言われるのは、具体的に何億いるのかということを書き込めというこ とでしょうか。 ○原委員  いえいえ、臍帯血バンクをつくったら、これに対して具体的にどういう援助を厚生省 は準備としてするかということですね。 ○齋藤座長  なるほど、それはどこかにそのことも書いてあったと思います。さらりと書いてあり ましたね。 5ページでしょうか。5)ですね。 ○陽田委員  受益者負担という言葉は誰もいったことはないとおもいますが。 ○齋藤座長  いやこれは出たと思います。ある程度必要だと思います。 ○原委員  この検討会の本来の目的は臍帯血バンクをどのようにして充実するかということにあ った筈です。これをはっきり言葉として取り入れてあるべきだろうと思うのですが、抽 象的にも具体的にもどこを見てもないのです。 ○齋藤座長  それはどこかに入ると思います。 ○加藤委員  今日のうちにいっておいた方がいいと思いますのでいいます。目標の2万という数で す。これは結論としてまだ議論もしなかったのではないかと思います。それで今皆さん が心配している実際のこれからの予算の策定にあたって、この2万という数字は物凄く 決定的な意味を持つ数字ですので、もう少しそこを議論する。もし2万とするのであれ ば、2万の中身をこれからどうするのかということをやっていかないといけないのでは ないか。私は2万ではないと思っておりました。 ○齋藤座長  これは5千とか1万とかいろいろな案があったのですが、何割にHLAの型のあった 人をやるのかという統計的なところで多分2万となっているものと思います。 ○加藤委員  細胞数のことがあります。細胞数の多いものだけというのは、こうさぜるを得ないの で予算による程度があると思いますが、2万というのをこの場でこれでよしとすること になるとなと思います。 ○古市委員  草刈委員から朝令暮改という話がでまして、あながち悪いことではないと、同じよう な意味ですが、私は第一回の会で申し上げたのですが、拙速も大事であるといったはず です。いろいろ議論をして詰めていくことは大事ですが、最初から100 %を目指すとい うことではなく、70点台からスタートして1年以内に80点とか90点となる。私はこの問 題はそれでいってもらいたい。皆が待っているというのが、一応こういうところかなと 思います。おかしかったらどんどん直していけばいいわけです。  一番大事なことは、医学的科学的に間違った方法に進むのは大問題ですが、そこは十 分に作業部会で議論をしていただいて、運営とか組織とかいろいろな問題は後から直し ていけばいいという基本でいます。随分いろいろな点で意見が分かれていると思います が、この後いろいろと議論して、ある時期にはまとめていっていただきたいと思います 具体的には、今日はもう一つ資料が陽田さんから出ているので、これが説明あるのかな と思ったのですが時間がないようですので、私流に思うことをいいます。  産婦人科で生まれた子どもから採取するという施設が幾つくらいになるのか、それか ら保存・保管する施設が幾つになるのかというのがわからないから、先程のような議論 になる。保存する施設と、産科の採取施設を一緒の形で話が進んでいるのか。私はもっ と広く採取機関があって、保存施設があるというようになるのかと思ってました。そこ を数の議論をしてつめて、共通の姿の認識を皆で一致させないといけないのではないか と思って聞いておりました。 ○陽田委員  お願いがあります。作業部会の議論云々という言葉が時々出てくるのですが、作業部 会に関しては公開では行われてません。ですからこの検討会の委員の中で、作業部会の 委員の方と、そうでない方に情報量の差があるのです。ですからその辺を公平に情報を 流していただかないと、議論がかみ合わないということを感じました。  それからもう一つです、移植医療施設の認定について全く抜け落ちています。これを どうするのかということも、検討会では触れておかないといけないだろうと思っており ます。  朝浦 本日提出しましたペーパーはあくまでもたたき台でございます。先生方にはい ろいろなご意見等もいただきましたし、またまとめたいと思います。作業部会につきま しては、現在関連の先生方は一所懸命議論していただいておりますので、それの報告の 準備をさせていただきたいと思います。 ○陽田委員  時間がもったいないので、議事録を送っていただいたら読んできます。ここで説明す るのは時間がもったいないです。 ○小寺委員  情報量が不足するということもありますが、ここで検討しているということと大分違 うのです。 私と浅野先生でずーと交互でやっていて5回まで終わって、大体締めました。そういう ことで資料もそろそろ清書して出してもいいと思います。かなり膨大なものですので、 ご希望かあれば委員の先生方に小包で送ります。 ○齋藤座長  具体的に後は6月の日程を伺いました。まず6月12日の午前中と6月の30日の午前中 です。 このたたき台につきましては、もしできたら全てをここで議論していたら時間が非常に かかりますので、例えばここをこう直したらいいといのが前もってわかりましたら、12 日の前6月8日くらいまでに、FAXなどで入れていただくのがいいと思います。よろ しいでしょうか。 ○有田委員  署名活動をさせていただいてまして、今日210 万人目の署名を厚生大臣にお届けする ことになっているそうです。またその他にも、この検討会を聞いておられた中からFA Xによる要望書なども送られております。その要望書の中身を読ませていただきます。 これは私が提出し要望しました資料ですので読ませていただきます。  これは厚生大臣以下と書いてあります。私は公的臍帯血バンクの設立を願う者です。 次のようなことが実行されることを望みます。1.できるだけ早く公的臍帯血バンクを 設立すること。2.臍帯血バンクは現在の骨髄移植推進財団とは独立した組織にするこ と。3.厚生省と日本赤十字社の関与を必要最低限とし、機動的な組織にすること。4 患者やドナーの利害が強く反映される組織とすること。5.臍帯血バンクの利用費は医 療保険で賄い、患者負担金をなくすること。 こういうものが出されております。署名にしろ地方議会からの意見書提出にしろ、こう いうFAXの要望書にしろ、これは国民の切なる願いでございますので、こういうもの もあるというのでさーと通すのではなく、こういうものも加味した考え方で、委員の皆 様方は考えてほしいと思います。 厚生省の皆様方もいろいろと根回しして歩いておられるようですが、そういう根回しは やめて委員に情報が平等に行き渡るように説明していただきたいと思います。 ○齋藤座長  ありがとうございました。この部屋の使用が5時15分までだそうです。まだ陽田委員 からのものが参考資料の1にありますように、公的臍帯血バンク組織についての具体的 提案というのがありますが、これは次回に回しますか。 ○陽田委員  次回に回してください。 ○齋藤座長  そうします。 ○重藤補佐  参考資料の2でございます。陽田委員からの御意見により資料の訂正等3枚ございま して、それぞれ注)のところをご指摘によりまして訂正を加えましたので、後でご覧い ただければと思います。 ○迫田委員  このたたき台についての訂正の意見についてです。次回、例えば陽田さんの意見を議 論するということでありましたら、組織のところについて意見はまだたたき台として自 分はこう思うと書いて提出しなくてもいいでしょうか。 ○齋藤座長 できればしていただいた方がいいです。では本日はありがとうございました。 (以上) 問い合わせ先 厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当 重藤(内2361)、眞鍋(内2364)    電 話 (代)03-3503-1711