県議会本会議速報
平成11年 第1回定例県議会本会議
速 報
<平成11年6月7日 月曜日 午後1時開議>

知事提案説明要旨

平成11年6月7日

 平成11年第2回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明と報告を申し上げます。

経済対策

 最近の県内経済動向は、住宅投資の持ち直しなど一部に明るい動きも見られるものの、設備投資の減少や個人消費の低迷などに加え、雇用面でも、4月の有効求人倍率が過去最低となるなど、依然として厳しい状態が続いております。

 こうした状況を踏まえ、県といたしましても、国の公共事業等の積極的な施行方針と歩調を合わせ、上半期の契約目標率を過去最高であった昨年度と同じ82.0パーセントと定め、積極的に公共事業等の施行の促進を図っているところであります。

 また、今般、厳しい経営環境にある中小企業の季節的な資金需要に対応するための中元融資について、融資金利を過去最低水準まで引下げ、この6月1日から申込みの受付を開始いたしました。

 さらに、去る4月5日、不況の影響を強く受けている県北臨海地域の産業活性化の推進拠点として、「日立地区産業支援センター」がオープンいたしましたが、県といたしましては、引き続き特定産業集積活性化法に基づき各種の支援を積極的に行ってまいります。また、県内全てのハローワークに緊急求人開拓推進員を配置するとともに、経済4団体などに対して求人要請を行ってきたところでありますが、現下の厳しい雇用情勢に対応するため、引き続き積極的な求人の開拓に努めてまいりたいと存じます。

 今後とも、景気の動向に十分留意しながら、国との連携を図りつつ、県内経済を力強い回復軌道に乗せるため、適切かつ効果的な措置を講じてまいります。

行財政改革・地方分権の推進

 次に、行財政改革及び地方分権の推進についてであります。

 少子・高齢化の進行など社会経済情勢の変化や本格的な地方分権型社会に的確に対応していくため、行財政改革は緊急かつ最重要な課題であります。

 平成11年度末一般財源基金の残高見込みが約250億円程度まで減少する一方で、来年度も多額の財源不足が予想されるなど、引き続き危機的な財政状況が続くなかで、本年度も、去る5月6日に決定いたしました行財政改革実施計画に基づき、全庁一丸となり、全力を挙げて行財政改革に取り組んでいるところであります。

 一方、地方分権につきましては、現在開会中の通常国会において地方分権一括法案の審議が大詰めを迎え、いよいよ実施の段階となってまいりました。

 県といたしましては、地方分権の時代にふさわしい役割と責任を果たしていくため、簡素で効率的な行財政運営に努めるとともに、庁内に設置している地方分権研究会を中心に、今後予定される膨大な件数に及ぶ関係条例の制定・改正作業などを進め、一連の制度改正に的確に対応してまいります。

オウム問題

 次に、オウム問題についてであります。

 オウム真理教団につきましては、地下鉄サリン事件などを引き起こし、全国民を震撼させたことは記憶に新しいところでありますが、最近、全国各地で活動が活発化してきており、本県におきましても、活動拠点のある三和町や旭村の住民はもとより、県民に大きな不安をもたらしているところであります。

 県といたしましても、この問題は、一地域または一自治体レベルでは解決が困難でありますので、国に対して実効ある対策を求めていくとともに先般庁内に設置した連絡会議において県としての対応策を検討するなど、今後関係町村との連携を図りながら、住民の不安解消のために努力してまいりたいと考えております。

旧動燃東海事業所における火災爆発事故

 次に、一昨年3月に発生した旧動燃東海事業所におけるアスファルト固化処理施設の火災爆発事故についてでありますが、去る5月26日、核燃料サイクル開発機構から、異常事態発生報告書と県が求めておりました安全管理体制等の改善措置報告書が提出されました。

 県といたしましては、これらの報告書の内容につきまして、県原子力安全対策委員の意見を聞きながら検討を進めるとともに、改善措置の状況につきましては職員を現地に派遣し、確認、検証してまいりたいと考えております。

ダイオキシン対策

 次に、ダイオキシン対策についてであります。

 県公害技術センター内に整備を進めてまいりましたダイオキシン分析施設が完成し、この5月から稼働を開始いたしましたが、これまで外部委託により処理してきました分析業務を県自らが行うことにより、より迅速な対応が図られることとなりました。
参考:ダイオキシン分析施設について

 今後、この施設を十分活用し、県内全域を対象とした環境モニタリング調査を実施するほか、新たに、民間の産業廃棄物の焼却施設に係る排ガス調査を実施するなど、ダイオキシンの実態把握に努めるとともに、調査結果につきましても迅速・的確に公表してまいりたいと考えております。

 また、平成14年12月からのダイオキシン排出濃度規制の強化に対応して、今後多くの市町村で新しい焼却施設を設置し、既存の施設を閉鎖することが予想され、その跡地の環境対策が問題となってくるものと思われます。

 このため、本年度、国の地域結集型共同研究事業を活用し、民間企業との共同事業として、全国に先駆けて跡地の土壌や埋立焼却灰等を無害化処理するための実証試験を行い、環境対策をより一層推進してまいります。

 さらに、龍ヶ崎地方塵芥処理組合城取清掃工場周辺の住民の方々の血液中におけるダイオキシン類の濃度検査等の健康調査につきましては、関係市町及び住民のご協力を得て、昨年12月に実施いたしましたが、先般、専門家等で構成される検討委員会の中間報告がまとまり、去る5月27日に公表いたしました。

 調査結果につきましては、先に環境庁が実施した大阪府能勢町や埼玉県所沢市等の謂査結果と比較して、平均値・最高値とも下回っていることを確認いたしたところであります。
参考:健康調査結果について

第3次保健医療計画の策定

 次に、第3次茨城県保健医療計画の策定についてであります。

 急速な少子・高齢化の進展や平成12年度からの介護保険制度の導入など、保健医療を取り巻く大きな環境の変化に対応するため、本年度から平成15年度までを計画期間とする第3次茨城県保健医療計画を策定し、去る4月8日に公示いたしました。

 計画の主な内容・特色といたしましては、よりきめ細やかな保健医療サービスの提供が可能となるよう二次保健医療圏を6圏域から9圏域に見直したこと、またこの二次医療圏単位に療養型病床群やかかりつけ医を支援する地域医療支援病院の整備目標等を定めたこと、さらにはダイオキシン問題等に対応する健康危機管理対策を盛り込んだこと、などであります。

 今後は、本計画に基づき、県民がいつでもどこでも安心して保健医療サービスが受けられる体制づくりに棟極的に取り組んでまいります。

新県庁舎の開庁

 次に、69年の歴史を刻んでまいりました旧県庁舎から新県庁舎に移転し、4月8日から新庁舎で全面的に業務を開始いたしました。

 新県庁舎につきましては、県民の皆様に親しまれる開かれた利用しやすい県庁とするため、2階に県民情報センターを整備するとともに、県民広場、アトリウム、25階の展望ロビーなどの県民のためのスペースを充実させたほか、体の不自由な方やお年寄りの方も安心して利用できるよう、庁舎内外の出入口の段差解消やスロープ、点字表示板、音声誘導装置等様々な工夫を凝らしております。

 また、6階には防災センターを整備するとともに、屋上に災害対策用ヘリポートを設置し、防災体制の充実強化を図ったところであります。
参考:防災センターについて

 開庁に先立ち、3月末に行いました一般開放には、2日間で約93,000人の方が、また開庁後5月末までに約120,000人の方が訪れるなど、既に21万人を超える多くの県民の皆様にご利用いただいているところであります。

 この新県庁舎を300万県民とともに県政を推進する拠点とし、職員一同決意を新たにして、さらなる県民生活の向上と県政発展に向けて全力で取り組んでまいりたいと存じます。

常磐新線の整備推進

 次に、常磐新緑の整備についてでありますが、つくば地区の都市計画が、この6月10日に正式決定される見通しとなり、鉄道ルートや駅の設置位置が確定するなど、平成17年度開業に向けて大きく前進することとなりました。

 今後は、できるだけ早く用地買収や鉄道本体工事に着手できるよう関係機関との調整を進め、目標年度の開業に向けて全力で取り組んでまいりますとともに、

 併せて、沿線開発につきましても、早期に事業着手ができるよう事業計画の認可等所要の手続きを進めてまいります。

常陸那珂港定期航路開設

 次に、常陸那珂港につきましては、昨年12月に北埠頭内貿地区の供用を開始したところでありますが、去る5月12日、大阪の堺泉北港(泉大津市)と北海道の苫小牧港(苫小牧市)を結ぶ定期航路が開設され、第1船が入港いたしました。

 この定期航路は、農産物や工業製品等を積み荷とする2隻の大型船が、それぞれ週3便寄港するものでありますが、今後、圏内物流の転換につながっていくものと大いに期待いたしております。
参考:ひたちなか港について

2002年ワールドカップの開催

 次に、2002年ワールドカップの開催についてでありますが、去る4月1日、本県での大会運営主体となる日本組織委貞会の茨城支部が設置され、大会開催にかかる準備作業が本格的に開始されることとなりました。

 県といたしましても、今後、日本組織委員会の本部及び支部との連携を強化し、大会の成功に向け、ハード、ソフトの両面から万全の準備を進めてまいります。

ゆうあいスポーツ大会の開催

 次に、去る5月23日、笠松運動公園陸上競技場など県内5会場において、第1回茨城県ゆうあいスポーツ大会を開催いたしました。

 この大会は、昨年大成功裡に終了したゆうあいピック茨城大会を契機として、障害者スポーツの振興を図るとともに、県民の知的障害者への理解を一層促進する目的で開催したものでありますが、当日は、選手、役員、ボランティアなど約9,000人の方々が参加し、澄みきった青空のもとで、元気一杯の熱戦が展開されました。

いばらき国際女性会議の開催

 次に、来る6月19日、つくば国際会議場において、東アジア地域の女性行政上級担当官を招聘し、「いばらき国際女性会議」を開催いたします。

 この会議は、男女共同参画社会の実現を目指した取組の一環として、総理府との共催により行うものでありますが、国際レベルで女性問題についての情報交流、相互理解を深め、男女共同参画への県民意識の高揚を図ってまいります。

世界湖沼会議への出席

 次に、去る5月16日から20日にかけて、デンマーク王国のコペンハーゲン市において開催されました第8回世界湖沼会議に出席してまいりました。

 会議は、60カ国から約500人が参加し、成功裡に終了いたしましたが、5月17日の開会式におきまして、開発途上国の優れた研究者9組20人に授与いたしました「いばらき霞ヶ浦賞」は高く評価され、また本県参加団の多彩な研究発表には注目が集まったところであります。

県立施設等の整備

 次に、県立施設等の整備についてであります。

 まず、筑波研究学薗都市に整備を進めてまいりました「つくば国際会議場」が完成し、今月1日にオープンいたしました。

 本施設は、6カ国語同時通訳設備を備えた1,258人収容の大ホールを始め、大小約20の会議室や多目的ホール等、最新の設備と機能を備えており、国際交流や学術研究交流の拠点として活用してまいります。

 次に、優良種苗の普及促進を図るための中核施設となる、原種苗センター園芸種苗生産施設が完成し、4月から園芸種苗の本格生産が開始されました。

 今後は、この施設を活用し、優良で高品質な苗を利用した付加価値の高い農産物の生産に努め、日本一の園芸県を目指してまいります。

 次に、このほど筑波メディカルセンター病院に、県内で3番目となる地域がんセンターが完成し、5月12日から診療を開始いたしました。県民が身近なところで高度専門的な医療が受けられるがん専門医療機関として、大きな投割を果たしてくれるものと期待しております。

提出議案等

 次に、提出議案等についてご説明を申し上げます。

 今回の提出議案は、条例その他8件、専決処分等の報告6件であります。

 条例は、新たに制定するもの1件、改正するもの5件であります。新たに制定する条例は、平成12年度から介護保険制度が導入されることに伴う「茨城県介護保険審査会の公益を代表する委員の定数を定める条例」であり、一部を改正する条例は、県南及び県西広域水道事業の料金の改定に係る「茨城県水道条例の一部を改正する条例」などであります。

 条例以外の議案といたしましては2件で、「県有財産の取得について」などであります。

 報告は6件で、専決処分の報告が2件、予算の繰越についての報告が4件であります。専決処分は、平成10年度一般会計の歳入が確定したことに伴う予算の補正などであります。

 以上で、提出議案等の説明を終わりますが、なお、詳細につきましては、お手元の議案書等によりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。


Webメニュー選択画像