98/04/13 第5回 臍帯血移植検討会  第5回 臍帯血移植検討会   平成10年4月13日(月) 14:00〜16:20    場所:全社協第3〜5会議室 出席者(敬称略)   青木 繁之   浅野 茂隆   有田 美智世  加藤 俊一   鎌田  薫   草刈  隆   小池 麒一郎  小寺 良尚  ○齋藤 英彦   迫田 朋子   関口 定美   高橋 美智   田島 優子   中林 正雄   西平 浩一   原   宏   古市 圭治   陽田 秀夫  *田中 典郎(骨髄移植推進財団 常務理事)  (○:座長  *:参考人) 議事次第  1.開会  2.議題   (1)骨髄移植の状況について   (2)意見提出者による討議の状況について   (3)その他の検討項目について   (4)その他  3.閉会 ○成瀬補佐  只今より第5回臍帯血移植検討会を開催させていただきます。本日はお忙しい中、ご 出席いただきまして大変ありがとうございます。本日の委員の出欠でございます。平林 委員が都合により欠席とのご連絡をいただいておりますのでご報告いたします。また前 回の会議の中で骨髄移植の状況について説明の要望等がありましたので、本日は骨髄移 植推進財団の方にご出席いただいております。では会議をはじめる前に資料等の確認を させていただきます。  最初に第5回臍帯血移植検討会議議事次第でございます。その後ろが委員名簿です。 続きまして配置図です。次が第5回臍帯血移植検討会議資料一覧です。 資料1 骨髄移植の状況  資料2 意見提出者による検討の状況  資料3 その他の論点  参考資料1 米国骨髄バンクの紹介  参考資料2 各委員より検討会に寄せられた意見  参考資料3 臍帯血移植実施症例(平成10年4月1日現在) 最後にA4版の資料を4枚ほど先程配付しました。何か不備等がございましたら事務 局の方にお申しつけいただきたいと思います。以上でございます。 ○齋藤座長  では議事に入らせていただきたいと思います。大変お忙しく、しかも蒸し暑い日に出 席ありがとうございました。本日は5回目です。今までにもいろいろな角度から活発な ご討議をいただきましたが、本日も今から丁度2時間かけまして行います。主な議題が 3つあります。最初に骨髄移植の状況について、長くても40分くらいでこれを済ませて 次に現在いろいろな運営組織のあり方について討議が行われておりますので、これを1 時間くらいかけ、残った20分でその他の検討項目という配分でいきたいと思います。よ ろしくお願いします。 ではまず最初の議題です。骨髄移植の状況につきましては、前回、迫田委員・小池委 員から運営状況について説明をいただきたいというご要望がございました。今までにも 臍帯血移植との異同、その他で説明をしてきておりますが、造血幹細胞移植という中で は最も長い経験のある骨髄移植について、より一層理解していただくために資料を用意 していただいております。では事務局の方からお願いします。 ○重藤補佐  資料の説明をさせていただきます。資料1でございます。骨髄移植の状況でございま す。最初は目次がありますように、大変に膨大な資料でございますので、これをゆっく り説明しておりますと議論の時間もなくなると思いますので、簡潔にご説明をさせてい ただきたいと思います。  ご質問等、後で細かいことで説明がご必要な点は申しつけいただければ、ご説明を申 し上げたいと考えております。  1ページ目でございます。骨髄移植関係の経緯です。平成元年10月からの東海骨髄バ ンクの発足から、平成9年9月日米骨髄バンク間における骨髄移植第1例の実施まで、 時間によっていろいろな出来事を網羅しております。  2ページです。骨髄バンク事業の概要です。これはこれまでも資料としてお出しして きた資料でございます。これの言葉を絵にしてございますのが3ページ目でございます。 3ページ目でお分かりの通りに、骨髄移植推進財団が日本赤十字社の協力を得て、日本 の骨髄バンクの推進をしているということでございます。患者さんの受付窓口と登録窓 口は骨髄移植推進財団、コーディネーター業務も骨髄移植推進財団が行っております。 ドナー側の骨髄提供希望者のHLA検査・登録・データの管理等、日本赤十字社の協力 を得て実施しているところでございます。患者側が主に骨髄移植推進財団、ドナー側が 日本赤十字社ということで行われている模式図でございます。  4ページ目です。こうした流れにのって、白血病等の骨髄移植が必要となる患者さん の骨髄細胞の供給をしているわけですが、それの成績でございます。それは5ページ目 からでござます。カプラン・マイヤー法という統計的な手法を使って生存率を出してい るところでござます。まず疾病ごとと病気ごとの分類に分けて、図に表示されておりま す。  5ページ目の上の段は急性骨髄白血病でございます。第一寛解期で74%の生存率、第 二寛解期で60%、第三寛解期が42%、非寛解期が26%ということでございます。  下が急性リンパ性白血病でございます。第一寛解期が67%、第二寛解期が42%、非寛 解期が24%ということでございます。  6ページでございます。慢性骨髄性白血病の成績でございます。上の段で第一慢性期 が51%、加速期が49%、急性転化期が12%ということでございます。非血縁者間骨髄移 植後の生存率ということで分けてございます。遺伝性疾患で56%、骨髄異形成症候群で 31%ということでございます。  7ページです。重症再生不良性貧血です。15才以下と16才以上と分けてございます。 15才以下が77%、16才以上が45%です。急性GVHD別の成績も出ております。  8ページに年齢ごと、リスクごと、9ページでは総括表を上げてございます。以上が 成績ということでございます。  10ページでございます。ここで提供しましたドナーの健康状況についてでございます。 ドナー数が1,376 名を集計しております。11ページでございます。ドナーの健康状態で す。特記すべき症状ということで出ております。1.骨髄採取の針の破損で皮膚切開を 要したものが8例。2.骨髄採取部位の痛みが長期に及んだ例が5例。3.義歯・歯牙 損傷が3例。4.採取過剰により貧血等による回復遅延例が2例。5.骨片化膿・切開 が1例。6.硬膜外麻酔による強いめまいが1例ございます。これにつきましては、財 団の方で適切に対応しているところでございます。  13ページでございます。このようなドナーのフォローアップを財団の方の委員会でき ちとやっておりまして、そのような状況をまとめたものでございます。  14ページです。このような仕組・成績で行っている骨髄移植を、円滑に運営するため の仕組みである財団法人骨髄移植推進財団の運営体制でございます。  15ページです。財団法人骨髄移植推進財団の機構図でございます。理事長の下に理事 会がございます。理事会、その下の企画管理委員会を中心としまして、財務委員会、普 及広報委員会、コーディネート委員会、ドナー安全委員会、医療委員会、国際委員会、 というような委員会構成で、日本の骨髄移植の安全で円滑な推進を図っているというと ころでございます。  16ページ目でございます。これは骨髄移植推進財団の役員の名簿でございます。まず 16ページが理事・幹事でございます。17ページが評議員の名簿です。18ページが事務局 の仕組みでございます。常務理事の下に事務局長、事務局の体制ですが庶務経理部、業 務部、広報渉外部、募金部というような構成で事務をしているところでございます。  19ページでございます。この中央事務局の下に地区事務局がございます。その地区事 務局の事務について1枚紙でまとめたものが19ページでございます。  20ページ地区事務局の一覧ということで、それぞれ北海道地区事務局等、九州地区事 務局までこのような地区事務局体制で運営をしているところでございます。  21ページでございます。これは平成10年度の財団の事業計画の計画書の(抄)でこざ います。1番の普及啓発事業というところでございます。国民一般を対象に、骨髄提供 希望者を募るため、長期目標としてドナー登録者30万人を目指すとともに、当面、20万 人を目標として普及啓発事業を推進する。という目標を設定しているところでございま す。  ドナー登録につきましても、ドナーの登録を拡大するために様々な書いてあるような 施策を今後10年度に取り組んでいくということでございます。  22ページでございます。その他6番の国際協力事業というところでございますが、特 記するところとしましては、全米骨髄バンクとの業務提携の一層の強化を図ると共に、 台湾骨髄バンクとの業務提携関係の強化、韓国骨髄バンクの理解と協力を得て、可及的 速やかな業務関係の確立を目指すということで、更に国際協力というものに取り組んで いくということでございます。  (2)です。日本骨髄バンクドナー登録者のHLA型種類別集計データを、BMDW (世界骨髄ドナーデータの集計システム)へ定期的に提供して、骨髄移植の国際協力関 係の一層の強化に努めているところでございます。こうした情報を明らかにすることに よりまして、日本でどういうHLA型が今登録されているのかということが、国際的に も明らかになるということでございます。  23ページでございます。収支予算案総括表でございます。  24ページは移植実施までのフローチャートでございます。  25ページは臍帯血移植及び骨髄移植に係る費用ということです。このうち骨髄移植の 左の欄のところの上から3段目でございます。造血幹細胞の斡旋に係る経費ということ です。患者さんの自己負担が登録料が3万円、コーディネート料10万円、3次検査料11 万円、ドナー保険料14万円、ドナー管理費12万円ということで患者さんからご負担いた だきながら運営をしている。その他、骨髄移植の医療のそのものについては医療保険が 払われているということです。その他のところで財団の運営に関しては、国庫補助とい うことで骨髄移植の財政的な側面を表した表でございます。  26ページです。(財)骨髄移植推進財団と米国骨髄バンクとの比較ということでござ います。左側に(財)骨髄移植推進財団、右側に米国骨髄バンクという状況でございま す。まず設置年でございます。日本の財団は1991年、米国が1986年です。設置形態は日 本の場合には財団法人、米国は非営利法人。予算規模ですが日本は約9億弱、米国は約 60億円ということでございます。事務局体制は日本は20名、米国は120 名です。ドナー 登録数が日本は9万人強、米国は230 万人です。そうしたドナーに対しての患者さんが 骨髄を欲しいといったときに、HLAが適合する方が見つかる確率が日本の場合には 77.1%、米国の場合には71%。移植件数の1年間の数は、日本の骨髄移植財団を通して の移植件数は357 例、米国の場合には1,154 例です。財団が患者から徴収する費用の額 は日本は約50万円、米国は約300 万円ということでございます。  27ページでございます。日米の移植成績の比較でございます。疾病ごと、各病気ごと に出ております。慢性骨髄性白血病は第一寛解期が日本は51%、米国が45%。加速期が 日本は49%、米国が23%等、それぞれ成績が比較してございます。  28ページ以降は財団の運営の状況、バンクの登録者等の状況でございます。月別の骨 髄提供者の登録数でございます。現在のところ平成10年2月末現在で93,419人というこ とです。  29ページです。骨髄提供希望者の都道府県別の登録件数です。  30ページです。骨髄移植希望患者者登録者の登録状況がそれぞれ年別です。これは患 者の登録人数が出ております。  31ページです。都道府県別移植患者・骨髄提供者数の状況を都道府県別に一括したも のでございます。  32ページが海外協力活動状況ということで一覧表にまとめているところでございます。 大変膨大な資料なので、概略のみご説明申し上げましたが、また至らないこともあろう かと思います。何かご質問等がございましたらよろしくお願いします。 ○齋藤座長  ありがとうございました。では補足の説明として骨髄移植推進財団の企画委員会から 小寺委員何か補足されますか。 ○小寺委員  別にありません。 ○齋藤座長  ではいかがでしょうか。大変に資料が多いです。移植成績はアメリカよりかなり良い と思います。運営面、その他の資料を全部出していただきました。自由なご討論をお願 いします。 ○迫田委員  前回、骨髄バンクの問題点を教えてほしいと伺った趣旨は、例えば未収金の問題など が新聞等に載って、あるいは陽田さんがこの間お話をされたときに、補助金に頼るとな かなか難しいことがあるということを発言されたものですから、それは今何が大変なの かを教えてほしいという趣旨だったのです。その辺をもう少し、多分この図を見ると骨 髄バンクといっても、日赤がなさっていらっしゃることがかなり多くて、財団というの と両方でなさっていらっしゃるようですが、それぞれ何が難しい点があるのかというこ とを、是非お伺いしたいと思います。 ○齋藤座長  今のお話の未収金の問題は、どなたにお尋ねしたらいいのでしょうか。では移植財団 の田中常務理事お願いします。 ○田中参考人  未収金問題ということで、ただいま委員さんからございました。未収金問題というこ とで出てまいりましたのは、当財団の平成7年度の決算でございます。債権が発生した ときに整理をするというのが発生主義でございます。入金したときに整理するのが入金 主義でございます。着金主義とも申します。それ以前までは、いわば着金主義でござい ました。平成7年度の決算のときに債権の発生主義、これは元々、公益法人はそういう 経理をしろというふうに国の方からご指導を受けている部分でございます。それに改め るということから未収金の問題が発生したわけでございます。それが経過でございます。  したがいまして、債権の発生の時期で整理をしますと、例えばで例は悪いかも知れな いのですが、只今の事務の流れその他の中にはあまり出てまいりませんが、患者さんに コーディネート料のご請求を申し上げるという例でお話を申し上げます。  実際に患者さんの様態が変化をされて、不幸にしてお亡くなりになったというケース で整理をしますと、債権の発生主義でまいりますと、発生した時点で、例えば10万円な ら10万円が、入ってくるべき収入ということで計上されてしまいます。ところが実際は 患者さんがコーディネートにかかる前にお亡くなりになってしまったというケースがご ざいます。そういうケースは本来は当財団がお支払いを、患者さんないしは患者さんの ご家族にすべきお金ではないわけでございます。そういうものが未収金の中にございま す。  整理が遅れているということは確かでございますが、全部が全部そういうことではご ざいませんが、そういう物は償却と申しますか、本来の当財団の債権ではない、いただ くべき筋合いが何もないものでございます。そういうものの整理をいまやっている最中 でございます。  平成9年度の決算で数字を全部クリアしたいと考えております。そういうお答えでよ ろしいでしょうか。 ○迫田委員  すると、運営上はお金が足りなくて問題になるということは、現実にはないわけです か。実際はただドナーの方の健康診断などをなさっていれば、金額は発生しているので はないでしょうか。つまり、財団としては常に赤字になってしまって、お金をあげると か、何かの方法をしないと、上手くこの先に動いていかないということがありますか。 ○田中参考人  今のご質問に適切なお答えかどうかは別にしまして、未収金問題というのは、きちん と整理をするべきものは整理をしようということが根幹でございます。財団運営そのも のにお金が足りないというのは、全く別の観点の話になってくると理解をしております。 未収金はきちんと整理をすべきであると私は思っております。したがいまして、償却を すべきものは償却をしますし、頂戴するものは頂戴するという整理をしたいと思ってお ります。  後段の方の財団運営が厳しいかどうかということで申し上げますと、単年度の収支、 例えば平成9年度の収支で申し上げますと、恐らく収入を上回る支出ということになる と思います。オーダーとしては100 万のオーダーで9年度は止まるのではないかと思っ ております。なぜ財団が運営できているのかということをついて、付加させていただき ます。 毎年度、これは年度の前半、四半期ごとにわけると第一四半期、4月から6月までは 財団にはお金が入ってくる1年間の流れでみると12〜13%から多い時で18%、1年間分 の4分の1という見方をすると、財団の運営ができません。したがいまして、前年度に 必ず繰越金をもっているような財政運営をしております。それて単年度で見れば足りな いが、財団運営は今のところはできているということでございます。 ○迫田委員 整理をされるということは、亡くなった方からいただくということになるのでしょう か。頂いてない分についてということですね。結局移植を受けられなくても、コーディ ネートだけした患者、あるいはご家族から、お金をいただくということになるのでしょ うか。 ○田中参考人  大変申し訳ないのですが、実際に私どもが債務というのは言葉が悪いのですが、お支 払いをいただかなくてはならないという経費がもし発生していれば、申し訳ないのです がきちんとご請求を申し上げていきたいと思っております。 ○田島委員  今との関連です。現実に発生した債権の回収ができない例というのはあるのでしょう か、ないのでしうょか。 ○田中参考人  まだ実は調査中のものもございまして、全部100 %をできたのかということについて は、今の段階で私は細かい資料をもってませんので、お答えが正確にはできませんが、 回収できないケース、例えば天涯孤独の方のようなケースは、ある可能性があると思っ ております。 ○田島委員  するとそういうことについては把握をしておられないということですね。あるのかな いのか、あるとして、把握されるべき問題ではないかと思うのです。例えば今例に上げ られましたご本人がお亡くなりになった場合には、当然相続人に請求されるというよう な問題が生じると思うのですが、それが実行できないで、貸倒れに終わっているものが あるのかないかのというのは、把握されてないので、ご調査いただかないとわからない ということですか。 ○田中参考人  調査中です。9年度の決算でそれを上げようということでそれの調査中です。 ○田島委員  これまでのご経験上です。9年度に限らず過去の例についてご承知のものはないとい うことでございますね。9年度の決算に限らず、8年度なり過去の年度において、そう いうことが発生しているのかどうかについてはご承知ではないということですね。 ○田中参考人  はっきり申し上げまして、請求のしっぱなしというのがあります。したがいまして、 それを調べない限りは分からないという部分があります。 ○陽田委員  今の件についてです。私は当事者ではないのですが、ご説明をさせていただきたいと 思います。この未収金問題がこんなに沢山発生した原因は幾つかあると思います。まず 一つは、今の請求システムが患者さんに財団から直接請求するシステムではなくて、主 治医を経由して請求する。ですから主治医から請求書がいっているのか、いってないの かも、厳密にいうと確認できない。いっているかどうか、振り込まれているのかいない のかということを確認して、1か月に1回とか2か月に1回定期的にチェックを入れて おけば、今回のような大きな未収金は発生しなかったと思います。それを平成7年度と 8年度で、その辺のチェックを入れてなかった。それで今回大きい金額になって、9年 度で整理をするという状況です。  患者さんのサイドでは、請求をいただいた段階で、非常に状態が悪くなってというこ とも先程ご説明がありましたが、これはコーディネート期間が短くなれば、その辺のこ ともかなり解決できる問題だろうと思います。中には患者さんサイドで、コーディネー トが長すぎて間に合わなかった事に対し、怒りの表現として払わないという方も中には いらっしゃるかも知れない。これは私の推測にすぎませんが、そのように思っておりま す。 いずれにしても、過去3年間、整理をしてなかったというのは、経理上の問題として ズサンと言われても仕方ない対応ではなかったかなと思います。 ○原委員  私どもも経験するのですが、患者さんが例えばコーディネートを受けて移植のために 入院をした。しかしそこで駄目になった。当然移植をされることを最優先するわけです が、そういう事態が発生するわけです。そういう方が移植を受けられなかったというこ とになりますと、私どもは主治医として請求書を送っても払われませんし、当然のこと ですが、私どもも患者さんが亡くなられた時点では、患者さんとの縁がなくなりますの で、請求書を送るところも逆にいうとないというのが実際のところです。  ですからシステムとしてこれはおかしいと思います。この費用は恐らく移植を受けら れた方が、全体としてこの費用も負担するべきものだと思います。その点がどうも皆さ ん方は誤解しておられるようです。いろいろと努力をしたが受けるチャンスもない。チ ャンスもないが請求書だけ回ってくるというのは、患者さんないし患者さんの家族にと っては、腑に落ちないのが現状だろうと思います。そういう事態が十分に予想されます ので、システムは少し考えないと具合が悪いのではないか。システムとして間違ってい るのではないかという気がします。 ○齋藤座長  未収金の問題は、日本の医療というのは欧米ほど契約的には行われていないことにも 一因あると思います。どなた御意見かありませんか。 ○有田委員  骨髄バンクの創設運動に陽田さんたちと一緒に6年間携わりました。財団ができたと きに当然予想されたものが、今出てきたのだなと思っております。骨髄も臍帯血も献血 と同じように、国民の善意の協力がなかったら成り立たないものですから、いくら文章 でこのように書かれても、国民が、協力者が、患者さんが、どのように受け止めていく のかというのは一番の問題だと思うのです。  骨髄バンクの推進運動をされているボランティアの団体で、陽田さんたちの連絡協議 会の中に東京の会というのがあります。その方たちが出された会報を資料として私が出 させていただいております。骨髄バンクの構造的欠陥となってますが、この綴りの後ろ に2ページございます。これを皆さんお読みになって下さい。書かれた方は文章ですの で相当抑えて書かれたと思うのです。社会に出ているいろいろな情報というのは、もっ と具体的でもっと恐ろしいことも出てきてます。これが事実かどうかはわかりませんが、 流れでているという情報は、隠しおおせるものではないのです。皆がそう思ってしまっ ている情報をどうしてくれるのだということです。  この検討会は臍帯血バンクをどうしようかという会なのに、なにか骨髄バンクの話に 引っ張られていて、どうなっているのかな思って私は今憤慨しているのです。 ○齋藤座長  今の点は実は前回、小池委員と迫田委員から、ぜひ骨髄バンクの運営状況についての 説明を、資料を伴ってしていただきたいというのがありました。それで議題にしてます。  今ご説明がありましたように、我が国の骨髄バンクは国際的に見ても実績は優れてい ると思うのです。勿論まだ問題点もございますので、それらを改善して、更によりよい 骨髄移植ができるようにしたいと皆さんは思っていると思います。 ○有田委員  それは骨髄バンクの問題ですよね。それがどうして臍帯血バンクを骨髄バンクに引っ 張っていくのか、まず臍帯血バンクをどうしょうかという話にしないとおかしいのでは ないんじゃないですか。 ○加藤委員  骨髄バンク発足のときの対策専門委員会というものに関わりました一人として、当時 の問題、その後の経過、今新たに迎えている臍帯血バンクへの動き、それがここでは無 関係では全くございませんので、私個人の見解も含めまして申し述べさせていただきま す。  今日、厚生省の方でご用意なさった資料の中の3ページです。私が理解することでご ざいますが、当時、全く骨髄バンクというものがなかった日本に、新たな制度を導入す る際に、既存の組織、あるいは新しい組織をどのように作りだしていくのかという議論 が行われました。  本来であれば一元的な体制が一番よろしかったと思いますが、様々な事情で一つの候 補として上がりました日本赤十字社は、そこの図にある中でHLAの検査、ドナーの登 録という事務的な問題については責任を十分に負える。しかし普及啓発、あるいはコー ディネート活動というような、当時赤十字社としてはまだもってない機能に相当するも のであったのだろうと思うのですが、これについては赤十字社として引き受けられない というような議論があったかに思います。そのため、それを担うべく、骨髄移植推進財 団というものを新たに設立したわけでございます。それ以後のことについては、先程の 説明がありましたから省かせていただきます。  26ページをご覧ください。米国とわが国では様々な社会体制あるいは国民の物の考え 方に差がございますが、日本は1億、アメリカが2億という人口から考えまして、そこ にございます予算規模の8億と60億の差について、多くの方は驚かれると思います。そ して事務局員も20名と120 名です。つまりこれだけの財政的な脆弱性、そして組織とし ての基盤の弱さというのが、先程来議論されている幾つかの事務的な不完全さというも のに現れるわけです。  さらにコーディネーターというのが必要なわけですが、最初は育てるまでの期間とい うことで、移植の現場にいる医師が、調整医師という名前でコーディネート活動を現在 までも担っております。  このような形できたというのが、先程来ご指摘のような、いってみれば生まれるべく して生まれた幾つかの問題点を抱えるにいたったというのが事実でございます。  そのような反省を踏まえてこれから議論をされると思いますが、臍帯血バンクという ことに限らず、造血幹細胞バンクというようなものをいかに整備していくのかというこ と、それをここで議論をしなおさないといけない、ただ単に臍帯血バンクだけができれ ばいいというものではないと、私は考えております。以上です。 ○齋藤座長  ありがとうございました。小池委員何かご意見はいかがでしょうか。 ○小池委員  臍帯血にしても、いろいろ問題が今後出てくるであろうと私は思っております。とい うのはゼネティックな問題、それも臍帯血から採るわけですから、骨髄のように成人ま で立派に生育された方から採るわけではないし、そういうリスクファクターも含んでい く。それでこの臍帯血のバンクを、加藤委員がおっしゃいましたが、それだけを単独に してもつのかどうかという危惧も、地域医療の立場に立てば出てくるわけです。むしろ もう少しグローバルな大きい観点から、一体となって、造血幹細胞領域も含めて国民の 医療という大前提にたって、あまり分断しないで、大きな組織の中で、個々の国民の疾 患に多面的に対応できるようなスタイルの方がいいかな。  骨髄の方のバンクというのはできて大分になるわけです。その辺の問題点とかシステ ムを伺って、それを多いに次のステップに対して参考にすべきではないかという考えか らご質問したわけでございます。 ○齋藤座長  ありがとうございました。 ○迫田委員  国際協力の点でござます。今重藤さんがご説明してくださって、世界のシステムに定 期的に提供するというお話でした。前回、そういうご質問をしたからかも知れませんが、 実際の骨髄移植のことで、私もよく理解はできなかったのですが、話を聞くと、アメリ カから日本のデータバンクに入れると、直ぐにデータが見せてもらえるのに、日本の患 者さんが同じHLAの方が今何人いらっしゃるのかという、事前のリサーチができない 仕組みになっているという話を、実際の患者さんから伺ったのです。その辺で、国際協 力はよくできている話だったのですが、現実はその辺はどうなっているのでしょうか。 もう少しきちんとお話くださいますでしょうか。 ○齋藤座長  小寺委員お願いします。 ○小寺委員  そういう事実が短期間ですがあったことはあったわけです。米国の患者さんで、日本 にドナーがいるのかいないのかを求めてきた場合に、その前に国内のシステム、先程の 話ともちょっと関係するのですが、元々7年前に日本骨髄バンクが発足したときには、 登録した患者さんから一律最初に登録料をいただいて、互助会的な感じでそれを使って 運営するという形できたわけです。これが現在、甚だ問題になってきているのですが、 日本の場合ですとそれでも最初は登録した7割の方に、一応HLAの適合した方が見つ かってコーディネートが始まるということで、残り3割の方が登録料は払い損というこ とになるのですが、当面はですが、7割の方が報われるということになるわけです。  これは国際部の方で米国との提携が始まったときに、向こうの患者さんからお互いに 国のやり方を尊重していこうという本当は約束だったのですが、実際にそれをやると、 例えば10人の米国の国籍の方がこちらに登録されますと、1人適合者が見つかるか見つ からないくらいの確率であったわけです。実際にやりはじめるとね。  そういうことから、どういうことが言えるのかというと、日本のシステムに完全に沿 ってやると、10名の方から登録料を貰うということになります。それで実際に最初の段 階で報われるというのは、そのうちの1人あるかないかというような事実か発生したと いうことです。  そういうことに対して、一応HLAの適合者がいそうかどうかという情報を、最初に 向こうからリクエストがあったときに便宜を図ってお知らせしていたというのが、国際 部の仕事としてやられていたということです。これは本当の意味でイニシャルサーチで はないのですが、初期検索と呼ばれるものです。居るのか居ないのかというのを先ず知 りたい、それから居たら登録するという、これが理想とされているのですが、そういう システムに早く日本ももっていかないといけないのではないかというのが、そこで出ま した。それで昨日最終的には記者発表されたわけです。国内患者に対しても同様の方法 をとるということになったわけです。  これはある程度そういうシステムの上での変更が必要だったものですから、国内患者 に対する対応が少し遅れたということは事実です。 ○迫田委員  現在だと国内の患者さんも、患者さんがHLAの型が合っているのを見てから登録す るという形になったわけですか。 ○小寺委員  そうです。実際には本日、骨髄バンクHLA照合サービスの開始について、というシ ステムを発表いたしました。先程申し上げたようにこれはシステムを変えるのに少し時 間がかかりましたので、ちょっと遅れたということです。今日からそれができるという ことです。 ○陽田委員  話は少し戻ります。先程の未収金問題です。これの根底にある問題として、コーディ ネート料、その他の患者さんの負担金が保険の対象になってないということがございま す。この辺が保険の対象になれば、問題は解決されるということがあります。迫田委員 からご質問がありました財団の財務的なものは大丈夫かということに対してですが、 23ページに収支がございます。これは平成10年度の予算案の総括表です。これは合計で 一番下を見ていただくと▲で9千万となっております。高々7億とか8億の総予算の中 で9千万の▲がついております。これはつい先だっての理事会評議委員会で通った予算 です。私はこういう予算は承認できないと反対したのですが通ってしまいました。 平成9年度の決算見込みとしては百万円台の赤字ではないかと、先程田中理事からご説 明がありましたが、平成10年度はこのような見込みです。 ○迫田委員  9千万の赤字ということですか。最初からですか。 ○陽田委員  そうです。これは上の中間に繰越金として1億3千万があるから、資金繰り上はなん とかなってます。ですからこれと同じ予算が2年続いたら破産するという予算状況です。 この辺は理解をしていただきたいと思います。  もう一つです。この資料の中で確認しておかないといけません。27ページの移植成績 の比較がございます。これはどなたか専門の先生にお聞きしたいのです。日本の場合に はフルマッチの移植しかやってませんよね。アメリカの場合にはフルマッチでない移植 がどのくらい含まれているのか、その辺の背景をきちんと説明しておかないと、誤解を される可能性があるのではないかと思いますので、後でご説明をお願いしたいと思いま す。 ○齋藤座長  それは加藤委員からお願いします。 ○加藤委員  単純に申し上げまして、日本の人達の間の遺伝的背景の均一性に負うところが極めて 大きいものでありまして、我々が治療技術が高いとか、そういうこととは必ずしも意味 してないと思います。ですから、米国と数字だけで単純に比較することは、落とし穴が ございます。我々はもっと良い成績を上げられるに違いないのです。そういう背景をも っていると思います。ですから今後努力すれば、そのようにこの数字を、この移植を受 けられた患者さんだけではなく、受けられなかった患者さんたちにも提供できる、その ようなものが必要だと考えております。 ○齋藤座長  現状でもかなり日本の方がアメリカより成績はいいですよね。 ○陽田委員  国際協力の話がでました。一番後ろのページに資料がついております。この前ご説明 を聞いた限りでは、去年の4月からアメリカとの正式提携がスタートして日本人の患者 さんがアメリカからいただいたのが14例です。日本のドナーの方がアメリカに提供した のは0だそうです。この辺の問題はどういうところに起因するのかということも、きち んと検討しないといけないと思うのです。これが恐らく平成10年度11年度くらいで、対 等の関係になるのかということを考えた場合に、そう簡単に対等にならないのではない か、だからこの辺はきちんと検証して、臍帯血バンクの組織づくりをきちんと考えない といけない。  先程、予備検査の問題もありました。これは今日、国内の患者さんに対してもやりま すよということで発表したということですが、これはアメリカとの提携以前から分かっ ていたことです。そういう基準を合わせていかないと、こういう問題が出るということ ですが、それが今日になったわけです。そういう早くから予測して対応していくという 対応がなかなか出来にくいというのが、問題であろうと思うのです。  それで前回迫田委員から私は宿題をいただいております。その辺の問題について話せ ということを言われておりましたので、今ちょっとここで申し上げます。  私の主観をできるだけ交えずにお話をしたいと思います。埴岡健一さんという方が書 かれた文章を紹介してお答えにしたいと思います。  埴岡さんという方は、奥様がアメリカの骨髄バンクで骨髄移植を受けられた患者さん のご家族でございます。その時に日本の骨髄バンクにも登録して、期せずして両方の骨 髄バンクを比較をしたという観点で書かれたものです。その辺のいろいろなことが書か れておりますが、結論的に書いてあるのが、自治と支配というところで書いてあります。 いろいろなことから『アメリカと日本の骨髄バンクの自治と中央統制の違いが見事に浮 き彫りになった』ということです。  『米国ではドナー選定過程に患者が口出しをすることはできる。コーディネーターと 話をして経過を尋ねることもできる。医師が移植の方針を決めれば、保険がそれを審査 し、承認されればバンクはそれを実現するように努力するという仕組みである。ようす るに、米国は自治の思想が貫かれている。日本では骨髄バンクが移植して良いかどうか の判定に大きな権限をもっている。米国のバンクの方が患者とドナーのためという目的 意識がはっきりしている。日本の骨髄バンクは組織内の論理や医師への配慮が強く、患 者やドナーに対するサービスレベルが低い。』  以下ずーとこのようなことが書いてあります。最後のところに、『もはや日本のバン クは日本に住む日本人だけのものではない、日本人が骨髄を受け取るのは、日本バンク だけからとは限らない、バンクは国際提携と国際競争の時代にある。このままでは日本 の骨髄バンクは見劣りすることは国内外に益々知られてしまうだろう』、ということで 結ばれています。 ○齋藤座長  ありがとうございました。 ○田島委員  国際協力の効率性の関連でお尋ねしたいのです。HLA型の適合という意味でいいま すと、人種が共通している方が適合の確率が高いのかどうか。すなわち欧米と協力する よりは、韓国・台湾・中国というアジア系の国と協力した方が、適合の確率が高いのか どうかということを教えていただきたいと思います。 ○小寺委員  おっしゃる通りです。人種間でHLAというのは随分偏りがございます。例えば日本 人が欧米や白人の間にドナーを求めるよりは、台湾はちょっと別ですが、韓国とかアジ ア系の人に求めた方がより適合率は高いということは言えると思います。米国と提携を した背景は、米国の230 万人のドナープールの中に、約10万から15万人くらいだと思う のですが、アジアパシフック系のドナーがいるわけです。その方たちの間にドナーを求 める、また向こうの方もその人達がなかなか国内では見つからないので、人種的には母 国である日本のバンクに求めたいということで提供をしたわけです。  韓国との提携については現在進行中です。これを本当は我々も一番強く望んでいます。 現在、国際協力委員会というのがあるのですが、そこで提携については準備中です。 ○齋藤座長  骨髄バンク財団が発足して6年の間に、約1,500 例の非血縁者間の骨髄移植が行われ ました。医療上の成績はアメリカよりもかなり良い。運営面につきましては6年間やっ てきますと、いろいろな問題点も浮かび上がってくるわけですが、これを更によりよい ものにするために、ぜひ皆様方のご尽力が必要だと思います。陽田委員から日米の違い を指摘されましたが、一つは確かに自治と統制という面はあります。しかし、医療費用 については、例えば26ページにありますが、アメリカの方は5倍お金がかかるのです。 我が国の国民全体に平等で公平な医療システムをしかも安く提供するということを考え ると、行きすぎた統制は悪いと思いますので、なるべく直さないといけないと思います が、規制も完全に除くことはできないというのが私の印象です。  ここで今までご討議いただきまして、実際に造血幹細胞移植をやっていく場合の問題 点も浮き彫りにされました。続きとしまして議題の2です。実際に臍帯血移植をどうい う組織でやっていけばいいのかということを、いろいろなご意見をいただいております。 それで前回、陽田委員、加藤委員、西平委員からご意見をいただきまして、更に3人で 話し合っていただきましたので、最初にお三方に簡単に補足説明をお願いします。資料 2の事務局の説明に続いていただきまして、その後で青木委員、浅野委員、有田委員の ご意見を伺いたいと思います。ではまず事務局からお願いします。 ○重藤補佐  では4月3日に、前回、お三方のご意見をこの会で承りました。基本的思想、基本的 理念がかなり異なっております。そこで本検討会でひき続き議論しますと、なかなか時 間的に集約されないのではないかと考えまして、4月3日にお三方に集まっていただき ましてご議論をいただいております。その紙が資料の2でございます。意見提出者によ る討議の状況でございます。  まず1番目です。お三方の共通の理解項目では、(1)事業理念については白血病患者 等に対する安全な根治を目指した治療の安定かつ円滑な実施ということです。(2)公的 バンクの内容です。非営利法人による運営形態とする。事業の安定性と継続性を確保す るとともに、過大な患者負担とならないように所要の公的を支援を行うということでご ざいます。(3)事業の採算性です。事業が軌道にのった段階では、事業の採算性をとる ことが必要である。その際には公費に大きく依存することなく、事業の採算性がとれる ような財政構造とする。こういうところが共通の理解項目です。  2番で、更に今後まだ議論の必要な点ということでは、(1)移植の適応の判断でござ います。ここを主治医の判断に委ねるのか、それとも第三者機関を経由するのかです。 (2)事務局の体制です。移植適応・評価・症例研究等の各種委員会の開催、患者相談、 普及啓発、ドナーのフォローアップ、研修、登録料の徴収、民間保険という考え方でご ざいます。組織体制ですが、それには二つの考え方がございます。一つは造血幹細胞移 植バンクとして、事務局組織は全国1本の組織としながらも、地域には地域ごとの特性 を生かした独立性の高い地域組織を設ける案。既存の地域法人を活用して、幾つかの独 立した事務局を設置する案、というふうになってございます。  3番として、公費と患者負担のあり方ということも更に重要であろうということでご ざいます。  2ページです。その事務局体制というか、組織の体制をどうするのかということでご ざいます。二つの大きな考え方がございます。一つは地域バンクの自主性に配慮した試 案。もう一つは造血幹細胞バンクの設立に向けた試案ということがございます。それぞ れ項目ごとにまとめて総括表にしてございます。  設置母体については、一つは独立性の高い複数のバンク。他方は一か所の造血幹細胞 バンクの考え方です。  行政の関与は、なるべく行政の関与は少なくするという方法と、できるだけ公費を投 入するという基本的考え方に分かれています。  運営は、経費的に幾つかのバンクの連合体として、緩やかな連携体制ということで連 絡協議会を設置して運営するということと、造血幹細胞バンクとして一元的に運営する という二つの考え方があります。  骨髄移植との関係です。全く別組織とするということと、末梢血移植ということも含 めて一元的にやっていこうという考え方に分かれています。  情報管理につきましても、それぞれのバンクでもっているということと、一元的に管 理していこうという考え方です。  患者登録窓口ですが、一つはそういうものはいらないという考え方。一方は対象疾病 は同じでございますので一つにしておいた方がいいという考え方です。  それぞれについて利点と欠点です。利点です。地域バンク型では、地方分権、財政構 造改革の流れにのっている。機動的な運営が期待できる。地域バンク間で、競争原理が 働きサービスの向上が期待できる、というようなことです。一方、造血幹細胞バンクと するということでは、造血幹細胞移植を必要とする患者にとって利用しやすい。公的バ ンクのイメージにあっている。臍帯血の品質の統一性が保たれるという利点です。  問題点です。地域バンク型では、受け皿となる複数の法人を確保することが必要。運 営の継続性が危惧される。臍帯血の品質の統一性を保つための工夫が必要。一体型です と、組織が大きくなると硬直的・官僚的な運営に陥りやすいということでございます。  それぞれ3ページと4ページが前回の統一型と地域分権型のそれぞれの模式図でござ います。以上です。 ○齋藤座長  ありがとうございました。陽田委員何か補足のご意見はございませんか。 ○陽田委員  設立及び運営に関する利点と問題点というところは、事務局がこのように両方の案を 見て感じたことを書いているまでで、私がこう思っているわけではございません。念の ために申し述べておきたいと思います。 ○加藤委員  先程、骨髄バンクのことで申し上げたことの多少は延長でございます。国民のために なるための組織を我々を考えていかないといけない。上から二つ目のところに行政の関 与というのがありますが、行政というのがなにかネガティブに捕らえられているフシが あるのがちょっと気になったのです。これは国民が全て行政であると私は理解しており ますので、そこに国民の財産である公費というものを投入しなければ、とてもこの組織 は運営できないと考えております。  次のページです。私が提示しました背景というものと、西平委員あるいは陽田委員か ら出てまいりましたそれぞれのバンクの形態というのは、どこをバンクと定義するかの 差でございます。保存する場所をバンクというのか、あるいはその保存を結ぶ流通の過 程までをバンクというのか、更に患者さんがアクセスする全体のものを含めてバンクと いうのか、そこの議論が、その後の3人の間のディスカッションの過程である意味でク リアになったかなと思っております。  私が申し上げておりますのは、目的を同じとする国民のためにあるべき組織というの はバラバラに運営されるよりは、同じ方向に向いてそれぞれが競争という言葉もござい ますが、協力しあって、それで良いものを作っていくべきだと考え信じておりますので、 このような提案をさせていただきました。 ○西平委員  この3ページ目のところです。私の意見はそれがそのままそっくりではないのです。 私の意見は、地域バンクというものを自主性に配慮した試案というのに近いわけです。 細かい点ではいろいろ違いはあります。患者の登録窓口は不要というのですが、これは 各地区の事務局というのが窓口になって、患者さんの家族、患者さん自身と主治医と連 絡してやっていくと思っております。  先程陽田委員が申しましたように、下の方の利点とか問題点というのは、我々がいっ た言葉ではございませんので、その辺をご理解いただきたいと思います。  私の意見は、当然、造血幹細胞移植というのを、全体として考える必要はあるのです が、最終的にはその方が望ましいと思います。当面、臍帯血バンクを作ろうと今はやっ ているので、現在のいろいろ問題を抱えている骨髄バンクと、最初からそれと合体して やるとか、補助金を一緒にしてやれということになると、なかなか臍帯血バンクとして の機能はそう簡単にはできないであろう、かなり困難ではないかと私自身は思うわけで す。  ですから例えば臍帯血バンクとしてしっかり出来上がるまでは、骨髄バンクとは別組 織でやるべきであろう。いろいろな技術面であるとかやることはかなり内容が違うので、 臍帯血バンクは、当面、当面というのは何年かわかりません。少なくとも5年はかかる 思いますが、あるいはひょっとしたら10年くらいかかるかも知れませんが、きちんと臍 帯血バンクとして臍帯血移植が軌道に乗るまでは別にすべきだと思っております。その 後はその時点で骨髄とか末梢血がもっと進歩するだろうし、その時点で一緒になるのは、 また検討しなおすという考えです。 ○齋藤座長  ありがとうございました。今3人の方のご意見をいただきましたが、また重複します ので、後の3人の方のまずご意見を伺って、全体を通して討論したいと思います。まず 青木委員からお願いします。 ○青木委員  参考資料2です。臍帯血利用における項目、という羅列したところをご覧いただきた いと思います。なぜこのようにまとめたのかと申しますと、前々回のこの検討会で、厚 生省の事務局から組織図というか系統図をお出しになったときに、私は系統図から先に 出すのではなく、項目を並べていって、その中でどういう仕事の落ちがある落ちがない、 そしてどこが担当すべきか、ということを議論すべきではないかというお話をしました。 事務局の方は準備されておりませんので、私の方で作って提出させていただきました。  前回に3案をだされて議論をされてきたようですが、今までの議論を聞いております とかなり抽象的な部分か多い、どちらがどうとか、こうとかという話になりがちです。 骨髄バンクの話もございますが、実際に骨髄移植と臍帯血移植の業務の関わりというの は、全然異質の部分が多いわけですので、ここで頭を整理していくために、私は臍帯血 を利用する場合に採取から移植にいたる、そして相対の問題を考える上で、項目だけを ずーと整理してみたわけです。  採取というところです。まず採取の前に妊婦への啓蒙が必要であるということです。 その妊婦にインフォームドコンセント、提供するという了解を得た、これについても予 め妊婦の早い段階でご協力いただくというインフォームドコンセントがありますが、あ るいはアメリカでやっているように、採取後に、あなたは臍帯血を提供しませんか、そ れでOKすればそれは利用させていただくというケースもあります。日本の場合にはそ れを許すのか許さないのか、という基本的な考え方の整理も必要であると思います。  採取については娩出前か後か、今までは日本では、前に採取している各地域のバンク が多いようですが,これはむしろ移植医が判断するべきことではなく、産科の立場から 中林先生の方で妊婦の安全性を第一に考えて、産婦人科医としての判断が必要であろう。 どうしてもバンク側あるいは移植医としては、沢山とりたいという気持ちか先行する可 能性があるので、その辺は産科医あるいは産科学会での判断を待つべきであろう、そう いうことが大事であろうと思います。  当然、採取にいたっては、今度は経費の問題でありますが、設備をどうするのかある いは備品をどうするのか、誰が負担するのか、産科医が負担するのかバンクが負担する のか、消耗品はどうするのか、採取のための人員はバンクの方で採取にいくのか病院で やるのか、そのような具体的な議論がこの検討会では必要であろうと思います。  採取後は今度は産婦からの検査用の血液を採取する、これをどうするかとか、ドナー 情報の提供をどう受けるのかとか、バンクへ連絡をしてバンクが取りにくる連絡をどう するのかとか、新生児の一ヵ月検診とか6か月検診、あるいは1年検診の結果をどうま とめるのか、どこがまとめるのかです。  あとは分離・保存です。今までの議論で非常に飛んでおりますのが、回収です。これ は娩出後であると、娩出後5分以内に臍帯血を採取して24時間以内に分離・保存をしな いといけない。夜間でも平日でも、より早く回収をしないといけないというお仕事がま っている。これは一体どこがどのようにしてやるのか、そういう議論が具体的に必要で あろうということです。  あと、保存するところは建物をどうするのか、設備とか備品をどうするか、勿論、ガ イドラインの制定も必要ですが、経費の問題を考えないといけない。  検査項目については作業部会で進められておりますが、そういうものを登録をするコ ンピューター入力、あるいはインターネットでデータを共有化する場合にどうするか。 供給依頼を、これはあくまでも余談に近い考え方をとっていますが、供給依頼の窓口を どうして、予約を受けたら何日そのままその人の予約でとっておくか、そういうことも 具体的に決めていかないといけないし、国際協力の窓口も必要であろう。  供給は隣接の都道府県の場合、国内の遠隔地の場合、国外の場合という具体的な問題 も検討しないといけない。  移植の時の解凍・洗浄を移植医療機関がやるのか、バンクがやるのか、それによって かなり違ってくるし、人件費も変わってくる。このような流れがあるわけです。それの どこの部分までがどこの責任であるのか。今我々が論じようとしているのは、臍帯血バ ンクがここの項目のどこまでの仕事をやるのかという共通認識をもつ必要があるだろう。 その上での議論が必要ではないかと思ったので、あえて分かりきったことを羅列させて いただきました。そのことで、全国臍帯血バンクの連絡協議会とか骨髄バンクの連絡会 議というのは必要であろうということです。  第三者機関の決めないといけない問題は、採取産婦人科の認定をどこがやるのか。移 植医療機関の認定を多分これは学会だろうと思うのですが、それをやるところが必要で ある。適応の決定というのは、先程の事務局の個々の適応ではなく、ここでは臍帯血移 植の場合には、全体的にどの疾病までを適応とするのか、という意味での第三者機関の 決定です。個々の治療のための要望というのは、当然、移植医と患者さんで相談して発 注をすればいいわけですから、全体の適応決定を第三者機関がやる必要があるというこ とです。  品質管理については、第三者機関がきちんと監査監督をすべきであるということです。 成績の評価は当然報告していただいて、インターネットで各医療機関の移植成績を公表 すべきであろうというのが、私の考えであります。  このようなことも時間が限られているので、具体的にこれからやっていった方がいい のではないかというのが私の意見です。 ○齋藤座長  ありがとうございました。では次に浅野委員なるべく簡潔にお願いします。 ○浅野委員  長くならないようにします。資料は4ページから7ページまでです。  私の考え方は、骨髄バンクの状況についてはそこで臍帯血を扱うことを考えるなら果 たして出来るのかどうかの判断のためにある程度は知っておかないといけないと思いま す。しかし、まずは一番私どもが考えないといけないことは、臍帯血移植の長所を最大 限に生かすシステムづくり、理想的なシステムづくりを考えることであるということだ ろうと思います。その観点に立ってまとめてみました。  まずそういう観点から眺めた場合に、私どもとしては業務内容が臍帯血と骨髄では全 く違うということをよく知っておく必要があります。その詳細は若干青木先生が詳しく 述べられたので略し、私の方は流れ図として書きました。  まず採取です。これには一部の産院の協力がある。一部と敢えて念を押すのは、大都 市の周辺の一部の産科の協力だけで実際には充分だからです。次は採取・追跡調査・分 離保存のための施設です。ここでは搬入・分離・凍結保存のみならず検査、HLAの データの共有や移植機関からのアクセスにも責任を持ちます。そして移植施設です。  ここでは移植の追跡調査とか登録という義務がある。それから移植成績などについて の科学的に正確な情報を提供する関連学会、つまり日本造血幹細胞移植学会があります。  それぞれの業務で特に考慮すべき点とそのために必要な設備を右上に書きました。こ の流れを患者のためにスムーズに行うのが臍帯血バンクです。そこでは、どうしても留 意されなくてはならないことがあります。これらは次の通りです。  1、臍帯血特有の倫理的課題を解決すること。これには提供者の安全性の確保と権利 の保護が含まれます。  2、臍帯血移植の利点を最大限に生かすこと。登録から移植までの期間を短くするた めに、共有されたHLAを公開する。登録に必要な書類を少なくする。これらのこ とが非常に重要であろうと思います。  3、移植細胞の品質管理を徹底する。ここでは、監視体制が必要になります。用いる 細胞の信頼性と安全性の確保は徹底させなくてはならないということです。  4、国際協調への対応を迅速にする。前回の検討会でも申しましたように、この場合 の国際協調は、骨髄とは違って極めて迅速にかつ広い範囲で必要になってくるとい うことです。そのためには国際規格には当初より沿わなくてはならないわけで、か なり厳しい仕事であります。  5、未解決な医学的課題を平行して解決する。これは将来の発展をはかるための十分 な研究を平行して行うべきだということです。  6、財政的負担を最小限に食い止め、効率のよい運営をしなくてはならない。この点 では、必要以上の保存施設は作らないということが特に大切です。確か陽田さんから は3〜5箇所が適切だという意見がありました。  7、骨髄バンクとの摩擦は避けることではないかと思います。  8、他の治療法との比較データを公開すること。先程から骨髄移植の成績が述べられ ているが、患者が最も知りたいあるいは知るべき化学療法との比較は、一向に語ら れません。これは医者が骨髄バンクそのものを管理していることの結果だと思いま す。これを出さないといけません。  次のページを開けてください。この図は臍帯血、骨髄あるいは末梢血バンクへの患者 アクセスは違うということを示しています。骨髄バンクと同じように国の財政的援助を ある程度は必要とすることは臍帯血バンクも同じです。ただ、臍帯血移植適応患者は、 実際にはある意味では最初から決められます。そこでは骨髄バンクへ同様にアクセスす る必要は出てきません。なぜなら公開され、共有化されたHLAデータに直ぐにアクセ スできるなら、二日もあれば臍帯血移植が出来るかどうか分かるからです。このところ は骨髄、末梢血とは、全く違うところです。後者ではドナーコーディネーションに物凄 く時間がかかる。臍帯血がよいか、骨髄がよいかはバンクで決めることではありません。 そんなことをすれば臍帯血移植の良さを消してしまうことになります。 再移植でも同じです。どうしてHLAのデータが骨髄バンクと臍帯血バンクで共有さ れないとならないという理由は僕には見いだせません却ってよろしくない点が多いので はないでしょうか。  そこで、理想的な運営体制です。その前に一元化した方が利点があるとおっしゃって おられる理由は全くあいまいです。 一元化がよいとすれば、国の財政的な援助は一か所の方が受けやすい、ただそれだけ のことと思います。私はそれは日本の行政機構のまずさから来る問題だと思っています。 まあそうだとしても、いつまでも摩擦を続けるのは患者のために避けたいというのが本 音です。 そこで折衷案として1財団2プロジェクト、というのはいかがでしょうか。2プロジ ェクトを相互に独立した運営で少なくとも最初はやっていくことさえ保証されればよい のではないかと思います。そういう中で徐々に両者の協調点を見いだしていくというの はどうでしょうか。患者さんの立場に立って考えるならこれが一番良いはずです。  臍帯血バンクと骨髄バンクの2つのプロジェクトをそれぞれ異なった運営体制におく ことは可能だと思います。  ただ、もしそういう1財団2プロジェクトが同じ財団の中で認められるとすれば、そ の上部機関としての審議委員会を作っていただきたい。その会は全て公開で、学会の代 表、ボランティアの代表、患者代表も入れていただきたい。その上で、国の予算を明解 に決めていただきたいと思います。  私の考え方は、加藤先生のものとは違います。新しい財団の中に、今骨髄バンクと臍 帯血バンクとを並立させることです。  今の骨髄バンクに全てを任すことはその能力からして無理があるようです。はっきり 申し上げて無理でございます。  学会としても相互に正しい連携適切な連携が出来るように努力していきたいと思いま す。 ○齋藤座長  細かい点は微妙に差があるのですが、大まかにいえばほぼ同じようなご意見であると 思います。今浅野委員も言われたように、一元化という言葉は悪いのですが、予算を取 りやすいというのみではなく、結局は対象となる患者さんも移植を行う医師も同じです。 骨髄移植をやる人も臍帯血をやる人もね。したがって、分かりやすさという点では、今 浅野委員がまとめられたような、あるいは加藤委員が言われたご意見になろうかと思い ます。では最後に有田委員からどうぞ。 ○有田委員  このシステム図は一番最初は6年前に作りました。それから運動の過程で署名活動な どをやることになりまして、一昨年作り直しました。作り直す前までは左側のところに は日本赤十字社というのが入っていたのですが、一昨年の時点でこれは削りました。血 液事業拡大の中で機能というのは、多分良い形の血液事業法というのができてくるので はないかという期待をして書いていたのですが、血液事業法はとんでもないものが出る 可能性がありそうで、日本赤十字社という言葉をここには一つも入れてません。  二つ今までの方の話と違う点があります。移植医療と供給までのところを線を引いて 分けてしまうということです。臍帯血バンクから上の方には移植医の方は極力遠慮して いただきたいということです。それは今骨髄バンクの問題点でもありましたが、患者さ んを見なければならない移植医の先生方に、大変なご苦労がおいかぶさっているという、 私たちの骨髄バンクを見る一つの反省点がありました。移植医の先生も患者さんも気の 毒で仕方ないです。  もう一点は、これは陽田さんからも話がありましたが、供給されるまでに患者さんが とても負担が高いということです。それも未収金の問題もありましたが、これも大変な 酷い話しだと思います。こちらに保険点数を付けられないかというのは、これは私たち の願いなんです。それで、厚生省のいろいろな関係者の方にもお聞きしましたが、これ はやろうと思えばできることです。やろうとしないからできないということでした。で すからこれは当事者がやろうと思えばできることですから、やっていただきたいと思い ます。  一つここで言わせていただきたいことがあります。組織ができるときに、事務次官と か局長という人達が、臍帯血バンクに来ていただく必要は全くありません。移植医たち の都合で医療界のボスなどを入れてほしくない。皆さんは笑っておられますがね。いろ いろな言葉を巧みにおっしゃっても、そこがネックですから、臍帯血のときにはそこは 綺麗にクリアしていただきたい。そうしないと、私たちはいつまでも言いつづけます。 私の意見は以上です。 ○齋藤座長  ありがとうございました。5人の方から運営の実際上の組織についてご意見をいただ きました。何かその他の方でご意見はありませんか。 ○陽田委員  追加資料を出したので申します。すみません今日出したので傍聴の方には行き渡って ない資料です。申し訳ないと思っております。別表−1修正案と書いた4枚のペーパー が委員の先生方のところには配付されていると思います。私が前回お出しした資料の中 の別表1という供給数というところが、一番最高で1バンク当たり100 にしていたので すが、これは将来的にはかなり供給数が増えるのではないかというご意見がありました ので、150 に置き換えてみました。その結果、別表−2の金額的な試算を入れ換えてみ ました。前回と別表−2の修正案のどこが違うのかというのは、事業収入のところの臍 帯血供給による収入を一つ当たり前回は100 万円でやっていたのですが、今回は70万に 落としました。これは因みに今の供給数が増えたということと、もう一つは前回の試算 では最初の設備投資だけ補助金で、ランニングコストは全て資金繰りを借入金によって やるということにしていたのですが、最初の3年間だけ、ある程度のストックがいくと ころまでは補助金を入れるということで、上から4行目に事業収入のところの補助金で 7千万ずつを3年間入れてございますが、3年間だけの期間を切った補助金を入れると いうことではどうかということで、下の借入金を前回よりも減らしております。  その結果、大体前回と同じような試算の流れでいって、一つ当たり70万くらいという ことですので、このくらいであれば、主な財源を保険でいける数字ではないかという試 算をしてみました。  先程、加藤先生の方から行政に対して非常にネガティブな印象をもっているというお 話がありましたが、私は行政全てがネガティブなのではなく、一部そういう部分は否定 できない今日この頃の事情であると思っています。ここに書いてあるのは行政の関与は 必要最小限に止め、特に人事的な関与は避ける。公費の投入についても、その方法を十 分に工夫するべきである。公費の投入の仕方というのは、例えば補助金については期間 で限定し、あとは保険の収入で回すとか、工夫の仕方によってかなり行政の関与のあり 方が良いものになっていくのではないかと思ったので、そのように提案しました。  3ページ目です。この右半分は前回加藤先生から出された登録から移植までの流れが 右側です。これを比較する意味で左側に私が同じように、これは登録からではなく検索 からという表現になってますが、検索をしてから移植までの流れということで、骨髄バ ンクの場合と臍帯血バンクの流れを表現しております。データを公開することによって、 1と2の間に、どこでも患者サイド、主治医サイドで検索ができるというシステムを早 くつくれば、登録を受け付けて、それを判断してどうのこうのという中央事務局の経費 と時間を削減することができます。その方が者さんのためになると私は思っております。  4ページです。ここはしっかり議論をしておかないといけません。加藤先生案と私が 出したものは基本的には食い違っているのはほんの一部だと思うのです。右側が加藤先 生が書かれた組織図に私が勝手に書き加えたものですので、加藤先生がどうお考えにな っているのか、ここがもし違うとすればご訂正を願いたいと思います。左側が私が書い た組織図にお金の流れを入れてみました。  移植医療機関に対して、保険あるいは患者さんのご負担のものが入る、そのお金が地 域バンクに入る、補助金あるいは寄付もここに入ってくるわけです。そこから採取医療 機関に一部流れる。それから連絡調整の組織が必要であれば、地域バンクの方からの負 担で流れてくる。第三者機関の経費とか、患者相談とか国際協力の経費が必要であれば、 そこから流れるということになっております。  ようするにお金の流れの川上とか川下で表現しますと、地域バンクを川上にしないと いけないと私は思っているのです。例えば右側のでいきますと、移植病院から一番上の 造血幹細胞バンクという中央の組織に流して、そこから配分をする形になるのかなとい うふうに推測して書いたのですが、もし間違ったとしたらご訂正願いたいと思います。 流れとしては地域バンクの方を川上にするべきだと私は考えております。ここのところ は非常に重要です。 ○齋藤座長 ありがとうございました。現在、運営上のあり方、組織についていろいろご意見をい ただきました。議題の3としてその他の検討項目というのを一応上げております。今ま で既にご議論いただいた問題もありますが、議論の進行上、一応事務局から簡単にこれ を説明していただいて、もう一回全般的に議論したいと思います。半分以上は今まで出 てきたことだと思います。では重藤さんお願いします。 ○重藤補佐  私から資料3、その他の論点につきましてご説明申し上げます。これまで幾つか論点 メモという形でお出ししまして、ご議論いただいたということで、大方の結論に達した かと思います。その他まだ議論が不十分もしくは是非詰めておかないとならないという 点をまとめさせていただいたものでございます。  臍帯血移植の適応の評価についてということでございます。これは適応基準に照らし て第三者機関で評価するのか、あるいは移植医が移植を決定するのかということでござ います。それは次の問題とも関係します。そこの二つを考えていただきたいと存じます。  骨髄移植と臍帯血移植の関係について、臍帯血の移植成績が明らかになるまでの当分 の間ということで、原則としてまず骨髄移植の適応を考えるのか、ただしこれは病状等 から臍帯血が優先されることが考慮される。あるいは骨髄移植を選択するのか臍帯血を 選択するのかは、移植医が決定するのか。ということでございます。これは1,300 例以 上行われまして、先程ご説明しましたように、それぞれの疾病・病期ごとの治療成績が 明らかに出ているものと、臍帯血移植、これも非血縁者間でありますと日本ではまだ20 数例かと存じますが、そういうもので各疾病、病期ごとの成功率・生存率が比較できな い状態で、もし臍帯血のHLAがあっている人、骨髄の適応があっている人が同時に見 つかった場合にどうするのか。  あるいは同時に見つかるのでも、例えば臍帯血のワンミス、ようするに合わなくて、 一つちょっと落ちるような状態と骨髄の状態の患者が見つかったというようないろいろ なケースを想定して、例えば優先順位なり、ある第三者機関が推薦するというか、治療 法についての意見を言うのかいわないのか、それは各個人の意思、移植医の判断に任せ るのかというような点をご議論をいただきたいというのが第一点でございます。  移植の実施のための搬送について。これは骨髄移植の場合の、今は移植医の方が取り にいく。あとは搬送という移送費ということで保険に療養費を請求するということで現 在は骨髄移植を行っておりますが、この搬送ということをどう考えていくのか。それか ら運営の安定性・継続性について、費用負担をどうするのか。  先程陽田委員からそういう私案が出ましたが、そういうことを今後どう考えていくの かです。  作業部会の方から検討依頼項目ということでございます。臍帯血の採取時の安全性の 確保ということです。臍帯血の採取は胎盤娩出の前に行うのか後に行うのかということ、 いろいろと産婦人科の先生方のご意見もあろうかと思いますが、そういうことも一応作 業部会からの依頼で,本委員会でこういうものも議論してほしいということでございま したので、そこもお願いをしたいと思います。  その他の議論をしておくべき項目です。目的外の使用の禁止とか、個人情報の保護と か、国際化への対応という論点です。これまで国際化は今日は議論としては出てまいり ましたが、そのような問題についても一通りご議論をいただければ幸いかと思います。 ○齋藤座長  ここで先程から時々日本赤十字社のお話も出ました。草刈委員何か一言ございますか。 ○草刈委員  今日は関口先生がいらっしゃいますので、関口先生にお話いただきたいなと思います。 後で補足とか訂正があったり間違ったことがありましたら、直していただきたいと思い ます。  一番最初に骨髄移植、あるいは臍帯血移植にしろ、斉藤先生・浅野先生、これは患者 さんに放射線を浴びせて骨髄の命を亡くしてしまうわけですね。そこに移植が成立しな かったら、大変危機的なことになるのは間違いないですよね。同じことだということで す。それは看護協会の高橋先生にも分かっていただきたいと思います。患者さんにとっ ては生死をかけた医療であるということを、私はもう一回お考えいただきたいと思いま す。  財団は大変に評判が悪いのですが、日本赤十字も大変に評判は悪いのです。一番財団 に厳しく物をいうのは浅野先生か私だと思っております。しかし多くの人達が、本当に 頼っている組織でございますので申し上げることにします。私の知っている骨髄提供し た方は、財団のコーディネーターは大変にきちんとわきまえて丁寧に対応してくれた。 しかも自分の提供は言われた通り以上に病院の中でも礼節をもってやったいただいた。 大変に有り難いことだし、私はできればまたやりたい。簡単に言えばクセになりソーと いう意見です。  提供を予定していたドナーが残念にも見つからなくて、確か亡くなった例ですが、そ の方の財団に対する感謝として、自分の生命保険を財団に寄付していただいたようにも 聞いております。非常に感謝を受けている場合があるということは事実ですし、是非、 見守ってやっていただきたいというのが私の気持ちです。  原先生のおっしゃったことは、請求しやすい方法にかえるということですね。亡くな った患者さんにも病院はちゃんと医療費は請求しますね。この間白血病で亡くなった方 が、ご主人が家に帰ったら、ちゃんと請求書が丁寧な文書を添えて家に届いた。それは 喜んで払わせていただいたということがあるので、請求する方法を考えろということだ ろうと理解させていただいております。  今日の28ページのところに登録されている方が9万幾らというのは、実際には延べで は優に10万を越えている。それはどのように脱落していくかというか、脱落という言葉 は良くないかも知れないのですが消えていったのかというと、一つが、登録した後に年 齢が超過したということもございます。もう一つは財団側からコーディネートのために 何回か連絡をしても返事がなかったというのがあります。2回以上は脱落させているは ずです。だから、登録する人、ドナーという一言でいってしまうのですが、提供希望と いうことで登録する方、もう登録してしまった方、コーディネート中の方、最後に登録 してしまった方というのを、英語でドナーというとどの段階かわからないのです。採血 してHLAを検査した方というのは、国費がかかっているわけです。例え検査料は民間 の費用より高くはないのですが、それはそれで国民の税金が使われている。だから提供 登録ということの意義をわきまえて来ていただきたいというのは、現場の願いです。  勿論皆そうだと思ってやっておりますが、そのときに、浅野先生もそうであったので すが、当時私も財団設立の時にマニュアルを考えた立場ですが、各都道府県で提供登録 する人が十分にこれから起こることについて理解を受けないで来られると困るわけです。 あらかじめ骨髄移植について提供登録について十分に説明を受けたという方が、それを わかった上で来てくれるはずなのですが、何の説明も受けてなくて来られる方には説明 をしないといけない、「私はそういうことは知らなかった」と採血や検査の後で言われ ると大変に困るわけです。 それで、骨髄データセンターの機能の説明をさせていただいているのですが、それが 献血バスの中に来て説明をしなければならないのは大変に困るので、今財団と厚生省と 私のところで、どのような形できちんと登録を希望する方に説明していただけるか相談 しています。むしろ、きちんとしたコーディネーターの資格のある方たちが、予め説明 していただければ、日本赤十字の採血をしている場所で、採血をしているときなら、ど こでもできるのではないかという提案をさせていただいています。  財団が生まれる前の方から聞いたのですが、あなたのHLAとこの方が合ったので是 非とコーディネートをお願いしたら、私はそういうつもりはなかったと言われたとした ら実に悲しいのです。  いずれにしても地域に根ざした骨髄提供の登録がこれからの財団の課題だし、硬直性 があるといわれるところは確かにあると思いますので、どんどんよくしていくのが我々 の仕事である、また厳しく財団側には申し入れをいたします。一言か大変に長くなって しまいました。 ○関口委員  私は現場のセンター所長ですからその立場でお話を申し上げます。今の臍帯血バンク の中で、技術的には赤十字の機能と合致しているところがあるわけです。そういう意味 で皆さんは赤十字の血液センターに期待するものが大きいと思います。  また一方、全国に77のセンターがあります。それぞれのセンターはインディペンデン トに仕事をしているので、非常に格差があるというもの事実です。その中で同じレベル で血液センターに技術を要求しても、実際には応えられない部分があるという現実も考 えていかないといけない。  もう一つはHLAの検査は実証済ですので、臍帯血においても同じような対応は技術 的には可能ではないかと思います。量もそう多くはないわけですからね。  もう一つは我々の血液事業が果して造血細胞の事業にどのように関連していくのかと いうことです。これから血液事業法など法律絡みもあるので、そういうところを踏まえ て決定しないと、お金の出所もはっきりしないということになると困る。今日はちょっ と赤十字が無視されているという形ですが、私は実際にはほっとしていたのです。今度 の時には、そういうところをお考えになって議論をしていただければ、私も自分の立場 から皆さんに納得いただけるような提案をしたいと思います。 ○高橋委員  私もこの委員会に毎回参加して、どうもよくわからないというのが正直なところで過 ごしてきました。私は長く大学病院の看護部長を勤めてきまして、移植の現場にも立ち 会ってきました。ここでやり取りされているような不信というようなものが、あること 自体が大変に不幸である。何とか話し合いを上手く進めていただいて、利用者側が有効 に活用できる組織体を作っていただきたいと思うのです。 細かいことになりますが、話の端々に例えばボランティア代表の方から、医師が大変 に負担を負っているというご発言があります。現実には骨髄バンクの方は医師が請求書 を切って、それが未回収になっているとか、実際にいくら同情していただいてもそうい う問題が解決しない限り、変わっていかない。もう少し細かいところで論議をしていた だかないと、これを一本化することは難しい。先程も浅野委員がおっしゃったように、 大枠で括って中で分かれてということになるにも、もう少し検討がいるのかなという感 じが正直いって今日の段階でございます。  特に現場に立つものとして、ボランティアの方々の役割とかコーディネーターの方々 の役割について、もう少し聞かせていただけると有り難いと思っております。特に予算 的なことで申し上げれば、コーディネーターというのは大変に重要です。この事業を展 開していく上で非常に重要な役割であろう。骨髄だけではなく他の移植に関してもそう です。治験薬に対してもコーディネーターの役割が大変に重要になってくるだろうと思 うのです。これがバラバラの教育というのは大変に無駄のように思うのです。両方のこ とがわからないと、きちんとした説明ができないわけです。助けることはできないと思 いますので、こういうことももう少し論議していただきたいというのが今日の希望でご ざいます。 ○齋藤座長  では産科の立場として中林委員お願いします。 ○中林委員  私どもの立場としては総論的には既にこの事業に賛成でございますので、あとは作業 部会で検討していくべき問題が多々あろうかと思います。その中ではインフォームドコ ンセントをとったり、どの時期に取るのかというのは、かなり産婦人科医がこれから多 数行う、それが行いやすい方法というのが必要です。幾つかは拝見すると、小児科の先 生とか内科の先生が作られたプロトコールが多いので、そういうのは馴染まないという のが言葉そのものにもございます。  例えば人工妊娠中絶などをとりますと、あれは母体保護法という法律で既に本人と配 偶者、配偶者がわからないなら本人のインフォームドコンセントでいいとか、幾つかの そういう胎児の生死に関して、または胎盤等を使うのもそれにほぼ準ずると感じますが、 そういうもののやり方とか、または言葉も大体産科医ではやり方が決まっておりますの で、その辺のやりかたを統一した方がいいのかなということです。  臍帯血を採るのは、胎盤の娩出後か前かということも、安全性と有効性を考えると、 医師の裁量に任されるところがあるわけです。大学病院での教育等と同じですが、研修 医がやるのか教授がやるのでは大分違うが、安全性があればそれはそれで許されるとい うようなことが、あまり現場と意見が違ってもいけないので、多く採るところは産婦人 科医の学会なり数名の医師の意見なりをいれつつやっていくのが、作業部会の本来の仕 事です。我々もできるだけそこに参加させていただいて意見を言わせていただきたいと 思います。 ○齋藤座長  ありがとうございました。古市委員全体を通していかがでしょうか。 ○古市委員  既に発足して実績がある骨髄移植推進財団に対して、いろいろなご意見があることは わかりました。しかしこれが今日までずーとやってきたというのは、草刈委員がいわれ たように、もっと改善すべき点があるにしても、それだけの役割は果してきたからでし ょう。したがって、財団のあり方がおかしいから、ただちに別の組織を作ろうという話 にはならないのではないか。事業自身が骨髄財団とは違うということではなく、今まで の実績から見ると、そういうところと一緒になると上手くいかないのではないかという 危惧で言われているような気がするのです。先程名簿を見たのですが、ここにご出席の 何人かの方は財団の理事であり評議員でもあるわけですから、そちらで十分議論してい ただきたい。  話を聞いてまして、今の財団の問題点が改善されれば上手くいくのではないかという 気がします。 ○齋藤座長  ありがとうございました。私も既存の骨髄移植財団に無理やり臍帯血移植を押し込め るのではなく、これは非常に良い機会なので直すべきところは直して、先程も加藤委員 と浅野委員の組織図もありましたように、将来は一つの造血幹細胞移植システムとして 構築していきたい、その移行期が2〜3年あるので、それを現実的にどうするのかとい うことだと思います。 ○青木委員  先程の古市先生のお考えはちょっと違うのではないかという気がします。どこがやる のかはこれから決めることであって、それは骨髄財団が問題があるとかないとかは関係 はないのです。しかし、どうもお出しになる資料を見ると、かなり事務局側は骨髄移植 推進財団がやればどうかというのが見え隠れしている。そういう状況は一つにあって、 それに対して私は最初からいっているのは、骨髄移植と他の先生もそうおっしゃってい るのですが、骨髄移植と臍帯血の移植というのは、形態の上でかなり違ってくる。ド ナーを入院させて採取するのか、あるいは臍帯血バンクのように予め採取して保存して おいて届けるという、どちらかというと血液事業に形態が近いものである、そういう立 場からの議論をさせていただいているわけです。  決して骨髄バンクが問題があるからどうのこうのという発想ではないということをご 理解いただければと思います。 ○浅野委員  私もちょっと補足させていただきます。先程の資料の中の2ページです。そこで設立 及び運営に関する利点というのが、行政が書いております。私も先程申しましたが、誰 がお書きになったのか知りませんが、これが一元化の必然性の理由になるのですかとい う疑いをまず申し上げたい。考えなくてはいけないのは、必要とする患者にとって利用 しやすい、その利点を生かせるということなのではないでしょうか。  すべて、患者のためでございます。例えば、臍帯血の品質の保証。これは一元化しな いとだめなのでしょうか。ですから統一する理由があるとすれば、国が動きやすくする、 つまり金を出しやすくするということだけだと思います。  もう一つ、先程日赤が入ってないというお話でございますが、実は括弧して遠慮して まして、真ん中に置いてあるのは日赤でございます。日赤に対する期待は私達骨髄バン クを立ち上げたときから大きいものがありました。それは今でも変わりません。 ついでに、患者適応を誰が決めるのとか、骨髄移植と臍帯血移植の関係はどうなのか ということは、データがないからできないというのではありません。ちゃんとロジカル に納得いく理由があって最後は患者自身の決定事項する事項でございます。 ○有田委員  局長に一言あります。小林局長、国会でも答弁なさっていたようですが聞かせていた だきました。事務局に指導なり注意をしていただきたい。出てくる資料は先程も説明が 陽田委員や西平委員からありましたが、言っていないというのが出てきます。勝手にま とめて出されたら困ります。これがインターネットによって世論となっていくのです。 非常に困ります。私の方からいろいろな人からいろいろな苦情がきてわからないといわ れてますので、そこをよろしくお願いします。 ○重藤補佐  この資料はお三方にファックスで送って事前にご意見を聞いております。勝手に3人 にお断りなく出した資料ではございません。 ○小池委員  参考資料の3を拝見しますと、ハーラー・シャイエというようなムコ・ポリ・サッカ リドージスなどに対する酵素遺伝療法の役割を臍帯血移植で実施していると読み取れる わけです。それと同じように逆に臍帯血によって病的遺伝子が、移植され遺伝子病をも たらすということも、明らかにしておかないといけないのではないかと思います。全て 安全であるというわけではないということです。 ○齋藤座長  それと関連して、最近も乳児の白血病に深い関与のある遺伝子異常がかなり高率に臍 帯血に存在するという論文も出ております。臍帯血移植は慎重に見極めていくのがいい と思います。 ○浅野委員  今の問題は倫理上私も極めて重要な問題であると思います。恐らく、将来はもっと重 要になっていくのではないかと思っています。そういうことからいっても採取というの は、保存施設というのは、かなり倫理のしっかりしたところ、しっかりした検査体制を 持ったところでないと駄目であるといえます。 ○齋藤座長  では原委員お願いします。 ○原委員  私は一言だけお願いしたいとことがございます。先程、有田委員から移植用臍帯血の 保険に関するもので、あれを保険の対象として考えていただきたいという話がありまし た。これは厚生省の意向でかなり自由になるのではないかと思います。移植臓器、臓器 については確かに現在でも保険は通っておりませんが、臍帯血を含めた組織としてのも のですが、そういうものは幾つか既に保険の対象になってます。角膜は勿論です。その 他にも例えば心臓弁とか死体の筋膜とかの移植では医療材料として保険の適用になって いるわけです。そういう意味で、臍帯血の方も適用の枠内に入れて考慮していただきた いと思います。 ○齋藤座長  ありがとうございました。 ○陽田委員  先程の骨髄バンクとの関係で不信があるのではないかとか、あるいは骨髄バンクの組 織に問題があるから一緒にしてはいけないとか、そういう意味合いだけで今回ご提案を させていただいたわけではないのです。お金の使い方という点からいうと、臍帯血の場 合には、採取から保存するまでに殆どのお金を使うわけです。恐らく9割くらいだとお もいます。骨髄バンクの場合には、ドナーの登録からデータの管理まで、それからコー ディネート、その部分に大きなお金を使う。予算のほとんどをそれぞれ別のところに使 うわけですから最初から一緒にするのだという発想でいくと、大きな間違いになるので はないかということで別々にすべきだという提案をしたわけです。  先程の自治と統制ということから考えて、現場の人達が自主的に運営できる組織づく りをしていかないと、「やりがい」が組織の中に生まれてこないし、バンクそのものが 大きく育っていかないのではないかと考えています。 ○齋藤座長  運営体制につきましては今日、結論が出る問題ではないので、更に次回議論を深めた いと思います。次回は4月27日月曜日です。午後2時で場所は法曹会館であります。そ の他事務局から連絡事項はございますか。5月です。それの次は5月18日の月曜日では いかがでしょうか。 ○鎌田委員  私は月曜日はちょっと。次回も出れないのでできれば月曜日を外していただければと 思います。 ○齋藤座長  月曜日以外ということですか。 ○鎌田委員  月曜日でしたら午前中でしたら。 ○齋藤座長  では調整します。最後に小林局長から一言お願いします。 ○小林局長  委員の先生方大変にお忙しいところご出席いただきましてありがとうございました。 そして大変にご熱心な議論を心からお礼申し上げたいと思います。この会議は初めにも ご挨拶で申し上げたかと思いますが、この会議は、実は全国の市町村議会の要請、国会 議員さんの要請、専門家の先生方の要請を受けて、厚生大臣が、何とか臍帯血の移植が できるようにしていこうとういことを国会でご答弁をされ、私と中西局長が責任をもっ てまとめるようにと言われてこの事業をやっているわけでございます。  将来これを実際にできるようにしていくためには、診療報酬との解決も図らないとい けないわけであります。そのためにはこの会議の答えが纏まらないわけには、スタート ができないということはまず皆さん方にご理解をいただきたいと思います。  この会議は、事務局としていろいろな意見の方をいれるということを、初めから考え て一方の意見に偏らないようにということを考えて、いろいろな立場のメンバーの方も いらっしゃるわけですが、いろいろな面でいろいろな議論が起きるような形でメンバー を選んでございます。この方々が一つにまとまることが大変に大切だとおもっておりま す。私ども事務局にはあまり先走らないようにということは事務局に注意しております が、もしいろいろな問題の点がございましたら、またご指摘をいただきたいと思う次第 でございます。いずれにしても先生方のご意見で最終的には集約して、まとめていかな いといけないと思っております。  ただ政府の立場からいいますと何しろお金がない。財政改革の中でも厚生省は今年度 予算、10年度予算でも当然増だけで8,500 億円増の規模がないと予算が組めないという ものが、3,000 億増でしか駄目と言われて5,500 億円の当然増分をカットしたわけです。  そういうことで議会でも沈滞し、国会の野党の先生にお叱りを受けて大臣は大変に辛 いお立場になっていらっしゃいます。それがまた後2年間続くという条件の中でどうや ってこれを上手く発足させるのか、私は今日もきかせていただきまして、私どもは行政 官ですから直ぐに金勘定をします。大体どのくらいかかるのかと思いながらずーと聞い ていたわけです。幸い青木委員とかに割合細かく業務を切っていただいて、その中で国 がやるべきところは何かというところが、少し私なりに仕分けを頭の中でしながら聞か せていただきました。 皆さん方、大変困難であろうかと思いますが、最終的にはなるだけ一つの意見にまと まるように、斉藤座長の下で、先生にも大変ご苦労をかけますが、何とかまとまること を心から期待して、国民の付託に、議会の付託に応えたいと思いますのでよろしくお願 いします。今日はどうもありがとうございました。 (以上) 問い合わせ先 厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当 重藤(内2361)、眞鍋(内2364)    電 話 (代)03-3503-1711