99/01/26 第2回臍帯血バンク共同事業技術専門部会 第2回 臍帯血バンク共同事業技術専門部会 日時 平成11年1月26日(火) 13:00〜15:00 場所 虎の門パストラル 「桔梗の間」 〇事務局 定刻になりましたので、只今より第2回「臍帯血バンク共同事業技術専門部会」を開 催いたします。先生方におかれましては、本日お忙しい中ご出席いただきまして、誠に ありがとうございます。 すでに各臍帯血バンク関係者にはご報告させていただいておりますが、本技術専門部 会及び臍帯血移植検討会の委員で北海道血液センターの所長でいらっしゃいました関口 定美先生が、1月6日午前0時38分にお亡くなりになりました。ここで謹んで御冥福を お祈りを申し上げますとともに、皆様にご報告させていただきたいと思います。 また、京都府赤十字血液センター所長でいらっしゃいます横山繁樹先生が、本日より 本技術専門部会及び臍帯血移植検討会に新たに委員に加わられることを、併せてご報告 させていただきたいと思います。 続きまして本日の資料でございます。確認させていただきます。最初に、第2回臍帯 血バンク共同事業技術専門部会の議事次第でございます。その後ろに座席表と名簿があ ります。続きまして資料一覧でございます。 資料1 これまでの検討の確認 資料2 今回検討すべき事項について 資料3 平成11年1月24日の新聞報道について。 地域臍帯血バンクの視(査)察(案)でございます。 資料等の不備等がありましたら事務局の方にお申しつけ願いたいと思います。 本日は第2回の会議でございます。本日の司会進行をお願いしております浅野先生よ ろしくお願いします。 〇浅野座長 議事に入ります。まず事務局から資料1・2のご説明をお願いしたいと思います。 〇山本補佐 お手元の資料1と2でございます。まず資料の1です。前回の検討内容の確認でござ います。 1.臍帯血の情報の共有・管理システムについてです。 全国的に標準化し共有・公開する情報の内容。一次検索もしくは予備検索といってお りましたが、その検索用の情報として、臍帯血のHLA型。保存臍帯血中の有核細胞 数。当該臍帯血を保存している臍帯血バンク名。この3つの情報が一次検索として公開 されるということでございます。 この情報にアクセスできる者としまして、協議会の事務局、これは日本赤十字社に置 くということになっておりますが、この事務局です。それから協議会に参加している各 臍帯血バンク。登録移植医療機関。協議会が認めた患者団体もしくは相談窓口。患者個 人個人ではなく、団体ということになっております。 ハッキングの防止等の観点から、登録移植医療機関以外の一般の医療機関、もしくは 一般の患者個人、つまり一般国民ということになろうかと思いますが、その方が自由に データにアクセスできるシステムとはしないということでございます。検索の方法とし ては、一次検索はインターネットあるいはファックスです。 二次検索につきましては、登録移植医療機関の移植医、患者の主治医ということにな ろうと思いますが、この移植医が当該臍帯血を保存しているバンクに問い合わせて聞く ということでございます。この二次検索で得られる情報としては、例えば有核細胞数だ けではなく、例えばCD34陽性細胞数とか、血液型関連検査とか、その他一次検索に出 てこなかった詳細な情報等で得られるものを得るということかと思います。 臍帯血の提供にいたるシステムということです。まず二人以上の主治医が同じ臍帯血 にアクセスした場合には、早くアクセスしたものを優先とする、という考え方。主治医 が希望する臍帯血の使用権というか、それをホールドできる期間としては3か月、3カ 月たって移植に使わないならリリースするということです。そのキープする臍帯血の個 数は一個です。 ただここで生着不全の場合に備えて予備の臍帯血を確保、その時点で確保しておくシ ステムにするのか、それとも生着不全がおきた時点でまたアクセスして検索してホール ドするのか、ということについては検討を要するということかと思います。 その他、骨髄移植推進財団に登録されているドナーに関する情報との連携については 今後の検討課題となっております。 2ページ目、2.安全性の確保、質の向上についてです。 標準化という問題で決まりましたことは、安全性の確保のために、各臍帯血バンクに 対しまして、最低年1回、第三者による査察を行う、これは定期的にもあるでしょうし 必要に応じて不定期にもということでございます。この査察の際の重点事項については 今後とりまとめようということでございました。 3.適応治療成績の評価につきましてです。 これは事業運営部会の方からも出された意見でした。移植実施基準書、これは既に規 定されておりますが、これに規定されている適応疾患、病期について、より詳細に明確 に前もって決めておくことで、それらの疾患適応については、その都度、判定委員会の 審議を得ないで、そこにあるものについては提供していっていいのではないかというこ とでございました。 また基準書に規定されてない疾患につきましての移植の適応については、基本的には 地域の判定委員会(仮称)これにおいて審議することとし、決定困難な事例についての み中央の判定委員会(仮称)で審議するということでございます。ただこの地域判定委 員会を各バンクがそれぞれ持つのか、それぞれのブロック、地域単位で持つのかとか、 中央判定委員会これは協議会に置くのかどうか、ということの詳細はまだつまっており ません。臍帯血を提供した臍帯血バンクが、移植医療機関からの定期報告をきちんと受 ける、それを持ち寄って共同事業全体として全国的な分析評価を行い、またその結果に ついては公開していくということでございます。 4.移植医療機関の登録と、移植情報の公開についてです。 医療機関ごとの移植成績や実績、あるいは体制に関する情報公開については、最低限 のリクアイメント、最低限これだけはというものを規定した上で、あとは移植医療機関 の自主性に任せるという考え方で前回議論が終わったかと思います。 お手元の資料の2です。今回検討すべき事項についてということで、実は何点か検討 は積み残しになった部分と、それから第2回の事業運営専門部会で、前回のこれまでの 検討の経緯をお話しましたところ、事業運営部会の委員から、この点についてもう一度 検討しなおしてほしいという意見が出されました。それをこちらの方に付け加えており ます。 一つは一次検索、予備検索の情報にアクセスできるものということで、先程申し上げ ました4つのカテゴリー以外に、登録移植医療機関以外の一般医療機関の主治医も検索 できるようにするべきである、というご意見が出されました。この趣旨は移植はしない が、セラピーその他で患者をフォローしている医療機関・主治医がいて、その方も臍帯 血の移植の可能性、もしくは臍帯血の存在の可能性について、患者に対してお話をした り相談をしたりするということがあるのではないかということで、登録移植医療機関以 外の医療機関でも検索できるようにすべきという意見をいただきました。 次に、臍帯血の提供にいたるシステムについてです。 生着不全の場合に備えて予備の臍帯血を確保できるシステムとするかどうか、前回の 席上、メリットとデメリットをもうすこし整理してもう一度という話をさせていただき ました。システムとしては両方とも構築することは可能であろうということですが、簡 単に申しますと、予備の臍帯血を確保できるとすれば、その方法ですと生着不全の際に 迅速に確実に移植できるし、そういうことを移植する前に患者にインフォームド・コン セントができるということでございます。 ただデメリットとしては、予備の臍帯血が一定期間ホールドされますから、それがフ ァーストチョイスである他の患者さんにも使えなくなってしまうということがあり ます。 一方、臍帯血の予備を持たないということになりますと、システムは非常にシンプル になりますし、先程のメリットとデメリットが全く引っ繰り返した形になろうかと思い ます。これもご議論いただければと思っております。 次の臍帯血の提供にいたるシステムです。 一つの臍帯血に二人の主治医からアクセスがあった場合には、「早い者勝ち」という 考え方であったのですが、実は事業運営部会の委員の中から、早い者勝ちというだけの 概念ではなく、例えばレシピエントの病状、重症度等に応じて、優先順位の考え方を整 理するべきではないかとという意見もございましたし、また前の検討通りに早い者勝ち でいいのではないかという二つの意見が出ております。 2.安全性の確保・質の向上についてです。 査察につきましては、本専門部会で査察事項について今後とりまとめるという意見で ございましたので、これはまた高橋先生等からもお話があろうかと思います。 3.適応評価です。 適応評価につきましても、実は前回の席上は座長から何々委員ということで、何人か の先生方にこれの取りまとめをお願いしているところでございます。 4.情報の公開です。 これも事業運営専門部会において、医療機関ごとに公開する情報の最低限のリクワイ メントとは何か、というものを明確にしておくべきである、ということです。例えば移 植実施数、もしくは移植した疾患・病気・生存率・その他、公開するべき情報を明確に するべきではないかというご意見がございました。 5.最後に今まで検討していただかなかった事項として上がっております。 一つは各バンクにおいて基準書ができる前、もしくはこの協議会が発足する前に、既 に保存されている臍帯血について、使うのか使わないのかということでございます。 もう一つは、一度臍帯血バンクから移植医療機関に臍帯血をシッピングして搬送して 実際には移植医療機関が使わなかった場合に、それをもう一回戻して臍帯血バンクに入 れるのか、それは使わないのかということが2点検討課題です。以上でございます。 〇浅野座長 ありがとうございました。ご説明のあった、これまでのご検討の確認、及び今回検討 すべき事項、資料2でございますが、それについてご討議していただきたいと思い ます。この順序にそって進めたいと思いますが、その前にご説明に対してご質問等がご ざいましたらどうぞ。 〇中島委員 私から申し上げるのは適切かどうかはわからないのですが、一次検索の情報にアクセ スできるものとして、協議会の事務局が上げられております。これは日赤に置くことに なっているのですが、このアクセスできる者というのが、単に情報に接することができ るというだけであるのか、あるいは事務局が例えば臍帯血情報の検索を仲介するとか、 情報を希望されている患者さんや医療機関に提供することまで、期待されているのか、 赤十字の関係者と協議しましたところ、そこまでの対応は難しいのではないかという意 見がございました。アクセスできるというだけなら結構でございますが、事務局にもし 仲介的な仕事までということになると、困難であるということをこの専門部会で確認し ておいていただきたいということでした。 〇浅野座長 アクセスの内容についてご説明ねがいますか。討議に入る前にそれを確認してという ことにします。 〇山本補佐 実はここのアクセスは、確かにおっしゃる通りに定義は非常にクリアではなかったの だなと思いましたのは、例えば最後の4つめの・です。「協議会が認めた患者団体、相 談窓口」というのは、明らかにただ見るだけというだけではなく、患者の方々で主治医 に相談できなかった場合に、ここに相談すれば情報が貰えるという脈絡の中でここが出 てきたのかと存じます。ただ例えば事務局のレベルでは、例えばデータの管理とか、事 務局でやる意味でアクセスできないということはないでしょうが、相談窓口を設けるか どうかについては、ここの席でご議論いただいたらどうかと思います。 〇浅野座長 只今のご説明についてご質問があればお願いします。 〇横山委員 はっきりと教えていただきたいのですが、協議会が認めた患者団体相談窓口というの は漠然としているのですが、もうちょっと具体的にどういうものをイメージされたのか 僕にはわかりにくい点がございますので、できれば明快な言葉にしていただけないかな と思います。 〇浅野座長 只今の質問について討議の中でやります。特にないようでしたらこのまま討議に入り ます。では順をおってまいります。 今回討議すべき事項について資料2をご覧ください。 1.臍帯血の情報の共有・管理システムについてです。ただいまご質問がございまし たことを含めてご討議願います。 一次検索用の情報にアクセスできるものとして、4者があげられておりましたが、そ れついて事業運営専門部会からは、他の一般の医療機関の主治医もアクセスできるよう にすべきである、というご意見が出たということについて、ご議論お願いします。まず アクセスの内容については、これはどういうふうに考えるかについて十分な論議はされ てなかったと思いますので、ここで規定しておきたいと思いますので、ご意見ございま したらそこからまいります。 ドクターを探して、患者さんが相談をすることまで含めるのかということでございま すね。それによってアクセスする人がかわってくるだろということですね。 〇横山委員 バンクを運営する面ではアクセスする人は少ない方がやりやすいと思いますね。 〇浅野座長 今のご意見は、相談窓口ではないということにたってのお考えだろうと思います。 〇加藤(俊)委員 アクセスの方法によって今の議論も変わってくると思います。例えばインターネット の画面とかになれば、ある意味でどなたがアクセスなさろうとも、それを規制する意味 は何もないように私は思っているのです。 前回のご議論の中で、患者さんと主治医の関係を乗り越えて、患者さんがご自身で検 索をなさって、それが医療の現場での信頼関係に何らかの悪い影響を与えることを懸念 された先生方が何人かおられたわけですが、そのようなプロセスを含めて患者さんと医 者の関係が構築されていく時代ではないだろうかと思いますので、このことがどれほど 悪い影響を及ぼすのか、私にはちょっと理解できないのです。ですからこれは一次検索 で、あくまでも予備ですので、これはどなたがなさってもいいというふうにしておいた 方が、むしろ判りやすいのではないかと思います。 〇浅野座長 インターネット、公開の方法によって違うだろうということですね。 〇三間屋委員 今の件に関してです。例えば、協議会事務局とした場合に、アクセスする協議会には 何人かの方がいらっしゃると思うのです。この協議会の中の誰と誰が、パスワードをも ってアクセスできるのか、そういう規定をするのか、事務局であればだれがやってもい いのか、その辺がまだ明確になってないという感じがしたのです。患者団体の事務局に してもそうですよね。 〇浅野座長 まず公開内容についてもう一度確認していただく必要があろうかと思います。 臍帯血のHLA型。保存臍帯血中の有核細胞数。当該臍帯血を保存している臍帯血バ ンク名、があります。この議論を進めていくためにこれらを確認していただきたいと思 います。それから、ただこの公開の仕方は今加藤先生からご意見がありましたように、 これが全部見れるようにするのか。一つのインターネットの中に、各バンク組織のデー タを導入する形をとるのかによっても変わってくると思います。その辺の確認をしたい と思います。ここで認識が別れるとなかなか議事が進まないと思います。 公開の仕方もいろいろあると思うのです。情報を全部一覧表として出していくのか。 先にワードを入れて、その上でHLAを入れたら、そこから何例か出てくるとか、いろ いろなやり方があって、それによって考えは違ってくると思うのですが、いかがでしょ うか。皆さんはどのようなものをイメージされているのでしょうか。加藤先生のイメー ジはどうでしょうか。 〇加藤(俊)委員 下の方のシステムのことと係わってくるのです。患者というか主治医のチームが臍帯 血を確保するという作業をしていく際に、各バンク毎に個々の交渉を進めていくという ことになると、二重、三重の手続き上の無駄と、予備の臍帯血を確保する方法について の仕方は非常にややこしくなる可能性があります。折角皆で協力してやっていこうとい うわけですから、中央におく事務局に、その機能を全部持たせる。それは日赤がなさる ということではなく、各地域の臍帯血バンクの連合体として、たまたまた日赤の中にあ るということですから、そこにその機能を持たせることによって、一次検索と二次検索 の仕方は変わってくるように思います。 その意味では、今浅野先生が二つおっしゃられたわけです。全体として一つの画面で 見れるのがいいのか、各バンクごとに別々に見れるのかいいのか。やはり一つの方が患 者さんのサービスからすればいいと思います。 その際に私たち自身の経験から困ってくると予想されることが一つあります。HLA 型と細胞数というのを、バンク名はいいのですが、一つの情報としてセットで提供する ことになると、その組み合わせでたった一つしかないある固有の臍帯血ナンバー幾つと いうのが、そこに浮かび上がってくるシステムになってしまうわけです。そうなると、 それは一次検索をちょっと越えるのかな。二次検索との間に跨がることになるのかなと いうことです。一次検索で見れるのは、HLA型だけでもいいのではないかということ です。こういうHLA型は日本の中に何個あります。それはどことどこのバンクにあり ますということで、それで二次検索で具体的にサーチしていただくと、その中で細胞数 が分かって、今度は各バンクへ下りていくというシステムを取るのが一番効率的ではな いかと思います。 〇浅野座長 ここで確認しておかないといけませんね。今、加藤先生が言われたこと、一つの画面 を使って各バンク、9つのバンクとかそれ以上かも知れないのですが、それを全部共有 した一つの画面を通して各バンクにアクセスできるようにするというイメージでよろし いでしょうか。それを確認してから、先程の加藤先生のお話の中の幾つかの点について 議論していただいたいと思います。皆さんそれでよろしいでしょうか。 〇佐藤(博)委員 今は全部一覧表で出してもたいしたことはないのですが、数がどんどん増えてくると それだけを見るのに時間が随分かかったりしますし、後、何日おき、ないしは毎日かと いう更新がどんどん起こっていくわけです。すると段々、つかえてくるというか、アク セスしてもなかなか繋がらないという状態が起こったり、一人当たりのアクセスの時間 が長くなったりするので、全部一覧表として出すのか、それとも検索として出すのかで すね。 〇浅野座長 それは次に議論にしましょう。まず一つのバンクが一つずつの画面にするのか、各バ ンクが全部同じ画面を共有するのか、どちらかを決めたいと思います。それで先生の今 のお話に入りたいと思います。 〇中畑委員 できれば一つの画面で見れた方がいいですよね。 〇浅野座長 一つの画面の方でいいという御意見です。この場合に起るかもしれないな問題につい てはどうでしょうか。これはどういう問題かというと、各バンクがそれぞれデータを入 れるのを何時にするのかとか、その時に混乱が起こらないかとか、あるいは他のデータ が間違って導入されたりしないかとかです。この様な問題の処理は、今のインターネッ トは相当にしっかりした形でできると思いますので、これはないと考えた上で進めても よろしいかと思うのです。いかがでしょうか。そう考えるならば共有でよろしいだろう と思っているのですが、それにご異論があればという形で、聞いてみたいと思います。 いかがでしょうか。ないようでしたらこのイメージで議論していただくことにします。 佐藤先生からご意見がありましたように、HLAの今のデータを、全部このインター ネットに一覧表としてデータを出すか、そうすれば2万まで増えた場合には、とても探 せませんというのがありますね。これは当然問題になってくると思うのですが、その辺 の議論をお願いします。 〇西平委員 まだイメージがはっきりしないのですが、例えば、この最初にこの前の共有する情報 の公開の内容ですが、HLAと有核細胞数とバンク名ですね。これはいいのですか。先 程はHLAだけでもという加藤先生のお話がありましたが、これをまた変えるというこ とになると、HLAだけでしたら、例えば今のところは1ローカスミスマッチまでです から、それが一杯出てきてしまうわけです。それで結局は細胞数が足りないからという ので、また選びだすというのは非常に大変なことではないかと思うのです。最初の段階 で、ある程度範囲を狭めておかないと、探す人は大変に苦労するのではないかと思いま す。 〇浅野座長 例えば20検体が出てきたりしますよね。 〇加藤(俊)委員 ソフトの組み方次第だと思うのです。ですからHLAと患者さんの体重を入れれば、 それに合ったものが出てくるようにすれば、殆ど技術的な問題であると思います。 〇浅野座長 ソフトの組み方で、これは技術的な問題でかなり解消できるのではないかということ です。 これは、文献検索の場合と同様に考えていただきたいと思っています。 〇加藤(俊)委員 骨髄バンクの方では、Bone Marrow Donor Worldwide (BMDW)というシステムで、予備検索ができるわけです。それと同じことでこうい うHLAの人が大体何人いるというのが出てくる。その中から患者さんがこの体重なの で、細胞数が幾つ以上の者だけをソートアウトしてくれということでいけば自動的に出 てくるのではないでしょうか。 〇加藤(剛)委員 今のに関連です。細胞数で規定する場合に、例えばいまのようなのもで本当に妥当な 値なのかどうかということで、本当に変わってくると思いますので、トータル細胞数が あったらいいと思います。 〇加藤(俊)委員 アクセスする人に自由度を持たせるのであれば、1×10 7/kg以上も出してくださ いというふうなリクエストが認められるのであれば、十分飲み込める話だと思います。 〇浅野座長 そのあたりについては、先程申しましたうように文献検索と同じですから、検索順序 で決まると思います。そう考えると、誰がアクセスするかということも自ずと決まって きます。 情報の公開をどういう形でもっていくのか、イメージとしては文献検索だと思ってい ますが、その辺のところを作業部会で統一しておいていただきたいと思います。ただ相 談するということではないということで、ご了解は皆さんから得られたものとしてよろ しいでしょうね。それについてはご了解の上でご討議を進めていただければと思い ます。 技術的な問題は厚生省で考えられると思いますので、先に進みたいと思います。 検索項目については検索する側で狭めることもできるし、狭めないこともできる。西 平先生これでいいですね。 それでは誰がアクセスできるかです。特に運営専門部会で一般の主治医はできないの か、検索できるようにすべきではないかというご意見についてはどうでしょうか。 〇西平委員 これはこの前もこの会で出たのではないかと思います。一般の主治医という一般の医 療機関の主治医というのがアクセスする必要があるのかなということです。移植を必要 とする患者さんを一般の医療機関が、そういう状態の患者さんを診るということはあま りないのではないか。それは一時的にみることはあるかも知れませんが、それはあくま で連携病院というか、移植をする連携病院と連絡をとりながら、ブランチ病院というか そういうところと連携をとりながらやっている場合が殆どだと思うのです。 そうでなくて、一般の医療機関の主治医という言葉もよくわからないのですが、うち の子は白血病みたいだから前もって探してくれというふうに、簡単にやられては困ると いう気はするのです。そういうことではないだろうと思うのですが、この運営作業部会 から出てきたのはよくわかりませんが、僕はこれは必要ないのではないかと感じとして は思っております。 〇山本補佐 質問の意図が舌足らずで失礼しました。脈絡として出てきたのは、登録移植医療機関 というのは、今の時点で、こういう経験をもった人以上が登録移植医療機関であるとい う基準がございます。そこの基準は満たないが、つまり移植はしないが白血病その他の 患者さんを診ておられる先生方で、その患者さんの一般的な治療の可能性としていろい ろな相談に乗る方もいる場合に、皆が皆、移植医とは限らないのではないかという話か ら、こういう話が出ました。 ただ前回の議論の中で、一般の医療機関の主治医ということは、またその基準づくり が難しくなって、殆ど医者が皆ということになれば、国民皆に限りなく近い話がありま す。もう一方、先程の加藤先生のようなご意見で、両方がその人にとって意味があるか どうかとは別に、誰が見る権利があるとか、見れる状態にしておくという問題は別に考 えて、確かにインターネットという世界は、パスワードで凄い狭く、限られた人だけが 見るというよりは、非常に広い形で情報にアクセスできる世の中の動きというものもあ るようですから、そこももう一度合わせてご検討いただければと思います。 〇三間屋委員 例えば一般の医療機関の先生が、たまたま白血病の患者さんを診ていた、その患者さ ん自身が結構情報を知っていて、主治医の方に検索をしてくれないかというふうに依頼 された場合に、その主治医はこれができれば自分で直接アクセスできるわけですが、そ うでない場合には、どこかに紹介してアクセスしてもらうという形を取るのかですね。 その辺のところではないかと思うのです。 〇浅野座長 いろいろとご意見があると思いますが、パスワード使用するかどうかについては、確 か前回も議論されたと思います。そのときはパスワードがないと、いろいろとインター ネットに悪戯が入るとか問題があるので、かなり責任をもった人が見ないといけないと いう意見があげられました。また、アクセスする場合には相談がいるだろうということ も前回の議論にあったと思います。このような前回の議論を思い出してもう一度考え直 していただければと思います。 〇佐藤(典)委員 今のパスワードの件ではなく、病院の件ですがよろしいでしょうか。北海道というや たら広い田舎にいると、移植できるのは札幌市とごく一部の旭川市ということになりま す。このように一般の医療機関と書かれてしまうと、糖尿病をやっている人まで検索す るような感じのイメージになりますが、例えば血液認定医とか専門医とか、ちゃんと血 液の白血病であると再生不良性貧血とか、そういうものを例えば釧路市とか函館市とか 随分離れたところでもきちんとご覧になる先生がいらっしゃる。運営専門委員会の方で 出された意見は、そういう先生方も踏まえて述べられたのではないかと思います。 別に北海道のことだけを述べるわけではないのですが、例えばこの一次検索でアクセ スできるものの中の4番目の・の中で、協議会が認めた患者団体、相談窓口がもしある とすれば、例えば協議会が認めた血液専門医のいる医療機関とか、そういう表現の中で 移植を現場では携わらないけど、血液の専門性をもった病院の責任者が見れるという形 を残しておいていただけると、北海道の端っこでも見れる人が出てくるのではないかと いう気がするのですが、いかがでしょうか。 〇浅野座長 それは地理的に離れている問題ですね。 〇中畑委員 確かに一般の医療機関の主治医にパスワードを出すということになると、それをまた 限定しないといけない。誰を限定するのかという厄介な問題になります。患者団体とか 相談窓口というのは公開されるわけですね。これはどこのこういうところにアクセスす ればわかりますということですね。だからそこに患者さんなり、あるいは患者さんから 頼まれた主治医がアクセスして、そこで検索することは十分に可能なので、パスワード を使うという以上は、ある程度限定されたところがパスワードを持つということになろ うと思います。 〇西平委員 例えば協議会事務局もできる。だからそこに頼んでやってくださいということも可能 ではないのでしょうか。 〇浅野座長 もう一度振出に戻って申し訳ありません。先程、最初に確認していただいたこと、検 索の目的です。相談ではないということです。相談ではないということになると臍帯血 移植をやらないといけない人がアクセスするという形になろうかと思います。それと先 程申しましたようなことを含めて、まだ症例数が少ないということも含めてセカンドオ ピニオンがどうしてもあるだろう。しかも、セカンドオピニオンで聞く相手も、恐らく 臍帯血移植に対して相当知った人を介してだろうと思います。その辺はどうでしょう か。ただ相談する相手を探すのであれば、別のインターネットを作ればいいわけです ね。その辺のところを含めてご議論していただければ、今の中畑先生のご意見になるの ではないかと思っております。議長自身がどんどんいう意見をいうのはいけいないのか も知れませんが、ここであまり時間をとると、議事が進みませんのでよろしくお願いし ます。中畑先生のご意見についてどうでしょうか。 〇原委員 先程浅野先生がおっしゃられたように、前回の議論でもハッキングの問題があって、 パスワードを出すということを決めた。その経緯は先程中畑先生が言われましたが、限 定されましたが、ある程度限定された施設に出すことによって、ハッキングを減らそう ということですから、その意味では、先生のおっしゃったようにある程度限定した施設 しかもセカンドオピニオンを求めるのであれば、別のシステムを作るということで、こ ういうところで妥協したのはやむを得ない処置ではなかったかなと、私は議論の中で理 解しておったのです。 勿論、患者さんの側に全くアクセスする権利を認めないというのは少し問題があろう と思いますが、相談窓口というものを作るということになっておりますので、その意味 では対応できるのではないかと私自身は理解しておったのです。 〇浅野座長 原先生のご意見は中畑先生のご意見とほぼ同じと考えてよろしいですね。 〇佐藤(典)委員 私だけちょっと別のこと言ってしまったのですが、敢えて申し上げたのは、実は先生 方が運営専門委員会で、患者さんの方の選択肢を狭める方向性が出ては困るということ で、こういう意見が出たと思うのです。ですからここの技術部会の意見として、そうい う気持ちは分かるが、まだハッカー対策などが十分でないので、医療機関が混乱すると いうような事情ではなく、安全対策を考えて限定した形で対応するという形でまとめて いっていただければ、私は北海道の分は北海道バンクでもできますので結構であると思 います。 〇浅野座長 恐らく運営専門委員会で質問が出たのは、インターネットを利用した検索という考え が充分に伝わってなかったためと思われます。今までの作業部会で考えられたようにす ることでよく、その際にはインターネットに関する安全対策を十分行うためだという佐 藤先生のご意見になると思います。 〇中島委員 先程西平先生のご発言では、このような情報にアクセスする場合、パスワードを与え られてない医療機関は、協議会の事務局を介してそういう情報の検索をすればいいので はないかというご意見でした。もし協議会事務局の方に、そのような、いろいろな不特 定の医療機関なり団体なりの検索要請があった場合、現在事務局として考えられており ます規模、あるいはその事務スタッフでございますと、そのような医学情報に接して、 それを検索して提供するという対応は、ちょっと難しいだろうと思います。 もし、それを協議会事務局に求められるのであれば、専門家を入れた中央データセン ター的な事務局を構成しなければなりませんが、厚生省の方で現在お考えになっている 事務局はそういうものではないと思っております。 〇西平委員 私が申し上げたのは例えばということで、ここに4つ程上げてあるわけですから、例 えば登録移植医療機関もありますし、各バンクもありますから、いろいろな選択肢があ ります。全部協議会事務局という意味でいったわけではありません。例えばここに上げ てあるどこにでも言えばいいのではないかという意味です。 〇浅野座長 中島先生よろしいでしょうか。 〇中島委員 いずこの臍帯血バンクも全情報、共有化された情報を閲覧検索できるわけですから、 患者さんなり医療機関なりが、恐らく一番近くにあるバンクを介してアクセスされると 思います。そういうルートで全国情報を検索していただくというのが一番やりやすいの ではないかと思っています。 〇浅野座長 それから事務作業の多さということに対しても、これは技術的な問題でございまして 確かにお金は沢山あった方がいいに決まってますが、例えばそのバンクに、どこかの各 バンクからでも、それぞれ確実な臍帯血をちゃんと登録できるようにしておけば、それ はまた問題はないわけでございます。その辺の技術的なものは、考えれば単純に処理す るのではないかと思います。山本さんどうでしょうか。 〇山本補佐 失礼しました。中島先生のお気持ち、日赤との関係は非常によくわかるのです。今の 検索というのは、明らかに患者がいて、その患者に合う臍帯血はどこかにないかなと先 生が探される場合に、登録移植医療機関は自分で探す、パスワードをもっていて 探せる。患者団体も認めたものについては探せる、もしくは専門医ということもあるか も知れない。各バンクも探せる。基本的には事務局がそれを受けるということではな く、事務局はそういうことはたまたまそういう相談がいってしまったら、近いバンクを ご紹介する範囲に止めるということで理解してよろしいでしょうか。 〇浅野座長 その理解を共通にしておいていただきたいと思います。よろしくお願いします。 〇小寺委員 可能性としては、例えば非常に強力な患者団体があって、それが承認されていた場合 には、殆どの一次検索業務がそちらに移るという可能性もないわけではないということ ですね。これは力量の問題ですね。この検索業務というのはそれなりに力がいるのです ね。ですから事務局の人員と患者団体の人員の比率が1対10くらいだとすると、そうい うことも起こりうるのですね。それは便宜上そうなったらそれはそれで非常に良いこと だということで認めていくということですね。 〇山本補佐 そこもまた議論ですが、今の話は事務局は基本的に検索はしないということですね。 各バンクをご紹介する。それでよろしければですがね。そうなりますと、もし患者団体 があれば、その患者団体が伸びていくかもしれないし、一番多いルートは、もしかした ら登録移植医療機関の主治医が、自分の患者のために検索するというのが、一番常識的 なルートかと思いますが、そういう理解でいいかなと思っております。そこは各委員の 方々のご意見があればと思います。 〇浅野座長 これでよろしいですか。ハッカー対策とかパスワードを利用するというのが、全部書 き込まれてないからいろいろな議論が起こってしまいました。この辺のところを確認し ていただければ、あとは技術的な問題がかなり簡素化されながら確実性を持って議論で きるだろうと思っております。 〇三間屋委員 協議会が認めた患者団体相談窓口というのは、既に規定されているのかどうかという ことと、パスワードを各医療機関に一つというのは、主治医は大勢いますね。そのパス ワードは一つだけなのかです。 〇浅野座長 どうでしょうか。この辺の議論は通常は医療機関の移植チームのチーフという形にな ろうかと思いますがどうでしょうか。恐らく幾つもということはあり得ないと思ってま す、ご意見があればどうぞ。 〇矢崎委員 医療機関が登録移植医療機関となってますが、これは臍帯血の登録移植機関ですね。 するともう少し広い方がいいと思うのは、今、骨髄バンクで認められてパスワードをも らっている医療機関があるのですが、そこは臍帯血移植がいいのか、他の方法がいいの かという判断する義務がかなりあると思うのです。その時に臍帯血の情報を他の造血幹 細胞移植の情報と同様に検索できないと、患者さんに対して誠実な情報を与えたことに ならないので、そこからのアクセス希望が出てくるので、案としてはJMDPでパス ワードを与えているような機関には、そこまで含めて与えたらどうかと思います。 〇浅野座長 ごもっともなお話に聞こえます。 〇山本補佐 まさにここに登録移植医療機関と書いてあるのは、臍帯血の登録移植医療機関を想定 しているのですが、先程、協議会が認めた患者団体相談窓口に併せて、協議会が認めた 専門医のような議論が出ました。もしそれを認めるのであれば、今先生がおっしゃった ものは、専門医なのか専門医療機関なのかどうか分かりませんが、そういうことなので ここでつめるのか、どなたかたたき台を作って、もしか今後の協議会の中で議論して、 具体的につめていくのかということかと思います。 〇浅野座長 細かいことについて協議会を介するのかということですが、先程のインターネットの 出し方とか公開の仕方を全部考えれば、恐らくドクターを介する、どういう形でも専門 医を介すると思ってますが、それが協議会と書いてあると訳が分からなくなってきてし まう。 患者さんがアクセスすることを制限するものではないというのは明らかでござ います。 これは議長にお任せいただいてまとめていく。先程の理念の中でまとめてい くという形でよろしいでしょうか。 〇山本補佐 今議長がいってくださったので、もしよろしければ議長とご相談して、専門医とはど ういう資格なのかとか、骨髄移植とかその他の移植とか、大体思いつくのはそれほど突 飛なことは思いつきませんので、事務局と議長で相談してまとめて、各委員に郵送させ ていただいてまた追加意見とか修正意見をいただいて、次回ここに出すということで、 そこはそれでよろしければそのようにさせていただきます。 〇浅野座長 よろしいでしょうか。では小寺先生と私と事務局でご相談させていただいて、皆様の 最終意見を調整したいと思います。 〇小寺委員 情報というのはバンク名を入れるということですか。 〇浅野座長 そのような考えで進めております。 〇小寺委員 私たちの研究班でやっていたのは、検索する相手が医療機関ということですので、こ れはバンク名が入ってもいいのですが、ノンメディカルな部分がかなり今後増えるかも 知れないということになると、バンク名を入れるか入れないかというのは、場合によっ ては大事な問題になるのかなという気がするのです。 〇浅野座長 文献収集と同じように、利便性等を考えれば各バンクがなければいけないと思い ます。というのはその中から選んだ場合に、直ぐにそのバンクに連絡がとれる形にしな いといけないだろうということですね。 〇小寺委員 バンク名は入れるということですね。 〇浅野座長 そのように私は理解してます。前回のご了解はそうであったと思います。よろしいで しょうか。この他にも細かいことについては幾つかのご意見があるかと思います。たと えば、保存期間などです。これは入りませんか。 〇山本補佐 これもまた私が答えてはと思いますが、ここでいう臍帯血バンクという定義が、事業 運営部会のところでは臍帯血バンク事業というのは、採取・保存・検査・搬送・その他 一体となった事業で、それぞれの部門をどこかに委託したり、別の場所でやるというこ とはあるでしょうが、一体としてのバンクとしての窓口ということですから、顔は一つ ということですので、そこはバンク内の問題かなと思います。 〇浅野座長 わかりました。1番の問題は一応ご了解を得たという形で次に進みます。 次は2番目の〇のところです。臍帯血の提供に至るシステムについてです。 生着不全に備えて、主治医が予備の臍帯血を確保できるシステムとするか否かについ ては、引き続き検討するということでございました。これについて議論をしていただき たい。これは事務局の方でデメリットとメリットについて整理していただきました。そ れに沿ってご議論をしていただけないでしょうか。 〇加藤(俊)委員 前回、私は理解が十分にできてない部分かありまして確認させていただきたいと思い ます。提供を求める主治医の先生及び患者さんは、仮にABCDと4つの臍帯血バンク があった場合に、それぞれに個別にアプローチしなければならないということになりま すと、AはA、BはBでその人が臍帯血を確保しようとすれば、3か月以内であれば可 能になってしまうわけですね。折角全体として一つで運営していこうということになり ますと、その窓口は一つにしておかないと混乱がおこる、すると中央の協議会がその機 能を持たないと、このシステムは成り立たないと理解しております。そこは必ずしも明 確に前回は確認されなかったと思いますので、そこの議論をお願いしたいと思います。 〇山本補佐 私自身がコンピューターがあまり得意ではないので、イメージが交錯するかも知れな いのですが、前回の議論の議事録を見ますと、イメージとして画面上に各バンクがもっ ている臍帯血がどうカテゴライズするかは別として、一覧で見れる。例えばどなたかの 先生が、二次検索まで至ってその臍帯血を欲しいと思ったとすると、なんかフラッグを 立てるという言い方をされた方もいらっしゃいますが、マークがそれに付く。いついつ までのホールド期間というのが画面上に出ていれば、その臍帯血は使われない、その間 はその先生がキープしておられるということで、画面に見れる形というようなふうに議 事録では読めるのですが、それはまた違ったイメージであればと思います。 事務局でやる機能はあまりなくて、二次検索をやられたバンクが、これは誰々、どこ どこがホールドしているということを打てば、それが画面に出てくるので、あまり事務 局はすることはないと理解したのです。 〇浅野座長 旗が一杯立ってしまったりして困りませんか。だからこれもちょっと考えなくてはい けません。 〇加藤(俊)委員 今、浅野先生がおっしゃったように、全てのバンクに対して、一人の患者さんは旗は 一つしか上げられない。そのバンクだけではなくね。そのバンクに旗を上げたら、他の バンクには上げられないのだということを明確にしておかないと、このシステムは成り 立たないのですよね。 〇浅野座長 よろしいですよね。そのイメージがないと成り立ちません。いってしまえばパスワー ドを使って主治医が要求するものがちゃんと出てくる、例えばいくつの候補があったと する。その中からベストであると思うものを主治医と患者さんがそのバンクに相談して そこに旗を立てることになると思います。実際にオーダーをするときに書類登録するの か、そこを考えないといけませんね。そのプロセスが必ずこのシステムの中では必要で すね。それで登録用紙でバンクに申込み、その臍帯血は消えてしまうわけですよね。そ れで3か月して事情があって万一搬送されないなら、それがもう一度現れるという形で あるとご理解されることでよいのではないでしょうか。 〇佐藤(博)委員 すると旗を立てるのは全国で一か所だけということですね。それぞれのバンクでやら れると沢山になりますね。 〇浅野座長 まあ、旗を立てるか画面から消えるかは別にして、そのとおりです。一か所だけ です。 〇佐藤(博)委員 そうしますと、必ずしも最初の一次検索に個々のバンクの名前を入れる必要はないの かも知れない。それで最終的に二次検索に入る時点、ないしはこれが欲しいという時点 でそれを出してもいいのかも知れない。 〇山本補佐 私どもの理解が違うのかれ知れません。あの時、コンピューターシステムをなるべく シンプルにしようということで、先程申しました、3つのバンク名、HLAの型、細胞 数、が画面に入っていて、そこでデータを見て、これが合いそうだと分かった場合は、 その主治医が書いてあるバンクに直接コンタクトをとって、より詳細なデータを得て、 使うとか使わないとかシッピングしてもらう手筈を行う、ということである。それが全 部裏にコンピューターにデータが入るのかどうかという議論があったので、そこは一次 検索用のデータは必ずコンピューターにきちんと入っている。それ以上はバイでやって いただこうということだったので、バンク名が書いてないと、合うのが分かってもどこ にアクセスしたらいいのかわからないということのように理解していたのです。 〇浅野座長 皆様の理解もそうであると思ってますので、バンク名が入っているのだと思います。 〇佐藤(博)委員 私もそうであったのですが、すると、複数のバンクにアクセスする可能性が出てきま すよね。すると加藤先生が言われたように成り立たなくなるのですよね。それはよろし いのですか。 〇中畑委員 それは臍帯血移植をするという前提として、皆さんはそれだけの常識をもった人が移 植に携わっているという判断を僕はすべきだと思います。移植医が各バンクに一つずつ 全部ホールドしておくということはあり得ないし、そういうことは許されないというこ とは常識として皆さんに理解してもらえると思います。予め一つしかホールドできない ということをうたっておくことで、それを信用するということでいいのではないかと思 います。 〇浅野座長 最初の段階の先生のご説明を、皆さんが納得しているという形で話を進めましょう ね。その上で一回やるときに二つまではよろしいかどうか、この議論が質問ですね。臍 帯血の提供に対して生着不全に備えて二人までキープしておいていいのかというのが質 問です。確かこれは前にも意見をおっしゃいましたが、その必要性はないのではないか ということで議論されたのですが、引き続き検討すべき事項になっていたようです。そ れでここで検討して決着をつけていただきたいと思います。 〇加藤(俊)委員 前回申し上げましたことは、これまでの国内あるいは国外での実施成績をみますと、 非腫瘍性疾患における臍帯血移植の生着不全の率が2分の1近く前後にあるということ の事実は非常に重いと考えまた。となると、生着不全に備えた、少なくとも一つは確保 できるというシステムを保障するのが、そういう事実を知った上で我々が取るべきもの ではないだろうかと申し上げました。 中畑先生がおっしゃる常識ですが、やむに止まれずになりますと、その常識を忘れが ちになるのが人間の弱さですので、システムとしてのそのようなものをしっかりしてお かないと、単なる寄り合い所帯に終わると思います。 〇浅野座長 今の加藤先生のご意見と中畑先生のご意見二つに別れると思います。デメリットとメ リットに表していただいたので、それをもう一度ご覧になってよろしくお願いします。 〇中畑委員 前回お話しましたように、この臍帯血は直ぐに検索ができて、直ぐに適応の臍帯血を 見つけることができるという利点があるわけですので、わざわざ生着不全のために臍帯 血を確保して、他のもっとその臍帯血を使いたいという患者に、かえって不利益をもた らすというのは相応しくないのではないかと思います。 またデメリットの中に、もしかしたら生着不全のときには、より良い臍帯血が出る可 能性もあるわけです。最初の移植の時点ではまだなかったが、更によい臍帯血が生着不 全のときにはアクセスしたら出る可能性もありますので、その時点でいかに早く速やか に適応した臍帯血を患者さんの元に届けるのかというシステム、できるだけ迅速にいく システムさえ整えれば、わざわざ一つ確保しておく必要は全くないと思います。非常に 複雑になりますしね。 〇西平委員 私もその通りだと思います。実際にこの前経験したのは、生着不全で骨髄バンクで駄 目で、それで臍帯血を何とかないかということでやったらやっと間に合いました。これ を確保しておくというのは、かなりの期間、予備を相当の期間確保しておかないといけ ないということになってしまいます。沢山の臍帯血の数の保存件数が増えてくれば、こ れはあまり問題にならないのではないかと思います。 〇浅野座長 直ぐに探せるのだから、インターネットを開けばまた探せるのだからいいのではない か。むしろ二つオーダーしておかない方が、良いチャンスも出てくるのではないかとい うメリットもあるのではないかとこと。もう一つは、生着不全というのは判断の基準が 非常に難しいのですね。それも含めて考慮も必要ではないかと思います。ここは決めな いといけないので理路整然とした御意見をお願いします。 〇三間屋委員 基本的には一次検索で見れるのは複数のバンクが見れるわけですね。でもアクセスで きるのは一つでいいのではないかと思います。初期の段階でみれるからね。それは使わ れてしまうかも知れないが、情報として入るのでいいのではないかと思います。 〇原委員 確かに加藤先生のおっしゃる通りに、非悪性腫瘍疾患での生着不全の発生というのは 非常に高いというのは、私たちの近畿臍帯血バンクの経験でもそうです。しかし生着不 全を判定できるまでの期間を入れると、3カ月以内の確保では充分でなく、生着不全判 定と移植準備を入れると恐らく半年は最低でも確保しなければならないのだろうと思い ます。それを考えますと、この際一つだけで対応して、再移植には次善のものを選ぶと いうことが、やむを得ない処置かなと私自身は判断しております。 私どもは3例の正着不全と、2例再提供をしておりますが、その経験からいっても、 恐らく次善のもので対応できるのではないかというのが私どもの判断です。 〇山本補佐 事務局でこういうことを言うのは問題かも知れませんが、段階的に、十分に臍帯血が 集まっているときには、予備をホールドする必要は殆どなくて、一杯ある中でまた次を 選べばいいということだと思うのですが、事務局の方でも懸念しましたのは、現在各バ ンクが集めている臍帯血が、2,500 強になるかと思います。それが全部使えるのか基準 前に採ったものなので使えないのかというときに、この臍帯血バンクが4月から始まる かも知れないのですが、当初に、各バンクが100 とか400 とか集めていた頃は、協議会 全部として持っている臍帯血が、もしそこからスタートを考えれば非常に量が少ないと いうことは、種類も少ないという可能性があるときに、予備の問題が出てくるのかなと 思います。潤沢にいろいろあるときにはあまり予備をとっておかなくてもいいのかなと いう気もします。 〇浅野座長 今の山本さんのご意見は、直ぐにいま中畑先生が言われたご意見で変わるのではない かと思っております。もう一つは、生着の問題の原先生が言われた問題でもそれは対処 できるのではないか。対応が出てくるのではないかと思います。デメリットとかメリッ トはこれだけではないということで、ご理解の上で皆さんのご意見をここで一つにした いと思います。加藤先生の意見がございましたらどうぞ。 〇加藤(俊)委員 絶対にそれを他の人に使えないようにいつまでも保存しておくべきだということを、 必ずしも申し上げているわけではなく、中畑先生がおっしゃったように直ぐにそれが対 応できるシステムさえあれば、それは必ずしもこだわるものでは全くないわけです。で すからその場合に備えて、次に急いで行動が起こせるようなことをこのシステムとして 保障さえすればいいことですから、必ずしもずーとその人のためにだけということを申 し上げているわけではありません。 〇浅野座長 今は一つの臍帯血でよろしいという形でご意見が統一できたと思いますので、それで ここの検討会ではそういう形にまとめさせていただきます。次にまいります。 運営専門部会では、一つの臍帯血に対して二人以上の主治医から要望があった場合に は、早く当該臍帯血にアクセスした者を優先とする。運営専門部会についてご意見を読 ませていただきます。 一つの臍帯血に対して二人以上の主治医から要望があった場合には、早くアクセスし たものを優先するのではなく、レシピエントの病状に応じた優先順位を考えるべきとい う意見と、早いものを優先とするべきだ、という両方の意見があったということです。 早い者勝ちか、病状を考えて検討すべきということです。病状を考えて検討すべきとな ると、またいろいろな手続きが入るということを考えた上で議論していただければと思 います。つまりどっちが患者本位なのかということも考えていただきたいと思います。 〇原委員 私自身が患者さんを診た印象からの話です。実際にどちらを優先すべきかという判断 には、非常に迷うというか判断する根拠が非常に乏しいといった方がいいか、余程患者 さん自身の状態を自分自身が把握しないと、臨床医も優先順位を決めることは不可能だ ろうと思います。自分が診てない患者さん同士を比較することは不可能だろうと思うの です。それを事業運営専門部会でいわれても、どなたが判断するのかというのが非常な 問題点として浮かんでくると思います。判断した人の、最終的に責任まで問われると対 応のしようがない、というのが現実ではないかというのが私の意見です。すると早い者 勝ちです。 〇浅野座長 早い者勝ち、という表現はよろしくありませんが、その意味で、先に申し込んだ患者 さんが優先されるということですね。それはどちらが緊急かを決めることはできないと いうことについてです。目標ストック数2万までまで早く達すれば、山本さんが言われ たうよに早く立ち上げて、2万までもっていくことが大事であるということで、よろし いのではないでしょう。問題がないと思います。 〇三間屋委員 こういう優先順位をディスカッションしている間に、移植までの時間が遅れるという こともあるわけですので、迅速ということから考えますとね。 〇浅野座長 よろしいでしょうか。では運営専門部会に対しては、「早い申込み順」であるという 形で回答をしたいと思います。異論がないようでしたら次にまいります。 採取・分離・検査・保存・搬送方法の標準化をはじめとする、安全性の確保、質の向 上についてです。査察事項について今後とりまとめるということになっておりました。 本専門部会で取りまとめる予定でございますが、委員の高橋先生よりお手元にあります 地域臍帯血バンク視(査)察(案)というのが、提出されていると思います。高橋先生 からご説明お願いします。 〇高橋委員 前回議長の小寺先生から、品質向上のために査察が必要ではないかというお話がござ いまして、西平先生と佐藤先生とお話はしたのですが、時間的に余裕がありませんので 簡単にまとめさせていただきました。小寺先生のお話の意図がその時にはまだはっきり 私の方で理解しておりませんで、一つは検討会の方で協議会があって、その他の外郭に 査察するシステムがあると私は理解しておりました。 この技術専門部会で査察の事項についてまとめることに関しては、運営部会の方で地 域臍帯血バンクを選定していくときに、運営部会の方では運営のいろいろなことについ ては調べているが、技術的なもの、そういうものについては十分にディスカッションさ れてないと思うのですが、こういうことがなくて、査察とか、各バンクの技術的なある いは品質的なものを無視して、運営のシステムだけでバンクを選んでいくのか、そこに も当然そういうものが必要になってくるのではないか。 検討会で言われたように、全然違うところに査察をする部門を作るのであれば、そこ にサゼェスチョンする内容を決めなさい、考えてくださいというご意思であったのか、 その辺がまだはっきりしませんでしたので、両方に使えるかと思いまして、ここに前に 西平先生と佐藤先生と小寺先生の研究班で、HLAの集中中央登録目的としてやってき ましたやり方、つまりこちらの方から、その時には自主ガイドラインでしたが、自主ガ イドラインに沿った内容で、形式はアメリカでファクトと言われております組織です。 それは二つ三つの学会がそういう財団を作りまして査察を行う、そういうシステムがあ りまして、まずそれぞれのバンクあるいは血液センターに自己調査というか、インター ナルな調査をしていただいて、その結果を出していただいて、それをファクトに送って いただいて、そのファクトがそこで訓練された査察員によって査察を行って、それに勧 告をするというシステムがありましたので、それを非常に簡単にしたものを元にして、 佐藤先生と西平先生、西平先生が中心になられて、私もいって各バンクを見てまいりま した。 その結果は小寺班の研究班の会議と公開シンポジウムで報告されて報告書にまとめら れております。 その結果9つのバンクの中でここを直してほしいというものが、どこが悪いのかとい うことを報告してあるのですが、残念ながらそれを生かして云々というところまでは、 まだ進んでないのが状況でと思います。 どこに向けてこの査察の案を出すのかというのがはっきりしておりませんが、もしそ うであるなら、その下に1.と書いてありますが、前回の研究班における調査書、報告 書において指摘された問題点に対して、各バンクが1年たっているわけですが、その後 改善した点について報告を依頼して、それをまとめて運営専門部会あるいは第三者のと ころに報告して、こういうところが問題であるということを明らかにすることが必要で はないかと思います。 またそれを元にして、新しく臍帯血移植実施のための技術指針、基準書というものが 作られているわけですから、以前よりもっと複雑になってきておりますので、前の調査 に基づいて新たに調査書というものを作成して、それを各バンクに送付して返答をいた だいて、その内容について自己申告をしていただく。 3番目は私の勘違いかも知れないのですが、それに基づいて、査察は臍帯血バンク事 業運営専門部会から選出された委員によるとなって、またそれはバンクに携わらない方 が多いわけですから、技術専門部会から技術的なことはみれる委員をアドバイザーとし て加える必要があるだろう。ただ今までの経験から、バンクに直接携わる専門委員は視 察には加わらない方が、可能であればベストであろうということがいえると思います。 その場合、各バンクの組織・現状等はすでに運営部会で報告されて、またヒアリング が行われているので、一番大事なのはここでは品質管理、記録管理等にその重点を置く ことが必要であろうと思います。 以前お話がありましたどこに重点を置くのかということでありますが、当然ウイルス 検査をやっていないとか、HIVが欠けているとか、そういうことは絶対に重点的なも のでありますが、クリンベンチがどうだこうだというのは、少しマイナーです。そうい う重さの軽重は付けれると思いますが、全体的に見て今までの査察結果からみて、全体 が欠けて困るものは絶対に欠けると困るが、直せるところは直す、勧告できるというこ とで、多少の順序はつけれると思います。 後、西平先生に補足していただければと思います。 〇西平委員 この前の会合からろくに打合せがなくって、高橋先生にお願いしてしまったのです。 あまり検討はされてませんが、北海道の佐藤先生もいろいろと忙しく、とてもそういう 暇はなかったという経緯はありまして、今回のこの案については、まだまだ検討する余 地はあると思いますが、できれば次回までにということにしていただきたいと思い ます。 3番目のことです。運営部会の委員が査察をするとかも、非常に微妙なところですの で、運営部会の委員というのは技術的なことをほとんどご存じない方が大半であると思 いますので、これはあまり適切ではないのではないかとと思います。実際に査察する人 はもう一度よく考える必要があるのではないかということを考えました。 〇浅野座長 他にご質問あるいは追加事項はございますか。詳細については次回までということに してここでは査察の母体をはっきりと決めなければならないと思います。 〇佐藤(典)委員 高橋先生が一番困られたのは、何を決めたらいいのか分からないというのが一番では ないかと思います。査察委員会というのを第三者機関として外に設けるのか、中に設け るのかも分からずに、まして臍帯血バンクの認定基準もはっきりしないうちに、査察の 基準を決めるということも、順序としては全く逆だと思うのです。認定基準が非常に厳 しいものなのに査察が甘かったりとか、認定基準が非常に甘いのに査察が厳しいとか、 全く順序が逆ですので、地域バンクというか認定基準がないのに、査察だけ決めろとい うことはまず根本的に順序の入れ違いではないという気がするのです。 〇浅野座長 高橋先生からの提出には2〜3の重要な点があると思います。ファクトという国際的 な基準に基づいて査察が行われた、前回ですね、それはしかも専門家ですね。それが入 って技術的な問題について専門・視察・観察して、その中でやられる部分ですね。もう 一つは品質管理ではなく、業務上の問題ですね。記録の問題等を含めたものですね。そ れを別々にするかどうかは別にして、そういうこともやっていかないといけない。国際 規格に合わせて、そういうもの確実にやっていかないといけない、それについては高橋 先生はよくご存じの上で書いておられるのです。これは今佐藤先生が言われたように、 もう少ししっかりしたもの、母体をどうするのかという形を、もう少し決めないと、な かなか高橋先生あるいは西平先生も決めにくいのではないかと思います。 これについては、厚生省はセルセラピーのレギュレーションのための査察官を置く意 図はないのかということを、この前質問いたしました。そのお答えはどうでしょうか。 〇山本補佐 浅野先生のいろいろなご指摘はわかっているのですが、大変に恐縮ですが、セルセラ ピー全体をどうしていくのか、例えば研究をどう推進していくのか、プロフィットとノ ンプロフィットの役割をどうしていくのか、例えばその中ではレギュレーションをどう していくのかということで、残念ながら前回も申しましたように、現在の時点ではまだ 医薬品等薬事法上の基準以外のところでの査察という考え方は、省内全体ではグランド デザインがないというのが現状です。それはいかんといつも先生からご指摘はいただい ておりますが、今の時点ではそういうことです。臍帯血の問題については、佐藤先生や 高橋先生がおっしゃってくださったように、何の目的でのインスペクションなのかとい うものを、ミッションをまず明確にした上で、作業について、座長とご相談させていた だいて、作業をお願いして、次のステップにと思います。 〇浅野座長 それでよろしいですか。もう一度高橋先生、座長、事務局と連携をとって決めていた だくという形にします。では次にまいります。 3.適応治療成績の評価についてですね。 移植実地基準書に規定してある適応疾患・病期について、より詳細かつ明確に規定す ることにより、それらの疾患等の適応について、その都度、判定委員会の審議を経る必 要はなくなる。ということについて、本専門部会でとりまとめる予定になってますが、 これはどういうことでしょうか。もうちょっと説明をお願いします。 〇山本補佐 実は移植についての適応疾患ということで、基準書の方に一覧がざーと出てます。実 はこれは事業運営部会の前々回のときに出たものです。ここに載っている疾患はこれで あれば無条件に全部臍帯血をシッピングしていいのか。その時にでたのがEBMのよう な議論をここでさせていただいたと思います。ある程度科学的なエビデンスがあるもの は、無条件にシッピングで、まだトライアルのレベルのときに議論をするのかしないの か、もしくは臍帯血バンクとして専門家なりのアドバイスをするのかという議論です。 ここの適応基準に載ってない疾患についての使用の拡大の可能性が多々ある中で、もう ちょっとこれを細かく事前に書いておけるのか、それは出たときにその都度検討するの かということがあって、もう少し適応を詳細に書けるのかどうかという議論であって、 もう少し書いたらどうかという話で前回終わったと思います。 〇浅野座長 適応についてもう少し事前に決めておけばプロセスも楽であろうということですね。 例えば倫理委員会とかを開いてまたそれぞれのバンクがやるかは別にして、それぞれの ところで易しくなるのではないかということですね。ご意見をいただきたいと思い ます。 〇西平委員 この前の会で、小寺先生から本当は宿題をいただいているのです。加藤先生などとも 相談して、そう言われているからもう少し詳しくできるかどうか検討していただけない かということを宿題をもらっていたのですが、原先生にも考えてくださいということを いったのですが、実は会合はその後もってなく、今日は案を出せておりません。 実際には疾患をそれぞれ一つずつ羅列しても意味はないと思うのです。それで僕はこ こに持っているのですが、僕が書いたのは適応疾患・病体は、骨髄移植の適応のある次 の疾患群とする。「群とする」としたのです。その中には移植が必要でないものもある し、同じ病気でも当然ですね。薬だけで治るものも子供の場合には結構あります。その 適応については、疾患名、このような造血細胞産生障害、成熟障害とか、悪性腫瘍とか 類似疾患、子供の場合には固形腫瘍、先天代謝異常、先天免疫不全というふうに大きな 枠で括ってあるわけです。 それのそれぞれの病気については、造血幹細胞移植が有効であるということが、分か っていれば、骨髄移植を含めて、それは皆臍帯血移植の適応に入れるというふうに考え てこれは書いたのです。 一番最後のその他というところで、よくわからない。移植をする時期においてそれ以 外の病気のその時点で、更にいろいろな病気が有効であると認められるものも含めると 書いてあるので、それを、これはどういう意味だと言われたということを、運営委員会 で質問を受けたから、ここをもっとはっきりさせてほしいということだったのです。 だからこれは確かに、年代がたつごとに移植の適応疾患が拡大していくわけですから それをどのように表現するかということです。ですからもしこれがはっきりしないとい うことでしたら、適応疾患については、定期的に見直すという文章にしてしまえばいい のかなとも思っています。冒頭に申したように、これをあまり細かく疾患を上げる必要 はないと思います。 〇浅野座長 元々適応というのは目安であって、個々の患者ベースではありません。それを細かく 規定することは今の時代に合わないと思っておりますが、その辺も含めてご議論をねが えればと思います。患者さんの自己決定権も配慮されたご議論を期待します。 〇小寺委員 今回の臍帯血の動きの全体を貫いている主張の一つは、患者さんと主治医チームの十 分なインフォメーションを公開した上での、裁量に任せるということが多いわけですか ら、それをむしろ規定しない方がいいだろうと思うのです。 ただ、多分これは時間の問題で、膠原病に対してどうかとかというのが出てくると、 多分、例えば骨髄移植推進財団でも困るでしょうし、臍帯血バンクでも困るということ になるのですが、その辺に対する取扱を決めておけばいいのではないでしょうか。例え ばIRBの承認を確認した上で出すとか、そのようなことをやっておけばいいのではな いでしょうか。中央の審査委員会が困らなければいいと思うのです。それから地区の審 査委員会で、地区ごとに差が出ないようにしておくということだけ、きちんとしておけ ばいいと思うのです。 〇浅野座長 今の小寺先生のご意見で皆さんご納得いただければ、この件につきましては特に規定 を厳しくしないという形での対応が必要であろうということです。極端に無茶苦茶なこ とがやられようとするなら、当然IRBが動くと思います。では次にまいります。 4.移植医療機関の登録、及び移植情報の公開についてです。 移植医療機関ごとに移植実績・成績、あるいは体制などについてに関する情報公開に ついては、最低限のリクワイアメントを規定した上で、移植医療機関の自主性にまかせ る、ということです。これに対して公表する情報を規定すべきというのが第2回目の運 営専門部会で出されております。例えば移植実施数等を含めないといけないのではない かということです。これについてご議論お願いします。 公開しないと、その移植医療機関には患者さんは来なくなるのではないかと思い ます。ただ出来るだけその項目は統一する。最小限のプライバシーを守る範囲内で最大 限情報を公表した方がいいだろうということです。どういうふうに項目を考えるか、こ こでも議論をしたらキリがないと思いますので、これもそのような考えの下で、議長と 事務局で考えさせていただいてよろしいでしょうか。もしご意見があれば今いっておい ていただければ、それを入れさせていただきます。 〇中島委員 元に戻りまして大変恐縮です。治療成績の評価ということでございます。これは前回 の小寺先生の研究班の会議の席で、亡くなられました関口先生からご発言いただいたこ とですが、骨髄移植の治療成績は当初血清学的タイピングでマッチングをやっておりま した時期の治療成績と、後ほどアリルタイピングができるようになりました時代の成績 では大分異なる結果が出てきたという事実がございます。 また、HLAのクラス2のDRを一致させることが非常に重要であると考えられてい たのが、後でアリルタイピングしてみると、クラス1の方がかえって移植成績を左右す ることが判明してまいりました。こういうことは臍帯血移植においても今後予想される であろうと思っております。 現在の技術レベルでは予想できなかった新しい評価ができる時代が、将来、来る可能 性がございます。すると現在のタイピングだけではなく、将来きちんと再評価しうるマ テリアルを保存しておけば、移植成績の向上に役立つ研究ができるのではないかと思っ ております。もし皆様の合意を得られますなら、各臍帯血バンクで移植に使われました ドナーとレシピエントの両方の検体を、きちんと冷凍保存しておいていただきたい。そ して将来の治療成績の評価については、何かしら厚生省の方で研究班でもつくって頂い て、後にそれもう一度検討するようなシステムをお考えいただけないかということを、 私の方からもお願いします。 〇浅野座長 確か先生がおっしゃったことは、技術書に書いてあったと思います。各バンクあるい は施設で保存となっていたと思います。佐藤先生そうですね。 〇佐藤(典)委員 患者さんの方まで書いてあるかは自信がないです。 〇浅野座長 ペアですね。わかりました。ではその辺は佐藤先生にご検討ねがって、今のご意見は 皆さん賛同だと思いますのでよろしいでしょうか。もう一回技術書を見ていただいて確 認をお願いします。 次は5.今回新たに検討すべき事項です。二つございます。 各バンクにおいて事前に保存されていた臍帯血の取扱。共同事業において提供する臍 帯血とするか。当該臍帯血の状況を明示した上で、検索の対象とするか。ということで ございます。事前に保存されていた臍帯血の取扱です。今までのもので保存してあるや つですね。これをインターネットに登場させるかどうかですね。検索の対象とするかで すね。 安全性が保証できないものは各バンク要請で除いていただくのは当然ですが、特殊な 事情があり条件付きの場合には、その旨注釈をつけるということになるのではないでし ょうか。 〇高橋委員 ガイドラインこれをスタートしたときに、これからのものと、それ以前の奴とは明確 に区別していただかないといけない。 〇浅野座長 保存期間を明記しても補えるものもあるのではないでしょうか。。 〇高橋委員 保存期間は技術指針の中では明確には書いてありませんね。あれは15年とか、長い間 のことですので、そこが抜けていたのではないか。 〇浅野座長 インターネット上に登場させるものに関してはいつから保存されたということを明ら かにするということですね。それでいいでしょうか。 〇加藤(剛)委員 出生日ですね。 〇浅野座長 そうですね。保存された日と出生の日はわかりますね。何ヵ月ということは、最初の 情報提供の中に入れておいた方がいいのではないか。 〇高橋委員 保存された日数は液体窒素に入っていれば同じだと思うので、バンクがスタートして からきちんとしたものか、その前のものかというのを分けた方がいいと思います。それ をリスクの上で使っていただくということがいいと思います。 〇浅野座長 リスクと言われると気になります。リスクではなく参考までにということですね。 〇小寺委員 今2,500 検体保存されたものは、調べた限り55名の人に移植の機会を与えたというこ とと、それらにおいて、それほどトラブルがあったという報告は研究班としては把握し てない。これでもし公的というか、共同事業として保存しはじめたものが正規のもの、 これはそれでいいと思うのですが、共同事業において仮に提供する臍帯血とはしないと した場合には、少なくともかなりの臍帯血が保存されるまでは、各バンクは二重の手間 をしないといけないし、これの取扱については、むしろ地下に潜ってしまうということ があるので、区別はするのですが同じパネルでHLAが開示されるというところから始 まって、使えるようにしておいた方がいいのではないかと思います。 〇中島委員 中央血液センターのバンクで保存している実状をお話します。私達は、1995年4月か ら保存をはじめました。採取あるいは調製・保存にかかる手順や品質管理、あるいはド ナーからいただくいろいろな情報の管理、これらにつきましては当初は多少はトランド エラーのような形で修正しながらやってまいりましたので、初期は例えば同意書の書式 が簡潔なものであったり、あるいは児の健康調査が1年後であったり、また、母体血の 採血は当初はしてませんでした。いろいろな点で、現在の基準から見ると合わないとこ ろがございます。 こういう共同事業がスタートする前に保存された臍帯血をもし使うとすると、例えば スタートから一定の期間は提供してもいいとか、あるいはどういう条件なら提供しても いいのかというような一応基準なり期間なりを設定していただけたら、我々も対応に迷 わないで済みます。 あるいはそれはあくまで臍帯血の提供を受ける方、移植医なり患者さんの判断にお任 せするのか、その辺をご議論いただきたいと思います。 〇浅野座長 いろいろ各項目で抜けている場合があって、それぞれ具体的に違うと思うのです。大 変に難しいですね。例えば母体血が保存されてない、だから次の問題であるデータとか がおこったときに、対処できないというようなことがおこるようなケースもある、細胞 数がまさか明記できないということはないでしょう。そういうものは当然はずす。とに かく信頼できて患者のためになるものはある程度(注)マークを入れて、これは母体血 の保存がありませんというようなことで、注釈つきで入れておくという形しかないので はないかと思います。先程小寺先生が言われたのは、そういうことではないのでしょう か。 〇西平委員 各バンクの状況によってそれぞれ事情が違うと思います。出発の時点では、移植の目 的ではなく、どれくらい一体採れるのかとか、保存方法とか、あくまでリサーチ的なと ころでやったいた部分もかなりある施設もあるのではないかと思うのです。それは載せ てはいけないと思うのです。あくまで移植を目的としてはじめた時点からのもの、とい うことでなければ、これは研究的に細胞数がいくつあるとかはありませんでしたという ことだけのものは、全部省くべきだと思うのです。臨床データがないやつですね。そう でないと、これをそのままストックしてしまうと、臍帯血移植はいつから全国的なネッ トワークができるかわかりませんが、しばらくは今の状態のままになるだろうと思いま す。 〇浅野座長 これは文章が分かりにくいところがあります。査察をパスしたものという条件が当然 入ってますので、査察をパスしたものであることが絶対条件ではないでしょうか、この ことは技術書の中に明記しているはずです。 〇西平委員 各バンクが自分たちが自信をもって、自分たちの患者さんにやるわけだから、これな ら大丈夫と自分たちが自信をもっていれるものは登録してもいいのではないかと思いま す。これは足りないというのは省くべきだと思います。 〇浅野座長 当然だと思いますので、西平先生のご意見の通りで皆さんご納得いただけると思いま す。よろしくお願いします。 〇三間屋委員 査察をパスしたものというのは、前の査察をパスしたものですか、研究班がやられた ものですか。 〇浅野座長 研究班のものも尊重してということでよろしいでしょうか。ではそういうことにさせ ていただきます。 次です。一端シッピングした臍帯血が不使用であった場合の取扱についてです。温度 等の管理状況が不明のものをバンクに戻し、再度検索の対象とするか。不使用臍帯血を 戻さない場合に、その損失をどう保障するかということです。 1番の方はリライアブルサンプルを渡すというのがバンクの目的ですから、こういう ことがあったら当然抜けるから没になる。一端搬出したものはこれは出せないというの が常識です。ですから申し込む方も相当の責任を伴うわけです。これについては委員の 間に異論はないと思います。 次の不使用臍帯血を戻さない場合、というのは当然戻すことはありえないですからい いですね。不使用の場合には罰則を与えるかということでしょうかね。検討事項につい ては以上でございます。いろいろありがとうございました。次の課題です。事務局から 資料3についてのご説明をお願いします。 〇山本補佐 これはご紹介だけでございます。1月24日の朝日新聞の記事でございます。今回の臍 帯血移植の適応以外のものとして、新聞に載ったのでご紹介させていただきます。千葉 大の谷口先生のところのお話です。臍帯血の中にあるナチョラル・キラー・T細胞に対 して、何らかのファクターを加えることで活性化させてそれを投与するということで、 移植ではなくNKT細胞が癌細胞を叩くという形です。セルセラピーということになる のかも知れませんが、こういう分野で臍帯血の利用ということの研究報告です。先生と お話したのですが、まだ詳細のデータの論文がアクセプトされてないことで、ちょっと それをアクセプトされるまで表に出すことについて、公開の席であったので次回資料が ありましたらご紹介させていただきたいと思います。以上です。 〇浅野座長 皆さんはご承知だと思いますが、谷口先生のオリジナルな仕事としてNKTというの はバンクにとって大変関心をもたねばならないことだと思います。これがこれからの臍 帯血移植の運用にどう関わってくるのか、皆さんにご認識があると思います。GVHD が少ないのに、再発が骨髄移植とかわらないというのは、臍帯血移植の凄く大きなメリ ットの1つであって、この辺が絡んでいる可能性が十分にある。これは是非とも新しい 研究班では検討をさせるようにしていただきたいと思っております。患者さんも皆さん 期待していると思います。 〇山本補佐 研究班にさせるというのはとても僣越でございますが、移植とは違って、臍帯血の分 野はこのように新しい分野に可能性が広がってくるものでもあろうかと思います。また 谷口先生からデータが出ましたらご紹介させていただきたいと思います。 〇浅野座長 他にございませんでしょうか。 〇加藤(俊)委員 二つあります。資料2の中の2ページの2の標準化のところです。この中で議論がま だ十分でないのが、搬送方法の標準化というのが必ずしも十分にされてないように思い ます。これは今は各地域臍帯血バンクがそれぞれのご方針で、あるところは移植施設が 取りにくる、あるところはバンクが送る、ということをしているわけです。これはばら ばらにやってもしょうがないので、全国同じ方法で、日本は狭いですし、またAという バンクのところがAの地域をカバーするだけではなく、全国をカバーするということか らすれば、これはなるべく早く同じ業者に、統一するほうが良いと思います。また例え ば液体窒素を飛行機に乗せてはいけないとかというのがあったりなかったり、よく分か らないところがありますので、できれば厚生省の方で手配していただければと思い ます。 2番目です。臍帯血そのものに対して、価格がないままにこの事業はスタートしてし まいます。これまでは各地域のバンクの事情によって、患者さんの方から、何らかのご 寄付なりの援助をいただくことをやっていたところもおありになると思います。そうで ないところもあると思います。これがバラバラのままに、例え1年といえ進むのは非常 に心配がございます。できればこの4月から保険の点数化をしていただくのは最もベス トですが、それが可能なのかどうかです。 それが不可能であれば、仮に来年に予想される保険の点数化までの間はどうするのか ということを、是非議論しておいていただきたいと思います。 〇山本補佐 ありがとうございます。搬送方法の標準化は、恐らくこちらの技術部会でまさに議論 していただくべき部分があろうかと思います。さっき何点か事務局と座長の先生方とと いう話がありましたが、次回までに提供して議論していただきたいと思います。 価格の問題につきましては、前回、例えば一次検索のときに費用負担をという議論を したときに、費用負担全体をどう考えるかという話で、加藤先生がまさに今のご指摘に もいただいたと思いますが、私ども事務局で考えましたのは、費用負担のあり方は、技 術部会のマターを越えるのではないかということで、検討会の方で、検索に負担を求め るのか、臍帯血を提供を受けたときに価格があるのか、誰が払うのか、ということを議 論しないといけないと思っております。保険点数につきましては、残念ながら2年ごと の改定のときに、大きく考え方を議論するということですので、残念ながら4月に云々 というのは無理でして、2年後の改定、次の改定のときにこの議論は出てこようかと思 います。 〇朝浦室長 臍帯血の価格の問題について、非常にご関心の向きがあろうかと思いますが、今、心 配しているのは価格を統一するということになると、一種のカルテルのようなものにな ってしまう恐れがあるのではないか。その辺のところも含めて、1年間とはいえどうす るのか検討しないといけないと思っております。 〇山本補佐 カルテルというとぎょっとしますが、それ以外にここで価格を決めると、それが事実 保険点数に非常に影響を及ぼす可能性も出てくるので、いろいろなことも睨みながらで す。ただ全部をただというシステムではなくて、何らかの受益者負担なりシステム負担 ということも、全体構造の中で考えて、次回の検討会なりでまたご議論いただくマター かなと思っております。 もう一つ最後に、先程加藤先生から出ました一人のドクターが二つの臍帯血バンクに 二次検索をして、良心はあるにしろ二つの唾をつけていたらどうするのかとか、それを 事務局が調整するのかという議論がありまして、ちょっとシステム問題について今日か なり議論をいただきましたので、事務局とコンピューターとかのシステムに強い方に相 談して、ちょっとイメージを作ってみて、次回もう一回提供してご議論いただくという ことにしたいと思います。 〇浅野座長 その辺がしっかりしないといけないので何卒よろしくお願いします。二次検索のとこ ろも用紙にするのか、インターネットにそのまま申込みになるのか、ということもあり ますので、よろしく検討をしていただければと思います。 ご協力ありがとうございました。 −終了− 問い合わせ先  厚生省保健医療局エイズ疾病対策課臓器移植対策室    担 当  山本(内2361)、眞鍋(内2364)    電 話 (代)03−3503−1711