アーカイバルストッレッジ(archival storage)
 光磁気ディスクなどの記憶媒体に、長期的に情報を記録し保存すること。その記録領域。

アーカイブ(archive)
 一時的なオンライン記憶媒体(ハードディスクなど)から、オフラインの長期的保存媒体(光磁気ディスク、テープドライブなど)に画像データを移す操作のこと。保存媒体に移された画像データの保存ロケーションを指すこともある。

アーチファクト(artifact)
 画像診断上では本来存在しないものが、人工的に画像上に描出されたものをいう。原因としては体動によるもの、血液・脳脊髄液の脈動(フロー)によるもの、強磁性体によるもの、化学シフト(ケミカルシフト)によるものなど様々なものがあり、幾何学的な歪み、信号強度の不均一、疑似信号による画質低下を引き起こす。

アイソクロマット(isochromats)
 任意の時点で位相と周波数が同じになるスピン。同重体ともいう。

アイソセンタ(isocenter)
 3軸の傾斜磁場が交差する位置。

アイソメトリックコントラクション(isometric contraction)
 心臓が収縮の準備をするが、体積は変わらない状態のR波直後の時間。

アイデンティファイ(identify)
 オペレータコンソール上の操作で、数値や指定するレベル値を点滅させるもの。選択したピクセル値を白色に変えて、特定濃度の部分をハイライトする。

アキシャル面(axial plane)
 人体を上部(頭)と下部(足)に分割する面のこと。

アクイジションタイム(aquisition time)
 スキャン時間。

アクティブシールド(active shield)
 磁気シールドの一方式。主マグネットのすぐ外側に逆極性のキャンセルコイルを同心状に配置し、直列に結線している。単位重量あたりの磁気シールド効果に優れ、静磁場の均一性を高く保持することができる。 >(§磁気シールド)

アクティブシム(active shimming)
 MR装置に特別なコイルを設け、最大限に静磁場の均一性が得られるように、それらを作動させ調整することによってなされるシミングのこと。 >(§シミング、§パッシブシム)

アノテーション(annotation)
 画面上に表示される注訳のこと。システムが自動的に表示する画像のデータ収集方法、作成者、作成対象、使用パラメータなど。オペレータが追加したテキストやグラフィック、マーキングもアノテーションによって表示することができる。

アベレージング(averaging)
 SN比改善技法の1種。 >(§平均化)

アベレージング(averaging)【東芝】
 >(§NAQ)

アライメントライト(alignment light)
 ガントリーの開口部に設置されている、患者の位置決め用ライトのこと。

アルゴリズム(algorithm)
 問題を解決するときの演算方法およびその流れ。

アレイプロセッサ(array processor)
 高速演算装置。

アンドゥ(undo)
 直前に実行した処理を取り消して、その処理を実行する前の状態に戻すこと。

アンビリカス(umbilicus)
 へそ(解剖学的ランドマーク)

イーサネット(ethernet)
 バス構造(並列接続型)のLAN。伝送レートは10Mbps、ノード間の最長距離は2.5km、最大1024局までのノードを接続できる。 >(§LAN)

イーサネットアドレス(ethernet address)
 イーサネット接続されているワークステーションに固有のアドレス番号。

異核種カップリング(heteronuclear coupling)
 プロトンとのスピン交換による緩和。13C、19Fなどにみられる。

イグザム(examination)
 患者の検査あたりに割り当てられた番号で、対応するすべてのシリーズとスキャン画像を含む一回分の検査のこと。

イジェクト(eject)
 磁気ディスクなどを装置から取り出すこと。

位相(phase)
 周期的運動においてサイクル中の特定の位置を表す量。単位は回転の角度(ラジアンなど)。MRIにおいて、画像化される断層面内の各ボクセルは周波数に関する情報と位相に関する情報を持っている。90°パルスの後、静磁場に垂直な平面の磁化ベクトルは、はじめ同じ方向を向いて(つまり位相をそろえた状態で)ラーモア歳差運動をしている。しかし、各プロトンの受ける局所的な磁場強度が異なるために、それぞれの歳差運動の角速度も異なり、次第にそれぞれの核スピンの間の位相にずれが生じてくる。さらに血流や脳脊髄液のように傾斜磁場中を核スピンが動くことによっても位相がずれる。これを利用して位相ずれの大きさから流速を求めることができる。また、位相の変化や位相差を定量化して画像化(位相画像)することもできる。
 >(§位相コントラスト法、§位相コントラストイメージング)

位相エンコード(phase encording:PE)
 エコー信号の読み出し(read-out)に先だって、空間の特定の方向への傾斜磁場を作用させることによって、その方向への位置情報に対応する位相信号を与えること。静磁場と直交するx−y平面において、y軸に沿って磁場勾配Gyをτy時間だけ印加したあとでは、各核スピンの位相φyはy軸方向のそれぞれの位置yに応じてγ・Gy・y・τyだけ変化する(γ:磁気回転比)。励起の度にGyをある増分で変化させ、エンコード量の異なる信号を得る。これをフーリエ変換させることにより、最終的には各位相変化を通してそれぞれの核スピンのy軸上の位置情報を得ることができる。 >(§エンコード、§周波数エンコード、§傾斜磁場)

位相エンコード磁場勾配(phase encoding gradient)
 位相エンコーディングを行うためにかけられる磁場勾配。MRのスライス面で、周波数エンコーディング方向に対し垂直にかけられる。マトリックスはこの磁場勾配のステップ数に一致し、繰り返し時間、データ収集回数とともに撮影時間を規定する因子である。

相角(phase angle)
 周期サイクルの固定した基準点に対するスピンの位置。

位相共役対象(phase conjugate symmetry)
 >(§エルミートシンメトリー、§フラクショナルNEX)

位相コヒーレンス(phase coherence)
 同一もしくは近似した周波数を持つ2つの信号の位相が揃っていること。ボクセル内のスピンが位相コヒーレンスを失うと、実質的な横磁化が減少するため、MR信号が弱くなる。

位相コントラストイメージング(phase contrast imaging)
 MRで各ピクセルの位相のずれを画像として表示するもの。傾斜磁場中をスピンが動くと、速度と方向に応じて位相の変異が生じる。この位相差を測定し、動きのある部分のみを画像化することができる。

位相コントラスト法(phase contrast method:PC)
 MRアンギオグラフィにおける撮影手技のひとつで、2DFT法、3DFT法の2種がある。頻用される3DFT法の利点としては、遅い血流の描出が良好で血流および撮像面の向きに影響を受けず、血流の流速ならびに方向に関する情報を定量的に得られることであるが、撮像時間が長く、高度の磁場均一性が必要である。

位相差分(phase differencial)
 PC−MRAでのフロー再構成法の1つで、スラブをディフェーズさせる傾斜磁場と位相補正を制御する。位相差分再構成では、ディフェーズ用傾斜磁場がオフ、位相補正がオンになる。

位相シフト(phase shift)
 核スピンの位置情報を得るためには、スライス選択勾配磁場や読み出し勾配磁場が印加される。そのために静止系の核スピンの場合はその位置に応じて位相がずれてくる。さらに、この勾配磁場が印加されている際に、血流や脳脊髄液のように核スピンが移動すると、その位置での勾配磁場の強度に応じて核スピンの角速度は変化していき、位相はますますずれることとなる。これが位相シフトである。そのシフト量は勾配磁場の強度とその印加時間、核スピンの位置、速度、加速度さらに高次の成分などの関数として求められる。 >(§位相エンコード)

位相補償勾配磁場(phase refocusing gradient magnetic field)
 スライス選択勾配磁場や読み出し勾配磁場のために生じる位相シフトを補償するために信号読みだし前に付加的に印加される勾配磁場。しかし、生体においては大血管での乱流のように、核スピンが加速度以上の高次の成分を有する場合があり、理想的な補償は難しい。 >(§位相シフト)

1次オーダ位相補正(first order phase correction)
 フェーズコントラスト画像の位相誤差は、X−Y方向の線形シェーディング(影)として現れる。1次オーダ位相補正では、X−Yシェーディングの勾配を判定して、シェーディングを軽減する。

移動プリサチュレーション(walking presaturation)【日立】
 2D−TOFMRAで、スライスの移動に応じてプリサチュレーションパルスを移動させる方法。動静脈の分離描出に効果がある。

イメージエリア(image area)
 画像を表示するのに使うスクリーン領域。

イメージスクロール(image scroll)
 1枚の画像データ中の一部または全部を移動させる表示機能。

イメージマット(image mat)
 画像上の不要な情報を消去する表示機能のひとつ。

インターコム(intercom)
 MR検査中に患者とオペレータが交信できるインターホン。

インターシーケンスディケイ(intersequence decay)
 心拍サイクルの各画像の時間間隔。

インターネットアドレス(internet address)
 コンピュータネットワークにおいて、特定の1ステーションを区別し、相互通信を可能にする12ビットの番号。IP(internet protocol)アドレスともいう。

インターパルスタイム(interpulse time)
 パルスシーケンス印加時の連続するRFパルス間の時間。IR法特にで重要なのは、反転時間(TI)と繰り返し時間(TR)である。スピンエコー法において、最初の90°パルスから次の180°パルスを照射するまでの時間は、ほぼエコータイム(TE)の半分になる。

インターバルタイム(interval time)
 心拍サイクルの各画像の間の時間。

インターリービング(interleaving)
 最初のデータ収集中に1枚おきのスライスからデータを収集し、次に残りを収集するスキャン方式。クロストークアーチファクトを最小限に抑えるが、スキャン時間が2倍になる。マルチショットEPIでは、この方法によってk−スペースを充填させる(ESP(実効エコー間隔)を短縮する)。 >(§ショット数)

インディペンデントコンソール(independent console:IC)
 スキャンを除くすべての機能が実行できる独立型コンソール。通常は、オペレータコンソールから少し離れた場所に設置される。

インテリジェントPAS【東芝】
 >(§PAS)

インバージョンタイム(inversion time:IT)
 >(§反転時間)

インバージョンリカバリ(inversion recovery:IR)
 >(§反転回復法)

インフロー効果(inflow effect)
 >(§フローリレートエンハンス)

インフローMRA(inflow MRA)
 インフロー効果を利用したMRA(TOF−MRA)。 >(§タイムオブフライト法)

インホモジェニティ(inhomogeneity)
 静磁場の不均一性。

ヴァスキュラMRイメージング(vascular MR imaging)
 >(§MRアンギオグラフィ)

ウィリス輪(circle of Willis)
 脳底部の動脈が吻合して形成する輪(5角形に近い)。

ウィンドウ(window)
 グレーの階調が割り当てられたピクセル値の範囲。幅の狭いウィンドウは、密度の似かよった部位を高い分解能とコントラストで表示する。対象部位のピクセル値を判定するのにも役立つ。

渦電流(eddy current)
 MR装置は、位置情報や信号収集のために用いられる傾斜磁場のスイッチング時に、傾斜磁場コイルの外側に位置する主磁石などの金属部分のいたるところに複雑な誘起電流を生ずる。これらの電流はそれぞれ独自の磁場を形成し、異なる速度で消失していく。渦電流が形成するこれらの磁場の影響で、傾斜磁場パルスは立ち上がり・立ち下がり部分でタイムラグを生じ、設計通りの傾斜磁場が印加されないことになり、画像の歪みなどの悪影響をもたらす。対策としては、渦電流の影響を相殺するようにあらかじめ傾斜磁場コイルから外側の磁束の漏出を防止するためのシールド型傾斜磁場コイル(SGC)の採用がある。
 >(§傾斜磁場、§シールド型傾斜磁場コイル)

ウルトラショットTSE(ultra shot TSE)【Philips】
 TSEにおける180°パルスの照射を数十%カットして、ETLを極端に大きくする方法。秒単位の高速撮影が可能である。

永久磁石(permanent magnet)
 残留磁気と保持力の大きな磁性材料。着磁されるとほぼ永久的に磁束を発生する。MR装置の主マグネットとしては、フェライトやNb-Fe-Bなどを材料とした永久磁石が使用される。特徴としては、洩れ磁場が少ないので設置面積を小さくできる、磁場維持のための電力・冷却が不要(維持費が安い)、磁場強度に技術的な限界がある(現状では0.3T)、磁場の均一性・安定性の点で超電導磁石にやや劣る。 >(§常電導磁石、§超電導磁石)

永久電流(permanent current)
 超電導状態で、Nb-Ti合金などが材料のコイルに、ほぼ永久的に流れ続ける電流のこと。 >(§超電導)

エイリアジング(aliasing)
 通常の撮影で、FOVが撮像部位より小さいときに発生するアーチファクト現象。FOV外にある部位は、画像内に折り返される(折り返し現象)。ラップアラウンドアーチファクト、領域外アーチファクトともよばれる。対策としては、FOVを大きくする、NPWの利用などがある。 >(§領域外アーチファクト、NPW)

液体窒素(liquid nitrogen)
 沸点が77Kの液化した窒素。超電導磁石の超電導状態を保持するために超電導コイルは液体ヘリウムの中に浸されているが、高価なヘリウムの蒸散を抑制するために、液体窒素を満たした容器で液体ヘリウム容器を包み込んでいる。
 >(§クライオスタット、§超電導磁石)

液体ヘリウム(liquid helium)
 沸点が4.2kの液化したヘリウム。

エコー(echo)
 90°パルスにより励起されたスピンが緩和していく過程で、T2緩和時間と同等かそれ以下の時間内に、180°パルスの印加や、静磁場の磁場勾配の反転によりFIDが消失した後に再び現れるMR信号のこと。前者の場合をスピンエコー、後者の場合をグラジェントエコー(フィールドエコー)とよぶ。

エコー時間(echo time:TE)
 90°パルスからスピンエコー信号もしくはグラジェントエコー信号が生じるまでの時間。原理的には、90°パルスから180°パルスもしくは磁場勾配の反転時間の2倍に等しい。  >(§繰り返し時間)

エコースペース(echo space:ESP)
 FSE法における、1つのTR内の連結したエコーの間隔。ESPはETL(エコートレインレングス)に逆比例する。ESPを長く設定すれば、より長い実効TEの設定が可能になるが、画質の点からは主としてマイナス要因として働くので、多くの場合、設定可能な最短のESPを使用するのが望ましい。

エコートレインレングス(echo train length:ETL)
 FSE法で、1つのTR内に180°パルスを繰り返し印加して得られるエコー数のこと。FSE法のスキャン時間は、従来のSE法の1/ETLに短縮される。またETLと撮影可能なスライス枚数は相反関係にある。

エコープラナーイメージング(echo planar imaging:EPI)
 超高速MRIのひとつ。90°パルスのあとx−y平面内の磁化は横緩和により減衰するが、消滅しないうちに位相エンコードのステップにより連続的なグラジエントエコーを発生させ、画像再構成に必要なすべてのデータを集めてしまう方法。位相エンコードをデータ収集の間も連続的に行う方法と、各データ収集の間に行うフリップ法がある。FID信号を用いる方法(FID−EPI、GRE−EPI)では、90°パルスの後エコー信号を収集し、スピンエコーを用いる方法(SE−EPI)では90°−180°パルスの後に生ずるスピンエコー信号を収集する。いずれの場合も信号の継続時間はT2*であり、画像データをT2*の間に収集することが必要で、傾斜磁場の反転を高速に行うための強い傾斜磁場システムが必要となる。1回の励起パルスのみで画像を構成するシングルショット(ワンショット)EPIに対し、マルチショットEPIは、何回かのRFパルスによるエコートレインのデータを合わせて1枚の画像を作ることにより、高い空間分解能を保つことができる。1回の90°パルスの後いくつかの180°パルスを印加し、マルチエコーを発生させ、その間に傾斜磁場エコー を発生させて全画像データを集める方法をハイブリッドEPIとよぶ。これはシングルショットのGRASE法(TGSE法)である。EPI法の応用としては、3次元スキャンをEPIによって超高速に行うことや、分子の動きをfreezeできることを用いた拡散の測定(拡散強調画像)などがある。 >(§GRASE法)

エコーリフェージング(echo rephasing)
 180°パルスを印可するか傾斜磁場の切り替えによって、スピンの位相コヒーレンス(位相間における一定の関係)を回復すること。 >(§リフェージング)

エディカレント(eddy current)
 >(§渦電流)

エマージェンシーコールボタン(emergency call button)
 MR検査中に患者が気分が悪くなったときなどに、オペレータにブザーやアラームでその旨を通知するためのボタン。あらかじめ検査開始前に患者にスイッチを持たせておく必要がある。

エルミートシンメトリー(Hermite symmetry)
 位相共役対称。k空間の1側のデータ値は鏡面対象(点対称)の位置のデータ値から計算できる、という理論。ハーフフーリエイメージング(HFI)で用いられる。  >(§HFI)

エルンスト角(Ernst's angle)
 >(§最適フリップ角)

エンコード(encoding)
 静磁場に線形の傾斜磁場を印加すると、核スピンの周波数は傾斜磁場の印加方向に規則的にずれてくる。また、角速度が異なってくるために、傾斜磁場の印加時間に依存して位相がずれていく。したがって、ある選択励起した平面において、直交する2方向に傾斜磁場を印加すれば位置に応じて周波数と位相が規定し得る。この傾斜磁場を用いて位置情報を与えることを、MRIにおいて一般にエンコードするといい、それぞれ周波数エンコード・位相エンコードとよばれている。>(§位相エンコード、§周波数エンコード)

エンコードチェンジ(encode change)【東芝】
 >(§SWAP)

オートウィンドウレベル(auto window and level)
 ウィンドウ幅とレベルの値を自動的に設定して表示させる機能。

オートチューニング(auto tuning)
 システムが送信するRFパワーと、患者の各スキャン面が受信するパワーの調整を自動的に実行する機能。患者の体重などRFコイルへの負荷に応じたRFパワーを自動的に計測し、スキャン条件を自動的に決定する。

オートプリスキャン(auto prescan)
 >(§オートチューニング、§プリスキャン)

オーバーサンプリング(over sampling)【Siemens】
 >(§NPW)

オフセット(offset)
 本来の中心位置からある方向に移動して画像を表示すること。

オフセンタFOV(off-center FOV)
 1.磁場中心にない被験者の部位の画像をFOVの中心に移動させる機能。
 2.FOVがマグネットセンタに来ない状態。

オブリークイメージング(oblique imaging)
 傾斜、回転させた断面を収集する方法。ロカライザ画像から傾斜(チルト)または回転したスキャン面の撮影が可能。

オフレゾナンス効果(off-resonance effect)
 磁化率の違いやケミカルシフトにより、画像にボケが発生する現象。

オペレータコンソール(operator console)
 スキャンの実行や画像表示の際に使用するコンソール。

折り返し(aliasing/ wrap around)
 >(§領域外アーチファクト、§エイリアジング)

回転基準フレーム(rotating frame of reference)
 核の歳差(ラーモア)周波数でBo軸の周りを回転する基準フレーム。

回転座標系(rotating frame)
 ある基本となる座標軸に対し、原点と回転軸を共通にして回転している座標系。静磁場Boの方向を向く座標軸の周りに磁化ベクトルのラーモア周波数と同一の周波数で回転する座標系を用いると、磁化ベクトルの緩和現象を単純化して説明できる。>(§緩和)

回転磁気比(magnetogyric ratio)
 >(§磁気回転比)

回転磁場
 >(§RF波)

外部磁場
 >(§静磁場)

外部聴神経管(外耳孔)(external acoustic[auditory] meatus)
 ランドマークのひとつ。CTにおいて外耳孔はロカライズ画像上で容易に確認できるが、MRではサジタルロカライズ画面上に外耳孔は存在しないので、間接的に橋(pons)下端を基準点とすることが多い。

解剖学的基準点(anatomic reference)
 患者のスキャン位置を設定するときに、参考点として使用する外耳孔などの基準点。

ガウス(gauss)
 磁場強度の測定に使われる旧単位で、現在はテスラ(T)が用いられる(1T=10000G)。地球の磁場はほぼ0.3G。

化学シフト(chemical shift)
 磁気共鳴現象において、ある原子が化学結合している場合、相手原子との共有電子による遮蔽効果のために共鳴周波数の値はわずかに低い値にずれている。これを化学シフトといい、その大きさを周波数で表す。また、シフト量を静磁場強度に対する本来のラーモア周波数で割って100万分の1(ppm)で表すこともある。水の中の水素原子と脂肪族分子の中の炭素に結合した水素原子では3〜5ppmのシフトがある。 >(§化学シフト画像)

化学シフトアーチファクト(chemical shift artifact)
 化学シフトによる周波数成分の違いが、周波数エンコード方向の位置の変化として現れたものを、化学シフトアーチファクトとよぶ。自由水を大量に含む組織と脂肪組織の境界面に帯状の信号欠損もしくは高信号域として認められる。これは静磁場強度に比例、周波数エンコード方向の傾斜磁場強度に反比例して顕著となる。位相軸と周波数軸を入れ替える、あるいは周波数エンコードの磁場勾配を逆方向にすることによって、アーチファクトの発生する方向を変えて重なり障害を防ぐことができる。 >(§化学シフト)

化学シフトイメージング(chemical shift image)
 >(§化学シフト画像)

化学シフト画像(chemical shift image)
 ある物質中の特定元素のNMRスペクトル強度分布から、化学シフト量に応じた画素値を与えることにより得られる画像。これにより、水・脂肪分離画像を得ることも可能である。 >(§化学シフト)

核オーバーハウザー効果(nuclear overhausser effect:NOE)
 MRSの観測の際、測定目標以外の他の原子核の共鳴条件を満たすRF周波数を印加して、信号増強をはかったり、選択的に共鳴を起こさせる方法のひとつ。原子核スピンが他の原子核スピンと互いに影響しあっているとき、一方の原子核スピンに共鳴を起こさせるとそのスピン系は飽和し、その系のスピンの分布(+/−の数の割合)が変化し、これが他の原子核のスピン系のスピン分布に影響を与え、その磁気共鳴信号を強くしたり弱くしたりすることができる。31Pと1Hが結合しているとき、1Hの周波数のRFを照射しながら31Pを観測すると信号が増強する。

拡散(diffusion/ perfusion)
 分子同士のランダムな熱運動(ブラウン運動)により物質が溶媒中に広がっていく過程を分子拡散(diffusion)といい、一方 perfusionは毛細血管内血流を意味する。両者は物理現象としては全く異なるものであるが、どちらも分子の微視的運動であり、生体内においては末梢領域の微小動態として同一視できる。 >(§拡散画像、§拡散係数)

拡散(強調)画像(diffusion (weighted) image)
 通常用いられるSE法のパルス系列では拡散による信号の減衰は無視できるが、大きな傾斜磁場が長時間にわたって印加されると、その間の各磁化ベクトルの移動によって生じる位相のずれが無視できなくなり、拡散が活発な領域ほど低信号として現れる。こうして得られた画像を拡散強調画像とよぶことがある。また、SE法のパルス系列において、傾斜磁場の強さや印加時間を変えることによりディフェージングの効果を付けて得られた複数の画像から、見かけ上の拡散係数を求めて画像化することができ、これを拡散(係数)画像とよぶ。 >(§拡散、§拡散係数)

拡散係数(diffusion coefficient)
 拡散(diffusion)の大きさを表す値。Dを拡散係数、xを拡散によって分子がt時間内に移動する平均距離とすると、X=root D・t となる。生体内においてはperfusionを考慮する必要があり、この場合には見かけの拡散係数は増大する。>(§拡散、§拡散画像)

核磁気共鳴画像(nuclear marnetic resonance (imaging):NMR)
 昔はMRIのことをNMR−CTと称していたが、nuclearの「核」というイメージを避けるため、MRIとよばれるようになった。
 >(§磁気共鳴画像)

角周波数(angular frequency:ω)
 振動または回転運動の周波数。ω=2πf(f:周波数)。

核スピン(nuclear spin)
 多くの原子核はある軸を中心として回転している。この自転運動のことをスピンとよび、軸の方向と大きさを持つベクトルとして表すことができる。 >(§磁気モーメント、§スピン、§電子スピン)

拡張ダイナミックレンジ(extended DR[dynamic range]:EDR)
 通常の16ビットデータの代わりに32ビットデータを使ってS/N比を改善させる方法。通常撮影の2倍のメモリーを必要とするため、枚数が制限されることがある。

画素(pixel)
 >(§ピクセル)

仮想画像(imaginary image)
 >(§虚像)

画像再構成(image reconstrustion)
 MRやCTのローデータを2次元画像に変換すること。

加速変化(jerk)
 >(§ジャーク)

渦電流(eddy current)
 患者や冷却器の金属ジャケットなど、導体における磁界の変化によって誘発される電流。除去または補正しないと画質劣化の原因になる(「うずでんりゅう」と読むほうが一般的)。

可変バンド幅(variable bandwidth)
>(§バリアブルバンド幅)

渦流(vortex flow)
 局所的にゆっくり渦を巻いたり、流れが停滞している血液。狭窄箇所の遠位(抹消)部で血流が急激に減衰したために起こることが多い。

眼窩耳孔線(OM line)
 解剖学的基準線のひとつ。脳ルーチン撮影で通常利用される。 >(§外耳聴神経管)

緩和、緩和時間(relaxation,relaxation time)
 核スピンがRFパルスのエネルギーを吸収して励起された後に、そのエネルギーをラーモア周波数と同一周波数の電磁波として放出しながら、元の平衡(定常)状態に戻っていく過程を緩和という。そして、この緩和過程の時定数を緩和時間(核の63%がもとの状態に戻る時間)とよび、その逆数を緩和速度という。その過程には縦緩和と横緩和がある。このふたつの現象は同時に起きているが、互いに全く独立した現象である。 >(§縦緩和、§横緩和、§励起)

緩和速度、緩和率(relaxation velocity,relaxation rate)
 緩和時間の逆数。 >(§緩和時間)

緩和度(relaxivity)
 MRI用コントラスト増強剤が水溶液・組織のT1・T2を短縮する効果を評価する指標が緩和度である。緩和度Rは次式で示される。 1/T=1/To+R*C (Tは観測される緩和時間、Toは物質固有の緩和時間、Cはコントラスト増強剤の濃度)。水溶液あるいは組織におけるコントラスト増強剤の濃度1mol/lあたりに促進される緩和速度で定義される。 >(§緩和速度)

輝度(brightness)
 露光操作で設定された光の量を定義するカメラのコントロール機能。輝度を大きくすると撮像された画像密度は減る。

ギブズアーチファクト(Gibbs artifact)
 >(§トランケーションアーチファクト)

キュー(queue)
 イギリス英語で「待ち行列」のこと。アーカイブやバッチフイルム化で使用されるときは、処理されるのを待っている、一連の選択された画像のリストを指す。

強磁性(ferromagnetism)
 強磁性体は磁場と同じ方向に強く磁化され、磁場を取り除いても磁化は残る。これを残留磁化という。このため、強磁性体は磁石として利用される。広義の強磁性を、鉄・ニッケル・コバルト(いずれも金属状態の時)のようなフェロ磁性とフェライトなどのフェリ磁性と区別することがある。 >(§常磁性、§反磁性、§フェライト)

共鳴周波数
 >(§磁気共鳴)

巨視的磁化ベクトル(macroscopic magnetization vector)
 微視的な各核スピンにより発生する磁気モーメントベクトルの、ある空間内での総和(ベクトル的加算)。実際のMRIにおいては単位ボクセル内の巨視的磁化ベクトルにより生ずる信号を観測の対象としている。

巨視的磁気モーメント(macroscopic magnetic moment)
 巨視的磁化ベクトルの大きさ。 >(§巨視的磁化ベクトル)

虚像(仮想画像)(imaginary images)
 レシーバまたはデモジュレータ(復調期)の基準信号より90°位相をずらしたフーリエ成分から生成される画像。

強調位相画像(weighted-phase images)
 血流データを示す画像。指向性血流画像は、単一軸に沿った流れを示し、スピードフロー画像は、すべての流れを一枚の画像で表したものである。

共鳴(resonance)
 原子核の共鳴周波数と同じ周波数を与えることにより起こるエネルギー変化。MRでは、共鳴周波数と同じRFパルスを加えることにより核を共鳴させる。このRFパルスを印可することにより、核は低エネルギー状態から高エネルギー状態へ変化する。>(§磁気共鳴)

切り替え可能型コイル(switchable coil)
 フェーズドアレイコイルに表面的に類似したコイル。本物に比べると機能は劣るが、かなり安価である。

均一性(homogeneity)
 >(§静磁場均一性)

緊急システム停止ボタン(emergency stop button)
 検査室内の全システムの電源を切断するボタン。磁場や酸素モニタの電源は切断されない。

緊急静磁場消磁ボタン(run down button)
 超電導マグネットをクエンチさせて、強制的に静磁場を消滅させるボタン。緊急時(例えば患者が酸素ボンベとマグネットに挟まれた場合など)に緊急的に使用されるが、再び超電導状態に復旧するには多くの時間(2週間程度)と費用がかかる。

空間フィルタ(spatial filter)
 空間周波数の高域を強調するフィルタ(画像が鮮明になる)。

空間分解能(spatial resolution)
 コントラスト差が十分にある対象をスキャンあるいは撮影した際、どれだけ小さいものまで描出できるかを示す能力のこと。隣接している2つの点を個別かつ明瞭に識別できるときの2点間の距離で表す。この値が小さいとき「空間分解能が高い」という。

偶数エコーリフェージング(even echo rephasing)
 多重エコーのSE法(マルチエコーシーケンス)において、定速で移動する核スピンの偶数番目(2,4,6など)のエコー信号は、傾斜磁場によるディフェーズの影響を受けることなく、信号強度が低下しない。これを偶数エコーリフェージングという。

クエンチング(quenching)
 超電導磁石において、液体ヘリウムの基準量以下への低下やクライオスタットの真空度の低下など、何らかの理由により、コイルの一部で超電導状態の臨界点を超えて常電導状態へと移行して抵抗が生じると、発熱し、常電導状態が全体に広がる。この時、急激な熱の発生により液体ヘリウムが爆発的に気化蒸散する。この現象をクエンチングという。

矩形視野計測(rectangular FOV)【日立】
 >(§レクタンギュラFOV)

クライオスタット(cryostat)
 一般には、恒温保持用の容器のこと。MRIにおいては超電導磁石の超電導状態を維持するために、コイルを液体ヘリウム温度に保つための容器。超電導コイルを収納した液体ヘリウム容器、それを取り囲む液体窒素容器、複数の熱輻射シールド板などが真空容器の中に収められている。気化蒸散するヘリウムを再利用しない開放型のものと、ヘリウムの消費を抑制するための液体ヘリウム再冷凍システムを備えたものとがある。 >(§超電導磁石)

グラジエントエコー(法)(gradient echo)
 スピンの磁化を観測するための一方法。スピンエコー法における180°パルスに変えて、磁場勾配を反転(傾斜磁場反転)させることによりエコー信号を発生させる。TR、TEの短縮が可能となり、高速スキャンや3Dボリュームスキャンに応用されている。しかし、180°パルスを用いないので外部静磁場の不均一性の影響を受けやすく、スピンエコー法よりも画質が劣化する。エコー信号収集後に残存横磁化成分を強制的に消滅させるためにスポイラーパルスを付加するタイプ(FLASH、SPGRなど)と完全なSSEP状態を意図したタイプ(FISP、GRASSなど)に分けることができる。TR、TE、フリップ角の調整で画像のコントラストを変化させる。

グラジエントモーメント(gradient moment)
 MRアンギオでは、定速スピンの位相に対するグラジエントの効果を第1モーメント、加速スピンに対する効果を第2モーメント、ジャーク(加速変化)を呈するスピンに対する効果を第3モーメントと呼ぶ。

グラジエントモーメントナリング(gradient moment nulling:GMN)
 流速、加速、その他の運動によって生じる位相ずれを修正するためにグラジエントを印加すること。第1水準グラジエントナリングは、フローコンプと同じ。

グラジェントリコールドエコー(gradient-recalled echo:GRECHO)【Resonex】
 >(§グラジェントエコー)

グラジエントリフォーカスエコー(gradient-refocused echo)
 グラジエントエコー法において、スピンの位相をディフェーズ、リフェーズするために用いられるグラジエントパルスのこと。RFパルスの代わりに使用されるエコー。

クラシック(classic)【GE/YMS】
 スピンエコーのスキャンにおいて、筋肉と脂肪の信号間に、より大きなコントラストをつけるために使用される機能。

繰り返し時間(repetition pulse:TR)
 パルス系列において、ひとつのRFパルスの組み合わせが繰り返される基本周期(時間間隔)のこと。スピンエコー法においては、90°パルスと次の90°パルスまでの時間。
 >(§エコー時間)

グレイスケール(gray scale)
 白黒階調のこと。

クレードル(cradle)
 患者をマグネット内に運ぶ、患者移動テーブルの一部。

クロストークアーチファクト(cross-talk artifact)
 MRIにおいて、隣り合うスライス間で起こる干渉のこと。クロストークは、RFパルスが時間的制限のため本質的に完全矩形波ではなく、スライスも矩形とならないために生ずる。そのためスライス間隔が狭いときは、ひとつのスライスを励起するためのRFパルスによって、隣のスライスのプロトンも励起されるので、その辺縁が重なることになる。実際のMRIではスライス間隔を十分に取ることによって、SNRを増加させ、クロストークによるアーチファクトを軽減できる。

クロスリファレンス(cross reference)
 ロカライザ画像上で複数の交差する画像を設定する機能。

クロスR−Rイメージング(cross R-R imaging)
 複数のR−R間隔でデータの収集を行う心拍ゲーティング法。スライス厚を最大限に得ることができる。

クワドラチャコイル(quadrature detection coil)
 >(§QDコイル)

傾斜磁場(gradient magnetic field)
 MRIにおいてMR信号の画像化のためには、均一の静磁場に対して、ある方向に関して小さく(線形に)変化する磁場を重ね合わせて磁場強度に勾配をかけて、MR信号に位置の情報を付加している。このとき用いる磁場を(線形)傾斜磁場という。この強さによりスライス厚・FOVの大きさなどが決定される。実際は、パルス状に傾斜磁場が印加され、その波形の精度や励起される渦電流が画質に影響する。スライスの選択・位相エンコード・信号の読み出しに用いる傾斜磁場をそれぞれ、スライス選択磁場勾配・位相エンコード磁場勾配・読み出し磁場勾配とよぶことがある。単位は、単位長さあたりの磁場強度の変化量(mT/m)である。

傾斜磁場エコー(gradient echo)
 >(§グラジエントエコー)

傾斜磁場コイル(gradient magnetic field coil)
 傾斜磁場を発生するためのコイル。主磁石の内側にx・y・zの3方向に対応する3対のコイルを配置し、パルス状の線形傾斜磁場を作っている。 >(§傾斜磁場)

ゲーティング(gating)
 心電図や光電気パルスセンサを使い、画像データの収集をトリガして、動きによるアーチファクトを最小限にする技法。データ収集を生体の動きと同期させる。

血管閉塞症(vascular occlusive disease)
 アテローム性動脈硬化症などの疾患により、血管の内腔が狭くなること。

結合水(bound water)
 >(§自由水)

血流エンコード磁場勾配(flow encode gradient)
 位相コントラストMRAを行う際に、静止した組織のスピンを0にして血流の信号のみを得るために使用する磁場勾配のこと。一回の撮影で上下・左右・前後のうち一方向の血流成分が描出される。 >(§位相コントラスト法)

ケミカルシフト(chemical shift)
 >(§化学シフト)

ケミカルシフトアーチファクト(chemical shift artifact)
 >(§化学シフトアーチファクト)

ケミカルシフトイメージング(chemical shift imaging)
 >(§化学シフト画像)

コイル(coil)
 MRIで使用される装置で、プロトンを励起させるために必要なRFパルスを送信したり、組織から発生した信号を受信するために用いる。

交差緩和(cross relaxation)
 ある分子中のプロトンが化学的交換(chemical change)なしで、そのスピンを他の分子中のプロトンに移行する双極子−双極子相互作用の特殊な形。 >(§双極子−双極子相互作用)

交差面(throughplane)
 イメージング面と垂直なフローエンコーディング方向。

高周波磁場(RF magnetic field)
 >(§RF波)

高周波遮蔽(RF shield)
 >(§電波シールド)

高信号域(high intensity area)
 MRI上で他よりも白く見える部分。高信号域では通常、T2時間が長いか、またはT1時間が短い。T2時間が長いものとしては自由水があり、T1時間の短いものとしては脂肪や、ある時期の出血などがある。

ゴースト(アーチファクト)(ghost (artifact))
 動脈血やCSFの拍動、心拍動、呼吸運動などの周期的な動きによって、位相エンコード方向に多数現れるアーチファクト(モーションアーチファクトの1種)。

高速フーリエ変換法(fast Fourier transformation:FFT)
 離散的フーリエ変換を算出できるアルゴリズムの1つで、計算順序を変えて高速に演算できるようにしたもの。標本数がNのとき、直接計算した場合には加算や乗算の回数がNの2次式で表されるが、高速フーリエ変換ではNlog2N(底が2)に比例した回数ですむ。

高速SE法(fast spin echo)
 >(§ファストSE法)

勾配(磁場)エコー(gradient echo)
 >(§グラジエントエコー)

勾配磁場(gradient magnetic field)
 >(§傾斜磁場)

コラップス(collapsed)
 マキシマムピクセルプロジェクション(MPP)ともよばれる最大輝度プロジェクションイメージ(MIP)で、TOFプロジェクションイメージまたはPCイメージから生成する。

コロナル(coronal)
 身体を前部(正面)と後部(背面)に分割する、長軸方向に沿った面。

コントラスト(contrast)
 フィルム化された画像の暗い部分の濃度を増減して、明るい部分の濃度と対比させるカメラ機能。

コントラストエージェント(contrast agent)
 造影剤。 >(§MRI造影剤、§Gd−DTPA)

コントラスト増強法(contrast enhancement:CE)
 CTやMRIにおいて造影剤を投与することにより、病変部と正常部とのコントラストを明瞭にする方法。 >(§造影MRI、§Gd−DTPA)

コントラスト分解能(contrast resolusion)
 関心ある解剖学的部位と周囲組織間を濃淡で表示区別する能力  >(§濃度分解能)

サーバー(server)
 ネットワークを通じて他のコンピュータから要求を受け、処理するコンピュータ。

サーフェスコイル(surface coil)
 撮影したい部位の表面上、近くに置いて使うRFコイル。S/N比の高い画像が得られる。R>  >(§表面コイル)

再構成(reconstruction)
 スキャン生データを表示画像にするまでの過程。

最小TE(minimum TE)
 所定の指定における最小許容TE。フローの位相ずれとT2の影響を抑えるために使用する。

最適フリップ角(Ernst's angle)
 グラジエントエコー法において、MR信号を最大にするためのフリップ角のことをエルンスト角とよぶ。これは組織のT1値と繰り返し時間TRに依存し、 αmax=cos−1[exp(−TR/T1)] で与えられる。ただし、実際の撮影に当たっては組織間及び病変部のT1値に差があるために、画像のコントラストも考慮しながらフリップ角を設定する必要がある。 >(§フリップ角)

サジタル面(sagittal plane)
 身体を左右に分割するスキャン面。

サセプタビリティ(susceptibility)
 物質が磁化される能力、または磁界に歪みを与える能力のこと。磁気感度の高いものとしては、反磁性、常磁性、強磁性の物質がある。 >(§磁化率)

サチュレーション(saturation)
 組織のT1より短い時間内で高周波(RF)パルスを繰り返し印加し、正味磁気と静磁場が不完全に整列する状態を作ること。 >(§飽和)

サチュレーションタッギング(saturation tagging)
 >(§タッギング)

サチュレーションパルス(saturation pulse)
 スライスごとに印加するRFパルスで、通常はその後にディフェージンググラジエントを印加して、スピンを飽和させて信号を抑制する。スライス方向の流動血液やスライス面の脂肪からの信号を抑制するのに使用される。

雑音(noise)
 信号成分に混入する信号妨害情報を雑音(ノイズ)という。検知装置でキャッチした妨害信号、またはサンプル誤差によって画像に生じる斑点状のもの。雑音があると、ピクセル値の近い部分がぼやけることがある。 >(§信号−雑音比)

酸素モニタ(oxygen monitor)
 MR検査室内の酸素濃度を監視する装置。ヘリウムガスの流出で、空気中の酸素量が安全値(18%以下)を下回ると警報が鳴るようにあらかじめセットされている。

シーケンシャルIR(sequential IR)
 180°−90°−180°のRFパルスをスライスごとに照射する方法。一般のIR法においては、はじめに全体積領域を一度に180°パルスで反転させ、その後それぞれの面に90°パルスを加えて信号を取り出している。

シールド型傾斜磁場コイル(shielded gradient coil:SGC)
 傾斜磁場のスイッチングのたびに誘起される渦電流の発生を抑制する目的で、傾斜磁場コイルと主マグネットの間に設けられるキャンセル用コイル。傾斜磁場コイルに流した電流と逆方向に電流を流し、クライオスタット側への漏洩電流を打ち消す。ノイズの低下、分解能の向上、画像歪みの抑制などの効果がある。 >(§渦電流、§傾斜磁場コイル)

シールドグラジェントコイル(shielded gradient coil:SGC)
 >(§シールド型傾斜磁場コイル)

シェアードエコー(shared echo)
 一回のスキャンで2種類のコントラストの画像を得るために、同じエコー信号のデータを共有する撮像方法。

シェル(shell)
 ユーザーが入力したコマンドを1行ずつ解釈して実行するプログラム。

磁化(magnetization)
 ある物質に磁場を作用することによって磁石の性質が現れること。大きさは単位体積あたりのモーメントにより表される。

磁界(magnetic field)
 >(§磁場)

磁化移動画像(magnetization transfer imaging)
 >(§MT)

磁化率(magnetic susceptibility)
 ある物質が磁化される程度を表す物質固有の物理定数。物質は磁場の中で磁化され、それ自身が一時的に磁石の性質を持ち、周辺に磁場を作る。この磁化されやすさを磁化率という。

磁化率アーチファクト(magnetic susceptibility artifact)
 磁化率は物質により異なるため、極端に磁化率の異なる組織が隣接する部位(脳底部の含気構造と脳実質など)では、磁場に傾きを生じ、核スピンの回転位相が大きく変化し信号が低下する。これを磁化率アーチファクトという。特にGRE法においては、SE法のような180°パルスによる補正がなく、アーチファクトが顕著になる。 >(§磁化率)

磁化率勾配(magnetic susceptibility gradient)
 生体組織には、しばしば磁化率の異なる物質が含まれており、これらの物質は解剖学的に並列している。例えば空気や骨、脳脊髄液の磁化率は大きく異なる。また例えば、脳と蝶形骨洞あるいは脳脊髄液と椎体の間のような境界面ではχの値(すなわちB)が急激に変化する。これらの局所的な磁化率の変化を磁化率勾配とよび、これらはMRI撮影においてアーチファクトや信号低下の原因となる。 >(§磁化率アーチファクト)

しきい値(threshold)
 画像処理に使用するピクセル信号の強度を設定するための値。

磁気回転比(gyromagnetic ratio)
 粒子の持つ磁気モーメントの大きさの角運動量の大きさに対する比。ラーモア方程式ω=γ・B のγを磁気回転比とよび、核種固有の定数である。プロトンの磁気回転比はγ=42.5759MHz/T である。 >(§ラーモア周波数、§ラーモア方程式)

磁気共鳴(magnetic resonance:MR)
 ある強度の均一静磁場中の核スピンは、ラーモア方程式で求められる周波数(ラーモア周波数)で歳差運動を行っている。この核スピンの持つ磁気モーメントにラーモア周波数と同じ周波数の高周波磁場(RFパルス)を印加すると共鳴的にエネルギーを吸収する。さらに高周波磁場が切られると励起状態の核スピンは印加された高周波磁場と同一周波数の電磁波を出してエネルギーを放出する。この一連の過程を核磁気共鳴(NMR)といい、このときのラーモア周波数のことを共鳴周波数とよぶ。対象が電子を持つスピンの場合は電子スピン共鳴(ESR)とよぶ。 >(§核スピン、§磁気モーメント、§ラーモア方程式)

磁気共鳴撮影(magnetic resonance imaging:MRI)
 磁気共鳴現象を用いた画像構成法。体内水素(プロトン)の分布を画像化する方法が主流である。画像の明るさは、通常その部位のスピン密度と緩和時間に関連して定まるが、血流のような動きにも影響される。 

磁気共鳴信号(magnetic resonance signal)
 スピンが横磁化から減衰する際に発生する(高周波領域の)電磁気信号。スピンが横磁化から縦磁化へ移動する際に、コイル内に電圧を生じる。この電圧が、受信機によって増幅される。

磁気シールド(magnetic shield)
 一般にMR装置は静磁場強度が高いほどS/N比が向上する。しかし高磁場であればあるほど問題も生じてくる。第一に、マグネット本体からの洩れ磁場が周辺環境に与える影響である。磁気に影響されやすい医療用機器・装置や心臓ペースメーカー装着者を漏れ磁場から保護する必要がある。第二に、撮影室周辺の磁性体からの撮影用静磁場への影響である。高画質を得るためにMR装置の静磁場には高い均一性が要求されるが、撮影室周辺に可動性の強磁性体による重量物(例えば自動車やエレベーターなど)があると静磁場を歪める原因となる。これらの影響の対策として、次のような磁気シールドがある。@撮影室全体を鉄プレートなどで囲うルームシールド Aマグネット本体周囲をヨークとよばれる鉄材で覆うセルフシールド B撮影室の中に鳥かご状の磁性材構造物を設け、その中に装置本体を配置するケージシールド C主マグネットのすぐ外側に主マグネットの磁場を相殺するようにコイルを配したアクティブシールド Dセルフシールドとアクティブシールドの両者を組み合わせたハイブリッドシールド。

磁気双極子(magnetic dipole)
 量子力学において、電荷を持った素粒子のスピンにより発生する微視的な棒磁石としての性質。個々の分子、原子、原子以下の大きさの物質(イオン、陽子、電子)からの局所的磁場を模型化するための物理学的概念。

磁気双極子モーメント(magnetic dipole moment:μ)
 磁気双極子を起点とする、磁場のベクトル量のこと。

磁気標識法(spin labeling)
 >(§タッギング)

磁気ベクトル(magnetic vector)
 >(§磁化)

磁気モーメント(magnetic moment)
 磁石としての強さを示す量。電荷を持った素粒子が回転運動すると、そのスピン軸と同一方向の磁気モーメントが発生する。これはN極とS極をもつ一個の棒磁石と同等であり、分離することができない磁気双極子を形成する。電子・陽子・中性子はいずれも磁気双極子である。強さmと−mの磁極が距離lm離れている磁気双極子の磁気モーメントは、大きさがmlで負極から正極に向かうベクトル(μ)で表される。磁気モーメントの単位はWb・mである。単位体積あたりの磁気モーメントのベクトル和が磁化(単位はWb/m2:磁束密度と同じ)である。原子核の場合は、核磁気モーメントといい、この強さは原子核の種類によって固有の値を持ち、プロトンが最も強い値を示す。 >(§核スピン、§磁化ベクトル)

自己シールド(self shield)
 >(§セルフシールド)

四肢コイル(extremity coil)
 四肢の画像に用いる送受信コイル。

シストール(systole)
 心電図のR波とT波間の周期。

磁性造影剤(magnetic contrast agents)
 >(§MRI用造影剤)

磁性体アーチファクト(ferromagnetic artifact)
 磁性体物質は局所的に静磁場強度を乱し、周辺プロトンはRF波に対して磁気共鳴を起こさなくなる。このために強い信号欠損域が生じ、辺縁には周波数エンコード方向に線状の高信号域を伴うことが多い。このアーチファクトの強さ及び範囲は、磁性体の大きさよりは磁性の強さに影響される。義歯、金冠、ヘアピン、脳室シャント、各種クリップ、整形外科用インプラント、血管塞栓用コイル、特殊なものとして手術器具の刃こぼれや骨用カッターの細粉などの体内磁性体がこのアーチファクトの発生源となる。

磁束密度(magnetic flux density:B)
 磁束密度(B、磁気誘導ともいう)は、磁極から出て単位面積を通過する磁束を表し、その単位はWb/m2である。磁場を電圧とすると磁束密度は電流に相当する。両者は B=μ0(1+χ)H つまり B=μ0(H+M) の関係にある。ここでMは磁化、μ0 は真空の透磁率である。同じ磁場(電圧)をかけても、実際には物質によって磁化のされかた(電気抵抗)が異なるため、磁束密度(電流)も異なると考えることができる。MRIでは静磁場の強さを、空気中の磁束密度で表すことが多い。

実効値(effective value)
 一般的あるいは平均的な値(実効TR、実効TEなど)。

実効TE(effective TE)
 FSE法において、最も画像コントラストに寄与するエコーに相当するTE。画像コントラストは一般に、k空間の原点近く(低周波数成分)のエコーデータによって支配される。

実効TR(effective TR)
 MR心拍ゲーティングにおける繰り返し時間の平均値。特定のスライスロケーションでの連続励起数に対応するR−R間隔の数として測定される(例:RR、2xRR、3xRR)。患者の心拍数は制御できないので、真のTRをコントロールすることはできないが、システムに各心拍でトリガしないように設定し、実効TRを制御することはできる。

自動ウィンドウレベル(auto window and level)
 あるパルスおよびエコー数を用いて撮影した1枚の画像上で設定したウィンドウ幅とレベルの値を、同じ条件で他の画像にも自動的に設定して表示させる機能。

自動削除(auto remove)
 画像がPAN(primary archive node)に転送されたりアーカイブされたことをシステムが確認したあと、画像データを自動的に削除するソフトウェア機能。

自動送信(auto broadcast)
 インディペンデントコンソール(IC)のメモリに画像を自動的にロードし、次いでシステムディスクに保存し、本体システムで再構成されたものと同様に表示する機能。

自動表示(auto display)
 再構成終了と同時にシステムに自動的に画像を表示させるよう指示する機能。

自動保存(auto store)
 画像データを自動的に保存できるアーカイブ機能。

シネスキャン(cine scan)
 >(§シネMRI)

シネプラス(cine plus)
 シネモードで動画のように画像を出力するソフト。心臓などの部位を動的に表示する時に使う。レトロスペクティブゲーティング技術と傾斜磁場エコーパルスシーケンスを使用する。 >(§シネMRI)

シネMRI(cine MRI)
 MRIにおいて、同期(心拍同期など)内で関心部位を経時的・連続的に撮像し、その経時的変化を動画上で表示すること。心疾患や動脈瘤などの血管病変の血行動態を把握するのに非常に有効である。最近ではパルスシーケンスを直接ゲーティングせずに、心臓周期の異なる時期で複数の画像を収集する方法(レトロスペクティブゲーティング)が可能である。

磁場(magnetic field)
 磁場が存在する領域。磁場(H、磁界ともいう)は、単位磁極にどのくらいの力が働くかという量で表される。単位はN/WbあるいはA/m。 >(§磁束密度)

磁場強度(field strengths)
 >(§静磁場強度)

磁場均一度(magnetic field homogeneity)
 >(§静磁場均一性)

磁場均一度調整(shimming)
 >(§シミング)

磁場グラジエント(magnetic field gradient)
 異なる空間的ロケーションで静磁場の強さを変化させる装置。スライスの選択と、撮像するプロトンの空間的ロケーションを判定するのに使用する。また、流速エンコーディング、フローコンプに使用するほか、グラジエントエコー収集でRFパルスの代わりに使用して、スピンの位相合わせを行う。

磁場勾配(gradient magnetic field)
 >(§傾斜磁場)

磁場シールド(magnetic shield)
 >(§磁気シールド)

磁場の緊急事態(magnetic field emergency)
 酸素ボンベのような鉄製物質で、誰かが磁場に引き込まれるような緊急事態。早急に磁場を消磁(クエンチ)する必要がある。 >(§緊急静磁場消磁ボタン)

脂肪画像(fat image)
 >(§水・脂肪分離画像)

シミング(shimming)
 MR装置の主マグネットにより発生する静磁場の空間的な不均一を補正し、均一度を向上させるための調整操作をシミングという。一般には、シムコイルに流す電流値操作により補正適時場を変化させて、静磁場均一度を調整する。 >(§シムコイル、§アクティブシム、§パッシブシム)

シムコイル(shim coil)
 静磁場の空間的な不均一を改善するために補正磁場を発生させる調整用コイル。このコイルに流す電流値の調整によりシミングを行う。通常、主磁石本体に独立した10〜20数個の多チャンネルシムコイルが配置されている。たいていのMRSの測定ではデータの採取に先立ち、さらに注意深いシミングがなされ、この処理は手動または自動で行われ、完了するのに3〜10分程度を要する。シムコイルには常電導コイルと超電導コイルあるいは両者が用いられる。 >(§シミング)

視野(field of view:FOV)
 撮影するスライスの大きさ(幅または高さを通常cmで表したもの)で、収集マトリックスとピクセルサイズの積の関数。

ジャーク(jerk:加速変化)
 時間とともに加速流が変化すること。Δ加速流/Δ時間で表す。MRAにおける位相ずれの原因になる。

シャットダウン(shutdown)
 ソフトウェアを正規の手順で停止させ、ファイルを閉じてオフラインで保存すること。

遮蔽効果(shelter effect)
 分子中の原子は、一般に他の原子と価電子を共有して結合している。これがある静磁場B0中に置かれると原子核の周りを回る価電子の起動はB0に直交することとなり、原子核の周囲にはB0 と反対方向の微小磁場が誘導される。したがって、この原子核が実際に感じる磁場強度B0よりも若干小さくなる。これが価電子による遮蔽効果である。この効果の大きさは、価電子による共有結合の強さで決まる性質がある。 >(§化学シフト)

自由歳差運動(free precession:FP)
 >(§定常自由歳差運動)

収集(acquisition)
 1回のデータ収集パス。指定したパラメータによっては、1回の収集で完了するスキャンもあれば、数回かかる場合もある。

収集マトリックス(acquisition matrix)
 2DFT撮像で、周波数−位相エンコーディングの方向における収集データポイントの数(例:256×192)。

自由水(free water)
 生体組織中の水は、まず高分子の影響を受けていない自由水と、高分子の影響を受けている水和水(結合水)に分類される。さらに、水和水は高分子と結合している結合水と、それ以外の構造水に分けることができる。これらの中で、生体組織の緩和時間に大きく影響するのは自由水である(純粋の緩和時間が他の有機物に比べてかなり長いためと考えられている)。緩和の速度は、溶液中において対象原子核を持つ分子の運動状態に強く影響される。自由水の場合は活発に分子運動しており、緩和の速度は緩やかであるが、結合水は周囲の高分子の影響で運動が制限され、緩和は促進される。生体内において、水分子は上述の状態を極めて高い頻度で交換しあっており、観測される組織の緩和時間は自由水と結合水の存在比に強く依存している。

周波数エンコード(frequency encoding)
 2次元MR画像はスライス面内の核スピンのMR信号で構成されるが、各核スピンの位置や信号強度の情報は、エコー信号が生じる時点で、スライス面内の一軸(X軸とする)に沿って磁場勾配Gxを印加しながら信号データを取得することで得られる(信号の読み出し)。Gxを印加すると、これに平行なスピンはその位置に応じたラーモア周波数を有し、撮像視野の一辺がLであれば撮像視野内の核スピンはγ・Gx・Lの周波数帯域内に存在することになる。これらの周波数成分を含むMR信号をフーリエ変換すれば、x軸方向の位置に応じた信号情報を得られる。これが周波数エンコーディングである。通常は画像の長軸に対応する。 >(§位相エンコード、§エンコード、§傾斜磁場)

周波数座標軸(frequency coordinate axis)
 周波数方向に傾斜磁場をかけたときのスキャン方向。 >(§周波数エンコード)

自由誘導減衰(free induction decay:FID)
 外部静磁場方向(z方向)を向いている磁化ベクトルを90°パルスによりx−y平面上へ倒したあと、この磁化ベクトルのx−y平面上への投影成分(横磁化)が受信コイルに誘起するMR信号を測定すると、急速に減衰していく。これが自由運動減衰である。このような急激な減衰は外部静磁場の不均一、各核スピンの微視的な磁場環境の違いにより各核スピンの位相がずれるために起こると考えられている。この減衰の時定数はT2*とよばれ、スピンエコー法によるT2と区別される。 >(§緩和、§横緩和、§スピンエコー、§T2*)

受信用コイル(receiver coil, antenna)
 微弱なNMR信号を効率よく受信するためのコイルで、高周波送信用コイルを共有してもよいが、撮像部位によって専用の受信コイルをも備えている。いずれの場合もコイルの軸方向は静磁場と直交していなければならない。このため、静磁場方向と患者の体軸方向が直交する場合には感度のよいソレノイド型コイルを使えるが、両者が一致する場合には鞍型コイルを使用する(感度は落ちる)。また、感度をよくするための工夫として、表面コイル、クワドラチャ(quadrature:QD)検波(90°位相のずれた信号を加算して信号雑音比を上げる)や、フェーズドアレイコイル(phased array coil)などがある。 >(§ソレノイド型コイル、§QDコイル、§表面コイル、§フェーズドアレイコイル)

受動型シミング(passive shimming)
 >(§パッシブシム)

常磁性(paramagnetic)
 正の磁化率を持った物質(反磁性(diamagnetic)の反対)。常磁性の物質は、外部の磁界と方向が一致するため、その物質を含む組織の緩和時間に影響を与える。例えば、水に常磁性物質を加えると緩和時間が短くなる。

常磁性体(resistive magnetic substance)
 磁場の中に置かれた場合、磁場と同方向に磁化されるが、磁場を取り除くと磁化が消失する物質。スピン量子数が0でない核種(1H、31Pなど)や不対電子対をもつ遷移金属イオン(Cr3+,Mn2+,Fe2+,Fe3+,Gd3+など)が常磁性体に含まれる。遷移金属イオンは磁性造影剤として用いられる。常磁性体の中で特に強く磁化されるものを超常磁性体(superparamagnetic substance)とよぶ。常磁性や反磁性は可逆的な性質で、磁場を取り去ると磁性は失われる。

常電導磁石(resistive magnet)
 常温下で、電線を何重にも輪状に巻いたコイルに電流を流すことで磁場を発生させる磁石。常電導磁石では、電線の抵抗が0でないため、電流が流れているときにだけ磁場が生じ、電流を切ると磁場は消滅する。大量の熱を発生するため冷却装置が必要である。常電導磁石を利用するメリットは現在ではほとんどないため、超電導磁石や永久磁石が主流になっている。

ショートTI−IR法(short TI-IR method:STIR)
 反転回復(IR)法は、スピンエコー(SE)法の前に180°パルスをかけてスピンエコーをz軸方向に反転させるもので、T1強調画像を得るためにTI(反転時間)を生体のT1値の範囲内に設定するが、TI−IR法ではTIを生体の多くのT1値より短く設定することによりT1およびT2の長い組織の信号強度を増加をさせ、多くの病変を高輝度に描出することができる。 >(§反転回復法)

ショット(数)((number of)shots)
 マルチショットEPIで設定する値。スキャン時間はTR×shot数×NEXであるため、shot数が少ないほどスキャン時間が短くなる(ETLが長くなる)。このときのETLは総フェーズエンコーディング数/shot数で表され、shot数が増えると実効エコー間隔(ESP)は短くなる。

シリーズバインディング(series binding)
 同一シリーズ内の画像のみではなく、同一スタディ内の全画像をページングする表示機能。

心MRI(cardiac magnetic resonance imaging)
 MRを利用して心臓の任意の断面の画像や血流情報を得る検査。形態診断、心筋の性状診断、心機能診断のためには主にスピンエコー法が用いられ、血流信号を得るためにはグラジェントエコー法が利用される。代謝の面では13Cや31PによるMRSへの応用も研究されている。

シングルショットEPI(single shot echo planer imaging)【GE/YMS、日立】
 1回の励起パルスで画像構成に必要なすべてのデータを収集する超高速スキャン法。マルチショットタイプEPIよりSN比で劣るが、数10ミリ秒単位の撮影が可能である。 >(§マルチショットEPI、§エコープラナー法)

信号強度(signal intensity)
 MRIの信号強度は、X線CTにおけるCT値とは異なり、同一被写体であっても測定の条件のよって変わり得るので、画像上のピクセル値は、対象ボクセルからの信号強度値を元にした相対的な値でしかない。この信号強度値に影響を与える因子としては、生体組織に由来するもの、パルス系列の選択およびそのパラメータ、そして装置の調整状態に基づくものなどを挙げることができる。生体組織のプロトン密度・T1値・T2値、流れに関する情報、拡散係数などが生体組織固有の因子であり、パルス系列の種類とTE・フリップ角・FOV・スライス厚などがコントロール可能なスキャンパラメータである。さらに、静磁場強度およびその均一度、RFパルス送信の精度、コイルの感度、受信系の増幅度、チューニングの状態などが装置に依存するものである。

信号−雑音比(signal to noise ratio:S/N ratio:SNR)
 真の信号量とそれに重なっているノイズ量との比(SN比、S/N)。真の信号強度を、患者のプロトンから発する信号強度を患者のノイズや、電子機器に内在する電子的ノイズの大きさで割ったもの。SNRを改善するには、サーフェイスコイルの使用、きめの粗いマトリックス(大きいボクセル)の選択、励起回数(NEX、NAQ)を増やす、などがある。

心電図同期MRI(ECG-gated MRI)
 心電図と同期させて、R波の頂点から一定時間後に信号を収集する方法。通常、スピンエコー法により、拡張終期あるいは収縮終期の画像を作成する。心房細動や期外収縮が多発する例では画質が劣化し、信号強度やT2値の誤差も大きくなる。グラジェントエコー法を用いて心臓壁および血流のシネ画像を得ることもできる。 >(§シネMRI)

心臓拡張期(diastole)
 心臓周期での、T波の終わりからR波の始まりまでの周期。心室拡充(ventricular filling)ともよばれる。

真の画像(real image)
 基準信号と位相が合っているフーリエ成分から作成される画像。画像を生成する真の成分とは、基準信号の位相と合っている磁気成分を指す。

心拍位相画像(cardiac phase images)
 1つの心拍サイクル内の異なった時間、または異なった位相での表示画像。

心拍数(beats per minutes:BPM)
 心電図で示される心臓の平均心拍数。

スイート(suite)
 ネットワーク用語でLAN(local area network)とも呼ばれるサブネットワーク。1つ以上のワークステーション(ICまたはOC付きICを指す)が同一ケーブル上で結ばれている。 >(§LAN)

スイート番号(suite number)
 複数のコンソールを使用しているときに、各コンソールを識別する番号。ネットワーク上で画像データを送信するときに、送信元と送信先を識別するのに必要である。

水和水(bound water)
 >(§自由水)

ズーグマトグラフィー(zeugmatography)
 MRIにおける画像構成法のひとつで、xyz3方向の位置情報をすべて周波数エンコーディングにより得る方法。本来、信号を与える水素原子のない部分でも計算上スピン密度分布をもつために、画像にアーチファクトを生じやすく、最近ではフーリエ変換法による画像再構成が主流となっている。

数値入力方式(explicit prescripsion)
 オペレータにより数値入力された画像の設定。

スカラーカップリング(scalar coupling)
 >(§J−カップリング)

スキャン(scan)
 画像データを収集すること。

スキャンFOV(scan FOV)
 有効視野。スキャンによるデータ収集領域のこと。

スキャンタイム(scan time)
 データ収集時間。

スキャンデータ(scan data)
 再構成前のローデータなどのデジタル信号のこと。

スクエアピクセル(square pixel)
 位相方向を基準にFOVの周波数マトリックスと位相マトリックスの比率を設定する機能。

スクリーンセーブ(screen save)
 処理中の画像を保存する機能。WW、WLやコメントなどの画像情報もそのまま保存でき、後に読み出し可能である。

図式設定(graphic prescription)
 ロカライザイメージ上でカーソルを用いてスライス位置を描く方法。

スターナルノッチ(sternal notch:SN)
 鎖骨、胸骨の結合によるくぼみ(胸骨上端)。解剖学的ランドマークのひとつ。

ステータスメッセージ(status)
 今後の操作に影響を与えたり、何らかの措置を必要とされるような状況を警告をするメッセージで、システムが現在おかれている立場を示すメッセージ(状態表示)。

ストア(store)
 イメージデータをシステムディスク(ハードディスク)から光磁気ディスク、磁気テープにコピーすること。保存したデータをもう一度呼び出すことは、リストア(restore)という。

スパイラルスキャン(spiral scan)
 k空間にエコー信号を収集するときの軌跡が螺旋状である方法。k空間の中心部から外側に向かってデータを充填するため、低周波成分が高密度でサンプリングされ、データ積算効果によるモーションアーチファクトが目立ちにくいが、オフレゾナンス効果によって画像のボケが顕著になりやすいという欠点がある。 >(§k空間トラジェクトリー、§オフレゾナンス効果)

スピン(spin)
 量子力学において、素粒子の自転する性質をスピン磁気モーメントまたは単にスピンとよぶ。MRIにおいては特に原子核の核スピンが重要であり、これが磁気共鳴現象の基礎となっている。電子の動きを原子核の周りの回転運動とするモデルを考えると、磁気量子数は原子の周りを回っている原子自身の自転(スピン)というモデルで考えられるため、スピンと名付けられている。原子核のスピンは原子のそれよりも約1/1000小さい。磁気モーメントの大きさと向きを考慮したモデルを考えるとき、これを磁気ベクトルとよぶ。 >(§核スピン)

スピンエコー(法)(spin echo:SE)
 スピンの磁化を観測するための一方法。現在最も一般的に用いられるパルス系列で、90°パルス−180°パルスの組み合わせを一定間隔(TR)で連続的に印加する。均一静磁場中の核スピンに対して、まず90°パルスを印加し、巨視的磁化ベクトルをx−y平面上に倒す。90°パルス印加直後から、核スピンが定常状態に戻る緩和の過程で、巨視的磁化ベクトルはT2*の時定数で消失するFID信号を放出するが、この途中で、90°パルス印加からτ(TE/2)時間後に180°パルスを印加すると、各核スピンの角速度がキャンセルされ、τ時間後に、T2の時定数で求められる信号強度に該当するエコー信号が観測される。これがスピンエコーである。ShortTR・TEでT1強調画像を、LongTR・TEでT2強調画像を得ることができる。スピン−格子緩和(spin-lattice relaxation)ともいう。 >(§縦緩和)

スピン−スピン緩和(spin-spin relaxation)
 >(§横緩和)

スピン密度(spin density)
 単位体積中の磁気共鳴を起こさせる対象各種の核スピンの数。MRIにおいてはプロトン密度に等しい。

スピン密度像(spin density image)
 >(§プロトン密度像)

スペーシング((inter scan) spacing)【GE/YMS】
 >(§スライスギャップ)

スペクトラルエディティング(spectral editing)
 スペクトロスコピーの測定において、特定のピークが持つ位相情報をコントロールすることで必要とするピーク情報のみを抽出する方法。例えば、プロトンスペクトロスコピーでは測定シーケンスの時間パラメータを制御し、脂肪信号と同じ位置に現れる乳酸の位相を変えることができる。スピンエコー法ではエコー時間135msecと270msecの2つのデータを収集し、互いに引き算して乳酸の信号のみを得ることができる。

スペクトロスコピー(spectroscopy)
 分子内での結合位置の違いにより原子核の共鳴周波数は、その原子核本来の共鳴周波数から少しだけずれるという化学シフトを観測し、その大きさと信号強度から生体中の分子の種類や成分を調べることができる。これがNMRスペクトロスコピーである。 >(§遮蔽効果、§化学シフト)

スペクトロスコピックイメージ(spectroscopic image)
 >(§化学シフト画像)

スポイラーグラジェントエコー(spoiler gradient echo)
 2Dまたは3DモードでT1強調画像を収集するときに使用されるグラジェントエコーパルスシーケンス。 >(§定常自由歳差運動)

スポイラーパルス(spoiler pulse)
 スピンの位相をずらし、残留信号を低減または除去するために印加する傾斜磁場パルス。 >(§定常自由歳差運動、§スポイルドGRASS)

スポイルドGRASS(spoiled GRASS:SPGR)【GE/YMS】
 2Dまたは3DモードでT1強調画像を収集するときに使用されるグラジェントエコーパルスシーケンス。スポイラーパルスを用いて残存横磁化成分を消失させる。

スライス厚(slice thickness)
 CTやMRIなど二次元断層像を得る画像診断法における断層像の厚さ。通常の画像では5〜10mm程度が一般的である。スライス厚を薄くすることによりスライス方向の空間分解能は向上するが、S/N比が下がるので一般的に画質は劣化する。 >(§空間分解能)

スライスインターバル(slice interval)
 一般的には、スライス厚とスライスギャップの合計をインターバルと称するが、まれにスライスギャップのみを指すこともある。

スライスエンコーディング(slice encoding)
3D撮影ではスライス方向にもエンコードが行われ、実行するスライスエンコーディングの回数により、1つのスラブ内に任意のスライス数を設定できる。この場合のスキャン時間は次のように設定される。 3Dscantime=TR×位相エンコーディング数×スライスエンコーディング数×NEX3Dで収集した画像は、スライス間のギャップがなくてもクロストークアーチファクトが発生せず、薄い隣接スライスを収集できる。 >(§3Dイメージング)

スライスギャップ(slice gap)【東芝、島津】
 隣り合うスライスの間隔。

スライス選択(slice selective)
 スライス選択傾斜磁場に沿ったスキャン方向。通常はスキャンレンジの方向に対応する。

スライス選択傾斜磁場(slice selective gradient magnetic field)
 断層面の垂直方向に線形勾配磁場を加えて静磁場に重畳すると、共鳴周波数は磁場勾配方向に変化する。この系にある周波数帯域のラジオ波を照射すると、共鳴周波数が一致した厚みの領域のみ(すなわちスライス)が励起される。 >(§選択励起)

スラブ(slab:FOVz)
 3D撮影におけるスライス方向傾斜磁場領域の長さ(厚さ)。 >(§3Dイメージング)

スリューレート(slew rate)
 傾斜磁場強度をそれに要する立ち上がり時間で割った値(T/m/sec)。傾斜磁場システムの性能を示すひとつの量である。この値が高く、かつ最大傾斜磁場強度も大きい場合には、単位時間当たりの磁場変動(dB/dT)が大きくなり、SARの増大や末梢神経への刺激によって、患者の安全性が損なわれる可能性がある。

スループット(through-put)
 実際のスキャン時間と患者のセッティング時間を加味した検査効率。

スレッショルド(threshold)
 画像処理時に設定するしきい値。特定の信号強度範囲を取り出したり、カットするときに設定する数値。

静磁場(static magnetic field:Bo)
 強度や方向が時間的に変化しない磁場のこと。MR装置においては、主磁石がこの静磁場を作り出している。磁気共鳴現象の対象原子核に対して人為的に与えられる外部磁場なので、外部磁場とよばれることもある。MRI装置の静磁場は永久磁石型で0.1〜0.3T、超電導磁石型で0.5〜1.5T程度である。一般的に静磁場強度が高いほどMR信号は強くなる。 >(§静磁場安定性、§静磁場強度、§静磁場均一性)

静磁場安定性(stability of static magnetic field)
 静磁場強度の時間的な変動の程度。単位時間当たりの変動率(ppm/h)で表す。超電導磁石が最も安定で、0.1ppm/h以下を示す。永久磁石は磁性材の温度依存性により、常電導磁石は電流値の変動により静磁場安定性の点ではやや劣る。

静磁場強度(strength of static magnetic field)
 静磁場の強さ。単位はTesla(T)、1T=10000gauss。臨床用MR装置の静磁場強度範囲では、信号のS/N比は静磁場強度の3/2乗に比例するといわれ、画質を決定する重要な要素である。

静磁場均一性(homogeneity of static magnetic field)
 静磁場強度の空間的な均一の程度。一般には、一定容積内(直径20cm球体など)の静磁場強度の最大値と最小値の差、もしくは標準偏差値を基準磁場強度で割ってppm単位で表す(ppm on 20cm DSV:半径20cmの球体内)。均一度が低いと共鳴周波数に幅ができ、分解能が低下したり、画像に歪みを生じる原因となる。特に、GRE法の場合は撮像領域内の広い範囲にわたって高い均一性が求められる。主マグネットのタイプ別に静磁場均一性をみると、超電導磁石が最も優れており数ppm以下、永久磁石と常電導磁石は数10ppm程度である。

静磁場用磁石(main field magnet)
 電磁石(超電導、常電導)あるいは永久磁石が用いられる。常電導磁石では通常4個の大きな空芯コイルを球状に配する構造となっているが、使用電力の大半が熱になってしまうため、コイルの内腔に水を流して冷却する。常電動磁石は最大0.2T程度の静磁場を得ることができる。超電導磁石では数Tまでの高均一磁場が得られるため、明瞭な画像が得られ、MRSやMTC、拡散画像などでも有利である。電力消費は通電時のみでよいが、超電導状態を維持するために、常に液体ヘリウムによる冷却が欠かせない。永久磁石は最大0.3T程度の静磁場を供給する。電力も液体ヘリウムも必要としないので経済的である。超電導磁石や常電導磁石を利用したMRI装置のほとんどは、静磁場方向(一般に、BoあるいはZ方向とされる)が患者の長軸方向と一致する。これに対し、永久磁石や一部の常電導磁石を利用したMRI装置(また最近発売され始めたオープン型の超電導装置)では静磁場方向は患者の長軸と直交する。

生体的収集コントローラ(physiological acquisition controller:PAC)
 システムが収集データをトリガするためにベローズ、ECGリード、フォトパルスセンサからのトリガ情報を収集してシステムに送信する装置。

セーブ(save)
 画像データを外部記憶装置に保存すること。ストアと同じ。

セグメントk−space法(segment k-space method)
 画像のデータ収集の際、k空間でのデータをいくつかの領域に分割(セグメント化)し、セグメントごとに順次データを取り込んでいく方法。実際には、画像を作成するために必要なデータをいくつかのシリーズ(TRや心周期)に分割して収集する。FastSE、segmented Turbo−FLASHや Multishot EPIなどがこの分類に入る。この技術により息止め可能な時間内で心位相の時間分解能の高い画像を撮像し、冠動脈の描出が可能となっている。この方法により心臓のシネ撮像も可能である。

セルフシールド(self shield)
 磁気シールドの一方式。ヨーク材とよばれる軟鉄などの磁性材をマグネット本体の外周に装着するヨーク型磁気シールドや、コイル全体を鉄で覆った直付型磁気シールドがある。撮影室の構造を簡素化でき、小さなスペースへのMRI装置の導入が可能となった。他にも装置周辺での作業が比較的安全である、などの利点があるが、装置の総重量が重くなり、床の一部に荷重が集中するといった問題点もある。 >(§磁気シールド)

線形磁場勾配(linear gradient magnetic field)
 >(§傾斜磁場)

センターフリケンシー調整(center frequency adjustment)
 送受信周波数と撮影するプロトンの減衰周波数とを一致させること。

選択照射(selective irradiation)
 >(§選択励起)

選択飽和法(selective saturation)
 化学シフト画像を得るための一手法。

選択励起(selective excitation)
 均一静磁場内においた被写体に対して、z軸方向に線形傾斜磁場をかけた状態で周波数にある特定の幅を持たせたRFパルス(選択励起パルス)を印加すると、z軸方向で対応する位置にあるスライス面内の核スピンのみを選択的に励起することができる。励起されるスライスの厚さは傾斜磁場強度とRFパルスの周波数の幅により決まり、実際には周波数領域に関してフーリエ逆変換により求められるsinc関数で振幅変調した特殊な形状をしたRF波が印加される。この方法は、MRIにおけるスライス設定の方法として、現在一般的に用いられている方法である。これに対して、傾斜磁場を用いずに、静磁場強度に応じた単一周波数のRF波を印加すると、均一静磁場中の被写体全体の核スピンが励起される(非選択励起)。

選択励起パルス(selective excitation pulse)
 ある一定の周波数で歳差運動をしているプロトンに対して、それらのみを選択的に励起させるためのラジオ波のことで、磁場の強さと核種によりその周波数が決定される(ラーモア周波数)。 >(§選択励起)

選択励起分散法(selective excitation and dispersion)
 化学シフト画像を得るための一手法。

選択励起法(selective excitation)
 化学シフト画像を得るための一手法。

剪断応力(shear stress)
 血液の分子間または分子と組織壁との間に発生する摩擦力。
剪断レート(shear rate)
 組織壁に垂直な流速グラジェントのこと。

造影MRI(contrast-enhanced MRI)
 高コントラスト分解能を有するMRIに造影剤を使用することにより、腫瘍や炎症巣などの病変部検出においてMRIの診断能はさらに高まる。現在、臨床で使用されているMRI用造影剤は経静脈性に投与するGd−DTPAであるが、他に臨床応用の段階に入りつつあるものにFe3+の超磁性体酸化物がある。

造影剤(contrast agent)
 組織の緩和時間を短縮させて、画像コントラストを増強するために投与する薬剤。現在利用されているMRI造影剤には、マグネビスト(シェーリング)、オムニスキャン(第一製薬)、などがあり、通常はT1短縮効果を目的とする。

双極子−双極子相互作用(dipole-dipole interaction)
 2つのプロトン、またはプロトン−電子間の磁気相互作用。関連する2個のスピンの距離、角度、相対的な運動に依存し、組織中のT1、T2緩和において重要なメカニズムを構成する。

双極子間相互作用(dipole-dipole interaction)
 >(§双極子−双極子相互作用)

送信先(destination)
 画像データを転送する際の送り先、宛先。

相関(correlation)
 二つの独立した事象が起こる確率がどのように関係しあってるのかを示す概念。二つのスピンがあったとき、ひとつのスピンが反転したことによって他方のスピンがすぐ影響されるとすれば、二つのスピンの相関が強いという。また、ひとつのスピンの状態がたとえば上向きであったとき、時間的に後の状態が元の状態と強く関係している(影響が強く残っている)ときにも、二つの状態は相関が強いという(時間相関または自己相関)。磁気緩和はスピンの状態がどのように継続し、伝わっていくのかの速さを示すものであり、この相関を用いて説明される。

層流(laminar flow)
 最大流速のフローが組織の中央に流れ、最低流速のフローが組織の壁沿いに流れるような層状の流れのこと。血流の理想的な形とされている。

ソース(source)
 ネットワーク上での、データ発信元。

ソフトウェア(software)
 ハードウェアと対比した用語で、ディスクに格納されたコンピュータ言語によるプログラム。

ソレノイド型コイル(solenoid type coil)
 受信用のRFコイルは静磁場の方向に対して直角に置かなければならないため、縦磁場装置(永久磁石型、一部の超電導型)では、このタイプのコイルを使用する。水平磁場装置で使用されるサドル型コイルに比べ、SN比がroot・2倍である。

ターボファクター(turbo factor)【Siemens】
 >(§エコートレインレングス)

ターボFLAIR(turbo FLAIR)【Siemens】
 >(§FLAIR)

ターボSE(turbo spin echo:TSE)【Siemens,Philips】
 >(§ファストSE)

帯域幅(bandwidth)
 チューニングされたMRシステムが受信する周波数の範囲。 >(§バンド幅)

ダイナミックレンジコンプレッション(dynamic-range compression)
 投影ディフェージンググラジェントを印加して静止組織の信号を抑制する、PC撮影の画質改善方法。

タイム・オブ・フライト法(time-of-flight method:TOF)
 非飽和の撮像面内流入血流(撮像に用いるRFパルスにより飽和されていない血液)が撮像面内において高信号であることを利用して血管像を得る方法。 >(§タイム・オブ・フライトアンギオグラフィー)

タイム・オブ・フライトアンギオグラフィー(time-of-flight angiography:TOF angiography)
 主に流入効果(インフロー効果)に基づいて流動スピンと静止スピンを識別し、血管画像を作成する方法。2D−TOF法と3D−TOF法の2種類がある。スライス内に流れ込む血液はRFパルスを受けないため、静止組織よりも高信号になる(白く見える)。 >(§フローリレートエンハンス)

立ち上がり時間(rise time)
 傾斜磁場が最大強度に達するまでの時間。この時間が短いほど高性能である。例えばEPIのような超高速撮影では非常に短い立ち上がり時間が要求される。 >(§スリューレート)

タッギング(tagging)
 空間的な位置に従ってRFパルスなどを用いて磁気的に信号付けを行ったあと、画像化を行い、流れや動きの様子を観測する方法。RFパルスを用いてスピンを飽和させ、線状の位置標識を行うサチュレーションタッギングや、縞状や格子状のパターンを作り出すSPAMMなどがある。CSF・血液や心壁の動きなどが画像化されている。これらは位置の標識を行うものであるが、化学物質に電子スピンを持った有機ラジカルを結合させて、電子スピン共鳴によるトレーサーとして用いる技術もあり、磁気標識法(spin labeling)とよばれる。

縦緩和(時間)(longitudinal relaxation (time))
 RFパルスの照射により励起した核スピンは、吸収したエネルギーを周囲の分子(格子)に熱振動のエネルギーとして放出する。これを縦緩和、スピン−格子緩和、熱緩和、T1緩和という。この緩和は指数関数的に元の定常状態に戻り、その時定数が縦緩和時間(T1値)である。 >(§緩和、§横緩和)

縦磁化(longitudinal magnetization)
 巨視的磁化ベクトルMの、静磁場Boに対して平行方向であるz軸への投影成分。>(§縦緩和、§横緩和)

遅延時間(delay time)
 1.心拍ゲーティングで、トリガパルスが発生してから実際の撮影が始まるまでの時間。
 2.>(§反転時間)

中心周波数調整(center frequency adjustment)
 >(§センターフリケンシー調整)

チューニング(tuning)
 MR信号を効率よく受信するために、同調回路を用いて共鳴周波数と同じ周波数に同調させる操作のこと。共鳴周波数は被写体の性状によって微妙に変化するので、tuningは撮影のたびに行われる。 >(§プリスキャン)

超常磁性体(superparamagnetic substance)
 >(§常磁性体)

超電導材料(superconducting material)
 超電導材料は、1911年に水銀を液体ヘリウムを用いて4Kに冷却して発見された。その後、臨界温度9Kのニオブチタン(NbTi)合金、臨界温度18Kのニオブ3スズ(Nb3Sn)などが超電導物質として発見された。現在、超電導材料としては特性、加工性の点からニオブチタン合金が一般的に利用されている。最近では、液体ヘリウムによる冷却を必要としない超電導材料を用いた装置も発売されるようになった。 >(§超電導)

超電導磁石(superconducting magnet)
 超電導現象により、超電導材料コイルに流れる永久電流により作られる磁場を用いた磁石。現在のMR装置用磁石の主流であり、特徴は次の通りである。@安定した高磁場の発生が可能。A磁場の均一度が極めて高い。B磁場強度の安定性が良く、経時的な変動はごくわずかである。C超電導状態維持のための液体ヘリウムや液体窒素の補充、または再利用のための冷凍設備の設置など、ランニングコストが大きい。 >(§永久磁石、§常電導磁石、§超電導)

直角位相コイル(QD[quadrature detection] coil)
 >(§QDコイル)

低信号域(low signal area)
 MRIにおいて、周囲よりも信号強度の低い領域(あるいは病変)をさす。画像がT1強調であるかT2強調であるかによって、低信号域に見える部分の意味が異なる。一般的には、前者ではT1の長いものが、後者ではT2の短いものが低信号域として認められる。

定常自由歳差運動(stedy state free precession:SSFP)
 180°パルスを用いないグラジエントエコー法によれば、エコー時間を短くすることができ、さらにTRを非常に短くしても、SE法のような極端な信号強度の減衰が起こらない。この時、最初の90°パルスあるいはフリップ角α°のRFパルスにより倒された核スピンのx−y平面上の位相がT2* を時定数としてバラけていく途中で、−α°RFパルスを印加して逆方向に戻してやるという操作を繰り返せば、磁場の不均一性に影響されないスピンの定常状態を作り出すことができる。これを定常自由歳差運動(SSFP)という。FISPやGRASSは、このSSFPを利用した画像化のためのパルス系列である。また、FLASHやSPGRは−α°RFパルスの前に、横磁化成分を強制的に消失させるためのスポイラーパルスを印加するパルス系列である。FISPやGRASSは、T1とT2*の影響を含むのに対して、FLASHやSPGRはT1のみに依存する。 >(§最適フリップ角)

定常状態(steady state)
 >(§励起)

定常波(plug flow)
 全ての成分が同じ流速で動いている流れのこと。 >(§層流)

ディスク(disk)
 画像データ、ソフトウェアを格納する磁気記録装置。一般には単に「ディスク」というときは、フロッピーディスク、ハードディスクを指すが、MR装置では通常システムディスク(ハードディスク)を意味する。

ディスクドライブ(diskdrive)
 ディスクを読み書きする装置。

ディスタンスファクター(distance factor)【Siemens】
 >(§スライスギャップ)

ディフェージング(dephasing)
 核スピンのx−y平面上への投影成分の向き、すなわち位相が次第にバラバラになること。 >(§リフェージング)

ディレイドエンハンス(delated enhancement)
 造影剤が十分注入され、一定時間が経過した後に撮影されるCTまたはMRIのこと。

データポイント(data point)
 エコーを収集する心臓周期のポイント。シネ収集では、TRごとにデータポイントを収集する。

テスラ(Tesla:T)
 磁束密度の単位(MKS−SI)で、Wb/m2である。CGS単位系のG(gauss)とは、1T=10000Gの関係があり、静磁場や傾斜磁場強度を表すのに使われる。クロアチア生まれの電気工学者Nicola Tesla(1857-1943)に因んでいる。

デッドタイム(dead time)
 エコー収集終了後から次の励起までの時間。

デフォルト値(default value)
 コンピュータまたはオペレータによりあらかじめ設定された初期設定値のこと。

デュアルコントラストFSE(dual contrast FSE)
 FSE法でエコートレインを前半のエコー群と後半のエコー群の2つに分け、T2強調画像とプロトン密度像を同時に得る方法。

デュアルスライス(イメージング)(dual slice (imaging))
 励起パルスを変化させることにより、同一の撮影時間で2倍のスライスを得る方法【日立】。

電波シールド(radio wave shield)
 MRIで用いられる共鳴周波数(静磁場強度に応じて数MHz〜数十MHz)は、商用放送や各種無線通信が使用する周波数帯域と重なっている。生体から発する微弱なMR信号に対して、これら外部からのノイズをできる限り遮断する必要があり、また高出力のRFパルスの外部への漏出も防止しなくてはならない。このために、撮影室全体あるいは患者とRFコイルの外周を銅またはアルミニウムの網や箔で完全に囲い、電気的に遮蔽する必要がある。これが電波シールドである。 >(§磁気シールド)

テンポラルレゾリューション(temporal resolusion)
 カーディアックなどの解析に使用できる最少時間。

同期イメージ(gated image)
 時相の指標となる外部信号に連動させて画像データの収集を行い、それをもとに作成した特定の時相ごとの画像。心電図同期法や呼吸同期法などがよく用いられる。

動静脈奇形(arteriovenous malformation:AVM)
 膨張した動脈と静脈が絡み合って生じる動静脈の形成異常。通常、動静脈の短絡路(shunt)を伴う。一般的に血管壁は脆弱なため、クモ膜下出血などの原因となる。

動粘度(viscosity)
 流動する流れにおいて、血液分子の摩擦による血流の抵抗のこと。

同報通信(broadcast)
 ネットワーク上で、オペレータコンソールから同じスイート内の複数ワークステーションに同時に画像データを転送すること。

トグル(toggle)
 選択ボタンで1回押すとオン、再度押すとオフとなるような機能。

トランケーションアーチファクト(truncation artifact)
 フーリエ変換は数式上、無限領域の積分を含むが、実際のデータは有限の点で表現しなければならないためデータ打ち切り(truncation)による誤差が生ずる。画像の中で高信号と低信号の領域が隣接しているとき、有限のマトリックス数(たとえば256)のフーリエ変換ではこの段差を表現できないため、リング状の縞模様が観測されることがある(Gibbs artifact)。サンプリングレート(あるいはマトリックスサイズ)によって縞の周期が変わるのが特徴であり、k−spaceフィルターなどによって低減させることが可能である。また、スライス励起をするためのRFパルスは、矩形の周波数特性を持たなければならないが、有限の時間内でRFパルスを発生させるためにデータ打ち切りを行うため、スライスプロファイルが劣化する原因となる。

トランスファ(transfer)
 ネットワーク上で、画像データをある場所から他の場所に転送させること。

トランスファキュー(transfer queue)
 ネットワーク上で、保存の保留もしくは読み出し要求のこと。

トランスミット(transmit)
 ネットワーク上で、画像データを1つのディスクから他のディスクに転送すること。

トリガ(trigger)
 MRの心拍ゲーティングで、データ収集を行うために心臓が発する信号。

トリガウィンドウ(trigger window)
 心拍ゲーティングで、データを収集できるR−R間隔のこと。

トリガ遅延(trigger delay)
 心拍ゲーティングで、トリガパルスが発生してから実際の撮影が開始するまでの時間。

ナビゲーターエコー(navigator echo)
 画像作成に使用するエコー信号と同様に、位相エンコードを行っていないエコー信号(ナビゲーターエコー)をもうひとつ収集し、対象の動きによって生じた位相シフトを読みとり、画像用エコー信号の位相を補正する方法。腹部での呼吸によるアーチファクトや拡散強調画像での拍動の影響を取り除くために用いられることがある。

ネクス(number of exitations:NEX)【GE/YMS】
 1回の収集で印加する励起パルスの数。

熱緩和(thermal relaxation)
 >(§縦緩和)

ネットワーク(network)
 広義には、データなどを転送する通信網のことで、画像診断装置においては2つ以上のワークステーションにより構成されるイメージスイートの集合体を指す。ケーブルやモデムによりその場、または遠隔地を結ぶ。 >(§スイート、§LAN)

ノイズ(noise)
 信号成分に混入する雑音(信号妨害情報)のこと。 >(§信号−雑音比)

脳機能画像(functional image,f-MRI)
 外部からの刺激やタスクによって脳の特定部位が賦活される様子を画像化しようとする試み。脳の賦活領域において、血液中の酸素濃度の変化が局所磁場の乱れを生じ、信号強度の大きさの違いに反映されることからBOLD(blood oxygenation level dependent)コントラスト法ともよばれる。これは脳の賦活による血液量の増加と脱酸素(デオキシ化)とのアンバランスによって起こると説明されている。脳血流量の増加による血管の信号の増強との明確な区別を行い、賦活領域を特定することが課題となっている。

能動型シミング(active shimming)
 >(§アクティブシム)

濃度分解能(contrast resolution)
 MRIではスピン密度、T1緩和時間、T2緩和時間の3つのNMR指数の組織間差を画像化する。この組織濃度差の解像度を濃度分解能という。濃度分解能はNMR測定条件であるパルス系列種、パルス間隔、パルス繰り返し時間により決定されるが、コンピュータシュミレーションによって最良の測定条件を設定することも可能である。 >(§空間分解能)

ノーフェーズラップ(no phase wrap:NPW)【GE/YMS】
 位相方向の折り返しアーチファクト(アレイジング)を最小限に抑える機能。位相エンコードステップ数を2倍にするため、撮影時間も2倍になる欠点がある。

パーシャルエコーイメージング(partial echo imaging)
 >(§フラクショナルエコー)

パーシャルフーリエイメージング(partial Fourier imaging)
 >(§フラクショナルNEX)

パーシャルサチュレーション法(partial saturation method)
 MRIで頻用されるスピンエコー法では、撮像時間が長いという欠点があるが、TRをあまり短くすると信号強度が落ち画像が劣化する。そこで、用いている高周波パルスを短くして、ある角度(α)だけスピンを倒す(partial flip angle)と、TRを短くしてもスピンの回復は速く強い信号が得られる。この方法に傾斜磁場を反転させることによりエコーを得る方法(グラジエントエコー)を併用し、高速撮像を行うことができる。TR、TE,αを変えることによりT1及びT2強調画像を得ることができる。

パーシャルフリップアングル法(partial flip angle method)
 >(§パーシャルサチュレーション法)

パーシャルフリップアングルパルス(partial flip angle pulse)
 パーシャルフリップ角という言葉は、縦磁化を90°ではなく端数の角度(10°とか45°とか)に倒すRFパルスを使用する場合に用いる。パーシャルフリップ角は飽和効果による信号損失を最小にするために、GRE法では広く用いられている。

パーティション(partition)
 >(§3Dイメージング)

ハードウェア(hardware)
 MRシステムを構成する機械部分のことで、ソフトウェアに対比した用語。

バードケージ型コイル(birdcage coil)
 「鳥かご」型のコイル。ヘッドコイル、ボディコイルはたいていこの形である。

ハーフフーリエイメージング(half Fourier imaging:HFI)
 >(§フラクショナルNEX)

パーマネントマグネット(permanent magnet)
 >(§永久磁石)

ハイパーAAS(hyper auto active shimming)【東芝】
 人体挿入時の静磁場の乱れを自動補正する機能。アクティブシムの1種。

ハイブリッドシールド(hybrid shield)
 磁気シールドの一方式。セルフシールドとアクティブシールドを併用したもので、小型で軽量、高いシールド効果を有する。 >(§磁気シールド)

ハイブリッドEPI(hybrid shield EPI)【東芝、島津】
 >(§GRASE)

バイポーラフローエンコーディンググラジェント(bipolar flow-encoding gradient)
 同じ形をした極性の異なる2つのグラジェントパルスのこと。PCアンギオで、フロー流速を位相の変化としてエンコードするのに使用される。

はしご型コイル(ladder coil)
 フェーズドアレイコイルに表面的に類似したコイル。本物に比べると機能は劣るが、かなり安価に制作できる。

バックアップ(backup)
 データの破損、消滅など不測の事態に備えて、コピーを作成すること。

バックグラウンドROI(background ROI)
 フロー解析において、フローROI中の位相の不一致を調整するのに使用する、フローを含まない領域のこと。通常は、観察するフロー領域の近くに設定されたフローを含まない領域を指し、対応するフロー領域よりも約2−5倍大きい。

パッシブシム(passive simmming)
 磁石設置時に、シート状金属片を(一般には)MR装置の外側面のいくつかの部位に貼り付けることでなされるシミングの一方式。渦電流の影響を考慮する必要がない反面、調整が難しい。 >(§シミング、§アクティブシム)

バッチフィルム化(batch filming)
 複数の画像を並べ、自動フィルム化する機能のこと。

パラメータ(parameters)
 スキャンに必要な設定値のこと。MRではCTなど他の画像診断装置と比較して、パラメータの種類が格段に多いため、装置や撮影部位に応じてパラメータを細かく設定する必要がある。

バリアブルバンド幅(variable band width:VBW)【GE/YMS】
 システムの受信帯域を狭めてS/N比を改善する機能。SE・IRシーケンスでロングエコーを設定したときにS/N比が改善される。

バリアブルFSE(variable FSE)【GE/YMS】
 >(§デュアルコントラストFSE)

パルス系列(pulse sequence)
 MR信号の観測、画像化のためにはRF波や傾斜磁場パルスを組み合わせて用いなければならない。得られる信号は、各パルスのon/offのタイミングや振幅を、時間的にどのように組み合わせるかにより異なってくる。この各パルスに関する一連のタイムチャートのことをパルス系列という。

パルスシーケンス(pulse sequence)
 >(§パルス系列)

パルス長・パルス幅(pulse length, pulse width)
 パルスの持続時間(msec)。

反磁性(diamagnetism)
 磁場にさらされると磁場と反対方向に(きわめて弱く)磁化される性質を反磁性、そのような物質を反磁性体とよぶ。加えた磁界の強さを弱める性質を持ち、反磁性物質が誘発する磁力の極性は、周辺組織の極性と逆になる。反磁性はそもそもすべての物質に備わった性質で、常磁性や強磁性などのような強い磁性がない物質(紙、木、銀、銅など)はすべて反磁性を示す。反磁性体はMRIに特に影響を与えない。 >(§常磁性、§強磁性)

パン/ズーム(pan/zoom)
 画像上の任意の表示視野を拡大する機能。

反転回復法(inversion recovery:IR)
 MRIにおけるパルス系列のひとつ。90°パルスの印加の前に、まず180°パルスを印加することにより、z軸方向の縦磁化成分を反転させておく。縦緩和により縦磁化が回復してくる過程で90°パルスを印加して、FID信号もしくはスピンエコー法によるエコー信号を測定する。反転状態からの回復の速度は、T1にのみ依存するので、T1強調度の強い画像を得ることができ、180°パルスから90°パルスまでの時間(反転時間)の調節によりT1強調度を変えることができる。 >(§ショートTI・IR法、§FLAIR法)

反転時間(inversion time)
 反転回復法(IR法)のパルス系列において、はじめの180°パルスから、次に印加される90°パルスまでの時間間隔。 >(§反転回復法)

反転表示(inverse video)
 表示画像の白と黒を反転させること。いわゆるネガポジ反転。MRAやSASで使われる。

バンド幅(band width)
 画像化において、位置情報は読みとり傾斜磁場勾配によって、エコー信号の共鳴周波数の違いとして認識されることから、収集されるエコー信号は広い周波数帯域の成分をもつことになる。このときの周波数帯域がバンド幅とよばれる。ホワイトノイズが全周波数帯域に均等に存在するとき、狭いバンド幅で信号を収集すれば画像のS/Nはよくなるが、スライス数が制限され、ケミカルアーチファクトやモーションアーチファクトが顕著になる。バンド幅の上限は使用する傾斜磁場システムの最大出力に依存する。

ピーク比吸収率(peak specific absorption rate:peak SAR)
 重量1gあたりの局所的な人体組織についての比吸収率のこと。単位は比吸収率と同じW/kg。比吸収率が全身に対する影響の安全基準を規定しているのに対して、ピーク比吸収は局所的な組織に対する影響が考慮されている。FDA(アメリカ食品医薬品局)とNRPB(英国放射線防護委員会)の勧告によるピーク比吸収率の安全基準値は、前者が2W/kg、後者が4W/kgである。 >(§比吸収率)

ピーク流速(peak velocity)
 組織の内腔中における最大流速で、層流においてはVmax=2×平均流速で表される。

比吸収率(specific absorption rate:SAR)
 生体組織に対して、単位質量・単位時間当たりに与えられる電磁エネルギーのこと。単位は、W/kgまたはJ/sec/kg。MRIにおいてはRFパルスの印加より、人体1kgが1secあたりに吸収する熱量(W/kg)。FDAとNRPBの勧告によるSARの安全基準値は、現在のところ両者ともに0.4W/kgである。 >(§ピーク比吸収率)

ピクセル(pixel)
 画像マトリックスを構成している2次元の要素で、表示されたスキャン面のボクセル(体積要素)を2次元的に投影したもの。

非対称エコー(asymmetric echo)
 TEにおけるピーク値がサンプリングウィンドウの中央にこないエコーのことで、小数エコーまたは部分エコーともよばれる。

ビューポート(viewport)
 シングルディスプレイ(SID)またはマルチディスプレイ(MID)において、1枚の画像に割り当てられた表示枠のこと。

表示マトリックス(display matrix)
 表示画像のピクセル数をXY軸方向の数で表したもの(例:256×256)。

表面コイル(surface coil)
 微弱なエコー信号を効率よく検出するために用いられ、被験者の体表に接して使用する受信専用のコイル。信号発生源から近いため減衰の少ない信号を得ることができるが、視野の直径と深さが制限され、いずれもおよそコイルの直径の範囲となる。眼球・顎関節・肩関節・膝関節・腰椎など限られた範囲をより明瞭に描出するための専用コイルが作られている。さらに、特殊な表面コイルに体腔内コイルがある。これは、直腸などに挿入して利用するものである。表面コイルを用いて撮影すれば、高S/N比の良好なMR画像の撮影が得られるが、撮像領域には制限がある。

ファーストオーダグラジェントモーメントナリング(first-order gradient moment nulling)
 >(§フローコンペンセーション)

ファストSE法(fast spin echo:FSE)
 最初の90°パルスの後に180°パルスを繰り返し印加してエコーをたくさん作り、それぞれのエコーで独立した位相エンコードを行う方法。ETL(エコートレイン長)の設定によりスキャン時間が従来のSE法の1/ETLに短縮され、強度のT2強調画像や高分解画像が短時間で得られる。ファストスピンエコー法のスキャン時間は次のように算出される。
 スキャン時間=TR×位相エンコード数×NEX/ETL

ファット/ウォーターサプレッション(fat/water suppression)
 指定周波数の飽和パルスを印加して、脂肪・水いずれかの信号を抑制する方法。 >(§水・脂肪分離画像)

ファラデーの電磁誘導(electromagnetic induction)
 電気回路(コイル)を含む部分の磁場が変化すると、回路には磁場の変化を打ち消す方向に起電力が発生する。これを電磁誘導という。磁束をφ、誘導起電力をEとするとE=−dφ/dtで表される。NMR信号は、共鳴する原子核磁気モーメントによって受信コイルに誘導された起電力である。

ファンクショナルMRI(functional MRI:fMRI)
 >(§脳機能画像)

ファントム(phantom)
 テスト撮像や実験で人体の代わりに使用する物体。MRではプラスチック容器に水を封入した水ファントムがよく使われる。

フィールドエコー(法)(field echo:FE)【東芝】
 >(§グラジエントエコー)

ブート(boot)
 コンピュータを起動するときに用いる最初の手続きで、システム初期設定に必要最小限のプログラム(IPL:initial program loader)を磁気ディスクから読み込むこと。

フーリエ変換法(Fourier transformaton:FT)
 MR信号を、多数の異なった周波数、位相、振幅の正弦曲線に分解する数学的手法。 >(§2Dフーリエ変換法、§3Dフーリエ変換法)

フェーズコントラストアンギオグラフィ(phase contrast angiography:PC angiography)
 流速誘発位相シフトによって、流れている血液と静止組織を識別する2Dまたは3Dの撮影技法。PC−MRAは、バイポーラフローエンコーディンググラジェントの極性を反転させて、複数回収集したデータを互いに差し引いて画像を作成する。

フェーズドアレイコイル(phased-array coil)
 フェーズドアレイコイルはいくつかの独立した小さな表面コイルからなり、おのおのの表面コイルは別の受信機に接続されている。各コイルは個別にプリアンプ、受信機、メモリー基盤を有している。このシステムでは、ひとつのコイルを単独で使用した場合のSNRに匹敵し、撮像時間を延長することなく大きい撮像野(例えば全脊椎)を得ることができるが、非常に高価である。

フェライト(ferrite)
 MOFe2O3あるいはMO6Fe2O3 の組成をもつ。Mは2価の金属原子で、亜鉛(Zn)ならZnOFe2O3となり、亜鉛フェライトとよばれる。Mが第一鉄の場合(FeOFe2O3)が磁鉄鉱(magnetite)である。これらフェライトは、2種類の原子核磁気モーメントが反対方向を向き、その大きさに差があるために自発磁化を有し、フェリ磁性体とよばれる。永久磁石の材料としても重要である。フェライトを細かく粒子化するとフェリ磁性を失い、大きな正の磁化率をもった常磁性体(超常磁性体)となる。このようなフェライト粒子はMRIの造影剤として利用されている。

複数画像表示(multiple image display:MID)
 通常は1枚の画像に割り当てられる空間に、2枚以上の画像を表示・操作・解析・フィルミングできる表示機能。

複素差分(complex difference)
 PC−MRAを対象にしたフロー再構成の1つで、スラブをディフェーズさせる傾斜磁場および位相補正を制御する。複合差分再構成では、ディフェーズ用傾斜磁場がオフ、位相補正がオンになる。

負のフロー(negative flow)
 フロー領域における血管の負の平均流量だけを加算したもの(ml/min)。

部分エコーイメージング(partial echo imaging)
 >(§フラクショナルエコー)

部分積算(fractional NEX)
 >(§フラクショナルNEX)

部分フーリエイメージング(partial Fourier imaging)
 >(§フラクショナルNEX)

部分飽和法(partial saturation method)
 >(§パーシャルサチュレーション法)

プライマリアーカイブ装置(primary archive device:PAD)
 収集データが最初に(自動的に)記憶されるアーカイブ装置のこと。

プライマリアーカイブノード(primary archive node)
 ネットワーク上で、意図的にデータ記憶装置として定義されている1台のワークステーション。

フラクショナルエコー(fractional echo)
 読み出しグラジェントGxの印加時間を短くし、エコー時間を短縮する方法。リフェーズしたデータの一部しか読み出されないので、SN比は低下するが、磁化率の違いやフローによるアーチファクトが低減し、T1が強調され、シングルエコースキャンのスライス数が多くなる。

フラクショナルNEX(fractional NEX)
 スキャン時間の短縮目的で、位相エンコードの約半分、またはちょうど4分の3だけを使用してスキャンする機能。位相エンコードステップ数をN倍にしたとき、S/Nはroot・N倍になるため、ある程度の画質を保つためには4分の3の設定が望ましい(87%のS/N)。

プラズマタッチディスプレイ(plasma touch display)
 画面上のパネルキーを、直接指で触れて操作できるディスプレイ。

プリサチュレーション(presaturation)
 通常のパルス系列の前に選択的に90°パルスを印加し、その部分の信号を抑制する方法。スライス面内に流入してくる血流や、スライス面内での動きによるアーチファクトの軽減などに用いられる。 >(§飽和)

プリサチュレーションパルス(presaturation pulse)
 >(§プリサチュレーション)

プリスキャン(prescan)
 MR装置は本格的に画像の撮像を始まる前に、撮像が正しく行われるようにいくつかの設定の較正を行わなければならない。この較正のことをプリスキャン(prescan)とよぶ。MR装置はこの間に4つの作業を実行する。@コイルのチューニングA中心周波数の設定B送信電力減衰器の調整C受信感度の調整。

フリップアングル、フリップ角(flip angle)
 均一静磁場中の核磁化ベクトルがRFパルスの印加によって静磁場の方向(z軸のプラス方向)から倒れた角度。RFパルスの振幅および印加時間に比例して変化する。高速撮像法においては、90°以下の励起パルスが使用される。

プリパレーション時間(preparation time)
 >(§DEプリパレーション)

フレキシブルコイル(flexible coil)
 患者の検査部位、体型に応じて変形可能なサーフェイスコイル。

フロー(flow)
 流体が単位時間当たりに移動する容積(cm3/sec)。

フローイメージセット(flow image set)【GE/YMS】
 PC撮影で作成される画像のタイプ。フロー画像には、マグニチュードを強調した位相画像と、そうでない位相画像がある。マグニチュードを強調する場合は、ノイズを抑制する重積マグニチュードマスクをかけた位相画像になる。また、流速エンコーディングに位相補正とスケーリング(サイズ調整)を適用することもできる。

フローエンコーディング(flow encoding)
 血流のような組織内の動きを測定、または表示するMR技法。

フロー解析(flow analysis)
 シネPCと2DPCを対象としたフロー再構成の1つで、スラブをディフェーズさせる傾斜磁場および位相補正を制御する。フロー解析では、ディフェーズ用傾斜磁場と位相補正の両方がオフになる。

フローコンペンセーション(flow compensation)
 フローアーチファクトを最小限に抑える画質改善方法で、リフォーカスグラジェントパルスを使って位相のコヒーレントを回復する。ファーストオーダグラジェントモーメントナリング(first-order gradient moment nulling)ともよばれる。

フローセパレーション(flow separation)
 フローの流れの中心が組織の壁から分離し、外壁近くに低速または逆向きの流れを生じること。境界層剥離ともいう。

フローパターン(flow patterns)
  脈管系における血液の流れ方。MRAでは層流、逆流、反転、らせん、低速、剥離などのパターンが観察される。

フローボイド(flow void)
 たとえばスピンエコー法の場合、90°パルスと180°パルスを経験したスピンのみがエコー信号の生成に寄与することができる。しかし、流体では90°パルスを経験した後にスライス外に出て180°パルスを経験できないスピンや、180°パルス印加後にスライス外に出てしまい信号収集に寄与しないスピンが存在するため、流体の信号強度が低下する。

フローリレートエンハンス(flow-related enhancement)
 TRが、液体の縦緩和が十分起こるには短い場合、前回の90°パルスの後に流入した流体のスピンの縦磁化が、前回の90°パルスを受けたスライス内に残存している流体の縦磁化より有意に大きく、スライス内の流体全体の縦磁化としては、スライス内の静体の縦磁化より大きくなる。したがってスライス内の流体から得られる信号は、静体のそれより強くなる。

フローROI(flow ROI)
 フロー画像のフロー部分を囲んだ領域。

プロジェクションリコンストラクションイメージング(projection-reconstruction imaging)
 斜めの角度でスライスと平行に光線を当てて得た複数の投影プロフィールから、画像を作成する技法。

プロトコル(protocol)
 ユーザーが独自に設定したパラメータプログラム。

プロトンデカップリング(proton decoupling)
 MRSの吸収線の幅を狭くし、共鳴信号を見やすく簡単にするための技術のひとつ。NMRの吸収線は、周囲の水素原子が作る磁場(双極子相互作用による磁場)によって分裂したり吸収線の幅が広くなっているため、スペクトルピークとして観測しにくいことがある。このとき、RFパルスを加えて水素原子の磁化を飽和させてやればこの結合を防ぐことができ、単純で解析しやすいスペクトルが得られる。この方法をプロトンデカップリングとよび、13Pや13C原子のMRSに用いられている。

プロトン密度像(proton density image:PDI)
 撮像時にTRを長くしてTEを短くとると、T1・T2いずれの影響も少ない画像を得ることができる。この画像のコントラストは、主としてプロトンの量(密度)を反映している。スピン密度像(spin density image)とよぶこともある。

分解能(resolution)
 異なる物理的変化を識別する能力のこと。画像診断では空間分解能とコントラスト分解能(濃度分解能)が問題となる。前者は異なる2点をそれぞれ別のものとして識別する能力であり、後者は質量の差などを画像の濃度差として識別する能力である。 >(§空間分解能、§濃度分解能)

平均化(avaraging)
 同一帯域のMR信号出力を、合計して収集された信号の数で割る、SN比改善技法。

平均比吸収(average specific absorption rate:average SAR)
 >(§ピーク比吸収)

平均流速(average velocity)  フロー解析の測定値。流量Q(cm3/sec)を血管の断面積A(cm2)で割ったもので、V=Q/A(cm/sec)。1/2Vmax(1/2×Vの最大値)を層流という。

平均流量(average flow)
 フロー解析の測定値。特定の心臓位相または周期において、所定のフロー領域を1分間に通過したフローの体積を、その領域を構成するボクセル体積の和(ml/min)で表したもの。

平衡磁化(equilibrium magnetization)
 物体を静磁場に置いてから励起パルスを印加するまでの間に存在する磁気の状態。

ペースメーカー(pacemaker)
 電極を経静脈的に右心室へ挿入し、ミリボルトミリ秒単位で1分間70前後の頻度で、心臓を刺激する装置。埋め込み式と体外装着式のタイプがあり、不整脈患者の心拍の「歩調取り」に用いられる。ペースメーカーは精密な数多くの電子部品で構成されており、磁気的にも敏感であるため、装着者のMR検査と管理区域内への立ち入りは禁忌である。

ベクトル(vector)
 大きさと方向を表す数学上の数量。

ヘリウム(helium:He)
 原子番号2の希ガス元素。ほとんどの超電導装置は、マグネットを極低温に保持するための冷却用寒剤として液体ヘリウムを使用する。

ペリフェーラルゲーティング(peripheral gating:PG)
 中枢神経系の撮影に有用なMRゲーティング法。CSFフローによるアーチファクトを最小限に抑えることができる。通常は指先にパルスセンサを装着して血液の脈動をゲーティングする。

ヘルプスイッチ(help switch)
 スキャン中に、患者が気分が悪くなったり、助けを必要とするときに使うスイッチ。あらかじめ患者にスイッチを持たせておく必要があり、スイッチを押すとコントロールルームのアラームやブザーが鳴るため、オペレータに異変を知らせることができる。

ヘルムホルツ型コイル(Helmholtz type coil)
 対向する2個の表面コイルによって構成されるMRI用受信コイル。一般の表面コイルと異なり、コイルからの距離が少ない均一な画像を得ることができる。関節などの撮像に用いられる。

ベローズ(bellows)
 患者に装着して呼吸信号をとらえる装置。レスピレトリーコンペンセーションを選択したスキャンで用いる。

飽和(saturarion)
 静磁場の方向(z軸のプラス方向)と、その反対方向(z軸のマイナス方向)を向く核スピンの数が同数存在して、磁化が完全に消失した状態。静磁場中の核スピンに強いRF波を印加し続けると、静磁場方向を向いた低いエネルギーレベルの核スピンは次々に励起され、これは静磁場方向とその反対方向の核スピンの数が等しくなるまで進行し、それ以降は見かけ上エネルギーの吸収は起こらなくなる。この状態が飽和である。通常のMRIにおいて90°パルスを印加した場合は、巨視的磁化ベクトルのz軸方向の成分(縦磁化)は0であるが、x−y平面上の成分(横磁化)は存在するので飽和とは異なる。 >(§緩和、§励起)

飽和プロトン(saturated protons)
 RFパルスによって励起されたため、後続の励起に対して横磁化を発生しないプロトン。例えば、1つのスライス内(飽和パルス)で励起された流動プロトンは、次のスライスに達するまでは完全には緩和しない。これらのプロトンからは、RFパルスをもう1度印加しても有意な信号は発生しない。

ボーラストラッキング(bolus tracking)
 MRIでの血流測定法のひとつで、TOF法を用いて行う。>(§TOF法)

ボクセル(voxel)
 >(§ピクセル)

ボクセル内スピン位相分散(intravoxel spin-phase dispersion)
 フロー流速に大きなばらつきがあったり、加速などの高位運動が存在する場合、もしくは磁場の均一性に小さな変動がある場合に、位相コヒーレントが失われ、信号強度が損失すること。

ボケ(blurring)
 ランダムな動きで現れる、モーションアーチファクト。びまん性の画像ノイズを位相エンコード方向に発生させる。

補正コイル(shim coil)
 >(§シムコイル)

ボリュームイメージング(volume imaging)
 3Dイメージングとよぶことも多い。スライスごとではなく、ボリューム全体から信号を収集する撮影法で、薄いスライスの再構成が可能で、一般的にSN比も向上する。 >(§3Dイメージング)

ボリューム撮影(volume scan)
 >(§ボリュームイメージング、§3Dイメージング)

ポンプ(phase offset multiplanar:POMP)
 スキャン時間を延長させずに、指定したTRで収集可能なスライス数の3倍までの画像を収集する機能。

マガジン(magazine)
 フィルム撮影において、一時的に現像前のフィルムをストックしておくケース。

マキシマムインテンシティプロジェクション(maximum intensity projection:MIP)
 一定量の画像データ(3Dボリューム、複数の2Dスライス)から、複数のプロジェクションイメージを生成する方法。画像データは、選択された角度に沿って処理され、最大の信号強度を持つピクセルが2次元画像に投影される。

マキシマムピクセルプロジェクション(maximum pixel projection:MPP)
 >(§コラップス)

マグニチュードイメージ(magnitude image)
 >(§モデュラスイメージ)

マグニチュードリコンストラクション(magnitude reconstrustion)
 位相と関係なく、ボクセル内における磁気の実際の規模を示すモジュラス画像を生成する再構成法。 >(§モジュラスイメージ)

マグネビスト(Magnevist)
 MRI用造影剤の一種で、シェーリング社の商品名。化学名はガドペンテト酸ジメグルミン >(Gd−DTPA)

マグネタイゼーショントランスファ(magnetization transfer:MT)
 灰白質や骨格筋のようなT2が短い組織を抑制してコントラストを改善する、3D−TOFで用いられる撮影技法。高分子と水の相互作用を利用している。 >(§MT)

マグネティックサセプタビリティ(magnetic susceptibility)
 磁化率。物質が磁化される能力、または磁界に歪みを与える能力。反磁性、常磁性、強磁性の物質は磁気感度が高い。 >(§磁化率)

待ち時間(dead time)
 >(§デッドタイム)

マトリックス(matrix)
 2DFTにおいて周波数−位相エンコーディング方向の収集データポイントの数。256×256のように表示する。一般的にFOVサイズが同じであれば、マトリックスが大きい方ほど空間分解能が向上するが、撮影時間は長くなる。

魔法瓶(cryostat)
 >(§クライオスタット)

マルチショットEPI(multi shots echo planer imaging)【GE/YMS、日立】
 複数回の励起パルスで画像データ収集を行うタイプのエコープラナー法。 >(§シングルショットEPI、§ショット数)

マルチスライス(multi-slice)
 ある断面のMR信号を観測した後、繰り返しの待ち時間(TR)の間に別の断面を選択してMR信号を観測して、同一スキャン中に複数枚の断面像を得る方法のこと。一般にTRが長く、TEが短いほど多くのスライスを得ることができる。

マルチスライス・マルチフェーズイメージング(multi-slice and multi-phase imaging:MSMP)【GE/YMS】
 カーディアックゲーティングで、複数の心臓のロケーションと複数の異なる心拍位相を各ロケーションごとに撮影する機能。

水画像(water image)
 >(§水・脂肪分離画像)

水・脂肪分離画像(water/fat saparated image)
 人体内のプロトンの多くは−OH基あるいは−CH2−基の形で存在する。前者は水を構成し、後者は脂肪を構成する。両者は化学シフト現象によって、共鳴周波数に約3.5ppmのずれがある。この差を利用してプロトンから発するMR信号を、水と脂肪を別々に画像化したものが水・脂肪分離画像である。その具体的方法としてDixon法が知られている。また、この分離画像を得るためには、静磁場に両者の化学シフト量以下の高い均一性が要求される。 >(§化学シフト)

ミスレジストレーション(misregistration)
 記録ミス。収集された信号の空間的ロケーションを間違ってマッピングしたために生じるアーチファクトで、組織の動きやエイリアジングによって起こる。

ミッドアクシス(mid-axis)
 体を真二つ(前後・左右・上下)に分ける架空の軸のこと。

ミニマムTE(minimun TE)
 所定の指定における最小TEで、フローの位相ずれとT2の影響を抑えるために使用される。

ムーバブルテーブル(movable table)
 単独で移動可能なテーブル。患者のセッティングを検査室外で行える。

ムービーループ(movie loop daisplay)
 連続した画像をページングして、動きをシミュレートしたり奥行きを感じさせる表示機能。

メタルアーチファクト(metal artifact)
 患者が装着している強磁性体(ヘアピン、義歯など)によるアーチファクト。

モーションアーチファクト(motion artifact)
 患者の体動が原因である、最も一般的なアーチファクト。 >(§ボケ)

モーフォグラフィックフィルタ(morphographic filter)
 画像の見せかけ上のSN比を改善するフィルタ。形態の境界を保持したままその他の部分を選択的にスムージング処理し、画像ノイズを除去する。

モジュラスイメージ(modulus image)
 各ボクセルにおける磁気の実際の規模を示す画像で、真の画像および虚像(仮想画像)から作成される。

有効視野(field of view:FOV)
 撮像するスライスの大きさ(幅または高さを通常cmで表したもの)で、収集マトリックスとピクセルサイズの積の関数になる。

ユーティリティ(utilities)
 メインプログラムの実行に役立つ補助的ソフトウェア。

ヨークシールド(yoke shield)
 >(§セルフシールド)

横緩和(時間)(transverse relaxation(time))
 RFパルスにより励起した核スピンは、各々が置かれている磁場の強度が完全に均一であれば、歳差運動のラーモア周波数も一致し、位相がずれることはない。しかし、実際には外部静磁場が均一であったとしても、各核スピンの置かれた微視的な局所磁場の違いのために、位相に次第にばらつきが生じ、巨視的磁化ベクトルのx−y平面上への投影成分は指数関数的に減少する。この過程を横緩和、スピン−スピン緩和、T2緩和といい、その時定数が横緩和時間・T2である。 >(§縦緩和)

横磁化(transverse magnetization:Mxy)
 巨視的磁化ベクトルMの、静磁場Boに直交するx−y平面上への投影成分。横磁化がラーモア周波数で歳差すると、検知可能なMR信号が発生する。この信号は、RFパルスをオフにするとT2*の値に従って減衰する。 >(§横緩和)

読み込み(retrieve)
 光磁気ディスクまたは磁気テープからシステムディスクにデータを移し直す機能。

読み出し傾斜磁場(readout gradient)
 >(§リードアウトグラジェント)

ラーモア周波数(Larmor frequency)
 物質の共鳴周波数。一定磁場強度の外部静磁場中に置かれた核スピンは、歳差運動とよばれる回転運動をしている。その歳差運動の周波数ωは、静磁場強度Boと原子核自身の持つ物理定数である磁気回転比γの積として定義され、ラーモア周波数とよばれる。例えばプロトンの共鳴周波数は、静磁場が1.5Tのとき次式で表される。
 fo=42.58(MHz/T)×1.5T=63.9(MHz)
 wo=2πfo=4.0×106 (rad/sec)
MRシステムでは、この等式を使ってプロトンの空間的ロケーションを判定する。高精度に制御された傾斜磁場によって磁場の強さを変化させると、撮像されるプロトンのラーモア周波数も変化する。 >(§磁気回転比、§ラーモア方程式)

ラーモア方程式(Larmor eduation)
 静磁場強度Boの環境下にある核スピンの歳差運動の周波数ω と静磁場強度Boの関係を表す式。ω=γ・Bo(γ:磁気回転比)

ラインプロット(line plot)
 引いた線を平行四辺形に変換し、この中のピクセルの濃度を計算する機能。平行四辺形の中にあるピクセルの列を一直線と見なして、その濃度を示す機能。

ラジオ周波数(radiofrequency:RF)
 核を励起し共鳴させるために使用される電磁波。 >(§RF波)

ラジオ波(radiofrequency wave:RF)
 通常、周波数が300MHz以下の電磁波をラジオ波という。MRIのラーモア周波数もラジオ波である。温熱治療などにも用いられる。 >(§RF波)

ラジオパルス(radiofrequency pulse:RF pulse)
 ラジオ波コイルからのパルスのことで、ラーモア周波数が正しく制御された場合、パルスの振幅と持続時間によって、特定の角度だけ巨視的磁気ベクトルを急激なRFエネルギーによって回転させる。MRIでは90°パルス、180°パルス、任意のフリップ角をいろいろな組み合わせで数百回励起し、画像データを作成する。 >(§RF波)

ラップアラウンドアーチファクト(wrap-around artifact)
 >(§エイリアジング)

ラミナルフロー(laminar flow)
 >(§層流)

ランダウン(rundown)
 >(§クエンチング)

乱動(攪乱)(turbulence)
 フローにおいて、不規則に変動する流速部分。スピンの位相ずれや信号消失の原因となる。

ランドマーク(landmark)
 スキャンの位置決めの際に用いる患者の部位。

ランプパルス(ramped RF)【GE/YMS】
 3Dスキャンのスラブ内において、血流の流入部と流出部のフリップ角を変化させることにより、流出部の血流描出能を改善させる機能。公称フリップ角を20°とした2:1のランプパルスは、パルス印加口スライスのフリップ角が約13°、出口スライスのフリップ角が約27°になる。 >(§TONE)

リードアウトグラジェント(readout gradient)
 MR信号を収集するときに印加するグラジェントパルス。周波数エンコーディングに使用。

リード線(lead wire)
 患者の電極と心拍ゲーティング送信ボックスとを接続する配線。胴体につけられた2カ所の電圧を計測するためのECG導線。

リオーダリング(reordering)
 位相エンコード傾斜磁場(Gy)の順序を入れ替える技術。ターボFLASHに用いて、T1の短い組織のコントラストを本来の白から黒にするなど目的の組織の信号強度を変えたり、データを少しずつ小分けに収集して、都合の良いようにk空間を埋め(セグメントk−space法)、心電図同期下の撮像を可能にする。

リコンストラクション(reconstruction)
 ローデータ(スキャン生データ)から画像を再構成すること。略してリコンとよぶことが多い。

リコンストラクションタイム(reconstruction time)
 画像再構成完了までにかかる時間。近年のハード性能の急速な進歩に伴い、リコンタイムは桁違いに早くなった(以前は1枚の再構成に1分以上かかることが普通だった)。

リストア(restore)
 光磁気ディスクまたは磁気テープから、システムディスクにデータを移し直す機能。

リファレンスイメージ(reference image)
 現在操作している画像のスタディ内で有効なシリーズの中に含まれる画像。

リフェージング(rephasing)
 MRIでは、エコー信号採取時(TE)にプロトンの位相が0でなければ信号の低下を招く。信号採取時に、バラバラになっていた核スピンのx−y平面上の投影成分の向き、すなわち位相を再びそろえること、またはそのような状態にするための処理操作をリフェージングという。一般にスピンエコー法では、エコー信号採取時に使用する読み出し傾斜磁場(Gx)自体が位相のずれを招くために、90°パルスと180°パルスの間にあらかじめGxをかけて、位相をずらして補正している。さらに動体に対してのリフェージングは、補正磁場を増加することによって行う。 >(§ディフェージング)

リフェージンググラジェント(rephasing gradient)
 印加された特定の励起パルスと反対の方向に印加して、グラジェント誘発位相シフトを矯正するグラジェント。

リフォーカシング(refocusing)
 グラジェントパルスまたはRFパルスによって位相コヒーレンス(位相間における一定の間隔)を回復すること。 >(§リフェイジング)

リフォーマット、リフォーメーション(reformat,reformation)
 既存の画像データを使って、新しい画像を作成する機能。例えば複数のアキシャル画像からサジタル画像として再構成すること。3DボリュームデータからリフォーマットすることをMPR(multi planar reconstruction)とよぶ。

リマトッリクス(rematrix)
 斜めの角度でスライスと平行に光線を当てて得た複数の投影プロフィールから、画像を作成する方法。

リムーブ(remove)
 データを消去すること。

流速(velocity)
 単位時間当たりの移動量をcm/secで表したもので、大きさと方向を持つベクトル量。
流速エンコーディング(velocity encoding:VENC)

 PC−MRAで折り返しアーチファクト(エイリアジング)を発生させずにエンコードできる最大流速を指定するために入力する値。

流入効果(flow-related enhancement)
 インフロー効果。 >(§フローリレートエンハンス)

領域外アーチファクト(aliasing/ wrap around)
 2D画像において、励起断面のスピンの位置情報を得るために、互いに直交する軸に沿って位相エンコーディングと周波数エンコーディングが行われる。位相エンコーディングにおいては、核スピンの位相角度±180°を撮像領域の一軸に割り当てるのだが、±180°を越える位相角度を持つ撮像領域外の核スピンの位置情報は、その位相角度から360°引いた位相角度に相当する撮像領域内の位置として観測されてしまう。こうして位相エンコード方向の撮像領域外の像が領域内に折り返したようなアーチファクト(いわゆる折り返し)が生じる。周波数エンコード方向にも同様なことが起こるが、これはA/D変換以前のローパスフィルターで撮像領域外の信号を減弱できるので、一般には目立たない。 >(§NPW)

隣接(contiguous:CS)
 すき間なしに隣りどうし接触していること。

ルームシールド(room shield)
 磁気シールドの一方式。軟鉄などの磁性体プレートを撮影室の天井・壁・床の6面全部(場合によっては一部)に張り付ける。撮影室外への磁場漏洩がない、磁性材の荷重が一点に集中しないなどの特徴がある。しかし、重い磁性体のために建屋の補強が必要となったり、撮影室内での作業に注意を要するなどの欠点もある。 >(§磁気シールド)

励起(excitation)
 均一静磁場中の核スピンに対して、ラーモア方程式で定義される周波数と同一周波数のRF波が照射されると、核スピンはそのエネルギーを吸収し、エネルギーレベルの高い状態へと遷移する。これが磁気共鳴現象における励起であり、その状態を励起状態という。つづいて外部からのRF波の印加終了後は緩和の過程を経て、元のエネルギーレベルの低い状態(定常状態)へと戻ってゆく。 >(§ラーモア方程式、§緩和)

励起回数(number of excitations:NEX)
 MRスキャンで、1回の収集で印加する励起パルスの数。

励起磁場
 >(§RF波)

冷却用寒剤(cryogen)
 超電導マグネットの冷却に必要な物質。ほとんどの場合ヘリウム、時として窒素が用いられる。一般に冷却用寒剤は、平常ではガス状であるものが極低温下で液体であるものをいう。

レイノルズ数(Reynolds number:Re)
 組織の乱流を予測するのに使用する数値で、フロー密度、流速、管組織の直径を動粘度で割った値。Re=ρdV/η(ρ:液体の密度、η:液体の粘調度、d:血管径、V:血流速度)。レイノルズ数が2000以下のときは層流、2500を超えると乱流を伴う血液を示す。

レクタンギュラFOV(rectangular FOV)【GE/YMS】
 通常のスキャン時間で2倍の分解能を達成する機能。被写体が視野よりも小さいとき、自動的に位相エンコード数を減らし、撮影時間を短縮する。

レクタンギュラピクセル(rectangular pixel)【GE/YMS】
 通常のスキャン時間で2倍の分解能を達成する機能。

レシーブ(receive)
 ネットワーク上で他のワークステーションからのデータを受信すること。

レスピレトリコンペンセーション(respiratory compensation)【GE/YMS】
 呼吸体動補正機能。患者の胸部にベローズを装着して、呼吸による体動で発生するゴーストを最小限に抑えることができる。

レゾリューション(resolution)
 >(§分解能)

レベル(level)
 グレイスケール中央部の数値。白黒強度に関連する実際の数値はレベルコントロールによって決定される。

レトロスペクティブゲーティング(retrospective gating)
 >(§シネMRI)

レポートピクセル(report pixel)【GE/YMS】
 任意のピクセル領域(通常は10×10)の濃度をチャートで表示する機能。

ロイ(region of interest:ROI)
 関心領域。そもそもは画像上で診断上重要な領域、という意味だが、指定した領域の平均信号強度(CTの場合はCT値)の意味で使われることもある。

ローカルエリアネットワーク(local area network:LAN)
 リンクされた複数のコンピュータのネットワークを構成するための接続形式。

ローデータ(raw data)
 画像再構成をする前のスキャン生データ。

ロカライザ(localizer)
 これからスキャンしたいスライスを設定する際に必要な画像。例えば通常の脳スキャンでは、正中線上のサジタル画像がよく使われる。

ロケーション(location)
 >(§ロカライザ)

ワークステーション(work-station)
 多機能性、統括性、操作性に優れたコンピュータシステム。最近はパソコンとの境界が曖昧になってきている。

ワンショットEPI(one shot EPI)【Siemens、東芝、島津】
 >(§シングルショットEPI)


180°パルス(180° pulse)
 磁化ベクトルの方向をちょうど180°回転させるのに等しいRFパルス。ある均一静磁場中に置かれた核スピンの巨視的磁化ベクトルの向きを、z軸のプラス方向からマイナス方向に180°倒したり、x−y平面上の横磁化成分を180°反転させるRFパルス。 >(§90°パルス、§RF波)

2D(two dimensions)
 2次元。

2Dフーリエ変換法(2D Fourier transformation:2DFT)
 生画像データを再構成して、対応したプロトンのMR信号に比例したピクセル輝度値の2次元画像を作成する方法。薄いスライスを励起した後、周波数・位相エンコードによって2次元画像を作成する。

3D(three dimensions)
 3次元。

3Dイメージング(3D imaging)
 MR撮像法のうち、選択励起によるスライス励起を行わず、三次元的な分布を一挙に復元する方法。通常3Dフーリエ変換法が用いられる。一般に関心ボリュームをスラブ(slab)とよび、それをn個のスライスに分ける位相エンコードの数をパーティション(partition)という。ボリュームからの信号を観測するため、同じ撮像パラメータ・同じスキャン時間の2D法に比べてS/N比がスライス方向の位相エンコードNzのroot・Nz倍高い(例えば分割数が64のときはSN比が8倍向上する)が撮影時間はNz倍になる。位置情報の連続性が高く、高分解能の画像が得られる。撮像時間が若干長くなるのが欠点であったが、3D−EPIによって、例えば心臓の3Dデータが一回の息止め下で収集できるようになってきている。 >(§3Dフーリエ変換法)

3D投影再構成(3D projection reconstruction method)
 3Dイメージングにおける画像形成法のひとつ。被写体をめぐるすべての方向の投影に対応したデータをNMR信号として得て、これをもとに原像を再構成する方法。

3Dフーリエ変換法(3D Fourier transformation:3DFT)
 厚いスライスまたはスラブを励起した後、位相・周波数エンコーディングによってスライス面内の空間分解能を決定する収集技法。スライス厚は、スライス選択方向に沿った位相エンコーディングによって分解されるため、薄い隣接スライスの収集が可能になる。信号はスラブ全体から繰り返しサンプリングされるため、従来の2D撮影と比較してSN比が改善される。る>(§3Dイメージング)

3D−CSI(3D chemical shift imaging)
 3次元の関心ボリュームに含まれる各ボクセルからスペクトル情報を得るために、直交する3軸に位相エンコーディングしてデータを収集する方法。各エコーデータが大きなボリュームに由来するので大幅なS/Nの向上が期待できるが、撮像時間も延長する。

3D−FGRE(3D fast gradient echo)【GE/YMS】
 3DファストGRE/SPGRシーケンス。最小のTRとTEが選択され、コラップスイメージとプロジェクションイメージが作成できる。

3D−TSE【Philips】
 TSEを利用した3Dデータ収集法。スライス方向への位相エンコーディングを行い、3DFTにより高S/Nで高分解能の画像が得られる。

90°パルス(90°pulse)
 磁化ベクトルの方向をちょうど90°回転させるのに等しいRFパルス。ある均一磁場中に置かれた核スピンの巨視的磁化ベクトルの向きを、z軸方向からx-y平面上に90°倒すためのRFパルス。 >(§RF波、§180°パルス)

α(=flip angle)
 >(§フリップ角)

AAS(auto active shimming)【東芝】
 患者が磁石架台内に入ったときに生じる静磁場の乱れを自動的に補正する機能。

ADC(analog to digital converter)
 アナログ−デジタル変換回路。

advanced MRCP【東芝】
 fastASEを利用したMRCP。呼気停止下でスキャン可能。 >(§fastASE、§MRCP)

AFI(asymmetric Fourier imaging)【東芝】
 位相共役対称を利用したデータ採取法で、HFIとほぼ同じ。 >(§fastASE)

AP(array processor)
 アレイプロセッサ。フーリエ変換など画像処理専用の演算装置。

AP(anterior-posterior)
 前/後。

ASGC(active shield gradient coil)【Siemens】
 シールドグラジェントコイル。

AVE(averaging)【Siemens】
 積算回数。 >(§NEX)

AXIS SWAP【島津】
 >(§SWAP)

Bo(= static magnetic field)
 静磁場、静磁場強度。

BFAST(blood flow artifacts suppression technique)【東芝】
 血流アーチファクトの抑制法。 >(§プリサチュレーション)

BOLDコントラスト法(blood oxygenation level dependent contrast)
 >(§脳機能画像)

BW(bandwidth)
 送受信する周波数の帯域。

CE(contrast enhanced)
 コントラストを強調した、あるいは造影した。 >(§造影MRI)

CE−FAST(contrast enhanced FAST)【Picker】
 信号のFID部分をリフォーカスした定常状態GRE法。PSIFと同じ。

CE−FFE−T1(contrast enhanced fast field echo with T1 weighting)【Philips】
 >(§FLASH、§SPGR)

CE−FFE−T2(contrast enhanced fast field echo with T2 weighting)【Philips】
 >(§PSIF、§SSFP)

CF(center frequency)
 (MR信号の)中心周波数。

CFAST(CSF flow artifacts suppression technique)【東芝】
 フローアーチファクト補正。 >(§フローコンペンセーション)

ChemSat【GE/YMS】
 ケミカルシフトを利用した、脂肪または水分の信号強度抑制。

CHESS(chemical shift selective)
 ケミカルシフト選択。

CISS(constructive interference in the steady state)【Siemens】
 DESS+フローコンペンセーション >(§DESS)

CNR(contrast to noise ratio)
 コントラストノイズ比。

CP(Carr-Purcell sequence)
 SE法における多重エコーシーケンス。 >(§CPMG)

CP coil(circular polalization coil)【Siemens】
 QDコイルの一種。

CPMG(Carr-Purcell Meiboom-Gill sequence)
 SE法において、RFパルスの位相を変えて信号を収集する方法。RFによる位相誤差を抑えることができ、現在でもSE法ではこの手法が用いられる。

CSE(conventional spin echo)
 通常のSE法。ファストSEと区別するために使われる用語。

CSF(cerebrospinal fluid)
 脳脊髄液。フローアーチファクトの原因となることがある。

CSI(chemical shift imaging)
 >(§化学シフト画像)

DEプリパレーション(DE preparation)
 90°−180°−90°の連続したRFプリパレーションパルスを印加して、T2強調を高める方法。まず90°のプリパレーションパルスを印加して、プロトンの位相を水平方向に合わせ、磁気を帯びたスピンがばらけ始めた時(位相変化が始まった時)に180°パルスを印加してリフェーズさせ、さらに90°パルスを与えて磁界を縦方向に合わせる。180°パルスと90°パルスとの間隔(プリパレーション時間)が長いほど位相変化が大きくなり、T2強調画像になる。

DECC、DECCS(digital eddy current canceler (sequence))【GE/YMS】
 オープンマグネットタイプのMR装置に構造上発生する渦電流によるアーチファクトを抑制(0.5%以下に抑制)するテクニック。傾斜磁場を出力した際の波形の乱れをデジタル的に補正する。

DESS(double echo steady state)【Siemens】
 FISPとPSIFの信号を組み合わせた技術。

DICOM(digital imaging and communication in medicine)
 1985年にACR−NEMA(American college of radiology - National electrical manufactures association)標準化委員会で制定された、医用画像ネットワーク転送のための統一規格。現在(1997年)のバージョンは3.0。最近の画像診断装置はこの規格に対応しているため、DICOM3.0を採用している装置に関しては、異なったメーカーの装置間でも容易に画像のやりとりが可能となると言われている。

DIXON法
 >(§水・脂肪分離画像)

DR(dynamic range)
 ダイナミックレンジ。

DWI(diffusion weighted imaging)
 >(§拡散強調画像)

EDR(extended dynamic range)
 >(§拡張ダイナミックレンジ)

EPI(echo planar imaging)
 一回の励起パルスで画像再構成のためのすべてのデータを取得する超高速スキャン。  >(§エコープラナー法)

EPISTAR(EPI-signal tagging with alternating RF)
 STAR法は血流などの動きを画像化する方法のひとつで、流れの上流部に180°パルスを加えた後に、画像を作ることによりRFパルスを受けたスピンがどこまで流れたかを画像化する。バックグラウンド信号を消すために、90°パルスの位相を変えて印加し画像の加算を行う。180°パルスによる反転とバックグラウンド消去によるS/N(信号雑音比)の向上から微小な血管についての描出能力が優れている。EPI法を用いることにより血管内の血流のみならず脳組織中の血液でもその動きを観測でき、脳機能画像にも用いられることが報告されている。 >(§エコープラナー法)

Ernst角(Ernst's angle)
 エルンスト角。 >(§最適フリップ角)

ESP(echo space)
 >(§エコースペース)

ETL(echo train length)
 >(§エコートレインレングス)

EXOCIST【GE/YMS】
 エクソシスト。呼吸性モーションアーチファクト補正。 >(§レスピレトリコンペンセーション)

FA(flip angle)
 >(§フリップ角)

FAME(fast-acquisition multiecho)【Picker】
 >(§ファストSE法)

FAST(Fourier acquired steady state)【Picker】
 >(§GRASS)

FastASE(fast advanced spin echo)【東芝】
 FSEにおいてETLを最大270まで拡張させ、AFI(asymmetric Fourier image)法を組み合わせた手法。時間短縮率は最大512分の1(VISART)。T2強調のSE画像が秒単位のスキャン時間で得られる。

FastFE(fast field echo)【東芝】
 高速FE(GRE)法。

FastGRE(fast gradient echo)【GE/YMS】
 プリパレーションパルスを印加し、1回の励起パルスで撮像する高速GRE法。

FastSE(fast spin echo:FSE)【GE/YMS、島津】
津】 >(§ファストSE法)

FastSPGR(fast spoiled GRASS)【GE/YMS】
 プリパレーションパルスを印加し、1回の励起パルスで撮像する高速SPGR法。

fatSAT【GE/YMS】
 >(§chemSAT)

FBSE(flip back spin echo)【島津】
 フリップ角90°以上の励起によるスピンエコー信号を用いた高速スキャン。

FC(flow compensation)【GE/YMS】
 フローアーチファクト補正。

FE(field echo)【東芝】
 フィールドエコー法。 >(§グラジェントエコー)

FE(frequency encoding)
 >(§周波数エンコーディング)

FEDIF(field echo difference)【Picker】
 水と脂肪の信号を逆位相にしたGREシーケンス。

FEER(field even echo by reversal)【Picker】
 SSEPを利用した高速スキャンシーケンス。

FESUM(field echo summation)【Picker】
 水と脂肪の信号を同位相にしたGREシーケンス。

FFE(fast field echo)【Philips】
 フィールドエコー法。 >(§グラジェントエコー)

FFT(fast Fourier transform)
 >(§高速フーリエ変換法)

FGR(fast GRASS)【GE/YMS】
 高速GREシーケンス。 >(§GRASS)

FID(free induction decay)
 自由誘導減衰。

FISP(fast imaging with steady precession)【Siemens】
 SSFPを利用した高速スキャンシーケンス。

FLAG(flow adjusted gradient)【Philips】
 フローアーチファクトの除去。

FLAIR(fluid attenuated IR)
 フレアー法は、IR法における反転時間(TI)をCSFの磁化がゼロ点を通る時間(2000ミリ秒程度)に設定してCSF信号を抑制する撮像法である。TRを長く取る必要があるため(撮影時間が長くなるので)通常のIR法では用いられなかったが、FastSE法を採用したTurbo−FLAIRにより実用化した。繰り返し時間(5000ミリ秒程度)に比べて反転時間が長いが、シーケンスデザインの工夫により十分なマルチスライスが得られるようになった。T2強調像においてCSFと区別しにくい高信号病変や、病変と脳室との境界の判別に有効であるとされている。  >(§反転回復法)

FLASH(fast low-angle shot)【Siemens】
 高速撮像法のひとつで、現在広く使用されているスピンエコー法との違いは、信号の受信にグラジェントエコーが利用されていることで、それによりTRとTEの短縮を可能にしている。また、この撮像法は、スポイラーグラジェントにより横磁化を消失させた縦磁化のみの定常状態に基づいたものである。さらにTRをT2*より十分に長くした場合、使用するフリップ角によりT1への依存度が決定される。 >(§定常自由歳差運動)

f−MRI(functional MRI)
 >(§脳機能画像)

18F−NMR
 1Hと同様に天然存在率がほぼ100%のNMR核種である。生体内には存在しないので、標識化合物を体外から投与して、その生体内での代謝動態を画像化することに応用されているが、現在まだ動物実験の段階である。

FOV(field of view)
 撮影視野。

FOVセンタ(FOV center)
 画像の中心。MRにおいては、FOVセンタがマグネットの中心にくることが望ましい。

FP(free precession)
 自由歳差運動。

FPswitch(frequency-phase switch)【島津】
 >(§SWAP)

FRODO(flow and respiratory artifact obliteration with directed orthogonalpulse)【Siemens】
 血流アーチファクト抑制。プリサチュレーションの一手法。

FSE(fast spin echo)【GE/YMS】
 >(§ファストSE法)

FSPGR(fast SPGR)【GE/YMS】
 ファストSPGR法。 >(§FastSPGR)

FT(Fourier transform)
 フーリエ変換。 >(§フーリエ変換法)

G(gauss)
 ガウス(磁場の単位で、1G=0.0001T)。

Gd−DTPA(gadolinium diethylenetriamine pentaacetic acid)
 ガドリニウム(Gd)とジエチレントリアミン5酢酸(DTPA)のキレート化合物で、生体内での安定性が高い。尿路血管用ヨード造影剤と同様に、静注後速やかに細胞外に分布し、腎から排泄される。常磁性体イオンであるGd3+の緩和時間短縮作用によって、T1およびT2が短縮するが、臨床使用ではT1短縮効果を利用している。高濃度ではT2短縮効果が強く現れ、造影剤が濃縮される尿路系ではしばしばその現象がみられる。

GFE(gradient field echo)【日立】
 フィールドエコー法。 >(§グラジェントエコー)

GMR(gradient motion rephasing)【Siemens】
 フローアーチファクトの抑制。 >(§フローコンペンセーション)

GMN(gradient motion nulling)
 >(§グラジェントモーメントナリング)

GRASE(gradient and spin echo)【GE/YMS、Philips】
 ファストSEとEPIの中間的性質をもつ撮影法。 >(§TGSE)

GRASS(gradient recalled acquisition in the steady state)【GE/YMS】
 SSFPを利用した高速スキャンシーケンス。MRIの高速撮像法の一種でスピンエコー法で使用する180°パルスの代わりに磁場勾配を反転させてエコー信号を得る。TR、TE、フリップ角を変えることにより画像のコントラストを変えることができる。利点として、短時間で撮影が可能なほか、血流の評価、腹など動きの多い部位での息止め撮影、MRアンギオグラフィー、3D撮影などへの応用が可能である。

GRE(gradient echo)
 >(§グラジエントエコー)

GRSE(gradient and spin echo)【島津】
 >(§GRASE)

Gx,Gy,Gz(= symbol for gradient magnetic field)
 傾斜磁場の軸を表す記号。下添字は、グラジェントの空間的方向を示す。

HASTE(half Fourier single-shot Turbo spin echo)【Siemens】
 ヘイスト法は、ターボSE法にハーフフーリエ法を組み合わせることでT2強調像をシングルショットで撮像することができる方法である。256×256マトリックスのT2画像を数百ミリ秒のスキャン時間で撮像できる。EPI固有の磁化率アーチファクトや化学シフトアーチファクトが問題にならないという利点がある。単位時間当たりのRFパルスが大きくなるためSAR値が大きくなる。

HFI(half Fourier imaging)【Siemens】
 ハーフフーリエイメージング。k空間の一部のみのデータを採取して、残りは位相共役対称によって埋める方法。 >(§HASTE)

HIRE(high intensity reduction)
 T2強調像とヘビーT2強調像をサブトラクションする手法。

Hybrid EPI(hybrid echo planer imaging)【東芝、島津】
 >(§GRASE)

Hz(Hertz)
 周波数の単位(サイクル/秒)。

IC(iliac crest)
 腸骨稜(解剖学的基準線、ランドマーク)

IC(independent console)
 >(§インディペンデントコンソール)

Insite【GE/YMS】
 画像診断装置とカストマーサポートセンターをモデムと電話回線で直接接続し、故障部位を診断することもできる、オンラインサポートシステム。

in−phase画像(in-phase imaging)
 脂肪と水を構成するプロトンには共鳴周波数にわずかなずれ(ケミカルシフト)があり、MRIではこのずれを利用して脂肪沈着部と非沈着部の識別が可能で、その画像を化学シフトイメージングとよぶ。脂肪と水の共鳴周波数の違いは脂肪と水のプロトンの位相のずれとして反映され、両者が揃っている状態の画像をin-phase画像、ずれている状態の画像をout-of-phase画像とよぶ。 >(§水・脂肪分離画像、§化学シフト)

IP(image processor)
 画像プロセッサ(画像処理用の高速演算装置)。デジタル画像データからビデオ信号を生成するサブシステム。

IPG(integrated pulse generator)
 内蔵型パルス発生器。RFアンプなどのシステム機能を制御する。

IPアドレス(internet protocol address)
 >(§インターネットアドレス)

IR(inversion recovery)
 反転回復法。磁化を反転させて、スピンがもとの状態に戻るまでの回復速度を測定するパルスシーケンスで、回復速度はTIによって左右される。

IRプリパレーション(IR preparation)【GE/YMS】
 180°のRFプリパレーションパルスを印加して組織をあらかじめ磁化し、T1強調を高める方法。

IR−TSE(inversion recovery with turbo spin echo)【Philips】
 ファストSE法とIR法を組み合わせた手法。

ISCE(inclined slab for contrast enhancement)【東芝】
 >(§ランプパルス、§TONE)

IVCM(intravoxel coherent motion)
IVIM(intravoxel incoherent motion)
 生体内における水分子の微少な運動の総称。 >(§拡散強調画像)

J−カップリング(J-coupling, scalar coupling)
 1つの分子内における、電子雲の歪みによる相互作用。

k空間(k−space)
 実空間の画像データのフーリエ変換である空間をk空間とよぶ。すなわちk空間と実空間は互いにフーリエ変換の関係にある。実空間の座標軸は位置座標(x,y)であり、k空間(kx,ky)での軸は空間周波数である。MRIでは、信号読みとりの間に傾斜磁場を印加し位置のエンコードを行い、時間軸をk軸に対応させており、ローデータ(raw data:画像生データ)の集合がk空間を構成する。k空間の低周波部分(中央部)は信号強度あるいは画像コントラストを決定し、外側の高周波成分は画像の分解能を決めている。

k空間トラジェクトリー(k-space trajectory)
 EPIの高速化の目的で考案された、k空間を充填する軌跡(ジグザグ、長方形、螺旋形)のパターンのこと。 >(§スパイラルスキャン)

k空間フィルタリング(k-space filtering)
 FSE法で得られる画像が、通常のSE法の画像と比べて異なったT2値をもつ組織間コントラストに微妙な違いがみられる現象。

LAN(local area network)
 同一建物内でコンピュータを高速高帯域回線で結合したネットワーク。 >(§スイート)

LASE(low angle spin echo)【Philips】
 ローアングル励起によるSE法。

LASE(large angle spin echo)
 大きなフリップ角を用いたSE法。

LHe,LiHe(liquid helium)
 液体(液化)ヘリウム。

LN2,LiN2(liquid nitrogen)
 液体(液化)窒素

Mo
 磁場の平衡値。

MAST(motion artifact suppression technique)【東芝、Picker】
 モーションアーチファクトの抑制法。 >(§グラジェントモーメントナリング)

MBW(matched bandwidth)【東芝】
 サンプリング時間を長くとり、S/N比を向上させる方法。

MIP(maximum intensity projection)
 最大値投影法。3次元ボリュームデータを2次元平面に投影する画像処理法のひとつで、投影方向に沿って3次元的なスライスデータの重なりを考えたときに、その中で最大信号値を持つデータを投影面上での値とする。例えば、血流が高信号となるように撮像したデータにMIP処理を加えれば、血流の投影像が得られる。MIP法では画像化対象以外の高信号領域が画質を劣化させるが、このような不要データを排除するためにMIP処理領域を限定する方法(target MIP,partial MIP)が有効である。スパイラル方式によって得られるCT画像から、MIP処理によってCTアンギオグラフィーが得られている。

MIXED SE−IR【Philips】
 IRとSEを交互にスキャンして、T1、T2、スピン密度画像を作成する方法。

MOTSA(multiple overlapping thinslab acquisition)
 3DTOFMRAにおいて、スラブ内の飽和効果を最小限にするために用いられる手法。複数のスラブを領域がそれぞれ重複するように撮影し、スラブの両端部分をカットして合成する。

MOTS(multiple overlapping thin slice acquisition)【日立】
 3D撮影において、複数の重複スラブをMIP処理して、広範囲のMRA画像を作成する方法。

MP coil(multi polarization coil)【島津】
 QD(クワドラチャ)コイルの一種。

MPP(maximum pixel projection)
 >(§コラップス)

MPR(multi planar reconstructions)
 3Dイメージデータによる断面再構成法。複数画像から任意の断面像を作成する。

MP−RAGE(magnetization prepared rapid gradient echo)【Siemens】
 3D超高速スキャンシーケンス。

MRアンギオグラフィ(MR angiography)
 造影剤を用いずに血管像を描出する方法で、大きく分けてtime-of-flight (TOF)法とphase contrast(PC)法に大別される。両者ともに2D−FT法と3D−FT法がある。現在、3D−TOF法が簡便で撮像時間も短く空間分解能が高いことから広く使われている。 >(§タイム・オブ・フライト法、§位相コントラスト法)

MR信号(MR signal)
 FID信号(free induction decay)信号と、スピンエコー信号とがある。FID信号は90°パルスによりy軸に倒されたスピン成分から出た信号であるが、この信号をとらえ画像を作成するのは難しい。スピンエコー信号は90°パルスのあとに180°パルスをかけ、90°パルスからに180°パルス間での時間と同じ時間が経過してから信号をとらえ画像を作成するものである。

MRスペクトロスコピー(MR spectroscopy:MRS)
 ある分子中の原子核の磁場は、付近に存在する原子核によって作られる磁場の影響を受け、同じ原子核であっても周囲の環境によりわずかに共鳴周波数の違いが生じる(化学シフト、chemical shift)。そのシフトの大きさと信号強度から生体内の分子の種類・成分などを調べることができ、原子核の中でプロトン1Hを利用したものを1H−NMRスペクトロスコピー、31Pを利用したものを31P−NMRスペクトロスコピーという。

MRフルオロスコピー(MR fluoroscopy)
 スキャン、画像再構成、画像表示、撮影条件変更の4つの処理を高速に連続並行処理する撮影法。関節の動態検査、ダイナミックスキャンなどへの応用が期待されている。

MRミエログラフィー(MR myelography)
 脊椎のMRIでは、T2強調画像で脊髄液は脊髄や周囲の硬膜外組織と比較して高信号となり、くも膜下腔に脊髄液を注入してコントラストをつけるミエログラフィーと似た効果を呈する。

MRA(magnetic resonance angiography)
 磁気共鳴血管撮影法。

MRCP(magnetic resonance cholangiopancreatography)
 MR膵胆管撮影法。HASTEなどの高速スキャンシーケンスにより、1回の息止めで高画質が得られるようになった。最近ではEPIのMRCPへの応用が検討されている。

MRI(magnetic resonance imaging)
 磁気共鳴映像法。

MRI造影剤(MRI contrast media)
 経静脈性造影剤では、現在市販されているGd−DTPA、Gd−HP−DO3Aのほかに臓器、組織、腫瘍特異性造影剤や高分子造影剤が臨床治験や開発段階にある。ほかに経口消化管造影剤などもある。 >(§Gd−DTPA)

MRS(magnetic resonance spectroscopy)
 >(§MRスペクトロスコピー)

MRSI(magnetic resonance spectroscopic imaging)
 >(§MRスペクトロスコピー)

MSMP(multi-slice and multi-phase imaging)【GE/YMS】
 カーディアックゲーティング撮影において、複数の心臓のロケーションと複数の異なる心拍位相を各ロケーションごとに撮影する方法。

MSOFT(multi off-resonance fat suppression technique)【東芝】
 シミングによりpre-pulseの周波数を変化させる脂肪抑制法の1手法。

MT(magnetization transfer:磁化移動)
 結合水のプロトンの磁化を飽和させ、実質臓器の信号を抑制することにより、MRAにおける微細血管のコントラストを改善する方法。蛋白質などの高分子を含んでいる水の磁気緩和は、水それ自身の緩和以外に高分子およびその周囲の水との磁化の移動を通しても起こる(cross relaxation ともいう)。高分子の中の水素原子のスペクトルの幅は非常に広く(〜100kHz)、共鳴周波数が異なるRFパルスによっても磁化が変化する(off-resonance effect)。このことにより、非共鳴的なRFが印加されていると緩和時間が変化し、画像コントラストが変わる(MT−contrast)。また、MRAにおいて血流信号のバックグラウンド信号を抑制(MT−suppression)するのにも用いられている。

MTC(magnetization transfer contrast)
 >(§MT)

MTR(magnetization transfer ratio)
 MTパルス印加前後の信号強度比。

MTS(magnetization transfer saturation)
 >(§MT)

Mxy(= transverse magnetization)
 横磁化を表示する記号。

Mz(= magnetization)
 縦磁化を表示する記号。

NAQ(number of acquisition)【東芝】
 加算回数または励起回数。

NAV(number of averages)【Philips】
 加算回数または励磁回数。

NEX(number of excitations)【GE/YMS】
 加算回数または励磁回数。NEXを2倍にするとSN比はroot・2倍になり、スキャン時間は2倍になる。

NFW(no frequency wrap)【GE/YMS】
 周波数方向の折り返し防止機構。

NMR(nuclear marnetic resinance)
 核磁気共鳴。

NOE(nuclear overhausser effect)
 >(§核オーバーハウザー効果)

NPW(no phase wrap)【GE/YMS】
 位相方向の折り返しアーチファクト防止機構。FOVの倍の長さをサンプリングする。

NSA(number of sample[signals] averaged)【Philips、日立】
 加算回数または励磁回数。 >(§NEX)

NS−FLAIR(non-selective FLAIR)【島津】
 CSFのフローによるアーチファクトを抑制するために、非選択的な反転パルスを用いるFLAIR法。

OC(operator console)
 >(§オペレータコンソール)

OMライン(orbitomeatal line)
 眼窩耳孔線(解剖学的基準線)。脳の撮影で通常用いられる。

out−of−phase画像
 >(§in−phase画像)

PACS(picture archiving and communication system)
 1980年代始め頃に提唱された病院内ネットワークの概念で、あらゆるデジタル画像データを院内各所でいつでも即時に利用できるようにするシステム。 >(§DICOM)

PAN(primary archive node)
 >(§プライマリアーカイブノード)

PAS(programmable anatomical scan)【東芝】
 スキャン前にあらかじめ目的部位毎の撮影条件などをプリセットする機能。

PASTA(polarity alterd spectral-selective acquisition)【東芝】
 90°パルスで水を選択励起させ、水強調画像を得る方法(相対的に脂肪抑制となる)。

PC(phase contrast)
 フェイズコントラスト法。血流の位相シフト特性に基づいたMRAの一手法。 >(§位相コントラスト法)

PDU(power distribution unit)
 MRシステム全体に電源を供給する装置。

PE(phase encoding)
 >(§位相エンコード)

PG(peripheral gating)
 脈波同期(法)。手足の指から心拍同期信号を検出する。

31P−NMRイメージング
 化学シフトイメージングの一種で、生体の形態的な情報に加え、エネルギー代謝に関する情報を得ることができ、各種疾患に対する診断・治療に役立つ可能性があるが、現在まだ研究段階である。

POMP(phase-offset multiplaner)【GE/YMS】
 1つの合成された励起パルスで2つの異なる断層面を同時に励起する技術。

ppm(parts per million)
 100万分の1。

PreSAT(presaturation)
 SAT法。スピンの飽和を利用したフローアーチファクト対策。 >(§プリサチュレーション)

PROBE(proton brain examination)【GE/YMS】
 プロトンMRS自動化ソフトウェア。データ収集から処理までを自動で行う。

PS(phase shift)【東芝】
 PC法とほぼ同じ。 >(§位相コントラスト法)

PS(partial saturation)
 部分飽和。

PS(pubic symphysis)
 恥骨結合。解剖学的ランドマークのひとつ。

PSIF(mirrored FISP)【Siemens】
 FISPの時間軸を逆にした高速スキャンシーケンス。T2強調度が強い。

PWI(perfusion weighted image)
 (毛細血管内血流を画像化する)拡散強調画像。DWIとは区別される。 >(§拡散)

QDコイル(quadrature detection coil)
 2対のリニア型RFコイルを互いに直交配置したコイル。各対で同時に得られるMR信号を90°位相差補正して足しあわせることにより、S/N比をroot・2倍に向上することができる。
quad scan【東芝】
 RFパルスの波形、位相を制御して、4断面を同時に撮影する方法。T1強調画像が短時間で得られるので、腹部の息止め画像などに有用である。

RACE(realtime acquisition and evaluation)
 MRIによって血流信号をリアルタイムで測定する技術のひとつ。MR信号の位相は適当な傾斜磁場を印可することによって血流信号に比例させることができることので、血流速度を測定したり画像化することができる。画像化を行わない場合、ラインスキャン法を用いてデータを得ることにより血流計測をリアルタイムで行うことができる。選択されたスライス面に垂直な流れについては十分に定量性の良いデータが得られている。

RAM−FAST(reduced acquisition matrix FAST)【Picker】
 >(§turboFLASH)

ramped RF【GE/YMS】
 >(§ランプパルス、§TONE)

rapid scan【日立】
 高速GRE法。

RARE法(rapid acquisition with relaxation enhancement)【Siemens】
 FastSE法の基礎となったシーケンス。ターボスピンエコー法(TSE)、ファストスピンエコー法(FSE)ともいう。マルチスピンエコー法で発生させたエコー信号にそれぞれ異なる位相エンコードを行い、1枚の画像化に必要なエコー信号を1回のTRの中で複数個収集する方法。これによって、従来のスピンエコー法よりスキャン時間をマルチエコーの個数(エコートレイン数:ETL)倍だけ短縮できる。異なるエコー時間を持った複数の信号から画像を作るため、画像コントラストを判断する手がかりとして実効TEというパラメータが定義される。スピンエコー法より脂肪組織の信号が高くなることと、磁化率の違いが反映されにくいことなどの特徴がある。

RASE(rapid spin echo)
 >(§LASE)

RC(respiratory compensation)
 呼吸体動補正。 >(§レスピレトリコンペンセーション)

Re(Reynold's number)
 >(§レイノルズ値)

REST(regional saturation technique)【Philips】
 SAT法。スピンの飽和を利用したフローアーチファクト対策。

RF(radio frequency)
 ラジオ波。 >(§RF波)

RFシールド(RF shield)
 >(§電波シールド)

RF波(radiofrequency wave)
 ラジオ波領域(数MHz〜数十MHz)の電磁波。MRIにおいては装置ごとの静磁場領域に応じてラーモア方程式で求められる共鳴周波数と同じ周波数のRF波により核スピンの励起が行われる。励起磁場、高周波磁場、回転磁場ともいう。実際にはパルス状に印加されるのでRFパルスともいう。

RF−FAST(radiofrequency spoiled FAST)【Picker】
 >(§FLASH、§SPGR)

RISE(rapid imaging with spin echo)【島津】
 >(§ファストSE法)

RMAST(respiratory motion artifacts suppression technique)【東芝】
 呼吸モーションアーチファクト補正。

ROI(region of interest)
  関心領域。 >(§ロイ)

R−R(R to R interval)
 R−R間隔(心電波形のR波からR波まで)。

RT(rectangular field of view)
 長方形撮影視野における撮影。

SAR(specific absorption rate)
 RF信号の人体への吸収エネルギー(W/kg)の大きさを示す数値。 >(§比吸収率、§ピーク比吸収率)

SARGE(steady-state acquisition with rewinded gradient echo)【日立】
 SSFPの原理を利用した高速撮影法。

SAT(presaturarion)【GE/YMS】
 フローアーチファクト対策。MRで高速血流により生じるアーチファクトをスピンの飽和を利用して最小限に抑える。

SE(spin echo)
 >(§スピンエコー法)

SGC(shielded gradient coil)
 シールド型グラジエントコイル。 >(§シールド型傾斜磁場コイル)

SMART(Shimadzu motion artifact rejection technique)【島津】
 フローアーチファクト補正。

SMASH(Shimadzu minimum angle shot)【島津】
 FastGRE法。

SMPTEパターン(SMPTE pattern)
 CRTの画質特性を簡便に検査するために用いる画像パターン。

SN(sternal notch)
 胸骨上端(鎖骨、胸骨の結合によるくぼみ)。解剖学的ランドマークのひとつ。

SN比、SNR、S/N(signal to noise ratio)
 信号雑音比。大きいほど画質が向上する。

SORS−STC(slice-selective off-resonance sinc pulse-saturation transfer contrast)【東芝】
 >(§MT)

SPAMM(spatial modulation of magnitization)【GE/YMS】
 心機能解析の1手法。 >(§タッギング)

SPGR(spoild GRASS)【GE/YMS】
 スポイラーパルスを用いて強制的に残存横磁化をdephaseさせて、T1強調度を高めた高速スキャンシーケンス。 >(§スポイラーパルス、§FLASH)

SPGRシネ(SPGR cine)【GE/YMS】
 SPGRシーケンスにシネイメージングオプションを組み合わせて、肝臓、脳、心臓などのT1強調画像をシネ表示する機能。

SPIR(spectral pre-saturation with inversion recovery SPectrally selective Inversion Recovery)【Philips】
 ケミカルシフトを利用した脂肪抑制法。脂肪に周波数が調整された周波数選択性のRFパルスを事前励起的に照射する。

SPIR−TSE【Philips】
 脂肪抑制TSE法。脂肪に周波数が調整された周波数選択性のRFパルスを事前励起的に照射してTSE撮影を行う方法。

spoiled GRASS【GE/YMS】
 >(§SPGR)

spoiled SARGE【日立】
 >(§FLASH,§SPGR)

SSFP(steady state free precession)【GE/YMS】
 横磁化も縦磁化も0でない定常状態を生じるすべてのGREシーケンスを指す名称。またはGRE法にSE法を組み合わせて、強度のT2画像を得るシーケンス。
 >(§定常自由歳差運動)

SSFSE(single shot FSE)【GE/YMS】
 1つのTR内で、k空間の全てのラインのデータ(位相エンコードステップ)を充填する、シングルショットのFSE法。数秒以内のスキャンが可能。

SSP(sloped slab profile)【日立】
 スラブ内のRF励起プロファイルを血流方向に依存した傾斜を持たせることによって、多重励起による血流信号の飽和を抑制する手法。末梢血管のコントラスト改善に効果がある【日立】。  >(§TONE、§ランプパルス)

SSTSE(single shot TSE)【Siemens】
 シングルショットタイプのTSE(FSE)法。 >(§SSFSE、§HASTE)

STAGE(small tip angle gradient echo)【島津】
 ローアングル励起によるGRE法。T1コントラストが強調される。 >(§FLASH,§SPGR)

STAR(signal tagging with alternating RF)
 >(§EPISTAR)

STE(stimulated echo)
 励起エコー。90°−TE/2−90°−TM−90°−TE/2−echoのタイミングで発生するエコー信号。2番目と3番目の90°パルスの間(TM)ではT2緩和でなくT1緩和が進行する。スピンエコー法の90°−180°−echoに比べて信号強度は半分になる。SSFP現象でRFパルスの直前に観測される信号はこのエコーによる寄与が大きい。一般的にプロトンスペクトロスコピーでの測定領域の局在化に用いられている。 >(§定常自由歳差運動)

STEAM(stimulated echo acquisition mode)
 Stimulated echo(STE)シーケンスに用いられる3個の90°パルスを互いに直交する面で励起すれば、任意の位置・大きさの直方体領域からエコー信号を発生させることができる。この原理を利用してスペクトロスコピーにおける関心領域(ROI)の選択が行われる。同じ目的でスピンエコー法があり、こちらの方がS/Nが2倍高い。しかし、STEAM法はボクセルの選択精度が高く、短いエコー時間(20ミリ秒以下)の設定が可能である。

STERF(steady state technique with refocused FID)【島津】
 SSFPの変形(PSIFに類似)。T2コントラストが強調される。

STIR(short TI inversion recovery)
 反転回復時間を脂肪の信号を抑制するように設定したIR法。 >(§ショートTI−IR法)

SWAP【GE/YMS、Siemens、東芝】
 位相エンコーディングと周波数エンコーディングの方向を交換する技術。例えば頸椎の撮影時に、CSFによるフローアーチファクトを抑制するのに効果的である。

T(tesla)
 テスラ(SI単位系による磁束密度の単位で、1T=10000gauss)。

T1
 T1緩和(縦緩和)時間 >(§縦緩和時間)

T1強調画像(T1 weighted image:T1WI)
 スピンエコー法ではTR、TEが信号強度と関係しており、TRが組織のT1値よりも短ければ、各組織のT1の違いが画像に反映される。さらにTEがT2値よりも非常に短ければ、各組織のT2の影響が少ない画像が得られる。このようにTR・TEともに短い条件では、各組織のT1の差が強くでる画像が得られ、これをT1強調画像とよぶ。

T1値・T2値(T1 value・T2 value)
 強い磁場の中にある水素のスピンは、z軸方向に向けて、ある一定の周波数で歳差運動を行っており、このスピンにx軸方向にラジオ波をかけることによりスピンは90°y軸方向に倒れる。その後スピンのベクトルがz軸方向に戻っていくことをT1緩和、y軸方向に戻っていくことをT2緩和といい、それぞれの時定数をT1値、T2値とよぶ。

T1−FFE(T1 weighting fast field echo)【Philips】
 >(§FLASH、§SPGR)

T2
>(§横緩和時間)

T2*(T2 star)
 GREの場合の見かけ上のT2(FID信号の減衰を表す磁気緩和定数)。スペクトルの吸収線の幅はT2* に反比例する。T2* は原子核位置での磁場の不均一性に依存する。物質を構成している周囲の原子または電子が作る不均一磁場によって決まる本質的な要素と、測定装置、特に外部磁場(磁石)の不均一性など測定条件に依存する要素がある。スピンエコー法の場合は、180°パルスを用いることによって、時間的に変化しない磁場不均一性に起因する信号減衰を回復することができ、TEに依存する減衰は定数T2で示される。 >(§横緩和時間)

T2強調画像(T2 weighted image:T2WI)
 スピンエコー法において、TRをすべての組織のスピンが元に戻るほど長く設定すれば、各組織のT1の違いは画像に反映されない。逆にTEを長く設定すると、各組織のT2の違いが画像に反映されるようになる。したがってTR・TEともに長い条件では、各組織のT2の差が強くでる画像が得られ、これをT2強調画像(T2WI)とよぶ。

T2−FFE(T2 weighting fast field echo)【Philips】
 >(§PSIF)

TACT−FLAIR(tailored contrast FLAIR)【島津】
 スライス励起順序が互いに逆方向の2つのNS−FLAIRによりデータ収集し、同一のスライスについて加算処理して画像を作成する方法。CSFのフローによるアーチファクトを効果的に抑制できる。原理的に2回のスキャンが必要になるが、ハーフエンコード法(ハーフフーリエイメージング:HFI)を組み合わせて時間短縮することが可能である。 >(§NS−FLAIR)

TE(echo time)
 エコー時間。励起パルスの中心からエコーのピークまでの時間。1/T2*=1/T2+gΔBo (ΔBoは磁界の不均一、γはジャイロ磁気係数)

TFE(turbo field echo)【Philips】
 高速FE(GRE)法。

TGSE(turbo gradient spin echo)【Siemens】
 スピンエコー法で発生させたエコー信号の前後にグラジエントエコーを発生させ、画像データとして使用する方法。RARE法に比べて単位時間当たりのRFパルスの数が少なく、またグラジェントエコーの情報が画像に反映されることからRARE法固有の問題点(強すぎるMTS効果、磁化率の違いに鈍感)が改善され、従来のスピンエコー法の画質により近いものが得られる。 >(§GRASE、§RARE法)

THRIFT(throughput heightened rapid increase flip T2)【Picker】
 大きなフリップ角を用いたSE法。

TI(inversion time)
 反転時間。IR法で180°パルスから90°パルスまでの時間。 >(§反転時間、§反転回復法)

TOF(time of flight)
 流速を持つ核スピンは静止系とは異なる信号強度を持つ。この現象を利用したMRAの一手法。 >(§タイム・オブ・フライト法)

TONE(tilted optimized non-saturated excitation, ramped RF)【Siemens】
 3次元のTOF−MRAの際、RFパルスによる飽和を防ぎMRAを高画質化する目的で、RFパルスの形を工夫する技術。血流が撮像領域を通過する際に生じる信号低下を補正するRFパルスを使用し、末梢血流そのものの描出能を向上する。MRAの血流信号は撮像領域に流れ込んでくるRFパルスを受けていない血液の信号強度に依存し、また流入後RFパルスを受けることによって信号が減衰する。したがって、3次元スラブ内の血流の上流側でRFパルスの強さ(フリップ角)を小さくし、飽和による血流信号の低下を防いでやれば、より均一性の高い血管像が得られる。 >(§ランプパルス)

TPR(transceiver processing and storage)【GE/YMS】
 収集したローデータの処理全体を監視するサブシステム。

TR(repetition time)
 繰り返し時間。励起パルスから次の励起パルスまでの時間。

TSE(turbo spin echo)【Siemens,Philips】
 高速SE法。 >(§ファストSE法)

TSGC(twin shielded gradient coil)【東芝】
 シールド型グラジエントコイルの一種。

TurboFE(turbo field echo:TFE)【Philips】
 高速FFE(GRE)法。

TurboSE(turbo spin echo:TSE)【Siemens,Philips】
 高速SE法。 >(§ファストSE法)

TurboFLASH(turbo fast low-angle shot)【Siemens】
 プリパレーションパルスを印加して、1回の励起パルスで撮像する高速FLASH法。

UFTSE(ultra fast turbo spin echo)【Philips】
 TSE法のエコー間隔を数ミリ秒に短縮させる超高速撮影法。

UNIX
 Bell研究所で開発されたタイムシェアリングシステム用オペレーティングシステム。

USTSE(ultra shot turbo spin echo)【Philips】
 >(§ウルトラショットTSE)

VariNAQ【東芝】
 NAQ(NEX)を1以上0.1単位で小刻みに設定する機能。

VBW(variable bandwidth)【GE/YMS】
 >(§バリアブルバンド幅)

VENC(velocity encoding)
 PC−MRAで設定する流速(cm/sec)。 >(§流速エンコーディング)

VINNIE(velocity imaging in cine mode)
 2DFTによる流速測定技術。

VR−MIP(volume rendered MIP)
 MRA画像に視覚的な奥行きを与える画像処理法。重なり合った血管の区別が容易になる。

W/L(window and level)
 ウィンドウ幅およびウィンドウレベル。

WPAST(wrapped phase artifacts suppression technique)
 折り返しアーチファクト補正【東芝】。

X−WINDOW
 MITで開発されたUNIX上で動くウィンドウシステム。

XY(xyphoid)
胸骨の最下部(剣状突起)。解剖学的ランドマークのひとつ。




【参考図書・文献】(順不同)

・「日本放射線技師会雑誌」(月刊誌) 日本放射線技師会編
・「画像診断」(月刊誌) 秀潤社
・「映像情報メディカル」(月刊誌)  産業開発機構株式会社
・「ルーチンクリニカルMRI」(年刊誌) 産業開発機構株式会社
・「Quality」(季刊誌) GE横河メディカルシステム
・「東芝メディカルレビュー」(季刊誌) 東芝メディカル
・「Fujiメディカルレビュー」(季刊誌) 富士メディカル
・「MRI「超」講義」 アレン・D・エルスター著 医学書院MYW
・「はじめてのMRI」 荒木力編著 秀潤社
・「誰にでもわかるMRI」 多田信平/荒木力編 秀潤社
・「CTとMRIの適応とその役割」 蜂谷順一・高橋睦正編 秀潤社
・「画像検査の基本と実際」 永井純編集 メジカルビュー社
・「MRI診断の基礎知識Q&A」 竹中榮一他編集 メジカルビュー社
・「MRI用語集」 宮城MR懇話会(現宮城MR技術研究会)編
・「放射線診断学用語解説集」 片山仁他監修 日本シェーリング/エクセプタ・メディカ
・「SIGNA CONTOUR取扱説明書」 GE横河メディカルシステム
・「最新医学大辞典」 医歯薬出版株式会社
・「MRI技術の各社使用用語について」 小倉明夫他 日放技52:14−17、1996
その他、各社MRI装置カタログ、パンフレット、ホームページなど多数。

【用語集の作成者】

 石森文朗(いしもりふみお)
聖麗メモリアル病院 診療放射線技師
〒316 日立市中成沢町1−16−10
0294−35−7171(内線143)

ホームページアドレス
http://www.jsdi.or.jp/~fumipon/

(メールアドレス)
fumipon@jsdi.or.jp(自宅)