98/04/27 第6回臍帯血移植検討会議事録   第6回 臍帯血移植検討会                 平成10年4月27日(月) 14:00〜16:15                 場所:法曹会館「高砂の間」 出席者(敬称略)   青木 繁之   浅野 茂隆   有田 美智世  加藤 俊一   草刈  隆   小池 麒一郎  小寺 良尚  ○齋藤 英彦   迫田 朋子   関口 定美   高橋 美智   田島 優子   中林 正雄   西平 浩一   原   宏   平林 勝政   古市 圭治   陽田 秀夫  ( ○:座長 ) 議事次第  1.開会  2.議題   (1)議論しておくべき項目について   (2)運営組織の枠組みについて   (3)その他  3.閉会 ○事務局(成瀬)  第6回臍帯血移植検討会を開催させていただきます。本日はお忙しい中ご出席いただ きまして大変ありがとうございます。最初に本日の委員の出欠の状況でございます。鎌 田委員が都合により欠席ということでご連絡がありましたことをご報告させていただき ます。  会議が始まる前に資料等の確認をさせていただきます。最初に第6回臍帯血移植検討 会議事次第でございます。その後ろに先生方の名簿があります。その後ろが配置図にな ってます。  第6回臍帯血移植検討回資料一覧  資料 1 議論しておくべき項目  資料 2 臍帯血移植と骨髄移植の流れ図(案)  資料 3 骨髄移植における国際協力の状況  参考資料 1 各委員より検討会に寄せられた意見  参考資料 2 これまでの各委員からの意見(概要)  参考資料 3 臍帯血移植の実施のための技術指針案(4月14日版)です。 最後に配布しました資料ですが、前回の第5回臍帯血移植資料の差し替えをお願いした いと思います。中身につきましては、参考資料2の各委員より検討会に寄せられた意見 の中の有田先生からの資料でございます。コピー等にミスがありましたので、差し替え をお願いしたいと思います。ページにつきましては9ページと10ページでございますの で、第5回の資料で差し替えをお願いしたいと思います。資料等につきましては何かご ざいますか、ありましたら事務局にお申しつけいただきたいと思います。以上でござい ます。では斉藤座長よろしくお願いします。 ○齋藤座長  早速第6回の検討会を始めたいと思います。お忙しい中大変ありがとうございました 既に5回、活発にご討議いただきまして本会が6回目であります。そろそろ意見を取り まとめたいと思います。したがいまして、今日は議題がその他を含めて3つありますが 最初の議論しておくべき項目について、これについてほぼ1時間くらいを費やしまして 項目ごとにご意見を伺いまして、検討会としての結論の出せるところは出していきたい と思っております。その後運営組織の枠組みについて3名の方から資料をいただいてお りますので、それを約1時間かけて討議したいと思います。では資料1の説明をお願い します。 ○重藤補佐  では事務局から資料1の説明をさせていただきます。資料1です。2枚紙になってお ります。議論をしておくべき項目ということです。議論するべき項目が書いてございま す。これを項目ごとにご議論をいただければと考えております。まず、臍帯血移植の適 応につきまして、一定の結論が前回の作業部会でも出されましたので、まずその部分を 事務局からご報告をさせていただきまして、本委員としてのご議論をお願いできればと 考えております。  最初の作業部会での検討結果ということでございます。  臍帯血移植の適応疾患でございます。骨髄移植の適応疾患に準じるということでござ います。これは2枚目の紙にどういう疾患であるのかということで、これは骨髄移植対 策専門委員会の中間報告、平成3年6月7日ということで適応疾患が書いてございます が、骨髄移植はこうした適応疾患を基本とされているところでございます。  次に臍帯血と骨髄移植の関係ということでございます。白血病等の患者さんが、造血 幹細胞の移植を受けたいという場合に、骨髄移植と臍帯血移植と両方を受けられるよう な場合にどうしていくのかという問題です。骨髄移植は治療法が確立されて10数年が 経過し、1,300 例を越える症例が重ねられており、一方で臍帯血移植の症例は世界では 500 例くらいで、本国では30例強ということでございます。また、臍帯血移植は遺伝性 の疾患が伝搬するという可能性も指摘されておりまして、そういう治療法として初期で ある段階の現状をどういうように骨髄移植との関係の上で考えていけばいいのかという ことに関しましては、当面、骨髄バンクで、骨髄提供者が得られない場合、または骨髄 移植の実施までの間に患者の病状から臍帯血移植が必要となった場合に、臍帯血移植を 行うということでございました。以上でございます。 ○齋藤座長  議論しておくべき項目の一番上は作業部会での検討結果でございます。この点につい てご意見がございますでしょうか。これは作業部会でいろいろな角度からご議論いただ きまして、現時点ではこのような適応疾患及び臍帯血移植と骨髄移植との関係というふ うに整理されております。もしよろしければ、作業部会での検討結果を本検討会の結論 としたいと思います。 ○陽田委員 「当面」という言葉が入っておりますが、この辺の意味はどのように解釈すればよろ しいのでしょうか。 ○小寺委員  作業部会の方の一人のメンバーとしてお話します。今事務局の方からということです が、やはりこれは、一応保険に通り、また国が責任をもっていく医療として見た場合に 症例数というか経験数が違うということで、まだ臍帯血移植がどれくらい本当に骨髄移 植と匹敵するのか、またはそれ以上なのか。その辺がまだ分からないということがある のです。私ども、一人の医師として考えた場合に、選択は基本的には主治医とか患者さ んとかに任されるのですが、ガイドラインというかリードする方向としては、十分な蓄 積があるものと、まだ蓄積が不十分なものと、等価に置くことはできないということだ と思います。 ○齋藤座長  したがって300 例なのか400 例なのか、ある程度経験を積むまでという意味でしょう ね。 ○陽田委員  1回目か2回目の議論のときに、迫田委員の方から臍帯血が先なのか骨髄移植が先な のかというお話があって、患者の側からみれば、臍帯血も骨髄も、あるいは海外のバン クも、同時に検索できるのが一番望ましいと申し上げた記憶があるのです。これは主治 医のサイドからいってもそうだと思うのですが、こういうところに「当面」という曖昧 な言葉で表現してしまって、このままずーとこれが残ってしまうということを僕は懸念 をしているのです。どの辺まで経験を積み重ねれば対等にできる時点になるのかという ことを、もう少し分かりやすく書いていただく必要があるのではないかと思います。 ○小寺委員  実際に臍帯血をやっていらっしゃる方、小児科の先生方の意見も伺っていただきたい と思いますが、私は一人の委員として考えた場合に、もし臍帯血移植というのが今後例 えば50例とか100 例という経験を積み重ねて、実は骨髄移植ほどではなかったという結 論に達した場合に、その時に過去の既に移植を受けた患者さんに、その臍帯血移植を適 応したという理由付けは明快でないといけないと思うのです。そういうことを考えての ことであってです。もう一つはこれは検索の問題とは違うと考えております。 ○西平委員  今の陽田さんの質問は骨髄移植の適応疾患という、この文書にこだわっているわけで すよね。当面と書いてあることにね。 ○陽田委員  臍帯血移植と骨髄移植の関係のところです。 ○西平委員  そうですか。骨髄移植の適応疾患のところで、これは平成3年に作ったものですから 別紙と書いてあること事態はかなり古いわけですから、これは当然改定すべきものだと 思います。今小寺先生がおっしゃっていたように、我々作業部会としては、骨髄移植の 適応疾患に準じるというのを基本的なこととして、後は症例が積み重なるにしたがって 段々適応疾患がそれで変わっていくかも知れないとは思っております。いつまでも曖昧 にしておくことではないと思うのです。 ○有田委員  当面ということで、6年間そのままになった例も骨髄バンクにはございます。一遍決 まってしまったらなかなか変えられないというものを、私たちは過去に何回も見てきて おりますので、この言葉はとても心配しております。  骨髄移植と臍帯血移植を受けるという患者さんは、死ぬか生きるかという瀬戸際まで 来て、この医療を受けないといけないと聞いております。検索に時間のかかる骨髄のこ れを待って、臍帯血に移るということは、同時に検索をして、臍帯血移植を受けた場合 に、助かる見込みのある患者さんが骨髄を待っている間に病状が悪化して助からないと いう状況もあると思うのです。患者さんを見ておられる先生方が、どうしてこのように 順位を決めるのですか。日本ではたしかに臍帯血移植は遅れてます。実施例も少ないの ですが、外国ではもうどんどんやってますよね。そういうのは参考にならないのでしょ うか。 ○齋藤座長  ちょっと待ってください。有田委員、今の点は専門家である作業部会が議論を重ねて 現在の安全性と有用性を踏まえての議論です。ただ単純に臍帯血移植をすれば助かると いうものではないと思うのです。臍帯血移植にもまだ分からないところがあるからとい うことであると思います。 ○浅野委員  沢山の作業部会の先生がここにおられる中で私が申し上げるまでもないのですが、こ こは当面ではなかったと思います。この点は作業部会で相当議論をされました。「当 面」ではなく「原則として」であったと私は記憶をしております。「原則として」だっ たら、わざわざ骨髄バンクに登録しなくても必要と考えられるときにすぐに移植が出来 ます。しかし「当面」とするとそれに束縛がかかります。「当面」では施行期間の受け とめ方が全然違ってきます。ここを何故変えられたのですか。この間申し上げたように 臍帯血移植の長所は必要と思われる方が待たなくて済むというところがあります。それ を生かすところが一番大事であるわけですから、骨髄バンクに申し込んだ人が臍帯血バ ンクを受けられるというような考えで臍帯血移植を進めるようであれば、医学的にも問 題があると思います。  また、作業部会では、適応疾患についての議論は殆どしていないはずです。といいま すのは、今の骨髄移植適応の基準は国際規格にマッチしてないという思いが委員にあっ たからです。ですからこの点については、適応基準に準じるという表現にとどめたと思 います。もし私の誤解であればご訂正下さい。 ○原委員  浅野先生のおっしゃる通りに原則としてだと私も思っております。当面という言葉は 入ってなかったと思います。 ○齋藤座長  その点だけまず整理します。当面といった方がいいのか、原則とした方が表現として いいのか分からないのですね。原則としてというとずーと原則が続く、10年も続く場合 もあると思います。当面の方がもう少しソフトな感じがするのですがいかがでしょうか ○西平委員  作業部会の議論をまたここで蒸し返してもと思いますが、この前は適応については、 移植実施のことについては次回までにやるということで、時間切れでした。私は適応疾 患を細かく書いて出したのです。案としてね。しかし、そういう一つづつ疾患を書いて いても、それに当てはまらないものもあではないかということで、次回までに移植実施 の仕組みを、次回の作業部会に出すという宿題をもらっていて、適応疾患も含めて次回 に検討するということになっているはずです。ですから当面とか原則というもの、その 時点でもまだ曖昧であって、まだきちんと決まったものではないと思っております。で すから作業部会で次回にやることであると思っております。 ○齋藤座長  まず、作業部会でどこまで決まっているのかということをクリアにしないと、同じこ とを本日蒸し返しても意味がないです。時間の無駄ばかりですね。それぞれの委員の方 は作業部会におられるので、そこで意見をいっていただくことであって、ここで同じこ とをまた言われても全く時間の無駄だと思います。 ○重藤補佐  事務局も出ておりました。事務局の受けた印象です。一応、臍帯血移植の適応疾患に ついては、骨髄移植に準じるという形で一定の結論を出されたというふうに私どもは受 け止めました。それから、言葉の問題ですが、当面というのは別に言葉としてなくても よろしいかなと思っております。ただ当面と入れましたのは、これが未来永劫続くわけ ではないので、きちんと評価でできるまでの間ということで入れさせていただきました  もし原則とするということであれば、臍帯血移植を行うことを原則とする、というふ うに最後に来るのであろうというふうに思います。当面と入れたのは、これが未来永劫 は続かないということを明記するために入れました。 ○齋藤座長  一言私の意見を言わせていただきます。細かい表現のこととかニュアンスのことで無 意味な議論は避けたいと思います。皆さんが目指しているところは同じで、一日でも早 く良い造血幹細胞移植体制を作ろうというためにやっている検討会ですから、言葉の端 を捕らえることに、あまりにも時間を費やしているような気がするのですがいかがでし ょうか。 ○原委員  原則としてということで私はこれで了承しましたのは、あくまでも患者ないし患者家 族の意思が尊重されるという言葉が、後にくるのだということで原則という言葉にこだ わるわけですし、また了解しました。当面ですと、患者ないし患者家族の意思は無視さ れることになりますから、この意味ではこれは大きな問題だと思っております。 ○陽田委員  これは言葉尻ではなく非常に重要なことだと思うのです。私は専門家ではありません ので、専門家の先生方が決めたことにとやかく言うつもりはございませんが、具体的に 書いていただきたいのです。当面という言葉の意味を解説しなければ分からないような 表現では、文書というのは後に残りますから、例えば「有効性がきちんと評価されるま での間」とか、そのように具体的に書いていただきたいと思います。 ○齋藤座長  それならわかります。 ○陽田委員  今原先生がおっしゃったように、患者あるいは家族の意思が反映されるような形でと か、具体的な表現にしていただきたいのです。 ○西平委員  作業部会ではまだ決まってないということです。このまま決まったわけではないとい うことです。 ○迫田委員  単純な質問で申し訳ないのですが、今ご説明の中に、突然遺伝子性疾患の問題等があ って、評価がはっきりしないということをおっしゃっておりました。その辺を具体的に 説明していただけないでしょうか。臍帯血移植がとてもいいものだから、すぐにバンク を作るものであると私たちは思っているのですが、そうではないようなので、そのこと をご説明お願いできますでしょうか。 ○齋藤座長  では私から簡単に申します。例えば骨髄移植の場合には25才のドナーの方から骨髄を いただく場合には、25年間その方が健康で来たという非常にクリアな事実があります。 ところが臍帯血の場合には、臍帯血をいただいた赤ちゃんが例えば10年後に何かの病気 になるのかどうかというのは未知の部分があります。それで現在は半年間だけフォロー アップして、健康状態に異常がなければ移植をするというおおよそのような取決めがあ るのですが、しかし半年で大丈夫なのか、2才とか3才頃に発祥する遺伝性疾患もあり ますから、先々回、小池委員もそのことを指摘されました。そのことはまだ未知なので す。例数も少ないですしね。その意味です。 ○迫田委員  それは今例として10才の時とおっしゃいましたが、例えば10才のときに起こる病気と かは、可能性としてはかなり沢山あるのでしょうか。それとも例えば半年くらいで大体 はわかるものでしょうか。どのくらいの確率でしょうか。例えば3才までとかですね。 それは有効性が評価される期間と関係するわけですよね。 ○齋藤座長  それは小児科の先生お願いします。 ○西平委員  遺伝性疾患というのはいろいろな沢山な疾患があるわけです。酵素異常とか代謝異常 とか免疫不全症候群とか沢山あって、それぞれについて全部はっきりとした数字でいえ るわけではございませんが、10万とか20万分の1とか、あるいは物によっては100 万分 の1とかという、非常に低い確率があると私は認識しております。特に日本人というか 日本国内においては西洋に比べると、遺伝性の先天性の血液疾患は非常に少ないという ことが言えると思います。一般的には10才というのは本当に稀であって、大体は5才未 満までに殆どは発症するということがわかってます。小さくなるほど例えば1歳未満で 発症するという場合には、半分以下は1歳未満までにわかるということです。  ただし、その中でも造血細胞からそれがそのままそっくりその病気に移っていく病気 というのは、また限られてくる。遺伝性疾患といっても、造血細胞で伝搬しないものも ありますので、その臍帯血を使ってやったから、直ぐにその病気になってしまうという ことでも必ずしもないということです。 ○迫田委員  確認しますと、臍帯血移植の場合だと、全部の遺伝病を心配するわけではなく、免疫 性のものだけであって、それは10才ということではなくて、大体1才未満で発病するよ うな病気を心配していらっしゃるということですね。遺伝性疾患を心配しているとおっ しゃるのは、そういう理解でよろしいでしょうか。 ○西平委員  それでよろしいと思います。強いて言えば2〜3才くらいまでなら、もっと理想的か なと思うのですが、10才までというのは非常に極端かなと思います。 ○迫田委員  アメリカ等ではまだそういう報告はないのでしょうか。遺伝性疾患が移ったというこ とですね。 ○西平委員  臍帯血移植をやって受けた側が遺伝性疾患が伝搬したという報告は、まだ私自身は知 ってません。そういう報告もないと思います。 ○有田委員  あるかないかわからない可能性のために、死ぬか生きるかというところで医療の選択 ができない人はどうなるのですかということをおききしたいのです。 ○齋藤座長  ですから、そのあたりの兼ね合いをどうするのかということです。今は例えば半年の 観察期間となっていると思います。  一応、作業部会での検討結果につきましては、先程ご意見がございましたように少し 表現を変えるということで、あるいは適応疾患も準じるという意味ですから、これでい いと思いますが、よろしいでしょうか。 ○陽田委員  骨髄移植の適応疾患について、国際的な基準からいって今見直しが必要ないのかどう かについてお聞かせいただきたいです。 ○小寺委員  現在、骨髄移植推進財団の方で適応疾患が基準とされているのは、少し前に定められ たものですが、私は必ずしもこれが古いとは思ってないです。というのは、これは実際 の運用上で極めて広くの疾患に対して行われている。例えばここですと、寛解期である 白血病、慢性の白血病というような、実際にこれはこの非血縁の骨髄が、非常に追い込 まれた患者さんにもこれは提供されておりますし、各医療チームと患者さんの要望に応 じて、最終的には骨髄を提供しているというのが実情です。  その意味で、勿論非常に細かくこれは決めていけば、それは構わないのですが、少な くとも日本骨髄バンクにおいて、この患者さんは移植の適応がございませんといって、 一方的にドナーサーチをしない症例というのはこの頃は殆どないのです。 ○浅野委員  今小寺先生が言われたように、適応疾患は厳格に決められるものではないわけです。 移植で助かるか否かは患者さん個人個人の状況によって決まるわけですが、正直に言っ て今の医療ではそれを予め知ることは出来ません。ですから、患者さんに科学的情報を 全て公開した上で、主治医と患者さんが決めることになるのではないでしょうか。です から、今の骨髄移植の適応基準はあくまで目安です。治る確率が低くても、他に治療法 がなければ適応になります。 ○小寺委員  今浅野先生がおっしゃったことは、私も現場の医者としてはそうです。可能性が少な くとも、これは患者さんが目の前にあったら、どうしてもやるということになるのです ただ、国際云々ということをおっしゃれば、一方においてこういう傾向もある。例えば いろいろな国があるのですが、こういうものは健康保険でみましょう。これ以外のもの はどうぞ患者さんが自費でおやりくださいという基準が出てくるのです。ですから、こ れは僕がいうことではないのですが、有限の医療資源というものをきちんと使っていく という観点は、いつも頭に置きながら考えないと、これは我々が規制する、または我々 が考えるのか、それとも別の例えば支払基金なりなんなりが考えるのか、ただ考える場 所がずれるだけのことですので、その辺は十分に注意された方がいいと思います。 ○齋藤座長  いずれにしても、骨髄移植の適応を今はディスカッションしているわけではないわけ でして、それはまた違う場でやっていただきたいと思います。いずれにしても、それに 準じるということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。では一番上の項目 をクリアしたとして、これは全部を今日は議論はできないのですが、次に作業部会から の検討依頼項目、というのがございます。臍帯血採取を胎盤の娩出前に行うのか、ある いは後に行うのか、あるいはどちらでもいいのか、いろいろ意見があると思いますが、 この点はいかがでしょうか。中林委員にお伺いしたいと思います。 ○中林委員  この臍帯胎盤娩出の前か後かということと、安全性の確保というのは、両者は密接に 関係していると思います。実際に我々が臍帯血等を採取することを、幾つかの研究者か ら依頼されることが多くあります。その時に胎盤娩出前ですと、そこに立ち会った産科 医が採ることが大変に多いわけです。それは大変に清潔区域であり、清潔を要する場合 には比較的容易に採ることができます。  次に臍帯娩出後ですと、その娩出した胎盤をある一定のクリーンなところに置いて、 そこで別な人が操作をするということで、この場合には非常に速やかに行う場合には、 当然産科医ではない他の医師が存在する必要があります。  ですから我々としては、採取に慣れた方法であれば胎盤娩出前にする、容易に採れる 場合には、これは産科医が容易に対応できると思います。ただしそういうことをしてい る間に母子の状態があれば、これはそれはさておいて、胎盤は娩出して、他の方がそれ を処置していただけるのであればそれで結構ですが、それに構っておらずに胎児及び母 体に複数の産科医が対応しなければならないいけないこともあるということで、基本的 には私はこのことに関しては、現場の産科医が、複数の適切であるという思う処置を行 うことがいいのではないかと思います。そこが母子ともに安全であるという基本が守ら れていて、かつ採られた後の、娩出前にとっていれば産科医だけでもできますが、娩出 後ですと、他のドクターに待機していただかないといけませんが、そういうことがあれ ばどちらでもいいと思っております。  あまり細かく決めますと、我々臨床医のいろいろな動きが規制されてしまいますので ここでは安全性を重視した上で、産科医の判断に任せていただけると大変にありがたい です。 ○齋藤座長  ありがとうございました。母子の安全と採取した臍帯血が清潔に採られるということ を総合的に考えて、現場の産科医の判断というご意見です。 ○浅野委員  この点についてちょっと先生に確認させて下さい。あくまで母子の安全ということを 考え場合に、例えば1万例の1例でも娩出前の採取では危険性があるということはない のでしょうか。つまり、娩出後採取と同じく大丈夫だというふうにいっていいのかどう かについて、お尋ねしたいと思います。娩出前で母子に危険性が少しでもあるのであれ ば避けないといけないというのが、採取の場合の基本であろうと思うのです。 ○中林委員  私ども産科医の立場としては、メインは母子の安全性ですので、その当たりを捉えた 臍帯血の性状に関しては、個々にご判断いただければよろしいと思います。  母子の安全性というのは、大体出産期死亡とういのは千人に数名は亡くなるというの が、現在の最先端の日本の技術にしても、千人に五人は亡くなっているわけです。それ で一万人に一人とか十万人に一人のリスクがあるのかどうかというと、これは臍帯血を 前に出したことと、後に出したことが関係があるのかないのかという議論とは離れた問 題になります。  ですから基本的には、胎盤を後に出すことによって明らかな生物学的なリスクはない と考えられます。それが至急に出さないといけない判断というのは、産科医が胎盤を至 急で出さないと母子の出血が多くなるという場合にするものであって、それが臍帯血採 取云々とは直接は関係がないと思います。 ○関口委員  私は別な面から娩出前後を考えているわけです。臍帯血そのものの安全性については 娩出前も後も変わりないという考え方だと思うのです。ただ娩出前に産科医が関与する ということは、妊婦のインフォームド・コンセントと非常に関係しているのではないか 娩出後よりはそういう点ではよいと思います。  もう一つ今も問題になった遺伝の問題です。後にどうしてもフォローしないといけな いという問題です。生まれてすぐ後は小児科というわけではなく、大多数はある時期は 産科医との関連です。その意味からそのことに直接的に産科医が携わるというのは、非 常に、バンクの採取ということを協力に支持する形になるのではないかと考えたので、 娩出前がいいのではないかと、私は主張したわけです。 ○中林委員  今のお話は賛成ですが、我々としては産科医が小児を見る期間は、一月くらいは健康 であるかどうかを拝見しますが、最近では小児発達外来というようなもので、半年とか 1年というのは、この赤ちゃんがその他のいろいろな疾患がないかどうかということで 小児科の方に私どもはお任せすることが多いわけです。  その意味でも、これからこういう臍帯血を採る施設というのは、産科医と小児科の連 携がきちんとしたところでする。この小児が遺伝性疾患、その他小児科の専門医が見て ないと思われる施設でフォローすべきであろうと私は考えております。 ○青木委員  私は医学には疎いのですが、ただこの臍帯血バンクを考える場合に、どちらでもいい という決め方をしておきますと、どうしても娩出前からの方が沢山採れるような認識が あって、そちらに流れる危険性かあるのではないかというのを、非常に心配しておりま す。  娩出後であっても、細胞数がきちんと得られるという方法があるとすれば、東京のバ ンクの場合には産科医の先生方に相談してお決めいただいているのですが、産後、胎盤 が娩出するまでは全力を上げて産科医の立場としては産婦とか母子に対して関わるべき であるというお考えですので、私どもは一切娩出前の採取はしないと決めているわけで ございます。  ですからこの辺のところは産科の先生方の学会なりなんなりに、きちんとお決めいた だかないと、将来に事故の危険性があるのではないか。  例えば今年の3月7日のランセットに、出産と胎盤の娩出について、それぞれ760 〜 770 例のケースでの成績発表がされておりまして、お産の時に500 ミリリットル以上の 出血をするケースがアクティブにやれば6.8 %、そのまま放置した状態でやれば16.5% の出血が見られるというような発表もされております。その辺のところは慎重に産科医 の先生の方でご検討いただきたいと思います。 ○中林委員  ただいま私が申し上げたのは個人的な意見と、また私の何人か知っている方々の意見 を取りまとめたものですが、おっしゃる通りに学会なり、こういうものに関係する産科 医で、きちんと決めた方がいいと思います。そしてこれは早速今日出た議題を持ちかえ り、また検討をさせていただきたいと思います。 ○齋藤座長  そうですね。これは最終的には産科の先生方のご判断ということでいいと思います。  次は臍帯血移植の適応評価ですが、これは先程出たことと重複します。結局は適応評 価については主治医と患者さんに決定権があるのか、あるいは同時に第三者機関を置く のかどうか、ということであろうと思います。  その他の議論しておくべき項目にいきますと、今度は搬送の問題があります。これに は二通りあります。臍帯血を採取した施設から保存施設まで運ぶ。今度は保存施設から 移植を実際にするところ、病院までを運ぶという二つの面があると思います。  勿論この採取施設から保存施設までの搬送については、夜でもするのかとかいろいろ な問題があると思います。それから誰がするのかという問題もありますがいかがでしょ うか。少しディスカッションをしていただきたいと思います。 ○関口委員  これは幾つ臍帯血バンクを設立するのかによって決まるのではないですか。それが決 まってからでいいのではないでしょうか。 ○齋藤座長  今までの議論ですと、全国数カ所から多くても8か所とか9か所、今行われているの はそうですが、バンクの数が決まってからでいいでしょうか。この保存施設から移植実 施施設までの搬送というのは、今は移植実施施設で受取にいっているわけです。骨髄バ ンクの場合にはね。 ○小寺委員  そうです。それは移植施設にとっては甚だ負担になっているということはあります。 ○齋藤座長  では数が決まってからディスカッションすることにします。 ○西平委員  搬送に関しては、一番目についてはいいと思いますが、2番目について、実際に我々 は今やっているわけですが、これも途中のいろいろなもしもということを考えますと、 移植の前処置が始まる前に、移植施設に届いているということがまず第一条件になると いうことと、それに運ぶ人については、今のところは我々は九州であろうが、北海道で あろうが、移植施設の責任者が取りにくる、そしてちゃんと運搬する。移植医たちが責 任をもってやるということであると思います。こっちからただ宅急便のようなもので送 って、何かあったりすると、どっちが責任を取るのかとかで、いろいろと問題が大きい ので現在はそうしております。  将来についてどうするのかということは、いろいろ意見があるかも知れませんが、私 は原則的には移植実施施設が取りにくるべきではないかと思っております。 ○青木委員  搬送につきましては、どちらの方の数の搬送が多いのかという点からいくと、つまり 採取施設から保存施設までの搬送体制と、保存施設から移植施設までの数と比べれば、 圧倒的に採取病院から保存施設までの搬送というのが非常に大きな仕事であるというこ とも認識しておいた方がよかろうと思います。  実際にデッドストック分を全て保存するわけですから、しかも何時にお産があるかわ からないという状況がある。夜間のお産もあるわけです。私どもは実際にやっておりま すが、とにかく生まれて直ぐ5分以内に採取して、24時間以内に分離して冷凍保存しな いといけない。この24時間以内の仕事というのは、このバンキングの上で非常に大きな 部分を占めるわけであります。  24時間というのは長いようですが、そのうちの8時間は夜です。したがって夜でも分 離するのかどうかという体制の問題があります。変な時間にもっていっても分離作業の 時間がまたかかります。そのようにバンキングを考える上での重大な項目であるという ことを認識しておいていただきたいと思います。  保存施設からというか、私どもは10年前から骨髄の冷凍した状態での輸送というの を大分お手伝いしております。特に国際協力で成田まで採取した骨髄を搬送したことも ございます。移植施設への輸送は予定が立てられた段階で、きちんと相手側と相談して 届けるという時間的な余裕がたっぷりあるということで、比較的に楽です。  ただ、これは移植医療機関の仕事とすべきか、あるいは提供する側の仕事とするべき か、ここはいずれにしても、どちらかの手を離して勝手にどこに行くのかわからないよ うな可能性のある搬送の仕方はしない、ということを前提に考えればいいのかも知れま せん。ただこの場合に、解凍して洗浄をするのをどっちでするのか、これによって搬送 方法が違ってくるという項目がございます。 ○齋藤座長  ありがとうございました。この問題は幾つ作るのかということを議論するときに更に つめたいと思います。次は運営の安定性・継続性です。これは後からまたご意見が出て くることですが、勿論運営経費のことも含めて、どうカバーするのかということになる と思います。  次の管理責任及び民間保険。最後の臍帯血の所有権につきましては、大変に重要な項 目ですが、今回は鎌田委員がお休みなので次回に議論したいと思います。  次に何度もこの検討会でもお話のでました国際化への対応です。これについては一応 資料3で、現在の骨髄バンクの国際対応の資料が出ていると思います。これは簡単に説 明を願えますでしょうか。 ○重藤補佐  事務局から資料の3でございます。これは国際化の対応ということで現在財団法人骨 髄移植推進財団が行っております国際事業の資料が2編ございます。まず一編目が全米 骨髄バンクとの国際協力事業の開始についてということでございます。全米骨髄バンク と日本の骨髄バンクは、ハブ・ツー・ハブで結んでます。日本の患者さんに骨髄が見つ けられない場合には、日本の骨髄バンクを通してNMDPに照会がかけられるというよ うな仕組みを整備しております。  台湾についても、現在予備的に国際間の骨髄バンクの協力体制というものを整備して いるところでございます。その現状が1・2・3・4ページということでございます。 5ページにつきましては、国際間のHLAの型の登録、どういう方が何人いるのか、と いうことを登録しておりまして、日本もそうした中に加わって、日本で例えばHLAの A・B・DRの、どういう方が何人いるという情報公開をするということもやっており ます。その情報については、日本の骨髄財団に紹介があったときに、どういう方が何人 いるという紹介に応じるというサービスも開始をしたという紙が5・6・7ページです 以上が現在の骨髄バンクが行っている国際協力事業のご紹介でございます。 ○齋藤座長  以上骨髄バンクの例です。今後、臍帯血バンクにつきましても、国際対応が必要であ る、ハブ・ツー・ハブということになれば一番良いわけですが、相手側の体制、お互い の信頼性もあると思いますが、重要な課題であると思います。何か国際化について浅野 先生いかがですか。 ○浅野委員  グローバリーゼーションに関しては、特にアジアとの関係か重要になると認識してい ます。また、骨髄バンク以上に急速な対応が迫られると思います。 つまり、否が応でも一気に国際化することを念頭において適応や運営形態も当初より国 際規格にしておかねばなりません。ただ、アジアへの対応は我が国が援助するという姿 勢が要ると思います。我が国が信用を失うことがないようにこの面でも国の財政的支援 が要ります。 ○齋藤座長  これは今後の重要な課題の一つであろうと思います。次は目的外使用の禁止というの があります。これはある意味では当たり前のことです。ただ保存したものを何年間保存 するのか、あるいはもう使わないときには研究目的で使えるのかというあたりを、少し 議論しておく必要があると思います。いかがですか。 ○浅野委員  目的というのはここでは患者さんに移植をすることであろうと思うのですが、私は、 細胞保存方法、免疫機能の研究のための使用も目的の中に入れてよいと思います。もち ろん、この場合に使用できるのは、せっかく採取したが患者さんに安全性の面で使えな い場合ということが判明したものに限ります。 ○小寺委員  私も実はこれはかなり重要な問題であろうと思います。下の臍帯血の所有権と関わる ことです。目的使用という点では、これはインフォームドされているのですからいいと 思うのです。いわゆる生きた細胞を、HLAの分かった生きた細胞をこれほどシステム ックに保存し続けるという事業は今まではなっかたわけです。いわばこれは人のDNA の宝庫でもあるわけです。将来いろいろな目的でこういうことに使いたいというプロジ ェクトは幾らでも出てくるわけです。  その時に今は予想できないのですが、ちゃんとこれは自らを縛っておかないと、この 事業そのものが将来危機にさらされるので、その意味でもきちんとした管理体制は必要 であると思います。 ○迫田委員  小寺先生がおっしゃった通りであると思います。それでただ臍帯血移植に関する研究 について、例えば保存の方法であるとか必要であるというのであれば、ちゃんとインフ ォームド・コンセントをして、臍帯血移植、あるいはそのための研究に限ってというこ とを、最初にお母さんやお父さんに同意を得るということが最低限の条件であると思い ます。 ○浅野委員  インフォームド・コンセントが必要であることは言うまでもありません。ところで、 DNA保存の議論ですが、私もこれは避けるわけにはいかないと思っています。将来の 医療の発展ための研究と重要な関わりがあるからです。極めて重要な課題は、どこで誰 が保存するかということになるかという事だと思います。この点は多いに議論をしてい ただきたいと思っております。 ○有田委員  質問させていただきます。臍帯血は移植だけではなく他のいろいろな医療にも使われ るものであるということを、私は日本のお医者さんや学者の方にも聞きましたし、外国 の研究者の方にも聞きました。迫田さんの先程のご発言ですと、移植に限ってというこ とになるのですが、そうしたらこの臍帯血がもっているもっと沢山の移植以外の病気に 使われるという国民の希望にも似たような、そちらの方の研究に対する臍帯血の使用と いうのは、バンクができてからどうなっていくのでしょうか。 ○齋藤座長  その辺は未知な部分が多いわけです。将来20年後にこういうことに使えるということ までを含めてインフォームド・コンセントを取るということは非常に難しいと思うので す。ですからそれはそういう時がきたら、またやり方を変える以外にはないのではない でしょうか。 ○浅野委員  これに関しては将来の課題と要って逃げるわけにはいきません。産科等と血液等と免 疫等、遺伝等、倫理等の先生を集めた基礎研究班を発足させて検討する必要があるので はないでしょうか。 ○迫田委員  研究は研究で別にちゃんとして、今までのように臍帯血を同意をしてくださる方から いただいて研究はしていただくということで、このバンクはあくまでもこの患者さんの ためという形で作られるものであるということを、ちゃんと確認をしていただきたい。 これを本当に他のことで使われたということになると、信頼性にかかわって全てがおじ ゃんになってしまうと私は思います。 ○齋藤座長  そうですね。 ○小林局長   現在政府が国会に法案を作って、大体原則として5年後の見直しというものを入れて おりますので、そう先の分からない話は、今のところはここまでというのを決めておい て、5年後の見直しを皆でやりましょうと確認をしておくことが一番いいのではないで しょうか。あまり先のことまで全部を決めるというのは、わからないわけですからね。 だから当面は、臍帯血で採ったものは全て患者さんのためにつかう。または臍帯血の研 究推進のための研究だけに使うというところで止めておいて、それ以後のことについて は、5年後の見直したときに、その時の学問を見て、また再度、皆で考えましょうとい う形にされるというのはどうでしょうか。そこまで決めることの方が問題が出る。また その時には国民の皆様も段々とご理解される。国民の皆さんに科学者の意見だけを押し つけるというものも、実際には難しいと思いますので、そのようにお考えになったらい かがですか。 ○齋藤座長 はい、ありがとうございました。今議論は自然に個人情報の保護の方にいっておりま す。個人情報にもいろいろあるわけです。HLAのような共有化できるものと、一方名 前とか住所とか赤ちゃんの健康状態のように共有できないもの、しかしそれもある期間 はフォローする必要があるものを、どこで誰がどのようにもっているのかという、非常 に骨髄バンクとは違った難しい面があると思います。この点についていかがでしょうか 実際に臍帯血バンクをやっておられる加藤先生何かご意見はございますか。 ○加藤委員  比較的はっきりと目の前に見える情報と、隠された情報とがあります。先程のDNA の情報などはそちらに属すると思います。目の前に見える情報については、それがダイ レクトに繋がらないような管理の体制を必ず作るというのは大原則だと思います。その ことは、当然ここで確認しておくべきことで、またそれほど議論のいらないことではな いかと思います。 ○小池委員  ドナーへの情報提供というのが非常に大事であろうと思いますが、この場合には本来 のドナーは新生児で、養育をしている母親とどっちが本当のドナーであるのかというの は新生児だろうと思います。  一応母親の方に、もし臍帯血の中にインフェクシャスエイジェントとか、ジェネティ ックディスオーダーとか、あるいは薬物中毒とか、そういう問題が見いだされたときに ドナーの方にお伝えする必要があるのではないかと思うのですが、いかがでございます か。 ○齋藤座長  ある意味で献血の時のと似てますよね。草刈先生ご意見はございますか。 ○草刈委員  献血に関して一番困るのは、警察の方からこの方は何月何日に献血したのですか、あ るいは血液型を教えてくださいというときに、医師法による守秘義務だけで対応してお ります。だから今後行政が血液事業法を作るとすれば、その中にきちんと入れていただ かないと守秘が果たせないことになりますということです。  先程の研究ですが、人工血液を開発している方々の中に、時々臍帯血だから研究に利 用したりすることは安心だという御意見がありますが、そうではなく、そのことも文書 による了解をとるべきだと思っております。ですから小林局長のおっしゃったように、 例えば5年間の間にどのようなことで研究や開発に使われたのかということを、ちゃん と洗いなおして、その間のいろいろなケースを見てみて、ガイドラインが作れるはずで す。慎重にスタートして、見直しには5年後くらいがいいのかなという気がします。  臍帯血を採取して保存する前に、感染症などの検査をしますが、その情報をお母さん 側にフィードバックするのかどうかは大変慎重に検討しなければなりません。また、お 母さんに伝える方がどなたかということによります。臍帯血提供から時間がたつと、医 療が続いているのかということです。その辺は参加側からご意見を伺いたいと思います 医師として、医療行為があって、その中でなら医師の義務としてあるかも知れませんが 大分時間が経って、後で分かったことを伝える責任は誰にあるのかということによりま す。しかも、それは癌の告知と同じで、その患者さんにとって益することなのか良いこ となのか悪いことなのか、告知という問題は、その患者さんが伝えられたことによって 受けるメリット、社会的あるいは医学的ダメージを勘案し、ダメージの場合でも一緒に なって恐らく亡くなるまで分かち合うことができる方がするべきであると個人的には思 っておりますので、このようなことが分かりましたので通知しますということでの一片 の通知は、絶対にやってはならないと思っております。 ○有田委員  草刈委員の今のご質問は私も出したいと思っていました。若いお母さんたちと沢山の 勉強会を重ねている中で、必ずその質問をします。そうしたらお母さんたちの殆どの方 は、病気の方を助けるために提供したのであって、知りたくないということです。また それは別の問題であるということをいっておられます。そいう意見が多くあったという ことをご報告しておきたいとおもいます。 ○中林委員  私ども産科の方では、全く健常と思われる人に対して、当然いろいろな感染症の検査 をします。この感染症の検査はご本人のためと同時に、医療従事者を保護する。手術そ の他がありますからね。その意味でも行います。そのときは当然患者さんにインフォー ムド・コンセントとして、このような検査は本人及び医療従事者のために行います。た だし、その結果をこの項目については知りたいか、知りたくないかということを、イン フォームド・コンセントをする時に記載していただきます。 ですから恐らく今回は臍帯血を採って検査をして、分かったことについて知りたいか どうかということについては、恐らく作業部会等で項目を作ってご検討いただければい いことではないでしょうか。 ○齋藤座長  そうですね。どのような検査をするのか、あるいはその結果を知りたいかどうかとい うことも、当然最初のインフォームド・コンセントに含まれるわけですね。  時間が超過しましたが、普及啓発及び従事者研修の問題もあります。これは骨髄移植 恐らく末梢血移植も始まるでしょうし、臍帯血移植を含めて一緒にやるような共通のと ころは共通にするというようになると思いますが、高橋委員いかがでしょうか。 ○高橋委員  前回も申し上げましたが、是非、座長がおっしゃったような方向で検討していただき たいと思っています。今インフォームド・コンセントの話が沢山でましたが、大変重要 なことだろうと思うのです。実際に治療を受けられる方々が、医師からだけのインフ ォームド・コンセントだけで満足されるわけではないと思うのです。その意味では手助 けしてくださる方からもいろいろな情報を取りたいというのが真情のように思うのです  ですから従事者全体が、きちんとした共通理解の上に仕事をしていかないといけない と考えています。特にコーディネーターの役割は重要だと思います。臍帯血の方では コーディネーターはいらないと言うお話がこれまでの委員会では出てますが、私はその ようには思ってなくって、臍帯血移植でも大変に重要な役割を果たす人であると思いま す。両方がきちんと分かっていることで手助けできるのだろうと思うのです。いろいろ な利点と欠点があるわけですから、その辺をきちんと説明できるということが重要であ るわけです。  したがって、基本には、倫理というようなベースになる基礎を学ばないといけない。 あっちでもこっちでも勉強するというのは大変に不合理と思っているので、ぜひそのよ うに進めていただきたいと考えております。 ○齋藤座長  ありがとうございました。では一応議論しておくべき項目のうちの管理責任、あるい は所有権の問題は次回にして、議題2の運営組織の枠組みに入りたいと思います。 ○陽田委員  作業部会からの検討依頼項目の適応評価についてです。適応基準に照らしては飛ばさ れたのですが、この文書を読んでも私は意味がわからないのです。 ○齋藤座長  これは一部を上の臍帯血移植と骨髄移植との関係、あるいは適応疾患のところで議論 しました。要するに最終的に100 %主治医と患者さんが決めるのか、あるいはある程度 第三者機関で基準を作っておいて、アドバイスをすることかと思います。 ○重藤補佐  事務局から説明をさせていただきます。まず一つには臍帯血移植の適応疾患がござい ます。その時に患者さんと主治医の方が欲しいといって、そのまま評価をせずにあげる 例えば乳癌で使いたいから欲しいとか、膠原病で欲しいといったときに、欲しいといっ た方には必ずどうぞといって直ぐにあげればいいのか、それともいったん、そういうこ とが適応疾患か否かということを評価するような組織が必要かどうかということでござ います。そうした紹介があったときに、お答えをして、欲しいといったものにすぐにあ げるのか、それとも第三者機関が適応疾患なり、基本的原則にかなっているのかどうか というのを一応チェックをかけるのかどうかということでござます。 ○迫田委員  なぜ突然乳癌が出てくるのですか。そういうことはあるという想像をしていらっしゃ るわけですか。これは臍帯血移植のものでしょう。 ○陽田委員  僕が質問した、この文書の意味がわからないというのは、第三者機関が評価するのか あるいはということで繋がっているのですが、後ろは移植医が移植を決定するのかとな っているのですが、評価することと決定をすることは違うと思うのです。それをあるい は、という言葉で繋いでいる。どういうことを言いたいのかよく分からないということ です。 ○古市委員 違うことですが、検討すべき項目の中で、一つ私が忘れているのかも知れないのです が、提供した後の子どもの健康管理のフォローアップを、どこがどういう仕組みでやる のかということをしておかないと、日本の場合には掛かりつけ医が決まっているわけで はありませんので、行方不明になってしまうので、それを決めてやっていただいたらど うかということです。 ○齋藤座長  ありがとうございました。 ○浅野委員  先程の問題は、第三者機関というのがよくわかりません。あくまで、適応はよく情報 を持っている患者と移植医が相談をして決めるものではないでしょうか。この場合の情 報提供は学会が担うことになると思います。学会の責任は、科学的な解析を行って、で きるだけ迅速・早急に正確な情報を全て公開することだと理解しております。  また、いつまで誰がフォローするのかということです。提供者の権利と秘密の保護の 問題等がからんでいます。6か月でいいのどうか少し議論をしていただいた方がよろし いのではないかと思います。 ○齋藤座長  勿論、現実に今は6か月フォローしているわけですよね。ただそれが1年がいいのか 6か月がいいのかというのは議論をしても、今の時点では決まりません。少し推移を見 つつやるしかないでしょうね。根拠がないわけですからね。 ○浅野委員 ただ先程のDNAの問題もありますから、5年先に見直すという単純な問題ではない と思っております。 ○齋藤座長  では(2)の運営組織の枠組みについてです。古市委員から臍帯血移植、骨髄移植の専 門ではない委員が沢山おられるので、今までもいろいろな形でこれは出ておりますが、 どこが同じでどこが違うのかわかるような資料というので資料2が出来ております。  これは今までも各委員の方からそれぞれ出されましたものと良く似ておりますが、事 務局から説明お願いします。 ○重藤補佐  資料の2です。臍帯血移植と骨髄移植の流れ図(案)というものを説明させていただ きます。簡単にまず図式したものですので細かい項目は入っておりません。概略だけ取 り上げたものです。左側が臍帯血移植、右側が骨髄移植ということで、それぞれレシピ レント側とドナー側と分けてございます。  まずレシピエント側でございます。造血幹細胞の適応患者さんというのは、骨髄移植 でも臍帯血移植でも同じでございます。患者さん及び主治医が、公開している臍帯血及 び骨髄移植ドナーのHLA型のデータベースに照会をかけます。するとHLAを見て、 骨髄のドナーがいるのかいないのか、臍帯血があるのかないのかというのがわかります  まず左側にいきます。そういうサーチをかけたときに、骨髄移植のドナーがいない、 または病状から臍帯血移植が必要という患者さんの場合には、臍帯血バンクにHLA型 が合う臍帯血の存在を確認の上、臍帯血バンクに登録をいただきます。正式に臍帯血バ ンクのデータベースで検索をして、移植の実施ということになります。その後、患者さ んについてフォローアップという作業がございます。  レシピエントの骨髄移植でございます。右です。公開している臍帯血及び骨髄移植ド ナーのHLA型のデータベースに照会をかけて、骨髄移植のドナーがいるということに なりますと、骨髄バンクに登録をしていただきまして、骨髄データセンターに正式検索 をかける。コーディネーション作業が始まりまして移植です。それからフォローアップ ということになります。  それから待機中に病状が変化しまして緊急に移植が必要ということになれば、もしH LA型の合致している臍帯血がある場合には、臍帯血移植の方に流れるという形でござ います。  ドナー側でございます。臍帯血移植の場合には、ドナー側が臍帯血の採取・分離・一 時的な保存を行う。それから採血したものから検査をしてHLA型の検査とか感染症等 の検査を行います。それぞれ提供いただいた児の6か月の健康調査というものを行いま して、その後でHLA型データの正式な登録と正式な保存を行って、移植に繋がるとい う流れ図でございます。  一方骨髄移植の場合には、ドナー希望がありますと採血・ドナー登録を行いまして、 HLA型の検査、臍帯血等の検査、HLA型のデータ等の登録をしましてコーディネー ションで提供するということであれば、骨髄液の採取、移植とドナーの健康状態の調査 という流れ図でいくという概略でございます。以上でございます。 ○齋藤座長  ありがとうございました。この図はお互いに補うというか、双方的に働くようなシス テム、しかも時間的にも移植のドナーがいない場合、あるいは待てない場合には直ぐに 臍帯血にいけるというようなシステムになっております。一応作業部会では了承されて いると聞いております。何かご意見はございますでしょうか。 ○陽田委員  上から2番目です。一番上が主治医で矢印になっていて、公開している臍帯血及び骨 髄移植ドナーのHLA型データベースとなっていますが、この公開しているという意味 は、主治医が直接検索できるという意味で受け取ってよろしいのでしょうか。直接検索 できなければ公開していることになりません。検索依頼書等を提出してお願いして検索 していだたくのではね。 ○小寺委員  誰もそれに答える人はいないのですが、私は骨髄バンクに関連しているということで お話をします。つい最近です。この前の検討会のときに、迫田委員から質問があって私 がお応えをしました。まだ完全な初期検索ではないのですが、骨髄の場合にどれだけ適 合ドナーがいるのかということは、わかるようになってます。それと同じように、臍帯 血のHLA情報も開示されるという前提での考えだと僕は解釈しております。 ○重藤補佐  事務局がここに記載させていただきましたのは、今の骨髄移植としての流れと、将来 臍帯血バンクができた後の将来的な流れと、二通りが議論としてあると思います。今の 骨髄移植の体制としては、国際関係のところで今日報告した骨髄のHLAの方の何型が 何人いるのかということでお知らせできるということでございます。将来、こうした臍 帯血の事業を立ち上げたときにどうするのかというのは、またご議論いただければよろ しいのではないかと思っております。 ○陽田委員  これからの議論であるということであれば結構ですが、こういう公開しているという 言葉を使う以上は、事務局の手を経ないで、検索できるということが公開であると思っ てます。  つい最近、BMDWの予備検索というか、それを主治医に完全マッチのものだけを教 えていたということが、判明しました。情報を与えるというところに事務局が加わりま すと、手を加える可能性がありますので、公開しているということは手を加えない情報 を与えるという意味だと私は解釈しておりますので、その辺の使い方を気をつけていた だきたいと思います。 ○迫田委員  多分この先の組織を考える上で、ちょっと参考にさせていただきたいので、お伺いし たいのです。今行われている右側の骨髄移植の方で、草刈先生にお伺いしたいのですが 日赤が直接関わっておられるのは、この四角で括っているうちのどれでしょうか。かな り沢山をやっておられるような印象を受けたのですが、どこを日赤がやっていらっしゃ ることになりますか。 ○草刈委員  前に説明したのですが、骨髄データセンターの部分をやらせていただいております。  ドナー側は採血ドナー登録をさせていただいています。検査は当然です。データの保 管もそうです。感染症はやってません。HLAだけです。というのは骨髄ドナーの場合 には、今登録しても2年後とか3年後に感染症にその方が新たにかかるかも知れないと いうことがありますから、それは骨髄移植を実行するときにやっていただくことが合目 的であるということです。 ○齋藤座長  時間の関係で先を急ぎます。今回青木委員・小寺委員・陽田委員より資料が出ており ます。まず青木委員からなるべく簡潔にお願いします。 ○青木委員  前回私の方で資料提出をしましたのは、臍帯血移植に対する項目を羅列させていただ きました。そろそろ厚生省の方も来年度の予算を考えないとならない時期が参りました ので、具体的にいくらお金がかかるのかということを検討しないといけないだろうと思 います。これは事務局が本当はなさるべきことでしょうが、しゃしゃり出て申し訳ござ いません。一応、費用の点での24円にいたるまで拾いだしてみました。  先程の原先生のご指摘で不足している部分がありますので、この後、このたたき台が いいのかどうかは別としまして、足りないものを補充していただいたりしながら、一体 どれだけの経費がかかるのかということを、参考までに提出させていただきました。  臍帯血バンク事業をやるということはまず建物が必要である。私は当面2,000〜3,000 あるいは10,000程度の保存のためには、100 坪程度であろう。ただし自家発電装置を完 備している。地震で倒れない建物ということを考慮すべきであろうということです。設 備は無菌設備が必要です。備品としては、当面1,000 検体というのか、標本というか、 袋というのか、その辺の呼び方ははっきりしてませんが、臍帯血の単位をここでは検体 と表してます。とりあえず1,000 を処理するための備品と無菌室ということを前提とし て考えております。  医療用具がこういうものがかかる。この医療用具の中で、無菌接合機という1台が200 万円くらいするのが抜けているというご指摘を先程いただいております。  輸送・解凍に関するものは、輸送用ケースは液体窒素用のタンクですが一個30万円す るのですが、これが必要であろう。温浴槽というのは解凍と洗浄をどこでするのか、す る場所で必要です。移植施設でするとすればこれは移植施設に必要なものであります。  消耗品です。この臍帯血バックセット50,000円となっておりますが、これはアメリカ のパテントのものを使うとすれば、今は開発費用が非常に高いので、少数を使う場合に は非常に高い値段になっておりますが、使用量が増えればコストダウンしていくもので ございます。  1割程度の検査落ちがありますので、採取は1,000 を保存するとすれば1,100 採る必 要がある、そのための原料費の計算をしております。あくまでもこの検査の国際基準と いうのは、今は母親側の一般的な安全性の検査はやらないといけない。妊娠した当初の ものですと10カ月たった後ですから、お産のときにはしないといけないだろうというこ とです。それから臍帯血の安全性の検査も勿論でございます。  母親側のHLAの検査もしないといけないだろうということが今は言われてきており ますので、これが23,000円です。臍帯血側のHLAの検査は勿論です。後で出てきます が、供給するときに臍帯血のHLAの検査をもう一度しないといけないということにな りそうだということですので、これはとり違い・その他の防止・その他で当然必要にな ってくるだろうということで、これは下の3)のところに入れてございます。  分離・保存に関するものが2)でございます。手袋とか注射針とかいろいろ拾うとこれ くらいになります。 3)で供給・解凍に関するものは、これは恐らく医療機関側で解凍して洗浄するのでし ょうが、アルブミンとかデキストランとかいろいろ必要ですので、これを移植医療機関 での経費をどちらが持つのか、こういう問題も将来出てくる問題であろうと思います。  回収と供給経費です。これは1,100 集めれば、1,100 回、年間に医療機関から回収し ないといけない。こういうことが忙しい仕事として出てまいります。供給については、 隣接圏は車でもっていけるでしょうが、そうではないところには飛行機で運ぶ、あるい は海外への輸送が経費として出てくるはずです。誰が負担するのかという問題は当然出 てまいります。  人件費、これは大雑把ですが3人くらいいれば何とかなるのではないか、お医者さん もいないといけないのではないかということで、果してこの人件費でお医者さんが雇え るのかどうかはわかりませんが、一応載せてございます。これに載せてない経費として は、感染性廃棄物の処理料とか光熱費とかいろいろそういうものも出てまいります。  もう一つ、採取医療機関で必要な備品というのがあります。これは娩出前に採るのか 娩出後に採るのかで、使う備品や用具が違ってまいります。9)1)は娩出後に採取する ということを前提にして、こういうものを一つの医療機関で61万円くらいの備品を準備 する、もしくはお貸しする必要が出てくるのであろうとういうことです。  採取するための消耗品、手袋にいたるまであげるとこいうことになります。もし医療 機関に採取していただくことになれば、1検体あたり1万円くらいの手数料がかかるの かなということでございます。  これを先程のどういう条件でどれだけ採取して保存するのか、そういうことと、それ がどれだけ供給されるのかということが決まって参りますと、自ずから金額の計算がで きるのではないかというのが、この一覧表のご利用の仕方であると思います。  仮にHLAの1ローカスミスマッチの場合で、大人にも使えるような量が全て保存さ れている、将来大人にも使えるということを考慮しますと、例えば初年度で1,000 、2 年度以降から2,000ずつ集めて、その在庫分に対するワンローカスミスマッチの対象%で いけば、適合分がこれだけになる、うち子どもがどのくらいだということでありまして これが単なる、あらゆる条件を無視した一覧表でございます。  次のページ、十字先生の日本輸血学会雑誌に発表されている数字を1,000 ずつの単位 で分解して表を作りますと、1ローカスミスマッチの%はこういうことであろうという ことであります。 検討すべき課題につきましては、先程の検討すべき課題というところで殆ど出ており ます、それがコンクリートになりますと、経費の計算もできるであろう、保存期間も大 事であります。5年間で廃棄するのか10年使えるとするのかということも適合の数の計 算の上で非常に重要であるということが言えます。  あとは実施主体は既存施設を使うのか新設なのか、これを具体的に個々の項目につい て検討すれば、即できるようなところなのか、建物から準備しないといけないところな のか、それによって相当違ってくるだろう。つまり建物があるのかないのか、産科から の24時間の回収能力があるのかないのか。分離・冷凍技術・設備・人員があるのかどう か。資金の問題は国の補助で100 %できないだろうと思います。自己資金と寄附金の見 込みがあるのかないのか。そういうことを具体的に検討すれば、いろいろなことか見え てくるだろうと思います。まず予算要求に必要な金を決めていただくというのが先決で はなかなうかというのが、今回の提出の資料でございます。 ○齋藤座長  ありがとうございました。大変に細かい数字まで具体的に出していただきました。何 か今のご報告にご意見ご質問がありますでしょうか。それでは次に小寺委員お願いしま す。 ○小寺委員  最初にこれは私の私案でございまして、決して骨髄移植推進財団の組織案ではござい ませんので、予めお断りしておきます。  日本造血細胞バンクということで、従来の骨髄バンク事業と、ここにはデータセン ターと書いてありますが、データバンク事業と置き換えていただいてもいいのです、そ れにもう一つ臍帯血バンク事業というものを加え、全体として日本造血細胞バンク、も しくは日本造血細胞移植推進財団という考え方であります。  日本造血細胞バンク全体の、または共通の機能と業務としましては、ここに書いてあ るように多くございます。1)国庫補助の受入れ。2)寄付行為。3)2事業1センターへの 予算配分。4)造血細胞移植全体の普及・広報。5)HLAデータ集積と開示・照合。6)患 者登録・受付・適応判断。7)施設認定等。8)移植成績集積・評価。9)造血幹細胞の採取 (骨髄)・保存(臍帯血)施設から移植施設への運搬。10) 患者相談。11) 国際協力。 この辺は共有する事業であるということです。  骨髄バンク固有のものとしては。1)骨髄ドナーリクルート。2)コーディネーション。 3)ドナー検診。4)骨髄採取。5)ドナーフォローアップ。というものがあります。  臍帯血バンク事業固有の機能・業務でも、1)母親への依頼・同意。2)産科の協力。3) 臍帯血採取・保存施設への運搬。4)保存。5)品質検定です。ここに乳児のフォローアッ プというようなものが入るのだろうと思います。  こういうことでそれぞれ共有する部分は共有し、独自の部分は独自に運営していくと いうのがいいのではないかと考えたわけであります。  公共性・広域性・公平性というのは、骨髄バンク事業が始まるときに最初に掲げられ た原則でありますが、そういうことを考え同時に全国的な普及ということを考えますと 一個の臍帯血バンクが日本にあればいいという考え方もあるかも知れませんが、少なく とも5ブロックくらいで、地域の基幹臍帯血バンクというものを作っていただき、それ に依拠した日本臍帯血バンクという臍帯血バンク事業というのが行われるのが現実的で はないかと考えました。  次のページです。その組織図です。恐らく財団ということで名前は変わりますが、日 本造血細胞移植財団と仮にし、そういう恰好で運営されると仮定しますと、理事会、評 議員会というのは欠かせませんでしょうし、実務を担当する合同運営委員会というもの も必要かと思います。この運営委員会というのはそれぞれ2事業1センターの各委員会 の代表からなるという恰好にしたらどうかと考えました。共通のものは、財務、普及・ 広報、医療、この医療というのは患者登録とか判定ということになりますが、それから 国際協力、患者相談、データセンターということになります。  骨髄バンクの方からはコーディネート委員会、ドナー安全委員会というのがあります ので、そういうところから出ていただく。臍帯血バンクの方は産科のドクターの委員会 プロセッシング、保存、品質検定等に関する委員会ができると思うので、そういうとこ ろから合同の運営委員会を開き方針を決定していけばいいのではないかと考えておりま す。  2つあります。中央事務局と地域事務局と書いてありますが、これは本来ですと全て の委員会に密接してあるわけで、図が複雑になりますので、あえてこのように独立して 書いたわけであります。あくまでもこれは組織の中に入り込んだ恰好です。地域の方が あたかも縦割りでバラバラのように見えておりますが、私としては各地域それぞれの地 域ごとの造血細胞バンクに関わる支部に近いような機能をもったものができ、地域の特 性を生かした活動が行われればいいのではないかと考えております。  3つポイントがあります。一つは理事会・評議員会が関係各層、地域の代表等を任期 制できちんと選ばれるべきであろうということと、非常にアクティブなものにならざる を得ないということは、最初から覚悟をしていただくということです。もう一つは、そ うはいっても月一度以上は集まる執務者の連絡会議が必要で、仮にそれを合同運営委員 会としますと、理事会の定めた範囲内での諸事項に関して、運営委員会はある程度の決 定権を有するとしていかないと、運営ができないのではないかと思っております。  もう一つは、中央・地域の事務局は理事会・評議員会並びに各種委員会業務対応の専 任事務局員を、事務局業務は何であるのかというのを理解していただいた上で、そうい う人が専属に配置されるということが望ましいのではないかと考えております。  最後のページです。いろいろと問題になっておりますHLA情報の流れです。陽田さ んに言わせるとHLAは権力であるとおっしゃっておりますが、私はHLAというのは 骨髄ドナーのHLA、臍帯血のHLA、臍帯血の場合には実際には現物も物もあるわけ ですが、これはやはり日本国民の共有の非常に意味のある財産であるという考え方に立 っております。  したがいまして役に立つものではありますが、そこで権力を発生させるような使い方 というのはまずいだろうと思います。実際には右の方に地域血液センターというのがあ りまして、そこに骨髄ドナーに関するHLA情報と個人情報がございます。これは現在 の日本骨髄バンクはこのようになってます。HLA情報のみが中央血液センターのデー タセンターの方に来るということになっているわけです。臍帯血バンクができても地域 臍帯血バンクの中に臍帯血に関するHLA情報と個人情報があるわけですが、そのうち のHLA情報のみが中央に来るというふうにすればいいのではないかと考えております  どの程度の情報がくるかによって、全て開示できるのか、それともレベルI・IIくらい に分けないといけないのか、これは実際にやってみないと分からないのですか、少なく ともレベル1というものに関しては、開示・初期検索が臍帯血・骨髄ドナーともに一気 にできるというのが望ましい。その後、適合したものがあれば正式検索という方向に行 くのがいいのではないかと思っております。  これは私の私案ですが、こういう恰好でもし日本造血細胞バンクができれば従来の骨 髄バンク事業というものも、発展的にいろいろな意味で改組が必要であろうと思います し、ここには斉藤先生、浅野先生、草刈先生、骨髄移植推進財団の理事の方もおみえに なりますし、今までの議論に参加してらっしゃるものですから、そういう発展的な意味 での改組という意味では、臍帯血との絡みによって、今後討議してもいいのではないか 思っております。以上です。 ○齋藤座長  ありがとうございました。大枠では今まで出されました加藤委員のご意見、あるいは 浅野委員のご意見とほぼ同じだと思います。細かいところについては10人いれば10人で 細部は皆さん違うと思います。大まかなところでのご意見はいかがでしょうか。 ○原委員  小寺先生に教えていただきたいのです。開示という意味です。先程陽田さんもお聞き になりましたが、例えば今ホームページを作って、それを主治医あるいは患者家族がア クセスできるというような計画は骨髄バンクの方にはあるのでしょうか。 ○小寺委員  勿論、計画というか討議はしてます。今ボーンマローワールドワイドを介して戻って くるデータは、これは2か月に一度ずつリニューアルされたものが戻ってくるのですが これに関してアクセスするキーワードは基本的に希望される移植施設に配るという方向 に今はいっております。ただ過渡的なので、財団でそのサービスを行いますということ でやっているわけです。その結果、実は6分の6マッチしか紹介してくれなかったとい うのですが、これは十分にそこまで討議してなくって、日本骨髄バンクの日本バンクの 中のドナーに対しては今は6分の6適応しかドナーとして上げてませんので、そこで一 応区切ったというだけのことです。全部キーワードを渡せば、否応なしにオープンにさ れますので、そういう方向にいっております。  国内のものについてはこれはデータセンターの方から2週間に一度、データをいただ いてリニューアルして、財団の方からお知らせするということをやっているのですが、 これをインターネットに載せるとかについては、まだ検討中なのです。今ここではお答 えできないということです。 ○原委員  するとBone Marrow Donor World Wide介してはアクセスできる可能性は間もなく来る だろうということですね。 ○小寺委員  日本骨髄バンクは2か月に1度のリニューアルですが、できると思います。 ○原委員  是非それを推進していただくと共に、もう一つ、先生のお話の中でお聞きしたいこと があります。どこかで患者家族あるいは患者の意思を尊重するというプロセスがどうし ても必要だろうと思うのです。どうしても臍帯血移植をしたいという方もありますし、 あるいは移植も全くしたくないという患者さんもあれば、バラエティーは非常にあるの だろうと思うのです。  その意味で、それをどこかに保障するシステムを考えていただけたらなと私自身は思 っております。それだけ一言付け加えます。 ○迫田委員  今の小寺先生のお話はとても分かりやすいと思いました。それで、特に今最後におっ しゃったHLA情報の流れの図のところですが、多分この中央の造血幹細胞バンクの データバンクには、ここには本当にオープンにして良いデータだけがいく、それぞれの 臍帯血バンクと骨髄バンクには個人情報が入っているという、その形が一番良いのでは ないかと私は個人的に思いました。というのはドナー側とレシピエント側、レシピエン ト側はデータセンターにコンタクトを取る。ドナー側はそれぞれの臍帯血バンクであり 骨髄バンクの方に提供するという形で、そこで非常に透明性が確保される仕組みになる のではないかと今伺っていて思いましたが、そういう理解でよろしいのでしょうか。 ○小寺委員  あまり深く考えてこれをやったわけではなく、今の骨髄バンク事業の方が、地域血液 センターに個人情報があるのです。中央センターにはないのです。ですからそれをその まま踏襲すればいいということであって、実際に僕はそれ以上のことは中央で何もやる 必要はないのではないかと思っております。 ○有田委員  これは、日本造血細胞バンクは今ある日本骨髄移植推進財団を廃止して、また新たに 作りなおすということでこの案は考えられたのでしょうか。 もう1点です。5つのバンクという予想をされているのですが、幾つ臍帯血を溜める のかということに絡んでくると思うのですが、一つ一つのバンクに対する国から出され るお金の配分は、どうなるのかということを教えてください。 ○小寺委員  第2回目の検討会以降、財団としましては成績を主として出してきましたが、それが 私どものいろいろな財団の批判に対する僕は答えであると思っております。ようするに 事業としていろいろと問題はあっても、これは少なくとも現存するものの中では、世界 的にみても第一級の仕事をやっているという組織を、今、解体するというようなことは 一切僕は考えておりません。  ただこういう事業をもし加えれば、必然的に変わらざるを得ないし、その変わらざる を得ないときに、今までご指摘のあったいろいろな問題点を変えていくというのは、非 常に良い機会ではないかと考えているということです。  地域のことにつきましては、これも僕はこの程度に考えたというだけであって、これ は後で中で考えればいいことだと思います。 ○齋藤座長  そうですね。財政的な基盤その他は今後の議論になると思います。では最後に後10分 くらいですが陽田委員お願いします。 ○陽田委員  前回と前々回と2度資料を出させていただきました。どうもお金の部分をはっきりと 議論しないと、組織の全体像が見えてこないということで、今回補足資料として出させ ていただきましたので、この辺のところを是非皆さんにご議論をいただきたいのです。 どういう種類のお金で臍帯血バンクを運営していくのかということを、いろいろ考えた のです。  大体先程の青木委員からの資料でもわかるのですが、3万件くらいのストックがあれ ば、大体8割から9割くらいまでの適合率があるということですので、大体2万件程度 までは初期投資の経費と考えて、それを補助金で行ってはどうか。3年なら3年という 目標を立てて、それまで2万なら2万をストックするということで、時間を区切った形 での時限補助金ということです。すなわち、デッドストック部分に国庫補助で対応する という考え方ではどうか。  ランニングコストというか、臍帯血バンクを動かしていくのに必要なお金については 医療保険の負担で、供給数一件当たり幾らという形で負担をしてはどうか。ストックが 供給数が減った分プラスアルファだけを補っていく。減った分だけを補っていくのでは これ以上増えないので、それの何倍かを補っていくような形で負担をしていくというこ とではどうかというふうに考えました。  ただし国庫補助金というのを入れる場合でも、資金繰りが必ず出てきますので、それ は借入金とか、あるいは保有している資金を使わないといけないのですが、借入金を使 う場合には、数年間同じように補助金で利子補給をしていただいたらどうかという考え 方でございます。先程の供給数の何倍かを補っていくという、あるいは目標数よりもも っと保存を行うという場合の上乗せ保存というか、その辺についても同じ考え方でござ います。  先程僕は質問をさせていただいたところですが、データをオープンにするのかクロー ズにするのかということです。クローズにするとそれだけ人手がいるのです。登録を受 け付けて、それを検索をして報告をするという人手が必要になってきます。完全にオー プンにすれば、事務局の経費が相当減るだろうと私は思っているのです。オープンにし ても何ら問題はないデータであると思いますので、この辺のところをきちんと議論して おく必要があるのかなと思います。ですから公開するということを完全にオープンにす ることで、コストアップを抑えるという意味でこの辺のことを書いておきました。  2枚目でございます。前々回にお出した私のイメージ図が、どうも皆さんになかなか ご理解をいただけない形であったようですので、少し簡略化をして書いてまいりました  左と右でございます。只今の小寺先生からご提案いただいたのは、私がずーと見てお りまして非常に中央集権的な組織づくりであるということを考えておりました。といい ますのは、お金の流れがまず中央にお金が入ったものを地域というか地方というか、そ ちらに分けるという意味において、右側の組織に近いのだろうと思います。  私は今回の臍帯血に関しては、中央で行う業務よりも、地方において地域のバンクで 採取から保存まで、あるいはデータを入力するまでの経費というか労力というか、それ が非常に大きいですので、そこが意思決定をできる、地方の組織として一つ完結した形 で幾つかがネットワークをするということが非常に大事だろうと思っております。  したがいまして、上から4行目の右・左に書いてありますが、人・金・情報の上流に なるか下流になるかということです。この絵の意味しているところは、丸(○)の大き さで権限の大きさを表現してありますが、その意味です。最終的に競争性を導入すると 書いてありますが、この競争性というのは、幾つかの独立した組織があることによって お互いをチェックしあえるという意味で、一つの意思決定機関ではなく、複数の意思決 定機関をもつというのが非常に良いのではないかと思って、この資料を追加で出させて いただきました。以上でございます。 ○齋藤座長  ありがとうございました。いかがでしょうか。 ○浅野委員  今の意見に絡むのですが、臍帯血移植の場合には5〜6箇所の保存施設がインターネ ットでHLAデータの共有と公開を行えます。簡単にアクセスできる中央データバンク になってしまうわけです。このことが運営上でも骨髄バンクとの最も大きな違いをもた らします。私が日本造血細胞バンクをつくればよいといったのは、ただ、国庫補助が受 けられやすいからと思われるからですが、そのようなことをすれば、却って良くないで しょうか。この点についてお伺いします。私も日本造血細胞バンクでは臍帯血の長所が 出にくくなるのではないかということを少しは懸念しています。ですから、それではど う対応するのかということを考えたいと思っています。 ○齋藤座長  一つ陽田委員に質問してもいいですか。このHLAのデータ等をオープンにするとい うのは、確かに情報を必要とする国民全てが共有することができるというのはいいので すか、今一つイメージがはっきりしないのです。臍帯血移植にしろ骨髄移植にしろ、非 常に高度な先進医療ですよね。ですからHLAを皆がアクセスできて、例えば5か所く らいが手を上げた時には、これは早いもの順だという考えですよね。交通整理すること 本当にこの疾患の方が必要なのかどうかということを議論する必要はないですか。全て オープンにしてやったら、早い者勝ちということでしょうか。運用面ですね。 ○陽田委員  それでいいのではないでしょうか。例えば、それをどこかが管理をして、同じものを 何人かがアクセスしてきたときに、それをどう優先順位を付けるのかということの方が 僕は問題だと思うのです。受付順だと思うのです。例えば今の骨髄バンクもそうだと思 うのです。 ○齋藤座長  勿論そうですが、どこか1か所第三者的なところも関与することによって、ある程度 のコントロールという言い方はおかしいのですが、例えば、完全公開したときに、あま り経験のないところでも主治医と家族の方がやりたいと言えば、皆がどんどん手を挙げ て、後になってみたらやや適応から外れていたとか、経験が少なかったとか、いろいろ な問題が起こらないでしょうかね。 ○陽田委員  少なくとも移植の医療機関は認定するわけでしょう。そこで一つの担保はされますよ ね。最初の主治医は移植の認定医療機関ではないかも知れないが、少なくとも移植にい たる過程においては、そういうプロセスを経るわけですから、それは移植の認定医療機 関を、認定するときにその辺のところをきちんとクリアにしておけば、問題はないと思 います。 ○齋藤座長  その場合も、一か所ではないが移植の認定機関が窓口になるわけですよね。ただ主治 医と家族がインターネットに公開されているからというので、早い者勝ちだといって手 を挙げてから移植機関にいくのとは違って、どこかで専門家の集団を通すことによって 始まるわけですから、それが全国に何箇所かあるのと、一か所あるのかの違いだけで、 やはり本当に公開しても、患者さんあるいは家族レベルの公開ではないと思うのです。 ○有田委員  先生方の頭の中に、お医者さんにレベルを付けておられるのではないかと思うのです なぜ中央で交通整理をする必要があるのでしょうか。誰が交通整理をするのでしょうか 移植医療施設として指定を受けたお医者さんというのは、どなたも責任を持って移植医 療ができる資格のあるお医者さんではないのでしょうか。なぜそこで特別時間のかかる ようなものをしないといけないのでしょうか。このへんを聞きたいのです。 ○齋藤座長  区別をしているのではなく、公開しても、結局は患者さんは各移植の認定施設を通し てアクセスをするわけですから、それほど大きな違いではないということをいっただけ で、何も一か所が数カ所よりいいということはいっておりません。 ○陽田委員  主治医と患者が、インフォームド・コンセントに基づいて自分の治療法を選択するわ けですから、別にそれは個々の部分にだけ公開するという発想は必要はないと思うので す。公開するなら完全公開だと思うのです。患者だけで判断できるものではありません から、主治医と患者が一緒に判断をするということではないでしょうか。しかも最初の 主治医とのインフォームド・コンセントに基づく判断と、移植の医療機関においてもま たもう一度それがあるわけで、二度チェックされるわけですよね。それが一度の場合が あるかも知れません、最初から認定機関であればね。 ○齋藤座長  公開しても正式な手を挙げるというのは、移植の認定機関にいってインフォームド・ コンセントを得た段階になると思うのです。 ○陽田委員  それはそうですね。 ○迫田委員  前提だけ確認したいだけです。先程のお話の中に乳癌に使うというのは、これはあり 得ないということでよいわけですよね。他の利用で誰かが利用するというのは、考えに いれなくていいということですね。移植をするのは移植の認定機関であるという前提で 話をしているということでいいですね。 ○齋藤座長  乳癌に使うというのは、適応疾患を広げれば乳癌までが入るわけで、それは今の段階 では、先程の骨髄移植に準ずるということで、まだ入っておりませんね。しかし医学的 な適応としては将来はそうなる可能性はあるわけで、どこかでまた適応が見直されると 思いますね。 ○迫田委員  今はそのことも考えて議論をしないといけないということでしょうか。 ○齋藤座長  乳癌に使うということは目的外使用ではないわけですよね。 ○迫田委員  目的外使用ではないのですか。説明してください。 ○西平委員  例えば小児科の場合ですと、骨髄移植というのは血液疾患だけとか、そういうものだ けだと思えば間違いです。例えば小児科の場合だと、小児癌という固形腫瘍を作るもの があって、例えば神経芽細胞腫など進行した症例に対しては、どんどん骨髄移植、ある いは臍帯血移植もそうですが、それを併用することによってその病気が治る可能性があ るわけです。  ですから大人の場合でも、固形腫瘍、乳癌をはじめ肺癌なども、強力な科学療法ある いは放射線療法をやれば、造血幹細胞を移植をすれば救命する可能性が十分にあるわけ です。それは骨髄移植などもどんどんやっているわけです。乳癌とは限らなくて、そう いう固形腫瘍も適応疾患になるということです。特に小児癌の場合には、白血病以外の ものでもどんどんやっておりますので、実際にそれで成績は上がっているわけです。こ れは当然適応疾患なのです。小児科の病域からいくとこれは常識的なものです。大人の 乳癌が本当にどれだけ骨髄移植を併用した療法で治るのかどうかというのは私は知りま せんが、患者によっては適応になりうる患者はいくらでもいるだろうということです。 ○迫田委員  そこまでの可能性を考えて議論をするべきである、という意見でいいということです ね。皆さんがそういう理解だということでいいわけですね。 ○齋藤座長  そうです。 ○古市委員  それはそこまでいっていないと思います。迫田委員の疑問はもっともだと思います。 適応の7番のところで、「その他必要と認められる症例」とありましたが、これはまだ 検討されていません。今、迫田委員がおっしゃったところまで話が進むのならば、時間 をかけた方がいいのではないのでしょうか。 ○齋藤座長  現在の段階では、その他以外の具体的に名前が上がっている疾患を主に対象にしてま して、しかしながら理論的には可能なんです。 ○関口委員  これの適応は、まず数年間は臨床的な評価を得るというのが条件であったと思うので す。ですから当然適応は限られると思います。ですから今のような大人の皆に適応にな るということは、これが済んでから考えるべきことであると思います。 ○迫田委員  だから全て数を幾つにするとか、何万検体集めるとか、情報を公開して早い者順であ るとか、全て本当はかかわるのだと思うのです。先生方はそれが当然のように思ってお 話をされているのかも知れないのですが、私どもはそれはわからないし、それを一般の 人に伝えるときにも、もしそういう魂胆という言葉は悪いのですが、いずれそういうと ころにいくと思っていらっしゃるところがあるなら、率直に仰っていただいて議論をす べきだと思うのです。 ○齋藤座長  現段階ではそこまでは考えないほうがいいと思います。 ○迫田委員  では今は考えないでいいということでよろしいのですか。 ○齋藤座長  はい。 ○高橋委員  資料2のことをお伺いしたいのです。一番上のところに造血幹細胞移植適応環境(主 治医)とあるわけです。先程、原先生もお話がございましたが、レシピエントの方々が 移植を受けたいとか、いや受けないとか、基本的には個々で決まるわけですね。そして 更には陽田委員のご発言によると、この段階で情報が全てオープン化して情報を検索で きると理解すればよろしいのでしょうか。  私はこの段階はとても重要だと思ってます。ここに主治医というのがあるのですが、 恐らくここにチームがあるのだろうと思っていて、先程研修等のところで申しましたが ここにかかわる人達が共通の理解をもっていないと、大変かなと思っていて、この辺の 論議はこの委員会でなさるのかどうかを伺っておきたいと思ったのです。 ○齋藤座長  その辺も含めて議論をしていくと思います。時間が超過してますが、全体を通じて一 言という方はいらっしゃいませんか。 ○陽田委員  前回の資料の訂正をお願いしたいと思います。 ○齋藤座長  今手元にはないので事務局の方にお願いします。 ○陽田委員  私の資料ではなく事務局から出た資料です。 ○重藤補佐  では事務局に投げていただいて、それを議論してということとしたいと思います。 ○齋藤座長 次回の日程は今日予定を伺ったのですが、まだ完全に調整しきれないので、後日日時 と場所をお知らせしたいと思います。長時間ありがとうございました。 (以上) 問い合わせ先 厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当 重藤(内2361)、眞鍋(内2364)    電 話 (代)03-3503-1711                                    −了−